期待以上の価値をもたらす統計データ ビジネスにおけるデータの役割が確立される一方で、政府機関では、データ活用の遅れが指摘されています。米国政府機関も例外ではなく、データ活用のあり方について明確な方向性を示すことが求められています。この30年間で、データの質がROIを大きく左右することが実証されたことで、民間企業はデジタル変革を最優先課題として進めてきました。さまざまな分析結果を見れば、データの質が高いほど、より多くの成果がもたらされていることは明白です。米国政府機関は、1790年から徹底したデータ収集を進めているにもかかわらず、こうしたデータの価値を重視していませんでした。
優れたビジネス上の意思決定を支えるのは、データです。行政上の意思決定も同様です。18世紀末にThomas Jefferson氏が米国史上初の国勢調査を実施したとき、米国の人口は400万人弱でした。当時は、全国民のデータを収集するのに何か月もかかりました。 1902年には、米国の人口は7,600万人以上に増加しました。こうした人口の増加に伴う行政機能の複雑化に対応するために、同年、「米国の人口に関する有益な情報を収集する」ことを目的として、米国国勢調査局が創設されました。米国の人口はその後も増え続け、2020年には3億3,000万人にまで急増しています。人口が過去最多を記録するなか、国民に行政サービスを提供するために、高精度かつ包括的な国税調査データを収集する重要性がこれまで以上に高まっています。
しかし、同局にとって、国税調査は膨大な業務の一部にしか過ぎません。同局は米国の中央統計機関として、失業者数や小売業界の売上、新設住宅着⼯⼾数などの統計データを収集して統計として公開しています。これらのデータは、官民を問わず、重要な意思決定や政策の変更を支える基盤となっています。連邦政府機関は毎年、同局から提供されるデータを活用して、教育、医療、社会保障、Medicare(高齢者および障害者向け公的医療保険制度)、新規事業開発などのために、数十億ドルに及ぶ予算を分配しています。
予算を適切に分配して、必要なサポートを国民に提供するためには、全国民が国勢調査に参加することが重要です。国勢調査は選挙と同様に、政府が国民の関心やニーズを把握し、それらを反映した政策を適切に遂行するのに役立ちます。そこで同局は、2020年度の国勢調査への参加を促し、回答率を向上させるために、テクノロジーの活用を強化することにしました。