PGA TOUR、ファンエンゲージメントを向上

+9%
デジタルユニークビジター数の増加(グローバル)
+26%
デジタル訪問数の増加(グローバル)
+22%
プラットフォームをまたいだエンゲージメントの向上(デジタル、ソーシャルおよびTV)

「アドビ製品が当社のあらゆるデジタル施策の基盤となっています」
Travis Trembath氏
PGA TOUR、ファンエンゲージメント担当バイスプレジデント
真のファンファースト
デジタル革命により、ゴルフは、500年の歴史を誇る娯楽からグローバルなエンターテインメントへと進化を遂げました。今日のゴルフは、ファンの年齢層が下がり、多様化が進み、様々なチャネルを通じていつでも情報が発信されていることが求められています。また、ミレニアル世代がモバイルを片手に大きな声援を送ることで、トーナメントの雰囲気も変わりました。ゴルフは以前よりも賑やかで活気のあるものになり、デジタル化が進んでいます。プロゴルフツアーを運営する世界屈指の団体であるPGA TOURは、「ファンファースト」を実現することで、この革命を牽引しています。
Travis Trembath氏は、2017年にビジネス開発担当から異動し、同団体で初となるファンエンゲージメント担当バイスプレジデントに就任しました。 「コミッショナーのJay Monahanは、当団体のあらゆる活動をファンを中心に考えています。そして、スタッフ全員がファン中心の視点に立って日々の業務や会議に取り組んでいます」と同氏は話します。
ハンデ7という素晴らしいゴルフの腕前を持ち、大手食品会社のGeneral Millsで経験を積んだTrembath氏は、PGA TOURにおける魅力的で刺激的なエクスペリエンスの構築に熱意を持って取り組みました。「ファンや消費者を理解することに大きな魅力を感じます。前職ではデータドリブン型のマーケターでした。その頃は、それに魅力を感じていたのです」と同氏は当時のことを語っています。同団体は、ファンとのやり取りを詳細に把握するためにアドビ製品を導入しました。広範なアドビの製品群から、Adobe Audience Manager、Adobe Analytics、Adobe Target を導入し、いくつかの発見を得ました。
PGA TOURのファンは、子供の頃からゴルフに親しんできた生粋のゴルフファンだけではありません。現在、同団体では、気軽にトーナメントを観戦する人々、特定のプレーヤーのファン、PGAツアーを題材にしたビデオゲームから興味を覚えた人々など、様々なペルソナを想定しています。しかし、そうしたデジタルネイティブの関心を引くのは以前よりも難しくなっています。最近のファンは、より多くのコンテンツやニュース、プレーヤーとの交流を求めています。そうしたファンは、他のスポーツやTV、ゲームなどに関心が移りやすく、「ファンを引き付ける競争は激しく、そのための取り組みに注力する必要がありました。全体的な戦略は、当団体の将来のあるべき姿を中心に構築され、ブランドを刷新する必要があるのは明白でした」と、PGA TOURのブランドマーケティング担当バイスプレジデントであるDavid Piccolo氏は述べています。
分析が鍵
PGA TOURの目標は、ファン一人ひとりと個人レベルの関係を築き、ファンの興味関心を把握して、最適なコンテンツを提供することでした。ファンの間からは、TVだけでなく、webやソーシャルメディアでも、舞台裏の出来事やニュース、ストーリーテリングが提供されることを期待する声が上がっていました。「デジタルの世界で勝利し、ファンがいつでもどこからでもコンテンツを利用できるようにするための製品と基盤が必要でした。将来に向けて、優れた顧客体験の創出が不可欠だったのです。実現できなければ、ファンを失い、ビジネスに悪影響を及ぼすことは疑いの余地もありません」とTrembath氏は話しています。
同団体では、ファンの真の姿を理解するためにAdobe Audience Managerを利用して、CRMや様々なデジタルチャネルのデータを統合し、単一の顧客像を構築しました。これにより、観戦チケットを購入したり、アプリで情報を確認したりする「熱心なファン」など、オーディエンスを様々なグループに分類できるようになり、また、デモグラフィック情報にもとづいてターゲティングすることも可能になりました。これは、ふたつの面から利点を生み出しました。「5年前まで、当団体にはデータアナリストがいませんでした。現在は、あらゆるデータと分析に対応できるチームと、それを率いるバイスプレジデントが存在し、webサイトの訪問者とアプリの利用者のタイプが異なっていることが発見されました」とPiccolo氏は明かします。
「バックエンドのデジタル分析にはアドビ製品を使用しており、その分析結果があらゆるデジタル施策の基盤になっています。突き詰めていけば、ファンごとにカスタマージャーニーは異なっているので、セグメントやスポーツとの関わり方に応じて、コンテンツをカスタマイズしています」と、Trembath氏は現在の取り組みを説明しています。ゴルフ愛好家には、PGA TOURが開催される世界的なゴルフコースでのプレイが提案されるかもしれません。TV観戦を楽しむ人には、お気に入りのプレーヤーが3連続バーディーに挑んでいることを知らせるプッシュ通知が送られてくるかもしれません。予選の観戦チケットを購入した人には、本選のチケット購入が提案されるかもしれません。Trembath氏は「最終的な目標は、それぞれのファンと1対1の関係を築くことにある」と語ります。

「長年にわたり、アドビ製品の活用を進めてきました。今後も、さらに多くの製品を採用します。アドビ製品はファンへのアプローチ方法を進化させるのに本当に役立っています」
Scott Gutterman氏
PGA TOUR、デジタルオペレーション担当バイスプレジデント
PGA TOURの本部では、毎週、分析チームが15ページに及ぶ分析結果のレポートを作成しています。そのレポートをもとに、コンテンツチームとストーリーテリングチームは何が効果的で、何が効果的でないのかを検討します。ゴルファーが風を読むように、これらのチームはデータにもとづいた修正をおこなっています。さらに、Adobe Tagetを利用してA/Bテストを実施し、サイトとアプリのエクスペリエンスのパフォーマンスを調整し、改善しています。メディアチームとデジタルセールスチームは、専門家に頼ることなく、自らの手で分析することが可能です。これらは、同団体が、Adobe製品を活用することで実現した、業務の合理化の一部に過ぎません。
同団体のデジタルオペレーション担当バイスプレジデントであるScott Gutterman氏は、「Adobe製品の利用は、2012年に優れたコンテンツ管理ソリューションを探したことがきっかけで始まりました。 Adobe Creative Cloudも大いに活用しています」と述べています。
同団体のデザインチームは、Adobe Creative Cloudのスイート製品を包括的に活用しています。例えば、Adobe Premiere Proは、動画の作成やオーディオクリップの編集、ポストロールの編集などに役立っています。テレビで観戦している視聴者は、マシンラーニング(機械学習)を使用して、ハイライト映像が作成されていることを知れば、驚くに違いありません。AI(人工知能)が、ファンのお気に入りのプレーヤーがいつ連続バーディーを決めたかを把握し、ハイライト映像を作成しているのです。部門をまたいで単一のテクノロジースタックを利用することで、テクノロジーの課題が減り、費用の削減にもつながります。
PGA TOURは以下のアドビ製品を使用しています。
エクスペリエンスの強化
PGA TOURは、あらゆる面でファンのエクスペリエンスを強化しました。それが「真のファンファースト」だとGutterman氏は強調しています。デジタルプラットフォームをまたいでパーソナライズすることで、ファンはお気に入りのプレイヤーの情報にすばやくアクセスし、あらゆるモバイルアプリで最新情報に関するプッシュ通知を受け取ることができるようになりました。「現在、週に500~600本のハイライト映像を制作しています。これは、過去2~3年間で制作した映像の約3倍に当たります」とGutterman氏は話します。
「今やトーナメントは観客を念頭に置いて設計されています」とTrembath氏は付け加えます。トーナメントは、TVだけでなく、様々なプラットフォームで観戦できるようになっています。それを支えているのは、アドビ製品によるデジタルビジネス運営の統合です。
「ジョイントベンチャーが外部で管理していたデジタルビジネスを社内で管理するようになり、15人だったチームが100人をはるかに超えるまでになりました」とGutterman氏は述べています。その⼀環として、代理店がおこなっていたメディアの買付を、社内の広告チームが Adobe Advertising Cloud を使用しておこなうようになりました。「Adobe Advertising CloudをメインのDSPとして使用しています。作業手順が容易で理解しやすく、使い勝手も良いことが選択した理由です。また、DMPとしてAdobe Audience Managerを使用していることも理由のひとつです。アドビ製品の緊密な連携を活かしています」と、同団体のアドバタイジングアクティベーション兼ソリューション担当シニアマネージャーのJing Yi Ju氏は現在の作業環境について語っています。
すべてのショットをライブで
2020年3月、PGA TOURでは、米国のトーナメント「THE PLAYERS Championship」における、すべてのプレイヤーの全ショットをライブ配信する「Every Shot Live」というサイトを立ち上げました。ゴルフ史上初めて、全部で72以上あるホールの32,000を超えるショットをライブ配信するために、コース全体に約120台のカメラを設置し、それぞれのグループの映像を別々に配信します。「ファンは、文字通り、トーナメントのすべてのコースで放たれた、すべてのショットを見ることができます」とTrembath氏は語っています。 同団体ではこの取り組みが、新たなファンを引き付け、従来からのファンの満足度を高めることを期待しています。
トーナメントを生で観戦したいファンのために、現地でリアルタイムの情報とコンテンツを配信する最先端のアプリも登場しました。「ファンがゴルフコースを回って楽しむための、優れたファンエクスペリエンスを構築しました。お気に入りのプレイヤーを1日中追い続けたり、友人と一緒に会場でゆっくり過ごすのに役立ちます」とTrembath氏は述べています。同氏は、ファンがそのアプリを使用して楽しんでいる姿を見ることで、大きな満足感を感じていると話し、「ファンは思いのままに楽しんでいます」と喜びを口にしました。「彼らは何か思いつくと、すぐに行動に移します」と続けました。
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PGA TOURでは、Adobe Creative Cloudを使用して、アプリやwebのエクスペリエンスを作成し、舞台裏の出来事やニュース、ストーリーテリングを提供しています。
最先端の制作環境で、あらゆるデバイスでコンテンツがどのように見えるのかをテストすると同時に、データにもとづくパーソナライゼーションによりファンが期待している一瞬を見逃さないようにしています。
ファンはお気に入りのプレイヤーのプレーを様々なデバイスで観戦し、最新のスコアや順位を確認できるので、満足感が高まります。
奇跡的な瞬間を生み出す
Trembath氏は、PGA TOURにおけるデジタル革命を目の当たりにしたと話します。「明らかに世界が変わりました。私にとって新たな領域への挑戦ですが、誰にとっても新たな領域であり、おのずと期待が高まります」とTrembath⽒は語り、「この7~8年の間に、PGA TOURに大勢の若い才能が参加しています。Rickie Fowler、Jordan Spieth、Rory McIlroyといったプレーヤーは、ゴルフコースで並はずれた才能を発揮するだけでなく、個性的で魅力に溢れています。アプリでフィードベースのパーソナライズされたエクスペリエンスの提供を開始する予定です。これにより、ファンはお気に入りのプレーヤーに応じてコンテンツを受け取ることができるようになります」と続けました。
「長年にわたり、アドビ製品の活用を進めてきました。今後も、さらに多くの製品を採用します。アドビ製品はファンへのアプローチ方法を進化させるのに本当に役立っています」。とGutterman氏は述べ、さらに、同団体のプラットフォームの継続的な進化の一翼を担っていることに言及しました。
今後10年、ゴルフファンを待ち受けているものは何でしょうか。「パーソナライゼーションが、動画から、データ、ストーリーテリング、ハイライト映像、あらゆる種類の新しいタイプのコンテンツにまで広がります。2025年には、PGA TOURのエクスペリエンスは詳細にパーソナライズされ、高度に分散されるでしょう」とGutterman氏は述べています。どのような未来が待ち受けていても、ファンファーストの価値は不変です。それを象徴する出来事が2019年にありました。
PGA TOURのFacebookページにおいて、これまで最も高いエンゲージメントを獲得した動画には、Tiger WoodsやRory McIlroy、Jordan Spiethは映っていません。それはAmy Bockerstetteという名前の20歳の女性の動画です。「昨年のWaste Management Phoenix Openにおいて、Gary Woodlandが、TPC Scottsdaleコースの有名な16番ホールで障害を抱えるAmyとプレイした時のことでした」とTrembath⽒は振り返ります。多くの観客がAmyを応援し、8フィートのパットを沈めてパーを取ると観客は⼤騒ぎになり、動画はバイラルヒットになりました。「それはGaryとAmyの交流から⽣まれたものでした」とTrembath⽒はその時の状況を語ります。これこそが、ファンエンゲージメントと呼ぶべきものです。
* Adobe Signは2022年3月にAdobe Actobat Signにリブランドしました。