200サイトにわたる顧客行動を可視化したベネッセレポーティングを効率化し送客数拡大も実現

株式会社ベネッセコーポレーション

創業

1955年

所在地:岡山
www.benesse.co.jp

デジタルアセットの有効活用

サイト設計の最適化で、送客数が2倍以上に増大

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課題

Webサイトからの資料請求や入会を増やすため、サイト内の訪問者動線を把握する必要があった

ベネッセのサイトは複数ドメインにわかれていたため、クロスドメインでの分析が必須だった

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成果

クロスドメイン分析によってサイト設計の最適化が可能になり、商品/サービスサイトへの送客数が増大した

グループ全サイトを活用したセグメント分析やコホート分析で、コンバージョン数の向上につながる新たな知見が獲得できた

レポーティングの作業負担が軽減し、データ分析の文化が社内に根付き始めている


「ベネッセブランドサイトから学習塾サイトへの送客数は、以前の2倍以上に増加しています」

 

マーケティング・営業本部 デジタルプロモーション課 ディレクター 清水 耕太郎氏 


Webからのコンバージョン倍増に向けて、サイト分析環境を改革

ラテン語の「bene(良い、正しい)」と「esse(生きる)」を組み合わせた造語を社名に冠し、人々が充実した人生を送るための様々なサービスを提供しているベネッセグループ。同グループは主に「教育」「生活」「シニア/介護」「語学/グローバル人材教育」の4分野で事業を展開しています。

 

教育分野では「こどもちゃれんじ」や「進研ゼミ」といった通信教育講座のほか、学習塾などを運営。生活分野では「たまごクラブ」「ひよこクラブ」といった情報提供サービスを行っています。また、シニア/介護分野では高齢者向けホームの運営や介護人材の派遣、語学/グローバル人材教育分野では、「ベルリッツ」といった語学スクール、学生向けの留学支援事業などを展開しています。 

 

同グループの多くのサービスは、対象年齢や必要とする期間を終えると、会員が退会していくという特長があります。したがって、常に新たな会員を獲得し続けることが事業の命題となります。 

 

「長年サービスを運営していますが、その時代ごとに会員獲得の方法は変わってきています。従来は、ダイレクトメールや電話が中心でしたが、最近では、Webサイトが重要なチャネルとなっています。例えば、ベネッセ全サイトへのアクセス数は年間で数十億という規模に達しており、グループのさらなる成長には、Webサイトからの資料請求や入会申し込みをいかに増やすかが大きなテーマとなっています」と、ベネッセコーポレーションの清水耕太郎氏は語ります。 

 

そのために、同グループは、以前からWebサイトを訪れたユーザーが、資料請求や入会申し込みにいたるまでにどのように行動し、どこで離脱しているかなど、顧客行動を把握するためのアクセス解析ツールを導入していました。しかし、いくつかの課題を抱えていました。

 

まず、解析結果をまとめたレポート資料の作成に大きな手間がかかり、多大な人的/時間的コストがかかっていたことが挙げられます。

 

「当グループは、その幅広い事業分野ゆえに、全事業を合わせると運営するサイト数は200サイト以上と膨大になります。それまで利用していた解析ツールは、サイト単位でしか解析を行えないため、週次のレポーティング業務では、200以上のサイトで個別にアクセス解析し、逐一資料にまとめる作業が必要でした。この作業はそれぞれのサイト管理者が個別に行っていたのですが、グループ全体で見ると、膨大な時間とコストがレポーティング業務に費やされていたのです」とベネッセコーポレーションの早野亮輔氏は振り返ります。

 

また、ツールの解析機能に限界があり、きめ細かいセグメント分析が行えないことも課題となっていました。

 

「解析を進めると、より詳細な情報を知りたくなります。例えば、あるユーザーが資料請求や会員登録にいたるまでに、いつ、何度サイトを訪問していたのか、送付されたダイレクトメールを見てアクセスしてきたユーザーなのか、純粋な情報収集のために検索サイトなどから訪問してきたユーザーなのかといったことを切り分けたいというニーズもあったのですが、対応しきれませんでした」(清水氏)

最適な顧客アプローチを実現するセグメント機能を評価

この課題を解消するためにベネッセグループが導入したのが、「Adobe Marketing Cloud」の「Adobe Analytics」です。

 

Adobe Analyticsは、複数のマーケティングチャネルに対し、リアルタイムかつ詳細な分析が行えるデジタルマーケティングソリューションです。各チャネルにおける顧客行動をきめ細かく把握/分析することができ、ビジネス目標の実現に大きな貢献を果たします。 

 

第一に、AdobeAnalyticsはクロスドメインの動きを追う際に非常に有用で、グループの全サイトを横断して、一元的に解析を行うことができます。これによって、これまでサイト単位の行動でしかユーザーニーズを把握できませんでしたが、複数サイト間にわたる行動を分析することで、より立体的にニーズを可視化できるようになりました。 

 

「当グループ内のサイト間なら、どのページから流入してきたのかも把握することが可能になります。これまでは、同じユーザーでも、サイトが違えば別のユーザーとして管理されていましたが、当グループが運営するサイト内であれば、同じユーザーとして認識し、その動線を把握することができます」と、清水氏は説明します。 

 

前述のとおり、ベネッセグループのサイトは200以上あり、それらの多くでドメインが異なっていること、また、各サイトにCookie引き回し処理を入れても、各サイト担当者が異動になったタイミングで、その処理が損なわれてしまうなどのヒューマンエラーも多く、「ファーストパーティ Cookie」でクロスドメインの動きを追うことは非常に困難でした。「ファーストパーティ Cookie」と「サードパーティ Cookie」を組み合わせて使えるAdobe Analyticsは、そんなベネッセの状況に最も適した解決策だったといえます。 

 

第二に、Adobe Analyticsであれば、詳細なセグメントを柔軟に設定し、クロス集計が行える点を評価しました。 

 

ベネッセグループはこれまで、ダイレクトメールのリストをきめ細かくセグメント化することで、お客様への最適なアプローチを実現してきました。「例えば、教育事業でいえば、学区や学校によって三者面談の時期が異なります。どの学区/学校が、いつ面談を行うかというきめ細かいセグメントを行うことで、面談直後で学習意欲が高まっているグループに対し、最適なタイミングでダイレクトメールなどを送付できるのです。Webサイトにおいても、訪問者のアンケート結果や、過去のアクセス履歴などを基に細かくセグメントし、各セグメントの行動を分析することで、最適なコンテンツ提供などに生かそうと考えたのです」(早野氏)。

分析結果を基にサイト設計を最適化、送客数を最大2倍に

現在、ベネッセグループは、グループの全WebサイトにAdobe Analyticsを展開し、200を超えるサイトで利用しています。その分析データは、当初のWebサイトで収集されていたアクセス履歴のみならず、Web広告やモバイルアプリからのデータにまで拡大しています。これらから集められたデータをAdobe Analyticsで収集/分析。さらに「Ad Hoc Analysis」によって、多重クロス分析やドリルダウン分析、時系列分析なども手軽に行えるようになっています。 

 

「月間数千万規模のトラフィックが発生しても、まったく遅延なく動作し、ダウンすることもありません。膨大な量のログ分析も一瞬で終わるので、苦労なく、詳細な分析を行えています」と清水氏はいいます。

 

これに加え、Adobe Analyticsのログデータをクラウド上につくったデータベース(データウェアハウス)に連携し、処理を施すことで、Microsoft ExcelやPowerBIから簡単に分析結果を見られる仕組みを現在構築中。スマートフォンやタブレットからもアクセスでき、多くの社員にとって、データ分析が非常に身近な存在になる見通しです。 また、ベネッセブランドサイトや進研ゼミプラス小学講座、中学講座、高校講座、こどもちゃれんじなどの商品サイトでは、「Adobe Target」も活用しており、A/Bテストに基づくサイトの最適化が進められています。 

 

以下、Adobe Marketing Cloudの導入によって、ベネッセグループが得ている成果を詳しく紹介していきます。

 

グループ全体で200を超えるサイトのデータのほか、Web広告やモバイルアプリからの動線も、一元的に分析可能にしている

レポーティングの負担を軽減

 

AdobeAnalyticsの導入によって、レポーティングのコストと作業負荷が大幅に軽減しています。 先に述べたように、200を超えるサイトごとにレポートを作成することも大きな負担でしたが、以前のレポーティング体制では、ベンダーやコンサル企業を通じてサイトごとに個別にBIツールを導入し、分析結果を基にExcelで分析グラフなどを作成。さらにそれをPowerPointに貼り付けて報告用資料にまとめるという作業自体も負担を増大させていました。

 

「しかしAdobe Analyticsを導入したことで、こうしたコストや作業負荷は不要となりました。お話ししたように、個々のサイト担当が逐一、集計/分析/レポーティングを行うしかなかった環境から、クラウド上にデータウェアハウスを構築し、そこでつくったレポートを誰でも使えるBI(Microsoft Excelや PowerBI)に連携させることで、誰でもいつでも簡単に分析結果を得られる環境を実現。上長への報告も、このシステム上で行うことで、これまでレポーティングにかかっていた手間をなくしたいのです」と清水氏は話します(図)。 

 

ベネッセグループでのAdobe Analytics導入は、清水氏が所属するデジタルプロモーション課が中心となりボトムアップで進められましたが、こうした分析の仕組みをつくり上げることで、作業にかかる人件費を抑制でき、200%以上の投資対効果があると試算。そのコスト効果を上層部にアピールすることで、稟議を通したといいます。

 

サイトをクロスした動きが見えてきた

 

複数サイトをまたいだ行動履歴を把握できるAdobe Analyticsによって、クロスドメインでの分析が進み、グループ全体のサイト設計の最適化も可能になっています。

 

「ベネッセグループのWebサイトでは、サイト間の“クロスの動き”が非常に多いことが、Adobe Analyticsを導入して初めてわかりました。例えば進研ゼミのサイトにアクセスした人が、そのまま学習塾のサイトにアクセスするケースや、複数の学習塾サイトを行き来するケースもあるわけです。このような訪問者は、通信教育がいいのか学習塾に行くべきか、学習塾に行くならどの塾に行くべきか、迷っていると考えられます。ここで何も手を打たなければ、他社のサービスに流れてしまう可能性もあります。Adobe Analyticsでこのような顧客行動を明確化することで、訪問履歴に応じた提案を考えられるようになったことは大きな成果です」と清水氏はいいます。

 

すでに、この分析結果を基にした提案活動も始まっています。例えば「進研ゼミ高校講座」のサイトを訪問した履歴を持つ訪問者には、ベネッセグループが運営する学習塾をページ内で紹介するクロスセルを強化。「ドメインをまたいだ分析により、効果的なクロスセルを行えるようになる兆しが見えました。このトライアルでは、ベネッセブランドサイトから学習塾への送客数が2倍以上になりました」(清水氏)。

 

また、ベネッセブランドサイトから、商品/サービスサイトへ移動するユーザーが多いこともわかってきたといいます。「これは『ベネッセ』というワードで検索してベネッセブランドサイトに流入し、そこから必要な商品/サービスを探す人が少なくないことを示しています」と早野氏は語ります。

 

セグメント分析で新たな知見を獲得

 

訪問者の属性に基づくきめ細かいセグメント分析を行うことで、どのような訪問者が資料請求や入会にいたるのか、コンバージョンの傾向も把握できるようになりました。 

 

「例えば、サイトの訪問回数と、閲覧ページ数でセグメントし、クロス集計したところ、どのようなユーザーが有望な潜在顧客であるかもわかるようになっています」と早野氏は説明します。具体的には、初回訪問ですぐにコンバージョンにいたるユーザーは、ダイレクトメールなどを受け取り、資料請求や入会を前提にサイトを訪れたユーザーが多いとわかりました。一方、初回訪問時はコンバージョンにいたらずに2回目の訪問をしたユーザーは、2回目の訪問後すぐにコンバージョンにいたるユーザーと、様々なページを回遊するユーザーの2つに大別できることがわかったといいます。 

 

「2回目の訪問で、すぐにコンバージョンにいたるユーザーは、初回訪問時に必要な情報を集め、資料請求や入会を決めてくれたと考えられます。一方、多くのページを閲覧するユーザーは、ベネッセの商品やサービスに興味を持っているものの、まだ悩んでいる段階という、極めて有望な潜在顧客層だといえます。このような訪問者を見つけ出し、適切なアプローチを行うことで、コンバージョン率を高めることが可能になるのです」(早野氏) 

 

こうした推測は、「初回訪問か、2回目以降の訪問か」だけに着目した分析ではできません。閲覧ページ数などでもセグメントを切り、クロス集計を行えるAdobeAnalyticsだからこそ、導き出せた推測だといえます。

 

時系列のコホート分析も可能

 

Adobe Analyticsでは、訪問者の行動を時系列で分析することも可能になっています。これによって、入会を促すのに最適なタイミングに関し、新たな知見を得ることができます。 「進研ゼミなどの教育サービスでいえば、入会手続きは3月、実際の入会は4月というケースが圧倒的に多くなっています。これは、新学期のスタートに合わせて送付するダイレクトメールの効果が大きいからです。しかし、実際にWebサイトから入会した人の訪問履歴を時系列で見ると、9月や11月の時点ですでにサイトを訪問し、情報収集していたケースが一定数あることがわかりました。これは、夏休み明けのテストや、2学期の中間テストの結果が思わしくなく、通信教育の受講や入塾を検討するケースがあることを示しています。こうしたユーザー層をいち早く見つけ、早期にアプローチしていけば、ビジネスに対するWebサイトの貢献度はさらに大きくなっていくはずです」(清水氏)。

 

根付き始めたデータ分析の文化

 

ExcelやWebブラウザから利用できる分析環境を構築したことで、グループの社員にデータ分析の文化が根付き始めていることも大きな効果です。「Adobe Analytics導入前は、各サイトの管理者が独自に分析を行い、動向を把握するにとどまっていました。しかし、専門的な知識やノウハウがなくても、容易に分析結果を得られる環境をつくったことで、サイトのデータに興味を持つ社員が増えていると感じます」と早野氏は述べます。 

 

さらに、営業活動や顧客への提案に生かすため、より深い分析をしたいと考える社員も増えているといいます。このようなユーザーにはAdobe Analyticsのアカウントを提供し、詳細なドリルダウン分析が行える「Ad HocAnalysis」の利用を可能にしています。こうしたデータ分析の文化がさらに広がれば、データに基づいた、より適切なビジネス判断が下しやすくなると期待されています。

 

Adobe TargetによるA/Bテストも実施

 

ベネッセグループでは今後、Webサイト訪問者の行動履歴をCRM基盤に蓄積し、オムニチャネルによる“個客対応”を推進していく計画です。これによってWebサイトを、リードナーチャリングの柱へと成長させていくことを目指しています。 

 

「Adobe Marketing Cloudによって、当グループのマーケティングチャネルは大きく広がろうとしています。今後も、Adobe Marketing Cloud、Adobe Analytics、Adobe Targetによって、よりよく人生を生きるための様々なサービスを、お客様に届けていきたいと考えています」と清水氏は今後の展望を語りました。


清水 耕太郎氏

マーケティング・営業本部デジタルプロモーション課ディレクター 

清水 耕太郎氏

早野 亮輔氏

マーケティング・営業本部デジタルプロモーション課

早野 亮輔氏

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