ただのアセット管理で終わらない、あなたのDAMに必要な4つの機能

誰でも陥りがちなRFPの落とし穴。特に、デジタルアセット管理(DAM)の購入プロセスでは誰もが経験します。あなたは、ついこの間までデジタルトランスフォーメーションを進めようとベンダー探しにテンションを上げていましたが、その3週間と7通のメールの後には、ベンダーの技術チームを電話で2時間つかまえながら、キリル文字でキーワードを入力する際の詳細を理解しようとしています。

もし、あなた自身がこのプロセスを経験していれば、DAMの選定においてはRFPが必ずしも役に立たないことを理解できるでしょう。また、特定のユースケースをこまかい粒度で延々と掘り下げたくなる気持ちも分かりますが、それを実行したとしてもどのDAMが最もデジタルマーケティングの取り組みを変革するのに適しているのか正確に理解する近道にはなりません。

これはDAMを選定する際に頻繁に発生する罠で、多くの人々が(さらに不穏なことにDAMベンダーが)、デジタルアセット管理システムの最終ゴールが単純にアセットを管理することだと考えているためで、私はこれをずっと見て来ました。アセット管理がDAM導入のまちがったゴールとまでは言いませんが、2020年においては不完全な目標です。

それは疑問を投げかけます – 単純なアセット管理があっという間に時代遅れになりつつある中で、DAMが解決すべき正しい問題とは何なのか? 今日の顧客はデジタルに精通しており、あなたの会社のブランドと対話する際、高度にターゲットを絞った関連性の高いメッセージングを期待しています。このようなセグメントに特化したエクスペリエンスを提供するにはコンテンツが常に不足しており、あなたがあらゆるチャネルやデバイスにおいて、顧客の期待に応じたコンテンツを配信できなければ、このマーケティング施策は失敗に終わります。

あらゆる意味でのコンテンツウェアハウス

2020年において、DAMの役割は整理されたカードカタログに留まりません。チャネルに最適化されたエクスペリエンスを通じて、利用者であるクリエイティブユーザー、外部ユーザー、パートナー、さらには消費者に、直接コンテンツを配信するステージングエンジンである必要があります。

この点を説明するために、大半の方がよく知っていると思われる企業、Amazonの事例を見てみましょう。2017年だけでも、AmazonはAmazonプライムの配送サービスを通じて50億個以上の商品を配送しており、彼らの運用が成功したバックボーンはフルフィルメントな倉庫にあります。

Amazonは倉庫内の商品の取り込みと整理を合理化するために、数百万ドルを注ぎ込み、注文されたときに瞬時に商品の位置を特定できるようにしています。ここでちょっと想像してみてください。注文が行われて商品が配置された後に、Amazonがその商品の配送を他の誰かに完全に任せてしまったらと。配送のエクスペリエンスが、エンドユーザーからは一連のシームレスなものに見えて、その商品の輸送が潜在的に配送フローを中断する可能性があるのであれば、これをAmazonが管理しなければならないのはまちがいありません。

そのため、Amazonは商品を効率的に倉庫におさめることだけでなく、商品を倉庫から取り出して、目的地まで配送することについても、さらに効率的になる様に投資を行いました。DAMのコンテンツ戦略にも同じことが当てはまるはずです。

あまりにも多くのDAMベンダーが、素晴らしいアセット管理機能を約束することで顧客にアプローチしていて、コンテンツを必要な場所に届けるためにサードパーティ製の統合機能がいくつか求められることには問題を感じていません。このようなDAMに対する近視眼的な考えはRFPの落とし穴に陥るだけではなく、ボルトで無理やり固定したソリューション間に扱いづらい技術スタックが生まれ、当初、約束していたマーケティングの俊敏性を実際に提供するためには、さらにリソースとコストがかかることになります。

動的コンテンツエンジンとしてのDAM

物理的な対話の多くがデジタル化する時代にあって、DAMはコンテンツを整理するために適性化された金庫ではありません。関連性の高いパーソナライズされたエクスペリエンスを求める消費者の期待に応えるためには、DAMを動的なコンテンツエンジンとして再定義し、ステークホルダーに必要なコンテンツを提供することで、エクスペリエンスを促進する必要があります。ここでは、DAMがただアセットを管理するだけではなく、さらに価値を高めるであろう4つの重要な領域をご紹介します。

1. 自動化による、より良いDAMの実現

メタデータのタグ付けのような労働集約型のプロセスをスケーリングする際には、単一アセットの管理における課題を理解することが重要です。DAMは、人工知能(AI)を活用してコンテンツを認識し、関連するキーワードで自動的にタグ付けすることで、メタデータの手動入力にかかる数え切れないほどの時間を削減できなければなりません。理想的には、これらのアルゴリズムが、他の汎用なアルゴリズムでは見逃してしまうようなビジネスに特化したキーワードでコンテンツを認識し、タグ付けできるように訓練されるべきです。

さらにDAMにおけるAIはキーワード付けだけで留まるべきではありません。画像やビデオの自動トリミング、カラープロファイルベースのメタデータタグの自動化、視覚的な類似検索、そして動画アセットの自動キーワード付け機能など、DAMユーザーが活用すべきインテリジェンスを備えたサービスは他にもたくさんあります。DAMの世界にAI主導の自動化を効果的に導入することで、組織全体に最高クラスの検索エクスペリエンスを提供できるだけでなく、すべてのスクリーンやデバイスに見栄えの良いコンテンツを提供するために必要な、手動のアセット操作の多くを自動化することができます。

2. DAMはクールだけど誰でも利用できるわけではない

すべての組織には外部ユーザーやパートナーがおり、コンテンツへのアクセスは必要であるものの、セキュリティやユーザーエクスペリエンスもしくはその両方の理由によりDAMのコア機能へのアクセスは必要としない場合があります。分散している営業チーム、チャネルパートナー、制作会社のことを考えてみましょう。DAMはポータルサイトのようなエクスペリエンスを提供し、承認されたコンテンツのサブセットを公開する際にこれらの外部ユーザーが必要に応じてログインしてダウンロードできるようにする必要があります。このポータルは制作会社から新しいコンテンツを入手する場所としても機能し、ユーザーが新しく作成したアセットをアップロードして、DAMの管理者がレビューしたりインポートしたりすることができます。

3. DAM業務においてクリエイティブを手に入れる

DAMはあなたの社内クリエイティブチームが、彼らの選択したツールで直接、必要なコンテンツにアクセスできるようにする必要があります。例えば、それはAdobe PhotoshopIllustratorInDesignそしてXDなどです。クリエイティブ担当者がコンテンツを見つけるためにアプリケーションを切り替えている時間が多ければ多いほど、そのコンテンツを最適化して市場に送り出すために必要な時間が長くなります。結局のところ、どんなに整理されたリポジトリであったとしても、クリエイティブ担当者に必要とされるコンテンツを必要な場所で必要なだけ提供できないのであれば、それに価値がないことはすぐ明らかになるでしょう。クリエイティブな作業をさらに強化するには、これらCreative CloudのアプリケーションからAIとAPIを組み合わせた自動角度補正、自動シャープ、自動色調補正などの機能により、進行中のアセットの洗練作業を自動化できるDAMを選定すべきです。

4. アイデアの創出からエクスペリエンスの提供へ

最後に、DAMはCMSとシームレスに統合したり、ダイナミックURLを活用して、画面サイズ、帯域、そしてデバイスに合わせたコンテンツの最適化を行い、直接、コンテンツを消費者に手に届けることができなければなりません。フォレスター社の様なマーケティングリサーチ企業が「Content Atomization」と呼ぶ、エクスペリエンス配信するためにDAMを利用している顧客もいます。これは体験テンプレートをモジュール化し、セグメントに最適化された画像、ビデオ、コール トゥ アクションをAIを使って自動的に埋め込むことで、手動のオペレーションで実現できるパーソナライゼーションをはるかに超えた規模のパーソナライゼーションを実現することができるというものです。

これらのことを念頭に置いた上で、どの様にしたらDAMの導入においてRFPの落とし穴にはまることを避けられでしょうか? このマーケティング施策におけるゴールとして、魅力的でパーソナライズされたエクスペリエンスを大規模に展開するのに最適なDAMを選定することに焦点を当てれば、絡み合ったユースケースや要求事項にあなたの選定プロセスが乗っ取られるのを防ぐことができます。その上で、もしキリル文字でキーワードを追加することができるなら? それは、なお良いものになるでしょう。

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この記事は2020年7月13日に公開された Four Things Your DAM Should do Beyond Simply Managing Your Assets を抄訳したものです。