デジタルで躍進
Nedbank、南アフリカの大手銀行は優れた顧客体験の提供により、一層の輝きを見せる
チャネルをまたいだビジネスを連結
目標
顧客接点をまたいで顧客の行動に関するインサイトを構築したい
フォームやサイトでの操作を簡素化して、銀行取引における顧客の目的達成を支援したい
商品マーケティングやチャネルマーケティングなどに関して、自社のグループ間で連携し、一貫性のあるブランド体験を構築したい
成果
一元化されたマーケティングオファーによる一貫性の実現
チャネルをまたいだビジネスを連結
フォームを簡素化し、入力完了率が向上
モバイルサイトとwebサイトの体験を改善
唯一のナショナルブランド
南アフリカ国内で、人々が話す公用語は11種類にも及び、同国の指導者は地域社会をひとつにまとめる方法を模索しています。また、同国の銀行は、その多くが合併や買収を経て設立された経緯から、様々な部門が別々に顧客にサービスを提供しているという現状にあります。そのため、それらの銀行では、独自ブランドの確立に注力しています。
Nedbankは、市場のリーダーとして、また顧客体験のイノベーターとして頭角を現しています。同行のデジタル体験管理担当プログラムディレクターであるLizelle Vaughan氏は、「私たちは南アフリカで4番目に大きな銀行ですが、規模よりも、最も信頼される銀行になることのほうに関心があります。この目標を達成するには、データという共通言語を利用して、顧客のニーズに焦点を当て、より優れたビジネスの方法を見つける必要があります」
同行の主な成長要因となっているのは、優れたオンラインバンキングサービスです。モバイルデバイスの迅速な普及に伴って、同行は業界をリードする存在へと急成長しており、顧客の27%はモバイルやタブレットでサイトにアクセスしています。同行のモバイルサイトでは、取引情報や商品ページ、取引用フォームに簡単にアクセスできます。しかし、実のところ、従来のオンラインバンキングからモバイル対応への移行は必ずしも容易ではありませんでした。
「オンラインIDの構築は難しい課題です。これに様々なスクリーンサイズ、オペレーティングシステム、インターフェイスが加わることで、顧客体験の構築方法や提供方法は驚くほど複雑になります」と同氏は述べています。取り組みを大きく前進させるためには、体験、ブランド、操作における一貫性が不可欠でした。
同時に、同行では、様々な部門(リテール、保険、資産管理、投資など)が独立して業務をおこなっていました。デジタルチームは、ブランドを統合するために、それぞれの部門が提供する体験やフォームの構築方法を一元化したいと考えていました。また、顧客と各部門のやり取りを包括的に把握することにより、商品やサービスのクロスセルの機会を創出するという大きな展望もありました。
「Adobe Marketing Cloudは、戦略や新しい体験を提供するための基盤となるものです。顧客体験の設計や顧客との対話方法、注力すべき分野など、様々な要素がこの製品によって形作られています」
Lizelle Vaughan氏 Nedbank、体験管理プログラムディレクター
様々なサービスのハブに
現在、Adobe Experience ManagerとAdobe Analyticsは、Nedbankのデジタルに関する取り組みの中核を成しています。「当行のビジネスとデジタルプレゼンスが成熟するにつれ、競争力を維持するためにアドビ製品の利用を拡大してきました」とVaughan氏は述べています。
同行が踏み出した最初のステップは、Adobe Analyticsを採用して、顧客がどのような機能やチャネルを利用しているか、また顧客が好むコンテンツ、使用するフォームを包括的に把握することでした。また、顧客が最もよく使用するオペレーティングシステムやデバイスにおける視認性も、デジタルマーケティングおよび開発戦略に組み込まれました。その結果、同行は勘に頼った意思決定ではなく、データにもとづいた意思決定をおこない、現実的で測定可能な効果を上げられるようになりました。
「アドビの製品は、戦略や新しい体験を提供するための基盤となるものです。顧客体験の設計や顧客との対話方法、注力すべき分野など、様々な要素がこの製品によって形作られています」と同氏は述べています。
同行は、Adobe Analyticsを活用することにより、オーディエンスの好みをより詳細に把握して、デジタル体験の課題を克服しています。たとえば、クレジットカードページでは、ページへのアクセス数に比べてクリック数や申し込みフォームへの入力完了数が少ないことが明らかになっていました。このデータが示していたのは、クレジットカードが顧客の関心度によってではなく、アルファベット順に表示されているという事実でした。マーケターは、より人気のある商品や、個人のプロファイルにもとづいて最も関心を示す可能性の高い商品をリストの上部に移動することにより、この問題に対処しました。その結果、申し込みフォームの入力完了数が大幅に増加しました。
早い段階で成果を上げたことで、銀行全体でデジタルマーケターへの注目度が増し、アドビ製品をさらに活用しようという機運が高まりました。新しいデジタルマーケティング手法に賛同する部門がさらに増え、同行では、Adobe Experience Manager(Adobe Experience Manager Forms、Adobe Experience Manager Sites、Adobe Experience Manager Assetsを含む)を追加することで、ビジネスをさらに変革し、様々なチームを統合することができました。
統一性を高める
Nedbankが注目を集め、市場でトップに立つには、あらゆる顧客接点において一貫性のあるメッセージと体験を提供する必要があり、そのために、Adobe Experience Managerを活用しています。そのコンテンツ管理能力を活かして、あらゆる事業部門が標準化されたブランドアセットや画像、テンプレート、フォームなどを利用できるようにして、魅力的なオンライン体験およびモバイル体験を実現しています。
「Nedbankが提供する様々なデジタルサービスを利用している顧客は、それぞれのサービスで同じロゴを目にしていても、まるで別々の組織が運用しているサービスであるかのように感じていたことでしょう。しかし現在は、顧客が当行についてより深く理解できるようになってきています。また、複数のタイプの口座を開設している顧客がそれぞれのサービスでより一貫性のある体験が得られるように、部門をまたいでサービスの統一を進めています」とVaughan氏は述べています。
同行のアプリケーションは場当たり的に作成されていたので、行員や顧客にとっては、特定の手続きをおこなうために必要な文書がまるで迷路の中に散在しているかのようでした。申し込みフォームは、重複するものも含めると、一時期は224種類を超えていたほどです。
そこで、まずAdobe Analyticsを使用して、フォームの総数の96%を占める20種類のフォームを特定しました。また、それらのフォームのどの部分で顧客が入力を放棄したのかというデータも獲得しました。これらのインサイトとAdobe Experience Manager Formsに含まれるテンプレートを活用することにより、同行はフォームのフィールドを劇的に効率化し、管理していたフォームテンプレートの数を38個にまで削減して、自動入力フィールドなどのより優れた機能を追加することができました。現在は、顧客の行動を促進する様々な手段を利用して、ランディングページの機能ブロックをその場で調整して、特定のキャンペーンを効果的にサポートできるようになっています。
「Adobe Experience Manager Formsは、顧客とのやり取りをシンプルにするための重要な役割を担いました。7段階あったプロセスが4段階になり、各フォームを詳細に管理できるようになりました。さらに、入力済みのフォームをPDFに出力して顧客にコピーを提供することによって正確さを確保し、より直接的なサービスの実現に役立てています」と同氏は述べています。また、新しいモバイルフレンドリーなフォームにより、顧客が最も利用するデバイスで取引をおこなうことができるようになったことを、同氏は付け加えています。全体的な結果は驚くべきもので、フォームの入力完了率が33%から80%に向上しました。
「アドビの製品により、マーケティングのベストプラクティス、データ、顧客中心の体験を支える強固なデジタル基盤を構築できました。これにより、南アフリカでトップの銀行を目指すことができます」
Lizelle Vaughan氏 Nedbank、体験管理プログラムディレクター
顧客体験の統合
Nedbankは今後、さらにパーソナライズされた取引体験を提供していく予定です。Adobe Analyticsの利用を拡大することで、オーディエンスが何を求めているのか、商談がどのように部門から部門へ流れるのかについて、より詳細なインサイトを獲得できます。たとえば、普通預金口座を開設した顧客に、Adobe TargetとAdobe Experience Managerを使用して、投資サービスを提供するパーソナライズされたコンテンツを展開することも可能です。
「それぞれの部門に分散していたビジネスを、Nedbankというひとつの旗の下に集結させるまで、長い変革の道のりを経てきました。アドビの製品により、マーケティングのベストプラクティス、データ、顧客中心の体験を支える強固なデジタル基盤を構築できました。これにより、南アフリカでトップの銀行を目指すことができます」と、Vaughan氏は述べています。