Adobe Experience Platform | Update – データガバナンス関連機能と活用事例の紹介
Adobe Experience Platform によるデータガバナンスについて、3つのアプローチから内容の理解をすすめて行こうと思います。全3回の連載のうち、今回は第2回目「Adobe Experience Platformのデータガバナンス関連機能と活用事例」をお届けいたします。
- Adobe Experience Platformのデータガバナンスの機能
- 柔軟性の高いデータラベリング機能や検知機能の概要紹介
- Adobe Experience Platformのデータガバナンス関連機能と活用事例
- 3M様ユースケースの紹介(Adobe SUMMIT 2020 ブレイクアウトセッションより)
- Adobe Experience Platformのデータガバナンス機能を⽀えるセキュリティ体制
- 各種法令順守の状況
まず、データスチュワードについて考えましょう。
データスチュワードとは、「組織が保持するDATAを預かり、管理運用において責任を持つ人及び部署 (Steward)」のことを意味します。
具体的には、以下のようなことを行います。
- データガバナンスポリシーの定義をする
- ポリシーの実装/適⽤に対する交通整理
- ポリシー順守管理と改善案の模索
しかしながら、データスチュワード及び事業担当者には陥りやすい課題が多々存在します。
データスチュワードの側においては、以下のような課題を挙げることができます。
- データに適⽤される制約の増加
- 地域特有、契約特有等の多種多様なポリシーの増加
- データガバナンス要件を追加適⽤させるための拡張性/柔軟性の不⾜
一方、事業部側に属するビジネスオーナやマーケッターにおいては、以下のような点で課題が存在します。
- 順守規則ができているか不透明
- そのため、⾃信をもってデータを使えない
- データスチュワードとの共通⾔語がなく、コミュニケーションが上⼿くとれない
データガバナンスにおいては、コミュニケーションのシームレスな連携が絶対必要です。個々のポイントは容易な課題ではありますが、これが複合的になり且つコミュニケーションを恒常的に行うことは、非常に高度な技量が必要になります。
なによりも時間がかかります。
そしてストレスもたまります。
つまるところ、事業運営においてあらゆる負担が大きいのです。
この課題に対して、3Mが取り組んだ課題解決へのアプローチは、以下のポイントです。これを実現することで、複合的かつ恒常的に生じるコミュニケーションに一定のルールとプロセスを定義し、これを整理。仕組化の構築に着手しました。
- 社内ドキュメントと社内標準規格の整理
- ステークホルダーの整理
- どの組織を巻き込む必要があるのか?
- アドビがAdobe Experience Platformで標準で⽤意しているラベルでの対応可能範囲の確認
- ラベルの適⽤
- 事業部でのデータ活⽤のための施策利⽤ポリシーの整備
以上のポイントをもとに、⼯数計算ロジックを定義し、工数の削減を目論みます。
すべてをAdobe Experience Platformにより仕組化することを前提として設計し、現業への定着を実現しています。
以下の例では、GDPRリクエスト要請の遂行プロセスの整理を行い、これをAdobe Experience Platform上に仕組化したフロー図を掲載します。
3M様ではGDPR(*1)やCCPA(*2)だけではなく、その他のプライバシーデータ関連の法規制に関しても、データラベリングやポリシーのアップデートを⾏っていく予定です。この拡張性の高さも、Adobe Experience Platformの強みと言えます。
*1: GDPR (General Data Protection Regulation一 : 般データ保護規則)
*2: CCPA (California Consumer Privacy Act : カリフォルニア州 消費者プライバシー法)
3M様は、Adobe Experience Platformのデータガバナンス機能で得られたベネフィットを、以下のように整理されています。
- 各組織での正しいデータの利⽤が増える
- ビジネス要件に応じたデータラベリングの柔軟性が得られる
- アドビがデフォルトで⽤意しているラベルの活⽤による設定時間の削減ができる
- データスチュワードやデータプライバシースペシャリストが⼀か所で管理できる環境を提供できる
- 予期せぬデータ利⽤をした利⽤者にアラートを提⽰し、不適切なデータ利⽤を最⼩化できる
個人情報の取り扱いは、早期の対応検討が必要な領域です。
かつ、成功する取り組みとしては、ガバナンスの遂行だけではビジネスとして成立しません。顧客体験とプライバシー対応の両立という高い目標を目指さなければ、これは成立しないからです。
本記事においては、その実現を目指している企業の実際の取り組みとして、米国3M様の事例を交えて紹介させていただきました。
個人情報の取り扱いとともにビジネスの拡大をも両立させなければならない。
そのような課題をお持ちの場合は、是非ともAdobe Experience Platformを検討していただければと思います。
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「Adobe Experience Platform “Update” – データガバナンス関連機能の活用事例の紹介」
https://landing.adobe.com/content/dam/landing/uploads/2020/jp/dxcsm/2020-09_AEP_Data_Governance_usecase.pdf