小売業の未来を見据えて、パーソナライズされた体験を創出。

データの構造化によりイノベーションを推進

Griffin氏がコンシューマーテクノロジー部門を引き継いだとき、パーソナライゼーションによりコンバージョン率と収益を向上できる可能性があることに気づきましたが、チームにはより強力なテクノロジーが必要であることも明らかでした。

同氏によれば、「当時のパーソナライゼーションツールでは、自社が集めた消費者データが連携して活かされていませんでした。つまるところ、データサイロを構築していたのです。より一貫性のある総合的なパーソナライゼーションのアプローチを確立するには、データの入力と出力のどちらも統合ツールで実現する一元的なデータリポジトリが不可欠でした」。

Real-Time CDPは、データの一元化だけでなく、セグメント化サービスや顧客AIといった、豊富なデータ分析機能も提供します。そのポテンシャルにすぐに気づいたJordan氏によれば、

「私の好きな格言の一つは、『創造性は無秩序の中では育たない』です。Real-Time CDPで気に入っているのは、データエクスペリエンスモデルがルールと戦略を提示してくれる点です。混乱を避けながら、非常にクリエイティブなデータレイヤーを作成できるからです」。

Real-Time CDPでデータを整理する別の利点は、様々な地域のデータを並べて比較できることです。これは、チームが戦略をグローバル化できるよう後押ししてきました。データの規制と用途は地域によって異なりますが、すべてのデータを責任を持って管理するうえでも、Real-Time CDPが役立っています。その先はAdobe Targetが活躍します。同社のチームは、Adobe Targetによりインサイトを活かし、テストと最適化を実施することで、メッセージとオファーを磨き上げています。

Jordan氏によれば、「Adobe Targetは、決定できる内容や速度が非常に優れており、これまで見た中で最もスマートなパーソナライゼーションエンジンです。これは本当に素晴らしいテストツールです。パーソナライゼーションの本質とは、実証済みテストにより消費者をより深く理解することだからです」。

Griffin氏にとって、Real-Time CDPとAdobe Targetへの投資は、問題解決にフルスタックアプローチを採用し、イノベーションを推進する企業と緊密に連携するという、より大きな戦略の一部でもありました。コロナ禍で起きた需要の急増を、HanesBrandsがAdobe Commerceにより乗り切れた経緯や、Experience Manager Sitesによりページの読み込み時間を短縮できた経験から、同氏はアドビ製品をさらに活用したいと考えていました。

同氏によれば、「当社がアドビ製品を採用したのは、そのビジョンの幅広さと、共通の基盤データモデルおよびデータソースを基に複数のツールが連携する点が理由です。消費者データモデルに対するアドビのアプローチは強力であり、今後何年にもわたって成長の余地を与えてくれます」。

カゴ落ち問題を克服

Jordan氏がReal-Time CDPとAdobe Targetで最初に実施したテストは、リターゲティングするオーディエンスを絞り込むことでした。カゴ落ちした顧客に対して、同社ではすでにトリガーメールを送信していましたが、Jordan 氏としては、どのタイプの顧客が最も高い利益を見込めるかテストしたいと考えていました。

そこで、顧客のショッピング行動に基づき、見込みが中～高程度のセグメントを絞り込み、それらのセグメントにパーソナライズされたメールを送信したのです。ここで得られたインサイトに基づいてキャンペーンを調整したところ、ブラウズシリーズのメールキャンペーンでは収益を57%も増加させることに成功しました。

Jordan氏は、「アドビ製品のおかげで、セグメントをより深く理解して、ターゲットを絞り込むなど、今あるデータをより有効活用できるようになりました」と語っています。

それ以来、チームはこれらのインサイトを、オーストラリアのブランドのパーソナライゼーションに活用してきました。あるシナリオではリターゲティングメールを使い、最近閲覧した商品を厳選して少数表示する、カスタマイズされたランディングページに顧客を誘導しました。

Jordan氏によれば、「Adobe Targetなら、意図したサイトの変更を正確に保ちながら、シームレスな体験を提供できます。これは素晴らしいことです。雰囲気やレイアウトを変えることなく、完璧にブランド化された体験と、消費者ごとに厳選された商品セレクションを提示できるのです」。

またアドビのソリューションは、カゴ落ち顧客に向けたメールをカスタマイズできるよう、オーストラリアのブランドでも活躍しています。

Jordan氏は、「本来であれば無縁のギャップを埋めることができました。アドビ製品により、本当なら悩まなくてすむ問題を見つけ出し、仕事全体を大幅に楽にするソリューションを生み出せました」と語っています。

アイデアを生み出す環境の構築

HanesBrandsでは、カゴ落ち顧客向けのメールキャンペーンにより総収益が増加し、オーディエンスリーチが週あたり1,000人に拡大しました。この数は今後も増え続ける見込みです。さらに収益への効果も同様に顕著で、57%も増加したのです。

Jordan氏によれば、「当社の商品ラインナップは膨大ですが、それらを整理すればエンゲージメントが大幅に高まることが分かりました。消費者に自社の製品を押し付けるのは、よくあるパターンですが、それが必ずしも正解だとは限りません。正解は、消費者に 適した 製品を提示することであり、それこそがパーソナライゼーションの目的なのです」。

HanesBrandsの次のステップは、Real-Time CDPとAdobe Targetのユースケースを拡大することです。同社のAustralasia Bondsブランドでは、Adobe Commerceから得られた行動データを活用して購買体験をパーソナライズすることで、売上が41%向上しました。さらにHanesBrandsは、Edge Delivery Servicesのパイロット運用にも参加しました。これは、Adobe Experience Manager Sitesの新しい機能セットであり、革新的なエッジアーキテクチャを採用している点が特徴です。この新機能により、Maidenformブランドのサイトが大幅にスピードアップし、顧客取引が高速化しました。現在、同社ではEdge Servicesを各ブランドのWebサイト全体に拡張しており、ページ読み込み時間の大幅な短縮に成功しています。

Griffin氏はまた、小売業にとって先行きの見えない将来に備える最善の方法の一つは、新たなアイデアを生み出すイノベーションの文化を築くことだと考えています。HanesBrandsは、Jordan氏のような若い従業員にも権限を与え、意思決定に参加させることで定評があります。

同氏によれば、「自身もターゲット層に含まれる私は、有利な立場にいると思います。『この体験は本当に楽しめたので、今度はそれを再現したい』と言えるからです。アイデアを否定された経験はありません。いつも、『よし、やってみよう』となるからです。他のアイデアとの兼ね合いで優先順位をつけることもありますが、常にイノベーションが重視されます」。

Griffin氏にとって、テクノロジーとは人材を維持・獲得するための重要な要素です。テクノロジーによって、人材だけでなく消費者にとっても、より効果的で楽しい体験が生まれるからです。

同氏は、「HanesBrandsはeコマース業界で働く人にとって刺激的な職場ですが、その大きな理由がアドビスタックです。素晴らしい成果を達成できるうえに、革新的なプラットフォームを操作できるからです。これは大きなチャンスです」と述べています。

詳しくは、HanesBrandsとアドビが世界最速クラスのeコマースサイトを構築した方法でご紹介しています。

データ管理とパーソナライゼーションの取り組みでHanesBrandsが活用している、Adobe Real-Time CDPやAdobe Targetといった強力なツールについてもご覧ください。