米国国勢調査局のロゴ

米国国勢調査を成功に導いたデジタル変革

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米国国勢調査を成功に導いたデジタル変革

Marqueue

5,500万米ドル

オンライン国勢調査の導入によるコスト削減額(推定)

59

対応可能な言語数

+35%

デジタル広告費用の増加率(2010年度対比)

顔写真

「人々が期待するものは、常に変化しています。デジタル変革とは、そうしたニーズの変化を予測して、継続的に取り組むべきものです」

 

Stephen Buckner氏
米国国勢調査局、コミュニケーション担当アシスタントディレクター

期待以上の価値をもたらす統計データ

 

ビジネスにおけるデータの役割が確立される一方で、政府機関では、データ活用の遅れが指摘されています。米国政府機関も例外ではなく、データ活用のあり方について明確な方向性を示すことが求められています。この30年間で、データの質がROIを大きく左右することが実証されたことで、民間企業はデジタル変革を最優先課題として進めてきました。さまざまな分析結果を見れば、データの質が高いほど、より多くの成果がもたらされていることは明白です。米国政府機関は、1790年から徹底したデータ収集を進めているにもかかわらず、こうしたデータの価値を重視していませんでした。  

優れたビジネス上の意思決定を支えるのは、データです。行政上の意思決定も同様です。18世紀末にThomas Jefferson氏が米国史上初の国勢調査を実施したとき、米国の人口は400万人弱でした。当時は、全国民のデータを収集するのに何か月もかかりました。1902年には、米国の人口は7,600万人以上に増加しました。こうした人口の増加に伴う行政機能の複雑化に対応するために、同年、米国の人口に関する有益な情報を収集する」ことを目的として、米国国勢調査局が創設されました。米国の人口はその後も増え続け、2020年には3億3,000万人にまで急増しています。人口が過去最多を記録するなか、国民に行政サービスを提供するために、高精度かつ包括的な国税調査データを収集する重要性がこれまで以上に高まっています。

しかし、同局にとって、国税調査は膨大な業務の一部にしか過ぎません。同局は米国の中央統計機関として、失業者数や小売業界の売上、新設住宅着⼯⼾数などの統計データを収集して統計として公開しています。これらのデータは、官民を問わず、重要な意思決定や政策の変更を支える基盤となっています。連邦政府機関は毎年、同局から提供されるデータを活用して、教育、医療、社会保障、Medicare(高齢者および障害者向け公的医療保険制度)、新規事業開発などのために、数十億ドルに及ぶ予算を分配しています。

予算を適切に分配して、必要なサポートを国民に提供するためには、全国民が国勢調査に参加することが重要です。国勢調査は選挙と同様に、政府が国民の関心やニーズを把握し、それらを反映した政策を適切に遂行するのに役立ちます。そこで同局は、2020年度の国勢調査への参加を促し、回答率を向上させるために、テクノロジーの活用を強化することにしました。

ストーリーイメージ

民主主義を支えるデジタル基盤の強化



「⽶国国勢調査局は、建国の父たちが目指していた民主主義の基盤としての役割を果たす存在です。ここで働くことは、市民としての誇りと、当局の任務の重要性を再認識することにつながります」と、米国国勢調査局のコミュニケーション担当アシスタントディレクターであるStephen Buckner氏は述べています。

この10年間、同局は米国政府のデジタル変革をけん引してきました。国勢調査のオンライン回答を実現するという戦略的ビジョンを掲げていた同局は、2020年度の国勢調査を好機ととらえ、人々のエンゲージメントを全国規模で向上させるための取り組みに着手しました。10年に1度実施される国勢調査を除いて、同局とそのサービスは、主に事実調査に携わる政府機関の職員や学生のみに周知されており、一般市民の認知度は低いままでした。そこで、Buckner氏率いるチームは、市民とのコミュニケーション改革に乗り出しました。

大規模なプロジェクトをスムーズに推進し、期待通りの成果を長期にわたって創出するためには、最初の準備が重要になります。同局の場合、500万ページに及ぶwebサイトを近代化する必要がありました。census.govは、米国最大規模を誇るwebサイトのひとつであり、230年にわたって蓄積された膨大なデータを有しています。同サイト上で有意義かつ使いやすいコンテンツを提供するには、適切なCMS(コンテンツ管理システム)を構築する必要がありました。2010年度の国勢調査ではオンライン回答に対応していなかったため、同局はまず、webサイトのフロントエンドの刷新を進めることにしました。さらに、2020年度の国勢調査に向けて、検索機能をはじめとしたwebサイトの他の構成要素も強化しました。「モダンなフロントエンドに対応するデジタル基盤やCMS、分析システムを有していませんでした」と、Buckner氏は述べています。

サイト上で大勢の人々を短時間で的確に誘導するためには、大量のトラフィックを滞りなく処理できなければなりません。

webサイトの刷新と同局の認知度の向上という、ふたつの課題を解決するために、Buckner氏は包括的なデジタル基盤を求めていました。「まず、アドビとパートナーシップを結び、500万ページを超えるwebサイトをAdobe Experience Managerに移行するための最善の方法を模索しました」と、Buckner氏は述べています。それを実現するには、デジタル基盤を刷新するだけでは不十分でした。組織構造の見直しをおこない、新たな仕組みを構築して、webサイトが将来にわたって適切に動作できるようにする必要がありました。例えば、同局では、約120名の従業員が随時webコンテンツを制作および公開しており、大規模なwebサイトの構造や一貫性を維持することが困難になっていました。そこで、Adobe Experience Managerを導入した際、新しいwebテンプレートに合わせて、コンテンツ制作を進められるようにする仕組みを採用しました。Buckner氏はこのプロセスについて、「従来のwebデザインはそのままに、縦割り型の画一的なコンテンツから脱却するのに役立ちました」と述べています。

前回の国勢調査から10年が経過し、ソーシャルメディアをはじめとしたデジタルプラットフォームが台頭したことから、同局は国民とつながるための新たな方法を模索する必要に迫られました。同局の認知度を高めるために、国勢調査のデジタル広告予算を、2010年度の8%から2020年度は40%に増額しました。デジタル広告の効果を引き出し、2020年度の国勢調査への参加を促進するには、webサイトを刷新してオンライン回答の選択肢を提供することが必須条件でした。

「デジタル化が遅れているという政府機関のイメージを払拭するために、常に一歩先を見据えた取り組みを推進し、先進的な組織の実現を目指しています」と、Buckner氏は述べています。その第一歩は、米国史上初のオンライン国勢調査を実施することでした。

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米国史上初のオンライン国勢調査を実現

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デジタルによる回答が1%増えるごとに、推定1,500万米ドルのコストを削減

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webサイト上で3億3,000万人を超える人々を誘導する能力が向上し、大量のトラフィックに対応

単一のwebサイトで3億3,000万人の訪問者に対応

 

webサイトの近代化は、国勢調査への回答を容易にするだけでなく、コストの大幅な削減にも貢献しました。米国政府は、1回の国勢調査において、国民1人あたり平均107米ドルを支出しています。この予算は、国勢調査に回答していない世帯への戸別訪問の人件費を含む、幅広いコストを含んでいます。同局は、このような現状を踏まえて、オンライン回答を選択する市民が1%増えるごとに1,500万米ドルのコストを削減できると予測しました。国勢調査への参加率の向上と大幅なコスト削減を実現するために、初のオンライン国勢調査を成功させることは必須事項となりました。

同局は、オンライン国勢調査と新しいwebサイトを支えるデジタル基盤を構築するために、Adobe Experience Managerをマネージドサービスを利用して実装することにしました。さらに、新しいwebサイトは、500万ページに及ぶコンテンツを整備するだけでなく、国勢調査の短い集計期間で高負荷のトラフィックに対応できる必要がありました。「トラフィックの急増に対応する能力を必要としていたので、迷うことなくAdobe Experience Managerを採用しました。米国の人口が推定3億3,000万人であることを念頭にサイトの利用者数やトラフィックを推定すれば、その数は膨大なものとなります」と、Buckner氏は述べています。


米国国勢調査局が導入したアドビ製品

Adobe Experience Manager

包括的な能力とクラウドの俊敏性の両方を備えたデジタル基盤です。

Adobe Analytics

多彩なデジタル顧客接点のデータを分析、可視化、予測し、データにもとづいた意思決定と施策を支援します。

Adobe Target

サイトやモバイルアプリなどの体験を仮説検証し、AIによりパーソナライズする、最適化エンジンです。


 

Adobe Experience Managerは、オンライン国勢調査をスムーズに実施するために必要なセキュリティ、拡張性、連続稼働時間、堅牢な機能を備えていました。同局にとって最も有用な機能のひとつは、トラフィック予測でした。Adobe Experience Managerにより、キャンペーンをテストしてトラフィック量を予測し、同様の規模のサイトがトラフィックをどのように処理するのかを確認できるようになりました。Buckner氏率いるチームは、こうしたテストを活用してデータ主導型の意思決定を推進し、現在および将来の可用性を考慮しながらwebサイトを再構築しました。

優れたセキュリティと連続稼働時間も、同局がアドビとのパートナーシップを締結した大きな要因となりました。Adobe Experience ManagerはFedRAMP(Federal Risk and Authorization Management Program)に準拠し、連邦政府機関のあらゆるwebサイトに求められる厳格なセキュリティ要件に適合しています。さらに、Adobe Experience Managerのクラウド基盤により、24時間年中無休でwebサイトを監視できるようになりました。これにより、膨大な国勢調査データを短期間で収集する際のセキュリティが強化され、トラフィック増加時においても高い安全性を確保することが可能になりました。「Facebookとのパートナーシップによって回答数が急増し、1日あたりのトラフィック量を予測することが非常に困難でした。Adobe Experience Managerへ移行しなければ、トラフィックの急増に対処することはできなかったでしょう」と、Buckner氏は述べています。

Adobe Analyticsもまた、同局のデジタル変革において重要な役割を果たしました。堅牢なwebサイトを構築するためには、webサイトの利用状況を把握し、そこから得たインサイトをもとに意思決定をおこなう必要がありました。Adobe Analyticsを導入したことで、同局は離脱率などの指標を用いてオーディエンスの行動を追跡し、webサイトにおける課題を特定できるようになりました。強力なデジタル基盤を構築した同局は、2020年度の国勢調査を成功に導くためのもうひとつの重要な要素である、オンライン回答の促進に着手しました。

人々にパーソナライズされた体験を提供

 

あらゆる準備が順調に進んでいるとしても、人々に国勢調査への回答を促すことは容易ではありません。国勢調査の目的は、米国内に居住するすべての人および世帯の実態を把握することにあります。3億人を超える国民全員から回答を得ることは、難易度の高い目標です。2010年度の国勢調査では74%の回答率を達成し、2000年度の回答率を上回ることができました。2020年度の国勢調査では、郵送と電話による回答のほかに、オンライン回答の選択肢が加わったため、回答率のさらなる向上が期待されました。

目下の課題は、国勢調査とその重要性に対する認知度を高めると共に、パーソナライズされたデジタル体験を提供して回答率を向上させることでした。10年前からデジタル化を推進してきた同局では、オンラインプレゼンスを高めるための準備が整っていました。そのひとつが、Facebookなどのソーシャルメディアとのパートナーシップです。米国民の70%近くがFacebookアカウントを有しており、そのうちの74%がFacebookを毎日利用しているため、大勢の国民に容易にリーチできるようになりました。同局のデジタル広告における真の課題は、コンバージョン率の向上でした。広告のクリックを促進し、オンライン回答率を高めるためには、3億人の調査対象者にパーソナライズされた体験を届ける必要がありました。

全米規模のパーソナライゼーションは気の遠くなる作業であり、大規模な企業でさえも比較対象にならないほどの規模と多様性に対応しなければなりませんでした。同局はまず、59の言語に対応できるようにwebサイトを整備し、国勢調査の回答者に関する有効なサンプルデータを収集する必要がありました。「民間企業とは異なり、当局は全国民にサービスを提供しています。そのため、人々が当局のサイトに求めているものやデータベースの利用方法は、多岐にわたっています」と、Buckner氏は述べています。全国民から回答を得るという目標を達成するためには、全国規模のキャンペーンの展開に対応できるテクノロジーが必要でした。




Buckner氏のチームは、Adobe Targetを導入したことで、Adobe AnalyticsとAdobe Experience Managerからデータを引き出し、コンバージョンにつながる有意義でパーソナルな体験を創出できるようになりました。効果の高いコンテンツをリアルタイムで把握し、国勢調査の実施期間中に広告をすばやく最適化することが可能になりました。さらに、A/Bテストと類似(look-alike)キャンペーンを組み合わせることで、前回の国勢調査では不可能だった、パーソナライズされた体験を提供できるようになりました。「Adobe Targetのおかげで、類似キャンペーンやオーディエンスのミラーリングといったさまざまなコンポーネントを、デジタル施策に組み込むことができるようになりました。これにより、デジタル変革をかつてないほど高いレベルに引き上げることができます」と、Buckner氏は述べています。

国勢調査の変革が世界を変える

 

2020年3月、同局は、世界的なパンデミックという想定外の事態に見舞われました。奇しくも、2020年度の国勢調査の開始時期とほぼ重なっていたため、同局は調査票の回収方法について大幅な変更を余儀なくされました。しかし、それはまた、オンライン回答の選択肢を導入する絶好の機会にもなりました。

「2020年度の国勢調査では、オンライン回答の選択肢を提供しましたが、それが期待していた以上に、人々の接触防止に効果をもたらしました」と、Buckner氏は述べています。

世界的なパンデミックの最中でも、同局はモダンなデジタル基盤を構築したことで、スケジュールの遅延や変更をおこなうことなく、10年に1度の重要な任務をスムーズに遂行することができました。パンデミックという未曾有の状況においてこそ、国勢調査はその価値を発揮するため、同局に延期するという選択肢はありませんでした。

「当局は、自分たちの任務が適切に遂行されれば、人々に真の価値をもたらすことができることを認識しています。国勢調査によって得られたデータは、米国民によって毎日活用されています。今回のような困難な時期にこそ、各地域の保健当局や緊急対策担当者を支援し、全米規模で回復を促進するために、データを活用する必要があります」と、Buckner氏は述べています。

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