Adobe Audience Manager | Update – アルゴリズムモデリング「Predictive Audiences」成功事例の紹介

Adobe Audience Managerのアルゴリズムモデリングには、類似モデリングを行うLook-Alike Modelingと、オーディエンス予測を行うPredictive Audiencesがあります。ここではPredictive Audiencesによって、どのように既存のオーディエンスを拡張したりペルソナに分類したりするのか?最新のデータサイエンスの使用とその活用方法とともに、本機能を紹介いたします。また、実業での売り上げを飛躍的に向上した事例として、株式会社ドーム様が扱うアンダーアーマーアプリにおける成功秘話を紹介いたします。

Predictive AudiencesとLook-Alike Modelingの違い

ここでは、Adobe Audience Managerで利用できる2つのモデリングの違いを説明いたします。

  1. Look-Alike Modeling
    • すでにAD Tech領域では知られたモデリングですが、これをOwned Mediaに対して適用できると言うのがAdobe Audience Managerの利点です。
    • サイトへ訪問する少数のターゲットオーディエンスを拡張したい場合、この機能を利用します。
    • 特定の商品(A商品)を購入したオーディエンスの情報をもとに、それに類似したオーディエンス(且つA用品未購入であるオーディエンス)を探し出し、A商品の購入見込みがあるものとしてフラグを付ける。これにより対象となるであろうオーディエンスを拡張してゆきます。つまり「見込み客」を増やしてゆくことが期待できます。
  2. Predictive Audiences
    • 多数のオーディエンスを複数のセグメントに自動で分類したい場合、この機能を利用します。
    • サイトに訪問するユーザーを、訪問した時点から複数のペルソナに自動分類し、適切にターゲティングを行える状態に整理することができます。自動分類する際はAdobe Audience Managerがもつスコアリングロジックによって、合致率が高いものに対して分類されます。
      広告などによりセグメントされた状態で流入してくるユーザーを更に詳細にペルソナ分類することもできますし、外部流入・オーガニックによって流入するユーザーも適切に分類して、適切なコンテンツへと誘導することも期待できます。

Predictive Audiencesのユースケース

Predictive Audiencesによるモデリングの、想定される利用方法を列挙致します。
以下のようなマーケティング活動を企画されている場合は、是非本機能の利用を検討してみてください。

  1. ユースケース 1:e コマース会社のマーケティング担当者の場合
    • ユーザーエクスペリエンスをパーソナライズできるように、すべての Web およびモバイル訪問者を様々なブランド志向カテゴリに分類したい。
  2. ユースケース 2:メディア会社のマーケティング担当者の場合
    • すべてのチャネルにわたってパーソナライズされたコンテンツを提案できるように、アノニマスの Web およびモバイル訪問者を好きなジャンルごとに分類したい。
  3. ユースケース 3:航空会社向けの広告主の場合
    • 短いリターゲティング期間内にリアルタイムに広告を提示できるように、旅行先への関心に基づいてオーディエンスを確実に分類したい。
  4. ユースケース 4:広告主の場合
    • トレンドニュースにすばやく反応できるように、リアルタイムにファーストパーティオーディエンスを分類したい。
  5. ユースケース 5:メディア会社の場合
    • 訪問者に関連性のある広告を提供すると同時に、広告スペースをプレミアム価格で販売できるように、オーディエンスを分類したい

Predictive Audiencesの作成ステップ

ここからは、実際にどのようにPredictive Audiencesを作成してゆけばいいのか?その概要を説明いたします。この後の段落では、実際にAdobe Audience Managerを操作するやり方をステップ・バイ・ステップで説明します。まずは概要をご理解ください。

  1. ペルソナ選択
    • 分類先のペルソナとしてTrait/Segmentを選択
  2. ターゲットオーディエンス選択
    • 分類元のターゲットオーディエンス(以下の図では「母集団」)から、分類したいTrait/Segmentを選択
  3. モデルに基づき自動分類
    • モデルに基づきオーディエンスをそれぞれのペルソナに分類します。どのペルソナにも当てはまらないオーディエンスも、モデルに基づいたスコアリングで各ペルソナに分類します。(注意:スコアリングの結果、いずれのペルソナにも分類されないオーディエンスも一定量残存する場合があります。)

Predictive Audiencesの作成ステップ

前段落の内容で、概要はご理解いただけたと思います。
この段落では、実際にAdobe Audience ManagerでPredictive Audiencesを作成してゆく方法をステップ・バイ・ステップで説明いたします。
如何に簡単に作成することができるかという点を、実感していただければ幸いです。

  1. Adobe Audience Managerの画面から**[Audience Data / Models] **に移動します。
  2. **[Predictive Audiences]セクションで、[Add New]**をクリックします。
  3. オーディエンスを分類するペルソナを定義します。画面の左上隅にある [Traits] および** [Segments]** タブ(①)を使用して、Traitsとセグメントカタログとの間で切り替えます。ペルソナとして使用するTraitsやセグメントを特定したら、Action 列にある対応する **[Add] **アイコンをクリックします(②)。
  4. ペルソナを定義したら、[Next] をクリックします。
    次に、分類するファーストパーティオーディエンスを選択します。画面の左上隅にある [Traits] および [Segments] タブ(①)を使用して、Traitsとセグメントカタログとの間で切り替えます。オーディエンスとして使用するファーストパーティTraitまたはセグメントを選択(②)して、モデルに追加します。
  5. オーディエンスを選択したら、**[Next] **をクリックします。
    モデルの詳細を入力します
    • Model Name :後で識別するのに役立つ、モデルのわかりやすい名前を入力します。
    • Description :モデルの説明を入力します。
    • Data Source :このモデルからの Predictive Audiences セグメントを割り当てるファーストパーティデータソースを選択します。
  6. 最後に [Save] をクリックします。

以上で作成は完了です。ほんの数ステップでPredictive Audiencesを作成することができました。データソースを手元に用意済みであることや、Traitの準備ができているなど前提事項はありますが(その前提を準備するのが大変なのですけれども)、作成自体は非常に簡単です。

Predictive Audiencesのレポート

作成したPredictive Auciencesによって、分類がどの程度進んでいるのか?それをレポートとして確認し、期待するオーディエンスボリュームになっているかどうかをチェックを行いましょう。

概要レポートにおいては、分類の割合や日別のトレンドなどを確認することができます。

Influential Traitsにおいては、各ペルソナごとに分類を決定するための予測因子として使ったTraitとその重みを表示。ここからさまざまなインサイトを得ることができます。

作成したPredictive Audiencesによって、皆様が期待する分類状況になっているかどうか?それを確認しつつ、期待に沿っていないのであれば適宜メンテナンスを行うことも、重要なPDCAです。ここがマーケッターとしての力量が問われる部分になります!

Predictive Audiences利用時の留意点

この段落では、Predictive Audiencesを利用する際の留意点を列挙致します。最新の情報は、以下のURLをご参照ください。
https://docs.adobe.com/content/help/ja-JP/audience-manager/user-guide/features/algorithmic-models/predictive-audiences/predictive-audiences.translate.html

活用事例:アンダーアーマー

ここでは、Predictive Audiencesの活用事例として、株式会社ドーム様のアンダーアーマー スマートフォンサイト・アプリによる見込み客拡大の取組を紹介いたします。

施策展開面
    1. アンダーアーマー スマートフォンサイト・アプリ
課題
ソリューション
仮説
分類結果

配信結果(ビジネス上のインパクト)

この成果に対して、担当者である株式会社ドーム Eコマース部 マーケティングチームの伊藤直樹様は「これまで、初めてECサイトを訪れていただいたお客様にはターゲティング施策を実施行うことはできないものとあきらめておりました。」と考えていたところを「Predictive Audiencesのアルゴリズムモデリングを活用し、初めて訪問頂いたお客様の興味を予測することで、お客様に合わせた商品をご提案することができるようになりました。」と、期待するビジネススキームの構築ができたことに対して良い評価を下していただいています。

以下、伊藤様のコメントの全文です。

お客様が求めているモノ、興味のあるコトに合わせて商品提案をすることで、良い購入体験を提供できるようになったと感じています。

お客様自身が欲しい商品を一生懸命探さなければならないという欠点を、これらの施策で解決し、自然と欲しい商品と出会うことができる。そんな購買体験が提供できる、ECサイトを実現していきたいと考えています。

株式会社ドーム Eコマース部 マーケティングチーム
伊藤 直樹 様

また、本件の施策立案・実行に携わった、アドビ株式会社の橋本 翔(アドビ カスタマー ソリューション統括本部 シニア コンサルタント)からは、本件の成功の秘訣を「初回訪問の時点から来訪者が求めているアイテムを予測し、適切なタイミングで最適なアイテムを訴求することが重要テーマ」としつつ、それを「**機械学習を用いた自動最適化を行い、配信対象者数の増加とRPVの改善」**によって実現するまでの経緯を、以下のようにコメントしています。

UNDER ARMOURでは、アスリートのパフォーマンスアップにつなげるための様々なアイテムを展開しています。ランニングやベースボール、バスケットボール、ゴルフといった多くのスポーツのアイテムが存在することから、初回訪問の時点から来訪者が求めているアイテムを予測し、適切なタイミングで最適なアイテムを訴求することが重要テーマでした。

これを実現するのに今回活用したのがPredictive Audiencesです。
Adobe Audience ManagerにてECサイトやアプリ、店舗BLOGサイトなど複数のチャネルの行動履歴や購買情報を収集、それ以外にもWEB上でのお客様アンケート結果やCRMデータを取り込んだ上で、各スポーツごとのペルソナを作成し、Predictive Audiencesによる予測を行いました。

これにより、初回訪問から来訪者がどのスポーツに興味があるかを予測し、
Adobe Targetによって当該スポーツに関する最適なオファーを配信することで、より多くの来訪者に対して
機械学習を用いた自動最適化を行い、配信対象者数の増加とRPVの改善を両立しています。

また、予測結果に該当していないユーザーに対しても、ルールベースのターゲティングを実行することで、施策全体として精度の高いターゲティングを継続的に実行できています。

アドビ株式会社 アドビ カスタマー ソリューション統括本部 シニア コンサルタント
橋本 翔

いかがでしたでしょうか?

デジタルマーケティングの業界では、サードパーティ・クッキーに頼った施策に制限ができていることは周知の事実です。これからマーケッターが考えるべきは、顧客中心の施策立案であり、自社サイト(Owned Media)に来訪したユーザーに対して、如何にして効率的にビジネスを展開するかにかかっています。
その一つの解として、Adobe Audience Managerの機械学習によるモデリングを検討されてはいかがでしょうか?

既にゲームチェンジは始まっています。

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