世界市場で勝ち抜くためにブランド力再建と地域戦略を両立させた“Webエクスペリエンスの統一基盤”

パナソニック株式会社

設立

1935年

所在地:大阪
従業員数:271,789名(2014年3月現在)

panasonic.jp

ユーザー事例:ロクシタン

ブランドイメージ統一と地域性重視を両立させつつ、充実したwebサイトを構築

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課題

Webサイトが各地域独自に制作・運営されていたため、メッセージやデザイン、レイアウト等が不統一。ユーザビリティが低く、タイムリーな情報発信も困難で、品質・情報量ともに日本のWebサイトと大きな隔たりがあった。

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成果

各地域共通の基盤と仕組みの整備により、ブランドの一貫性を保ちながら、各地域の特性に合ったWebサイトを実現。よりリッチな表現とタイムリーな情報発信が可能になり、モバイル対応も実現した。

グローバルブランド力の向上にはオウンドメディアの見直しが必要

1918年の創業から現在に至るまでの1世紀近く、“ものづくり大国”の象徴的企業として日本経済を牽引し続けてきたパナソニック。今や同社は、いわゆる総合家電メーカーの枠を越え、設備機器から住宅までという幅広い製品・サービスを全世界で提供し、海外売上高比率・海外生産比率ともに約50%となっている。この中でコンシューマー事業は、約4分の1を占めており、グローバルで71サイト30言語のWebサイトを運営しています。

 

しかし同社は、2012年にピークに達した円高などを背景として、2011.2012年度、かつてない経営危機に直面。ブランド認知度に関しても、国内では極めて高いものの、海外においてはサムスン電子やアップル、ゼネラル・エレクトリックといった世界的企業に遅れを取っていました。

 

そのように、グローバルでブランド力を高められないひとつの要因となっていたのが、世界中で運営されている同社のWebサイト、特に一般消費者のタッチポイントとなるコンシューマーサイトでした。同社デジタルマーケティングイノベーショングループのグループマネージャー、山本雅通氏は、当時の状況をこう振り返ります。

 

「日本を含めた各地域のコンシューマーサイトについて、『顧客の導線』『SNS活用』『モバイルへの対応』といった10以上の項目で達成状況を評価してみたのです。結果、満足できる状況だったのは日本だけで、海外のWebサイトではほとんど、あるいはまったく達成できていませんでした。こんな状態では、海外のお客様に自社の商品のよさをしっかりと伝えて、グローバルブランド力を高めることなどできるわけがなく、商品だって売れるはずがない。国内の家電需要の伸びが期待できず、成長の場を海外に求めるほかない現状において、この状況を放置すれば、国際競争から脱落してしまう、と強い危機感を覚えました」

 

しかも近年、インターネット広告の出稿はますます勢いを増し、さらにはモバイル向けの広告配信も大幅に増大するなど、経営戦略におけるWebサイトの重要性と価値は急速に高まっています。そうしたマーケティングの劇的な変化についていけなければ、パナソニックという企業に未来はない..。それほどの焦燥に駆られたと山本氏は述懐します。

 

同グループグローバルWEBチームのチームリーダーで、のちに山本氏とともにWebサイト改革にあたることになる山口耕平氏も、同様の危機感を抱いていました。

 

「弊社は数多くの商品を世界中にお届けしているわけですが、当時は各地域が、それぞれのプラットフォームで独自にWebページを制作していたので、当然ながら品質や情報量にばらつきが生じがちでした。また、新商品発売のタイミングに合わせて情報を発信できていない地域も散見されました。各地域のお客様にとって最適な情報を、タイムリーに提供できているとはいい難い状況だったのです。また、多くの地域でモバイルサイトに対応できていないなど、商品について知りたいというお客様が、限られたデジタルチャネルでしか情報を入手できないのも大きな課題でした」


山口 耕平氏

「アイデアと熱意さえあれば、エンジニアに頼ることなく、簡単にそれを実現できる。これがAdobe Experience Managerの最大の特長だと思います」

 

デジタルマーケティングイノベーショングループ グローバルWEBチーム チームリーダー 山口 耕平氏


5つの観点から各社のソリューションを評価。決め手は操作容易性と拡張性

各地域のWebサイトの惨状を目の当たりにした山本氏は、抜本的改革の必要性を痛感。そこで、当面の目標として掲げたのが、「Webサイトのプラットフォームをグローバルで集約する」「Webページを1カ所で作成して世界中に配信する」という2点です。それらを達成するまでのタイムリミットとして、経営陣の設定した期間はわずか1年。その成果をもって翌年以降、顧客管理をさらに徹底して自社メディアへの集客を促進し、より売上に寄与するWebサイトを構築する、という戦略を打ち出したのです。

 

ただ、最初のステップである“プラットフォーム集約&集中化”の実現はもとより、その後もプロジェクトを継続的に遂行していくためには、長期的視点からマーケティング基盤として信頼できるコンテンツマネジメントシステム(CMS)を導入する必要がある。そう判断した社内情報部門は、「構築スピード」「コスト」「ユーザビリティ(操作容易性)」「デジタルマーケティングへの拡張性」「開発体制の確保容易性」という5つの観点から、各社のCMSを徹底的に比較(図1)。検討の結果、アドビのAdobe Experience Managerが最適である、という結論に至ります。

 

「Adobe Experience Managerは、ユーザーインターフェースが非常に充実しているので、誰でも簡単に扱うことができ、Webページ制作の効率化とコストの抑制を期待できる。また、アドビの提供するさまざまなマーケティングソリューションとの連携も容易で、デジタルマーケティングへの拡張性が高い。その2点が決め手でした。ブランドイメージの統一、制作の効率化とコストダウンという当面の目標の達成だけでなく、その後も改革を継続し、デジタルマーケティングで先行するグローバル企業と肩を並べるためには、アドビのソリューションの導入が最適だと判断しました」と山本氏は選定の理由を語ります。企業のデジタル戦略の中核となり得る次世代のCMS、それがAdobe Experience Managerなのです。

 

そして2013年3月。北米を皮切りに同社はAdobe Experience Managerを本格稼働させ、コンシューマーサイトの大改革に乗り出しました。

一極集中制作&配信で統一的かつ地域特性に合ったWebエクスペリエンスを構築

同社は、各地域でバラバラだったプラットフォームをAdobe Experience Managerに統一し、「集中制作センター」と呼ばれる1カ所の拠点から、Webページを世界中に配信する仕組みを整備しました。(図2)

 

社内担当部門が作成した写真や動画などのリッチなコンテンツは、社内担当部門や集中制作センターのスタッフが、Adobe Experience Managerのリポジトリー(データ貯蔵庫)に格納していきます。

 

その後、集中制作センターのスタッフが、Adobe Experience Managerに実装したテンプレートやコンポーネント(Webページの雛形となる部品)を用い、リポジトリーに蓄積されたアセットを活用しながら、配置していくだけ。リッチなWebエクスペリエンスを、きわめて簡単に制作できるようになったのです。

 

また、Adobe Experience Managerは、Webサイトのみならず、あらゆるデジタルチャネルに対応しているので、課題のひとつだったモバイルへの展開も、極めて効率的に行えるようになりました。

 

山口氏は、Adobe Experience Managerのメリットについて次のように話します。

 

「実は集中制作センターのスタッフは、Webサイト制作に関する専門知識を持っているわけではないのです。にもかかわらず、思い通りのWebページを簡単に作ることができる。たとえるなら、テンプレートという“お弁当箱”に、コンテンツという“おかず”を詰め込むだけで、“豪華なランチ”、すなわちWebサイトができあがる、というイメージですね。

 

『こういうWebページを作りたい!』というアイデアと熱意さえあれば、エンジニアに頼ることなく、簡単にそれを実現できる。集中制作センターですぐにページ作成ができるようになったのもそのおかげです。まさにこの点こそがAdobe Experience Managerの最大の特長だと思います」

 

 

滞在時間16%増、直帰率9.9%減

 

Webページの“一極集中制作&配信”の効果は、さっそくさまざまな数字に表れています。例えばメキシコのWebサイトでは、訪問者の滞在時間が16%、1回の訪問で閲覧されたページ数が10%、新規訪問者数が5.9%も増加し、一方で直帰率は9.9%減少しました。これらの結果について、山本氏は次のように話します。

 

「お客様の滞在時間が長くなり、閲覧ページ数が増えた理由は、コンテンツがリッチで魅力的なものになったからだと考えられます。また、新規のお客様の数が増えたのは、スマートフォンやタブレットに対応したことが大いに影響しているでしょう。どの地域でも構いませんので、ぜひ一度、弊社のWebサイトにアクセスしていただき、Adobe Experience Managerを利用した弊社のプロジェクトの成果を体感していただきたいですね」

 

Webサイト改革を支えた アドビのコンサルティングサービス

 

そうした“一極集中制作&配信”システムを実現するには、社内外の関係者の密接なチームワークが欠かせなかった、と山口氏はいいます。

 

「とりわけ、アドビのコンサルティングチームの皆さんには、短時間に多くのテンプレートや機能の実装をお願いしましたので、相当ご苦労なさったと思います。おそらく最強メンバーで取り組んでくださったのだと思いますが、弊社のITチームと密に連携を取りながら、スケジュール通りに実装を完了してくださった開発のスピードとクオリティはさすがのひと言でした。そういうアドビの強力なサポートが、Webサイト改革をうまく推進できているひとつの要因であるのは間違いありません」

 

グローバル企業にも適応可能な拡張性

 

コンシューマーサイトのグローバル改革をわずか1年あまりで実現し、次のステップへと進む同社。新たに「パナソニックID」という統一顧客IDを導入し、会員へさらに充実したサービスを提供することで、顧客とのロイヤルティ強化を目指すなど、販売増への貢献とブランド力向上の活動に、継続して取り組みを進めています。

 

最後に山本氏は、Webサイト改革が成果を上げ続けている理由についてこう分析します。

 

「自画自賛になりますが、ひとつはやはりチームワークだと思います。弊社は大きな赤字を出してしまい、誰もが強い危機感を抱いていたので、『このプロジェクトが反転攻勢のカギになるのだ』と関係者全員が信じて、ひとつの方向へ走っていったのが大きいのではないでしょうか。

 

もうひとつの理由は、Adobe Experience Managerが、弊社の事業規模に適応できる拡張性を持ったソリューションであるという点です。世の中には、無償のものから有償のものまで、数え切れないほど多くのCMSが存在します。しかし、弊社のようにグローバルに71サイト、30言語のWebサイトを展開するスケールに対応できるCMSとなると、片手で数えるほどしかない。その中でも特に優れているのがAdobe Experience Managerであるということを、今、まさに弊社が証明しているとも言えるかも知れません」


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