営業プロフェッショナルにこそ読んでほしい営業DXのすべて Vol.4
本記事は、2022 Adobe Marketo Engage Champion である GLナビゲーション 神田氏の実体験を基に、『営業プロフェッショナルにこそ読んでほしい営業DXのすべて』として連載記事を寄稿いただきました。
営業とマーケティングの壁は永遠のテーマですが、営業とマーケティングの協働がデジタルマーケティングを推進するために必要となっています。マーケティング部門の皆さんはもちろんのこと、対面する営業部門の皆さんにもぜひ本ブログをおすすめください。
もくじ
- 営業DX組織を構築する上でぶつかる3つの壁とは?(後編)
- DX推進の壁3.継続的な改善ができない
- 営業DX推進の軌跡
- DX成功のポイント:外部の有識者からフィードバックをもらう
- マーケティングおよびDX推進チームのあり方
- まとめ
- 本記事の執筆者
営業DX組織を構築する上でぶつかる3つの壁とは?(後編)
前回の連載第3回では、営業DXを推進する上でぶつかる3つの壁のうち、2つをご紹介しました。本連載第4回では、ぶつかる壁の3つ目と、DX成功のポイントについてお届けします。
DX推進の壁3.継続的な改善ができない
DXを推進する上では、クイックで継続的な改善活動が欠かせません。一度にオペレーションを構築しようとするのではなく、営業組織が変化することを良しとする文化を創りましょう。週単位でオペレーションが変わるなんていうこともよくあります。
そのためには、マーケティングおよびDX推進チームが主体となり、営業とマーケティングが一緒になってアイデアを出し、週単位で運用改善項目を作ったりする動きが必要になります。以下では、具体的にどのように営業DXを推進すれば良いか、実際の弊社の事例を基にご紹介します。
営業DX推進の軌跡
弊社では以下の時系列で営業DXを推進してきました。
- 2020年7月:Adobe Marketo Engage運用がスタート。Adobe Marketo Engage ×スプレッドシートで管理
- 2022年1月:Salesforce導入開始
- 2022年2月:Adobe Marketo Engageとの連携が完了
- 2022年3月:レポート/ダッシュボードを用いたパフォーマンス分析を開始
- 2022年4月:毎朝の定例MTGにてSalesforceダッシュボードの利用を開始
- 2022年6月:ZOOM × Adobe Marketo Engage ウェビナー運用を開始
- 2022年8月:Outreachの導入開始(同年11月:Outreachの実装完了)
- 2022年9月:レポートを活用したアタックリスト作成が完了
- 2022年10月:販売管理機能としてSalesforceを活用
- 経営指標に必要な主要KPI分析が可能に。スコアリング項目が5、6個から300個以上に増加
- 2023年3月:Sales Engagement運用開始
- 2023年3月:Adobe Marketo Engage LPを活用したweb行動をトリガーとしたアプローチ開始
- カスタマー事例や勉強会に参加
- 社内/社外から意見を求めてクイックに実装
DX成功のポイント:外部の有識者からフィードバックをもらう
営業DXを推進するにあたり、圧倒的に不足していたのは社内へのナレッジシェアでした。私は人材出身で昭和営業が染み込んでおり、セールスメンバーは若手のため、プロジェクトを任せられる経験やスキルが不足している状況でした。
そこで外部のマーケティングの専門家をプロジェクトにアサインしました。経営者がカバーしきれない領域でコミット力が強い外部人材を配置することで、セールスメンバーへの目的意識の強化・定着、モチベーション向上、オペレーション整備などを短期間で実行してもらいました。
外部の専門家は、「Global Wing」という弊社が運営する海外インターンサービスの卒業生です。学生時代に弊社サービスを通じて出会った学生たちが、現在は日系/外資系の有名企業で最年少マネージャーやトップセールスとなっており、今回の営業組織立て直しにも協力してくれました。外部のコンサルタントを入れたほうが営業DX推進のスピードが確実に上がります。
マーケティングおよびDX推進チームのあり方
弊社が考える営業とマーケティングのあるべき姿についてご紹介します。
営業DX組織が出来上がる以前は、営業/マーケティングチームがそれぞれ考えていることや取り組みの背景などが共有されていないことが多く、お互いの意思疎通が図れないまま施策だけが実行されてしまうケースが多い状況でした。
現場の業務を注意深く見ると、顧客の関心やニーズを無視したメールの一斉配信、一方的な営業コールが継続的に行われていることが分かりました。顧客と会話がかみ合わないことが多く、顧客状況を無視したプロダクトアウト的な提案活動で活動件数を積み上げていた状況のため、営業としてのバリューを提供することができていませんでした。
顧客状況がチーム内に情報共有されないまま重複して同じ顧客へのアプローチが繰り返され、顧客からのクレーム処理の工数が追加で発生することも起こっていました。
顧客、営業、マーケティングと様々なチームからインサイドセールスに情報が集まっているにもかかわらず、情報のハブとしての機能を果たせずタスクフォースの実行部隊となっていました。また、一方的な粘る提案活動をすればするほど、顧客からクレームが発生し信頼を失うような事象が多発していたのです。
そして受注後の顧客フォローがおろそかになり、常駐コンサルの不満、顧客の不満を拾い上げることが難しく、既存顧客へのアップセルも当然ながらできず、機会損失も生まれていたのです。
マーケティングは、受注金額や受注率、顧客セグメントなどのデータで顧客を理解した上で施策を考えるチームです。対して営業は、顧客一人ひとりと向き合い、案件を一つひとつ理解した上で、進め方をプランニングするチームです。
データを基にマーケティングチームが意思決定したことが営業に伝わっていなかったり、逆に営業が欲しい手助けをマーケティングチームが理解してくれなかったりといった「すれ違い」はよく起きることです。
弊社の場合、ブラックボックスになっていた部分を解消するために、営業とマーケティングの仲介役としてインサイドセールスを置いています。第三者であるインサイドセールスが双方の橋渡し的な動きをすることで、営業とマーケティングの双方が合意した施策を取ることができます。
まとめ
営業DXを推進するためのポイントとして、継続的な改善、変化を恐れない組織文化を創ることが重要になります。そのためには、外部の識者にフィードバックしてもらえる環境をつくること、そして営業とマーケティングの双方が合意した施策を実施するチームが必要になります。弊社ではその橋渡し役としてインサイドセールスを設置して推進してきました。
連載ラストとなる第5回は、「営業DXを推進して気がついた売上以外のメリット」についてお届けする予定です。
本記事の執筆者
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