2022年のマーケティング:マーケターの成功を左右する5つの予測とポイント

デジタル化の加速によって、マーケティングのライフサイクルはより複雑かつ大規模になり、さらにスピードが求められるようになりました。しかし、マーケターが駆使できるリソースは、そうした状況に追いつくほど大幅に増えたわけではありません。また、ハイブリッドワークは柔軟性をもたらし、生産性の向上にも貢献しているものの、生活と仕事の境界線が失われたことにより、ただでさえ過労状態にあるマーケターにさらにプレッシャーがのしかかる状況になっています。

デジタルの普及は、消費者にも変化をもたらしています。世界4大会計事務所・総合コンサルティングファームの1つであるEY(アーンスト アンド ヤング)によると、消費者の54%がパンデミック前よりもデータプライバシーに関する意識が高まったと報告しています。消費者は自分のデータがどう取り扱われるかを気にするようになり、パーソナライズされた顧客体験と引き換えに、いつ、どこで自分に関する情報を提供するかについても、慎重になっています。とはいえ、アプリ分析企業AppsFlyerが2021年10月に発表したレポート(英語)によると、2021年にAppleが、ユーザーがデータ共有を拒否できるOSアップデートをリリースして以降、実際にデータ共有を拒否したユーザーはわずか38%でした。

このように、マーケターにはさまざまな課題が待ち受けていますが、エキサイティングな新しいチャンスもあります。

このブログでは、アドビの調査「未来のマーケティングに関するグローバル調査」を基に、2022年にマーケターの成功を左右する5つの予測とポイントをご紹介します。

予測1:拡大を続けるマーケティングリーダーの責務

顧客第一主義は非常に重要とされ、特にここ数年でその傾向が増すなか、パンデミックの影響は、それを決定的なものとしました。優れた顧客体験を提供するには、組織内のさまざまな部門が協力し合うことが必要であり、とりわけマーケティング部門が以前にも増して大きな責任を負うことになります。

調査によると、マーケターの85%が、過去5年間で自分の責任範囲が平均37%増加したと回答しています。今では、Eコマース、新規顧客獲得、顧客体験デザインなど、従来求められていた職責をはるかに超える活動が含まれています。また、77%が今後12〜18か月の間に責任範囲が3分の1以上増加すると予想しています。

ポイント:マーケティングの職域は、単に拡大しているだけではなく、根本的に変化しています。マーケターの成功は、もはや単にリード数ではなく、包括的な顧客関係をいかにサポートできるかで決まります。マーケティングチームを進化させる最も効果的な方法は、大きな組織の中での役割と同様に、測定対象を変えることです。KPIをパフォーマンス指標に限定するのではなく、生涯価値のようなカスタマーサクセス指標も含めることで、人材とリソースを最も重要なもの、すなわち「顧客」に集中させることが重要です。

予測2:顧客からの「信頼」の獲得において、最も手強い存在となるのはZ世代

信頼はこれまでもずっと企業と顧客の関係の基盤でしたが、今日、その獲得と維持にはより複雑なプロセスが関わるようになりました。コミュニティをターゲットにした活動から、顧客データの安全性を確保する取り組み、そのデータを使ってパーソナライズされた体験を提供する方法(あるいは提供するかどうか)まで、デジタルの世界では、ブランドと消費者との信頼関係の構築や喪失に影響を及ぼす要因が無限に増えています。そして今回の調査では、Z世代(18〜25歳)の消費者は、いったん信頼を損なうと最も強硬な行動をとるということが判明しました。

本調査によると、Z世代の40%が、「信頼が損なわれたときに否定的なレビューを投稿する」と回答しています。これは消費者全体の平均よりも10ポイント高く、他のどの世代よりも高い数値です。また、消費者全体の58%が「信頼の喪失が原因でブランドを放棄したことがある」と回答していますが、Z世代においてはその75%が過去1年間に信頼を失ったことでブランドを放棄したことがあると答え、さらに29%が3つ以上のブランドを放棄しています。

ポイント:Z世代との信頼関係を築く鍵は、パーソナライズされた体験を通じて顧客が本当に望み、必要としていることに企業が共感を示すことです。調査によれば、消費者のデータを尊重して扱うことが信頼を得る最良の方法であることが明らかとなっています。Z世代もまた、データの尊重による信頼構築を重要視していますが、この世代だけは「パーソナライズされた体験を通じて企業が自分への理解を示す」ことを信頼関係構築の第1位の要因に挙げています。調査はまた、優れたクリエイティブ コンテンツがZ世代との信頼関係の構築に役立つことも明らかにしており、1/3がブランドをより信頼するようになると回答し、25%がロイヤルティを高めると答えています。

予測3:最大の差別化要因は大規模なパーソナライゼーション

2000年代初頭、マーケターは、顧客の名前をメールに含めたオンラインキャンペーンを始め、それを「パーソナライゼーション」と呼んでいました。今日、パーソナライゼーションの意味するところは全く異なり、より複雑になっています。いまや先進的な企業(英語)は、人工知能を活用して顧客ごとにカスタマイズしたジャーニーをブラウザ経由で提供したり、オンライン/オフライン両方の行動に基づいて商品を推奨したりしています。

このようにパーソナライゼーションへの要求が高度化しているにもかかわらず、今回の調査では、ほぼすべてのマーケター(95%)が、パーソナライズされた優れた顧客体験を大規模に提供することが「できている」あるいは「卓越してできている」と回答しています。しかし、この1年間でデジタル体験が良くなったと答えた消費者は37%に過ぎず、63%は「変わらない」または「悪化した」と答えています。また、消費者の約1/3(31%)は、いかなる種類のパーソナライゼーションにも価値を認めていません。

ポイント:顧客にとって意味のある価値を提供できるようなパーソナライゼーションの実現は簡単ではありません。優れたパーソナライゼーションを提供する基盤となるのは、結局のところデータだからです。具体的には、許諾済みのファーストパーティデータに基づいて統一された顧客データプロファイルを作成し、消費行動のライフサイクル全体にわたり顧客を一元的に把握しなければなりません。マーケティング部門の責任者は、2022年の最優先事項として、この課題に取り組むべきです。統一された顧客プロファイルは、顧客にパーソナライズされた優れた体験の提供を可能にするだけでなく、より正確なアトリビューション、より多くの迅速なリード獲得や、より高い顧客エンゲージメントを、大規模に実現可能にします。これらすべてがビジネスの成果につながるのです。

予想4:データガバナンスの統合が必須に

マーケターには、新たに設けられたり更新されたりする個人情報保護関連の法制度や、顧客それぞれが望む個人情報の扱い方への対応が求められ、今後もコンプライアンスの維持に苦労し続けるでしょう。違反を避けるだけではもはや十分ではありません。企業のあらゆるレベルのマーケターは、コンプライアンスに準拠し、数千人の顧客と数百万(またはそれ以上)のインタラクションすべてに一貫して価値を付加する顧客体験を設計し、提供しなければなりません。

そのための唯一の解が、強力なデータガバナンス体制の構築です。今回の調査ではマーケティング組織のリーダーの88%が、データガバナンス(英語)とプライバシーポリシーについて知識があると答えています。しかし同時に、彼らの90%は、チームがデータを適切に管理し、顧客ごとの個人情報の取り扱いに準拠しているか「懸念している」と回答し、59%が「非常に懸念している」と答えています。

ポイント:優れたデータガバナンスはこれまで、常に適切な人材と常識的なポリシーの組み合わせによってもたらされてきました。しかし、デジタル時代の到来と拡大に伴い、優れた人材やポリシー、最善の意図が揃っただけでは、顧客の体験とデータ要件のスピードやスケールに追いつけなくなってきました。統合化されたガバナンスツールを使えば、ポリシーや顧客の選択を一貫して自動的に適用することが可能になります。これにより、従業員の当て推量や負担を軽減するとともに、より良い顧客体験を提供し、チーム(ひいては組織)におけるコンプライアンスを維持することができます。

予想5:一人ひとりの能力を強化するテクノロジーの進化により、従業員の参加意識が向上

加速するデジタル化とCOVID-19が突きつける課題が重なり、今日のマーケターは仕事上の厳しいプレッシャーを受けています。そしてそのプレッシャーは対価を伴います。デジタルマーケティング人材のマッチングサービスを提供するMarketerHireによる最近の調査(英語)によると、マーケターの75%が、今後数か月の間にマーケティング部門で新たな退職希望者の波が来ると予測しており、回答者の約半数(48%)が個人的に仕事を辞めるつもりであると答えています。

この問題に関して企業側は、社員の休暇を増やし、さらに柔軟な勤務体系やメンタルヘルスのサポートを提供することで対応しています。これらは非常に重要な対処法ではあるものの、従業員を疲弊させ、優れたカスタマーエクスペリエンスの提供を妨げるような日々の課題の直接的な解決にはなりません。例えば、アドビの調査によると、マーケティング担当者の93%が、マーケティングチームとデザインチームのコラボレーションが成功に欠かせないと回答しながら、まさしくこのコラボレーションを最大の課題として挙げています。

ポイント:従業員の参加意識を高めるためには、専門的な能力開発や個人的なサポートプログラムが重要ですが、職場の幸福度を高める大きな要因として見落とされがちなのが、従業員に必要なテクノロジーが行き渡っているかです。テクノロジーがすべてを解決するわけではありませんが、適切なテクノロジースタックは、人と仕事をつなぎ、シームレスなコラボレーションを可能にし、重要なコンテクストを提供するだけでなく、手作業などの煩雑さを軽減します。仕事に適したツールをチームに供給することで、チームは有意義な仕事をし、最高の結果(英語)を出すことができます。

マーケターには、パンデミックがいつ終息するのか、世界のサプライチェーンがうまく機能するのか、インフレが落ち着くのか、といった未来の行く末をコントロールすることはできません。しかし、目の前にある課題や機会に前向きに取り組めば、チームも顧客も企業も、より良い状況で2022年末を迎えることができるでしょう。

*本記事は、アドビが2022年1月12日に投稿したブログの抄訳です。