Adobe Digital Price Index：2023年2月のオンライン価格は1.4%下落、食料品の価格上昇率は鈍化が継続

Adobe Analyticsで分析した、米国における最新のAdobe Digital Price Index（DPI）を紹介します。

全体的な傾向

2023年2月のオンライン価格は、前年同月比1.4%減となり、前年比ベースの価格下落は6か月連続となりました。この下落傾向は、アドビがDPIで追跡しているカテゴリーの半数以上（18カテゴリー中10カテゴリー）に認められます。また、2月のオンライン価格は前月比で0.3%の下落となりました。

カテゴリー別分析

2023年2月は、DPIが追跡している18カテゴリーのうち10カテゴリーで前年同月比の価格が下落しており、なかでも花・関連ギフトが25%減と最も値下がりしました。一方で、パーソナルケア用品、事務用品、ペット用品、食料品、非処方箋薬、工具・ホームセンター用品、医療機器・用品、アパレルの8カテゴリーで前年同月比ベースの値上がりが観測されています。

注目の商品カテゴリー

食料品の価格は前年同月比11.4%増（前月比0.8%増）で、2022年9月（前年同月比14.3%増）にピークを記録して以来、10月（同14%増）、11月（同13.7%増）、12月（同13.5%増）、2023年1月（同12.6%増）と5か月連続で価格上昇が鈍化しています。消費者は食料品をオンラインで購入することが多くなっており、このカテゴリーの価格は一般的にCPIと連動して推移します。

家具・寝具の価格は2021年3月の前年同月比5.7%増をピークに33か月連続の上昇傾向を示したのち、この2月に前年同月比で0.1%減（前月比0.6%減）と初めて下落に転じました。1年前の2022年2月時点の価格は前年同月比4.7%増でした。パンデミック当時、家具で生活空間を快適にしたい多くの人々はしかたなくEコマースを選択していましたが、現在では、オンラインの家具購入に対する消費者の抵抗感が減ってきています。

エレクトロニクスの価格は前年同月比12.6%減（前月比1.7%減）で、1月（同11.9%減）から連続して価格が急落しています。前年同月比3.2%減だった1年前の2022年2月と比べると大幅に下落しています。サイバーウィークの大幅な値下げによって前年同月比ベースの価格下落が最大を記録した2022年11月（前年同月比13.4%減）と、続く12月（同12.0%減）のホリデーショッピング期間を過ぎた現在でも、一般消費財の中で最大級のこのカテゴリーでは急激な値下がりが続いています。

アパレルの価格は前年同月比5.1%増（前月比0.3%増）でした。2022年11月（同3.2%増）、12月（同0.9%増）、2023年1月（同5.1%増）と、ここ数か月このカテゴリーの価格上昇は鈍化しており、1年前の傾向（2021年11月：前年同月比17.3%増、12月：同16.6%増、2022年1月：同15.8%増、2022年2月：同16.7%増）と対照的です。

デジタルエコノミーに関するその他のインサイト

日常生活のより多くの部分がオンラインに移行しつつある現在、企業や政策立案者が消費者習慣の変化を理解するにはタイムリーなEコマースのインサイトが不可欠になってきています。アドビは、デジタルエコノミーの第一人者として、何兆件ものリアルタイムのオンライン取引を分析し、最も重要なトレンドを明らかにしています。その一環として、アドビは世界で最も正確な予報サービスであるIBMのThe Weather Companyとの提携で得られた気象データを活用した、新しい調査レポート（英語）を公開しました。これによると、雨、雪、風などの天候不順により、消費者が自宅にとどまることを余儀なくされることで、年間130億以上のEコマースが促進されることが明らかになりました。この金額は、サイバーマンデー期間中の米国の買い物客の消費額を上回るものです。

調査方法：DPIは、米国労働統計局が発表している消費者物価指数をモデルとしており、オンライン価格の追跡にはFisher Ideal Price Index（フィッシャー理想物価指数）を使用しています。

アドビは、Adobe Analyticsを使ったこの調査を実施するにあたり、AI／機械学習フレームワーク「Adobe Sensei」と手作業を組み合わせ、CPI Manual（消費者物価指数マニュアル）で定義されたカテゴリーに準拠して商品分類をおこなっています。

※本記事は、2023年3月8日に米国本社から発表されたメディアアラートの抄訳です。