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Adobe Commerceを駆使して、中東におけるデジタル小売業を変革するAlshaya Group

130年の歴史を誇るフランチャイズ大手が、オンライン顧客とブランドを結び付けた方法をご紹介します。

創業

1890年

クウェート市(クウェート)

www.alshaya.com

わずか1年で30のeコマースサイトをローンチ

導入製品:

Adobe Commerce

コンサルティングサービス

目標

コロナ禍でも顧客とのつながりを維持できるよう、eコマースを短期間で展開する

オンライン、モバイル、店舗でスムーズな顧客体験を提供する

Alshayaのブランドポートフォリオ全体で、真のオムニチャネルを実現する

結果

わずか12か月で、30のeコマースサイトと2つのモバイルアプリをローンチ

Alshayaのeコマースサイト全体で、オンラインコンバージョンが15%増加

オンライントランザクションが 前年比268%成長

中東の小売業のデジタルホーム

中東のショッピングモールは大規模ですが、それは面積だけでなく、集客数でも同じです。ドバイやリヤドから、クウェートに至るまで、中東では何百万人もの買い物客が、世界有数の小売スペースを日常的に訪れて、買い物や交流を楽しんでいます。多くの場合、それらのショッピングモールにブランドが勢揃いしている立役者がAlshaya Groupです。

Alshayaは世界屈指のブランドフランチャイズオペレーターの一角をなしており、人気の高い国際的なブランドを数多く提供しています。衣類分野では、American Eagle Outfitters、H&M、Debenhams、Victoria’s Secretなどのブランドを展開しているほか、化粧品・美容分野ではBath & Body Works、The Body Shop、Boots、M.A.C.も同社の傘下に含まれます。また、デザインやリビング用品分野のMujiやPottery Barnをはじめ、Starbucks、P.F.Chang’s、The Cheesecake Factoryといったブランドも同社が自社ビジョンに合わせて展開しています。

これらのブランドは中東各地の主要なショッピングスポットに進出しており、競争の激しい市場においても大きな成功を収めています。

しかし、人々の購買習慣は変化しており、同社はそれに応じて徐々にオンライン化を進めてきました。デジタルディスラプションが起き、ソーシャルメディアが台頭したことで、オンラインやモバイルでのショッピングを選択する買い物客が増えているからです。小売業者は今や、ショッピングモールという枠組みを超えて、デジタルサービスを強化する必要があるのです。

AlshayaのCTOを務めるMarc van der Heijden氏は、「ソーシャルメディアが中東で使われ始めたのは比較的遅かったのですが、ジェッダやリヤドなどの都市は、今やソーシャルメディアの利用度で世界トップ10にランクインしています。こうした利用度の高さと、昨年のコロナ禍により大半の小売り販売をオンラインに移行せざるを得なかった状況が相まって、消費者の時間とお金の使い方が大きく恒久的に変化しました」と語っています。

これらの要因が同社にとって変化の絶好のチャンスとなり、店舗でもオンラインでもシームレスに買い物ができる真のオムニチャネルモデルを構築するための計画が加速しました。

需要の急増に応じる

2017年に Adobe Commerce を使って始めた当初は、Alshayaの事業全体にとって小規模なオンライン販売でしたが、成長を続けてきました。その後すぐに、ブラックフライデーのような大規模なショッピングイベントが牽引役となって、トラフィックが増加することになります。オンライン販売が着実に成長したことで、同社はデジタル体験をテストして改良する機会を得られ、大規模な需要にも応じられるよう体制を整えることができました。

しかし2020年になると、Alshayaの見方は一変しました。同社は以前から、Adobe Consulting Services をパートナーとしてAdobe Commerceを実装し、成長を見据えて強力なデジタルチャネルを構築していました。しかしコロナ禍で状況が一転したことで、新しいサイトの展開計画を予定より早く進める必要が生じたのです。そこで同社は、Adobe Consulting Servicesとのパートナーシップを強化しました。

アドビはまず、AlshayaのビジネスチームおよびIT部門と協力して、戦略目標と運用目標のロードマップを作成しました。Alshayaは長年にわたりeコマースプラットフォームを構築してきましたが、ベースとなっていたのはAdobe Commerceの旧バージョンでした。オンラインプレゼンスの拡大を狙う規模とスピードを踏まえ、同社はアドビと連携することで、既存のサイトを最新バージョンにスムーズに移行できたのです。メンテナンスを削減し、注文殺到によるダウンタイムを防ぐため、移行時にアドビの技術者によってサイトコードが最適化されました。これにより、Alshayaはメンテナンスに費やしていたリソースを技術革新に割り振れるようになりました。

既存のサイトを移行したことで、同社は新しいブランドサイトのローンチに注力できるようになりました。さらに、アドビとの戦略的パートナーシップは今も続いています。両社は協力して、様々な業種にわたるカスタマージャーニーを定義し、Alshayaのブランド体験に対する顧客の期待値をコントロールしてきました。その上で、顧客の需要に応えられるよう両社が連携してサイトを構築し、迅速にローンチしてきました。

Van der Heijden氏によれば、「注文は飛躍的に増加しています。たとえば2020年3月には、前年比で1,700%も増えました。幸いなことに、新しいWebサイトを迅速にローンチするためのデジタルフレームワークがコロナ禍よりも前に構築されていたので、事態に迅速に対応することができました。また、当社のアプローチは、Adobe Commerceのグローバルリファレンスアーキテクチャに基づいていたので、新しいサイトをゼロから構築するのではなく、親サイトの構成とレイアウトを流用できました。ITの複雑さが解消されたため、新しいサイトのローンチがわずか数週間に短縮したのです」。

「幸いなことに、新しいWebサイトを迅速にローンチするためのデジタルフレームワークがコロナ禍よりも前に構築されていました。また、当社のアプローチは、Adobe Commerceのグローバルリファレンスアーキテクチャに基づいていたので、新しいサイトをゼロから構築するのではなく、親サイトの構成を流用できました。ITの複雑さが解消されたため、新しいサイトのローンチがわずか数週間に短縮したのです」。

Marc van der Heijden氏

Alshaya Groupチーフテクノロジオフィサー(CTO)

その結果、12か月の間に30の新しいブランドWebサイトをローンチし、さらに30を超える既存のサイトを新バージョンのプラットフォームに移行することができました。さらに同社は、顧客にマルチチャネル体験を提供できるよう、同期間に2つのブランドからのアプリもリリースしました。これらの取り組みの成果として、eコマースサイト全体ではオンラインコンバージョンが15%増加し、オンライントランザクションが前年比で268%増加しました。しかも成功はそれだけでなく、Adobe Consultingのサポートによりビジネスを中東全体に拡大し、その勢いを2021年も維持できたのです。

同社が拡大を維持できるよう、アドビでは、Adobe Commerce機能に関するトレーニングに投資することを推奨してきました。Adobe Digital Learning Servicesとの継続的なパートナーシップにより、ソリューションの専門家が監修したコースが提供されます。そこで開発者は、必要な基礎スキルセットを磨けるのです。開発者はスキルを向上させることで、3つの認定資格を取得できます。これにより、Alshayaのオンラインプレゼンスの変革に合わせてテクノロジーを拡張できる人材が整うことになります。

Van der Heijden氏は、「最近の出来事は誰にとっても辛いものですが、災い転じて福となった面もあります。Alshayaのリーダーシップチームは、これまで以上にデジタル価値提案に注力しており、社内の進化のスピードは目覚ましいものがあります」と語っています。

急変する状況に一致団結する

ショッピングのほぼすべてがオンラインに切り替わったときが、Alshayaのチームにとって正念場でした。新しいサイトのローンチでは、ビジネス全体のチームが連携してきました。各ブランド、同社の中心的なeコマース機能部門やIT部門が一丸となってイノベーションを推し進めることで、顧客ニーズに迅速に対応してきたのです。

同社のCTOであるVan der Heijden氏は、困難な環境の中でチームが団結し、足場を見つける能力に感銘を受けました。「迅速に作業を進め、新たな課題に取り組むという重圧の中に全員が置かれていました。劇的な出来事でしたが、私のキャリアの中でも指折りの面白い時期でもありました」と語っています。

Van der Heijden氏は、転機が人材の能力を最大限に引き出すことに気づきました。窮地に追い込まれたチームには、縦割り主義やチーム内での責任のなすりつけ合いに時間を浪費する余裕などなく、全員が共通の目標に向けてただ一致団結したのです。

「目の前の仕事を遂行することが、当社全員の目標でした。チームとして協働することで、検討に時間をかけすぎることなく、的確に判断できることがわかりました。失敗もありましたが、目標を確実に達成するという信念のもと、離れた場所にいてもチームメンバー全員がつながり、学び、その場その場で対応することができました」とVan der Heijden氏は述べています。

「必要なのは、簡単でスムーズな体験を提供することです。そこでは、顧客がどのチャネルを利用していようと、顧客がその瞬間に望むものが反映されているべきです」。

Marc van der Heijden氏

Alshaya Groupチーフテクノロジオフィサー(CTO)

将来を見据えた展開

オムニチャネルの目標を達成できるよう、同社はアドビと連携してeコマースプラットフォームを強化し、Microsoft Azureでデータ能力を継続的に向上させています。

Van der Heijden氏は、「当社はAdobe Commerceでより多くのブランドWebサイトをローンチしており、アプリの数も増やせています。常にデータを活用することで、店舗での価値提案と歩調を合わせてデジタルプロパティを展開できています」と語っています。また同氏によれば、「すべては顧客から始まります。必要なのは、簡単でスムーズな体験を提供することです。そこでは、顧客がどのチャネルを利用していようと、顧客がその瞬間に望むものが反映されているべきです」。

Alshayaの今後の展開について、同氏は明確なビジョンを持っています。「当社では、真に顧客中心であることに重点を置いており、常に顧客をあらゆる活動の中心に据えています。Alshayaは、店舗を通じて、そして今では成長を続けるウェブとモバイルという両面を通じて、これまで以上に顧客との距離を縮められる、より有利な立場にあります。当社がイノベーションを進め、迅速に進化するうえで、アドビとの連携は不可欠な要素です」と述べています。

適切なテクノロジーを導入したAlshayaは、店舗とオンラインで今後もリードを保つことができます。小売業界における顧客の購買習慣は絶えず変化していますが、Van der Heijden氏は、同社がリードを維持できると確信しています。

Van der Heijden氏によれば、「Alshayaは地域を代表する小売業者の一社です。オムニチャネル小売業への移行という点で、当社の規模は、多くの点で業界をリードしています。当社の前には素晴らしいチャンスが広がっています。これまでの勢いをさらに加速させていきたいと思います」。