アドビ、顧客体験の「AI-as-a-Service」サービス群「Intelligent Services」の新機能を発表

コンテンツによるパフォーマンスの最大化を自動化する「Content and Commerce AI」とコンバージョンや解約の可能性を予測する「Customer AI」

2020年に世界中で起きた変化は、企業が持つデジタルに対する考え方を根本から変えました。消費者のオンライン購買はますます増加し、デジタルが経済を牽引するようになりました。この傾向自体は新しいものではないものの、今、マーケターは戦略をアップデートし、オンライン上で顧客のロイヤルティを獲得するという、未知の領域に踏み入ることを余儀なくされています。コンテンツがあらゆるデジタル体験の生命線である世界では、コンテンツそのものの理解に加え、顧客がコンテンツとどのようにインタラクションしているかを理解することが、優れた顧客体験を実現するうえで重要です。

Adobe Experience Cloudは、AI(人工知能)の力でアートとサイエンスを融合し、コンテンツとデータをシームレスに連携させる、業界唯一のプラットフォームです。今年の初めには、マーケター向けに設計された、顧客体験を向上させるための「AI-as-a-Service(サービスとしてパッケージ化されたAI)」サービス群である「Intelligent Services」を発表しました。Adobe Experience Platform上に構築され、Adobe Senseiを搭載したIntelligent Servicesは、適切なリソースが不足している組織であっても、AIを活用して顧客ベースの拡大に繋がる効果的な施策を打ち出せるようになります。

そして本日、アドビは組織内のAIを民主化し、企業がよりスマートなワークフローを実現し、大規模な施策をリアルタイムで実行できる新機能を発表します。

コンテンツによるパフォーマンスの最大化を自動化する「Content and Commerce AI」

今日のブランド企業はコンテンツの重要性を理解しており、パフォーマンスを最大化するためには顧客の好みの深い理解によってコンテンツをパーソナライズする必要があることを理解しています。しかし、多くの場合、データやクリエイティブアセットが多すぎるために適切な選択が難しく、コンテンツを活用したマーケティングの質とそのスピードには限界がありました。

現在ベータ版として提供されている「Content and Customer AI」は、カラーパレットや被写体など、コンテンツ内の訴求要素に関するインサイトやガイダンスを提供し、企業がコンテンツのパフォーマンス要因を理解するのに役立ちます。そして、Adobe Experience ManagerとContent and Commerce AIの機能を組み合わせれば、組織内に散在するドキュメントやコンテンツからキーワードやタグを自動的に抽出できます。また、ドキュメントや画像にラベル付けをするような、膨大な時間と人手がかかる作業も、カスタムAIモデルを使って自動化できます。

例えば、小売業者なら、画像のカラーパレットを自動的にラベリングして定量化したり、形状、デザイン、色などの直感的な商品特徴に基づき、視覚的に類似した商品のレコメンデーションを顧客に提供したりすることができます。コンテンツに対するインテリジェンスの導入は、B2Bビジネスにも重要です。カラーメタデータによる検索、あるいは視覚的な類似性に基づく検索といった機能は、フランチャイズ加盟店が商品カタログ全体から絞り込んで選択肢を最適化したい場合にも利用できます。

コンバージョンや解約の可能性を予測するリアルタイムCDPの新機能「Customer AI」

マーケティングチームは、ロイヤルティを獲得し、新規顧客を惹きつけるような顧客体験を提供したいと考えていますが、そのための最良の方法は、詳細な顧客データに基づいた施策の決定です。ところが、マーケティング担当者にとっては、異なるテクノロジーや組織の分断化が原因でそもそもデータへのアクセスが難しいということがよくあります。

アドビのリアルタイムCDP(Customer Data Platform/カスタマーデータ プラットフォーム)は、マーケティング部門とIT部門の架け橋となり、企業がCRMからオンライン分析、オフラインPOSまで、さまざまなデータセットを横断してそこにビジネス上の「意味」を発見できるよう支援します。加えて、リアルタイムCDPに搭載された「Customer AI」を活用すれば、企業は過去およびリアルタイムのデータを分析し、顧客の行動の背後にある根本的な理由を深く掘り下げて理解できます。リアルタイムCDPのCustomer AIは、コンバージョンや解約の可能性など顧客の傾向を、その背後にある理由とともに理解し、予測するのに役立つ機能です。

例えば、アドビのリアルタイムCDPを活用している、あるメディア企業では、複数のシステムからデータを集約して詳細な顧客プロファイルを構築し、適切なコンテンツで視聴者をターゲティングしています。そこにCustomer AIを導入することで、同社は潜在的な視聴者により正確にリーチできるようになりました。具体的には、ROIの最大化のためにサブスクリプションへの傾向スコアが最上位のグループをターゲットに施策を実施したり、一方でスコアの低い顧客をターゲットにした特別オファーを実施して解約率低減を図るといったことがいつでも可能になっています。リアルタイムCDPとCustomer AIのユニークな統合により、AIの支援でインサイトが得られるだけでなく、その適用を迅速に進められるようになりました。

よりスマートな顧客体験の提供を支援する、アドビのIntelligent Servicesついての詳細は、こちらをご覧ください。

*本記事は、2020年10月12日にアドビのアリ ボーラが投稿したブログの抄訳版です。