エンゲージメントを高めてアポ商談率 前年比132%を達成したAdobe Marketo Engage活用術とは

カスタマーサクセスチームで定期開催している「Marketo Studio(通称Mスタ)」。本ウェビナーでは、毎回ゲストのユーザー様をお招きし、Adobe Marketo Engageの活⽤実践例を存分に語っていただいております。今回はMスタで披露いただいたソフトブレーン株式会社様のエンゲージメントを高めるMA活用事例について、アドビ 松井真理子よりご紹介します。

トップのコミットと明確な目標設定が早期スタートの秘訣

「顧客の生産性の最大化」をミッションに掲げ、営業特化型のコンサルティング(型作り)と営業支援/顧客管理システム(仕組み作り)を提供されているソフトブレーン株式会社様。主力製品には、スケジュール管理や日々の活動記録、案件情報の可視化、会議資料の作成を一元化できるCRM/SFA「eセールスマネージャーRemix(エンタープライズ向け)」と「eセールスマネージャーRemix MS(中小企業向け)」があります。

ソフトブレーン様では簡易的なMA(マーケティングオートメーション)を用いて、webサイトの行動履歴とスコアの測定を行っていたものの、「自社のやりたいことが制限されない自由度を手に入れたい」 という想いから、2020年11月にAdobe Marketo Engageへの移行を決めていただきました。コロナ禍が本格化し、オフラインのリードジェネレーション施策が限られていた中で、すでにある資産=ハウスリストを生かす、つまり顧客とのエンゲージメントを高めるために、テクノロジーの力を使おうと考えられたのです。

Adobe Marketo Engageを導入して最初に行ったのは、タスクの洗い出しとそれに対する進行スケジュールの作成でした。ソフトブレーン様では、代表と管掌役員が参加するミーティングを毎週行い、進捗を報告していたと言います。「どんな施策がいつから動いて、成果が出るのか?」という点にフォーカスし、スピード感を持って取り組んだ結果、導入から2カ月間でAdobe Marketo Engageの設定をすべて終え、3カ月目からは具体的な施策を打てるようになったそうです。MA乗り換えプロジェクトは私(松井)も経験がありますが、2カ月ですべて設定を終えるのは驚異的なスピードだということがよく分かります。経営層にタスクと進行スケジュールが可視化されたことで判断のスピードが速くなり、早期に運用を始められたのでしょう。

次に、商談の創出というKPIを達成するために、MAの成果を定義。例えば「総リードの中からタギングできた件数はどれくらいあるのか」「別途定めたスコアの閾値を超えた人から、どれくらいアポイントメントに結びついたのか」といったことを考えて数値に落とし、改善ポイントを見つけていかれました。

さらに営業プロセス別にAdobe Marketo Engageでできる施策を置いていき、そこから優先順位をつけていきます。

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図:営業プロセス別施策 全体概要

優先順位の高いものから順に並べると、次のようになったそうです。

  1. スコアリング
  2. 各種メール配信(タギングメール/ステップメール/シナリオメール/セミナー集客)
  3. アクトナウ
  4. そのうち顧客の育成、失注/解約顧客育成
  5. webパーソナライズ
  6. 各種メール配信(ステップメール/セミナー集客)

ここで重要なのは、どのフェーズのお客様にどんなタイミングで、どんなコンテンツを届けたらエンゲージメントが高まるかを考えられるかです。タギングするということは、メールのリンクをクリックする、あるいはwebサイトに流入してもらい、フォームを入力してもらうしかありません。スコアも顧客行動(メールクリック、資料ダウンロード、ウェビナー登録など)がないとスコアを設定する意味がありません。誰にどういったコンテンツを届けることで、顧客の行動の総量を増やすことができるのか? エンゲージメントを高めていけるのかを検討することがポイントになってきます。

エンゲージメントを高める施策で得られた効果の気づき

ここからはソフトブレーン様が実際に行った施策の一部を振り返りながら、それぞれの教訓ポイントをご紹介していきます。

<①スコアリング>

ソフトブレーン様のスコアリングは、顧客属性による「顧客スコア」と、行動履歴による「行動スコア」から成っています。行動スコアの中には、製品資料のダウンロードなど、ニーズが顕在化した行動によって加算される「製品スコア」と、ホワイトペーパーのダウンロードや記事のクリックなど、課題はあるがニーズの顕在化までは至っていないと考えられる行動によって加算される「課題スコア」が含まれています。

スコアリングにおける教訓ポイントとして、次の3つが挙げられました。

<②各種メール施策>

ソフトブレーン様が行っているメール施策の一覧は以下の通りです。

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この中から「a.タギングメール」「c.ステップメール」「d.シナリオメール」の3つについて改善策が示されました。

a.タギングメール

ソフトブレーン様のタギングのルートは、メールが9割、フォーム通過が1割です。2〜6月のタギング数を月別に見てみると、5月にガクッと落ち込んでいることが分かりました。明らかにクリック数や開封率も下がっていたことから、通常のメールに加えて役職者向けのコンテンツ作成や、クリックポイントの改善、件名のA/Bテスト、ファーストビューの改善などをしたところ、6月のタギング数は1.7倍に増やすことができたそうです。

c.ステップメール

ソフトブレーン様のステップメールには、「製品ステップ」「課題ステップ」「比較ステップ」の3種類があります。

これらのステップメールは、最後のメールが飛んだら必ずインサイドセールスに通知するとともに、「これ対応してくれた?」と担当者に直接声をかけて、取りこぼしがないようにしていたと言います。

d.シナリオメール

シナリオメールはスコア別に、「課題喚起」「情報収集」「導入検討」の3つのストリームをAdobe Marketo Engageで作って運用されています。

シナリオメールのコンテンツは、オウンドメディアの記事をもとに、半年間で36本のメールを作成するところから始め、効果測定の結果を見ながらチューニングをされているそうです。

ここまで3種類のメール施策について見てきましたが、教訓ポイントとして次の4つが挙げられました。

<③アクトナウ>

ソフトブレーン様がAdobe Marketo Engageを導入する決め手となった手法の一つが「アクトナウ」です。通常のスコアリングは積み上げ式のため、急な顧客の変化に気づくのが難しいのですが、このアクトナウを使うことで、「長期間点数が低く、総スコアはまだ基準を突破していないものの、急激に点数が伸びている」 というホットな状態をつかむことができます。アクトナウとは、まだアタックラインのスコアに達してはいないものの、興味関心を示す行動により急角度でスコアを上げているリードに対し、迅速にアプローチをかける施策を指します。

ソフトブレーン様では、「商談後、そのうちのお客様が製品比較の記事を見に来たら、インサイドセールスに通知を飛ばす」「過去に失注したお客様が製品カタログのフォームまで来たら、担当営業に通知を飛ばす」といった形で、「誰が、どのくらいの期間で、どんな行動をしたら、どうするか」を定義していったそうです。

実際に急速なニーズの高まりをアクトナウで検知したところから、アポ獲得につながった事例がいくつもあるそうで、「スコアがたまるのを待っていたら気づけないお客様ばかりだったので、アクトナウによって機会損失を防ぐことができて良かった。もしまだ使っていない方がいたら、ぜひチャレンジしてみてほしい」という言葉をいただきました。

アクトナウに関する教訓ポイントは、次の3つです。

ツールがあるから商談数が上がるわけではない

ソフトブレーン様では、Adobe Marketo EngageとeセールスマネージャーRemixを「trocco®」というデータ統合自動化サービスを使い、データ連携をされています。インサイドセールスや営業のご担当者様がeセールスマネージャーRemixをチェックすると、Adobe Marketo Engageで取得したお客様の最新情報が見られるようになっており、アポイントメントや商談の事前準備、商談中に参考にできる環境が整っているそうです。

このようにAdobe Marketo Engageの活用を進め、ハウスリストを活性化した結果、前年比132%のアポ獲得を達成。Adobe Marketo Engageの施策によるアポ供給は年間250件にもなり、特に アクトナウによるアポ率は52% と非常に高かったことが明かされました。

「ビジネスの基本はお客様。少しでもお客様のニーズに近づけたコミュニケーションをしっかりと行っていきたい」と語るソフトブレーン様。同社が提供されているCRM/SFAもAdobe Marketo EngageのようなMAも、どちらも“魔法の道具ではない”からこそ、目的や目標を明確にして検証と改善を繰り返すことの重要性を改めて教えていただきました。

https://main--bacom-blog--adobecom.hlx.page/jp/blog/fragments/customer-success-sories-softbrain