ADOBE REAL-TIME CDP
データ収集の種類
世界中の50億人以上のインターネットユーザーによって、毎日およそ3億3,000万テラバイトのデータが生成されています。これは膨大な情報量であり、企業にとっては、顧客、見込み客、競合他社に関する貴重なインサイトを獲得する機会が実質的に無限にあります。
データの収集は企業にとって極めて重要であり、オーディエンスのニーズの把握、製品やサービスの改善、戦略的の意思決定の指針などに利用できる客観的な情報を提供します。しかし、あらゆるデータが同じように作成(または収集)されるわけではなく、その違いは、組織が情報をどのように調達、管理、利用するのかに影響します。適切なデータを特定し、その品質を確保することは、企業が直面しうる課題の一部に過ぎません。
ビジネスリーダーは、データ収集について十分に理解し、それを活用する必要があります。ここでは、データ収集のさまざまな種類、使用されるテクニックやツール、利点とベストプラクティスについて解説します。
内容
データ収集とは?
データ収集の種類
効果的なデータ収集の利点
データ収集の手法
データ収集における正確性の重要性
データ収集のベストプラクティス
データ収集のツール
データ収集とは?
ビジネスシーンにおいて、データ収集とは、意思決定に役立つ詳細な分析情報を収集するプロセスのことです。企業は、対象の変数または特定のデータポイントにもとづいて情報を収集し、その情報を利用して質問に回答したり、パフォーマンスを測定したり、組織を導くための戦略を策定したりします。
データ収集に不可欠なことは、情報の正確性と一貫性です。これが欠ければ、間違った結論に至ったり、戦略的な状況を把握し損ねたりするリスクがあります。ビジネスリーダーは、収集するデータ、データの目的、一貫性を維持するためのプロセスを理解する必要があります。
データは、1st、2nd、3rdパーティによる収集など、さまざまな方法で集めることができます。企業がユーザーから直接データを収集するか、パートナーやベンダーを通じて情報にアクセスするかは、データの質と量に影響します。
最も質の高いデータは、企業自身がユーザーや顧客から集めたものであり、さまざまなチャネルを通じて収集できます。これについては後ほど詳しく説明しますが、一般的な例としては、デジタル調査、トランザクショントラッキング、オンライン訪問者トラッキング、インタビューなどがあります。
データ収集の種類
定量データと定性データ
定量データとは、財務コストなど、数値がある、または数えることができる情報のことです。この種類のデータ収集の利点は次のとおりです。
- 定性データよりも収集が容易
- 数字を扱うため、分析が早い
- 特徴ではなく数値なので、バイアスがかかりにくい
- 幅広い視野からビジネス上の結論を導き出すのに有用
定性データは、客観的な測定はできないが、評価可能な属性(説明や評価など)のことです。定量データとは対照的に、次のような利点があります。
- ある行動について、いつ、どこで、なぜ影響があるのかに関する、より詳細なインサイトを提供可能
- 基本的な影響や測定の枠を超えることが可能
- 消費者の経験や意見をより深く理解し、より多くの価値を提供可能

プライマリ(一次)収集とセカンダリ(二次)収集
プライマリ収集とは、企業や調査員が情報を直接収集することを指し、企業が顧客基盤に対して直接実施するアンケート調査などがその一例です。このデータの情報源は把握できており、収集方法も管理されているため、情報の信頼性を確保できます。しかし、この収集方法には時間がかかり、プロジェクトに遅れが生じる可能性があります。納期に間に合わせるためには、迅速なデータ収集のほうが有益な場合があります。
セカンダリ収集とは、収集済みの情報源から情報を入手することを指し、データを使用する企業が収集プロセスを管理していないため、時には古かったり、関連性が低かったりする場合があります。しかし、企業が直接アクセスできる情報源から得られるインサイトを超えるインサイトを獲得できることもあります。

効果的なデータ収集の利点
データはビジネスにとって非常に価値のあるものですが、それは効果的に収集された場合に限られます。効果的なデータ収集では、特定の質問や分析領域に沿った一連のデータポイントの選択や分類がおこなわれ、ビジネスリーダーが予測を立てたり傾向を調査したりするのに役立ちます。
効果的でないデータは収集プロセスの不備から生じるもので、重複、不正確、不完全などの問題につながります。このような情報を検討しても、的確な意思決定のためのストーリーは見えてきません。
正確かつ適切なデータがあれば、ビジネスリーダーには次のことが可能になります。
- 顧客ターゲティングの精度の向上
- 新規顧客の開拓
- 顧客行動の理解
- エラーの削減
- 市場セグメンテーションなどのマーケティング活動の強化や改善
効果的なデータ収集は、よりスマートな意思決定と組織全体の改善を促進し、製品販売からカスタマーサービスまであらゆることに影響を及ぼします。収益が向上すると同時に、業務効率、一貫性、透明性が高まります。
データ収集の手法
企業のニーズ、リソース、目標に応じて、さまざまなデータ収集オプションがあります。従来の情報収集手法には、アンケート、観察、インタビューなどがありますが、今日ではオンライン活動からデータを収集することが多くなっています。
アンケート
アンケートは、主要なグループから回答サンプルを入手したい場合に最適です。調査対象者全員に同じ質問をおこない、一貫性のある回答を得ることで、簡単に集計して比較分析できます。今日では、デジタル調査が一般的になっており、定量データと定性データの両方の収集に使用できます。
観察
一連の観察によってデータを収集することも可能です。ビジネスアナリストは、ある事象や一連の事象を観察し、パターンや変数を特定することで、特定の課題の意思決定に役立てることができます。
インタビューとフォーカスグループ
アンケートと同様に、インタビューやフォーカスグループでは、一連の質問を対象者に提示し、集計や分析のために結果を記録します。フォーカスグループは、一度に複数の人が参加し、互いに交流しながら意見を形成します。インタビューは通常1対1のセッションで、観察者は特定のデータを収集し、フォローアップの質問をすることができます。
オンライントラッキング
顧客や見込み客の行動に関するデータを収集するために、多くの企業がオンライントラッキングを利用しています。トラッキングCookieのような方策を利用することで、ユーザーの行動を追跡し、クリック数、ショッピングの好み、デバイスの使用状況、位置情報、検索履歴などの情報を収集することができます。
フォーム
オンラインフォームは、企業がユーザーデータを収集する最も簡単な方法のひとつです。最良のフォームは、必要な情報のみを収集するように合理化されていますが、多くの企業は、追加情報を収集したり顧客プロファイルに段階的に入力したりするためにフォームを利用しています。Adobe Real-Time CDPは、個人と企業のプロファイル情報をリアルタイムで収集するのに役立ちます。

正確なデータ収集の重要性
ビジネスリーダーがデータにもとづいておこなう意思決定は、利用可能なデータの質に左右されます。正確なデータを管理、保管することは、予測やトレンドの特定において、より優れた結果をもたらします。企業が、統合データをもとにして戦略を決定できるのは、そのデータが信頼できる場合に限られます。
不正確なデータには、さまざまなケースがあります。
- 不正確なデータ入力: 不正確に入力されたデータは、ミスやターゲットオーディエンスの不正確な理解につながります。
- 標準化されていないデータ: データ形式が整っていないと、パターンを特定したり、調査結果を効果的に要約したりすることが難しくなります。
- 重複したデータ: 冗長な情報は、データセットを評価する際に誤解のもとになります。
- 古いデータ: 古い情報は不正確である可能性があるため、リアルタイムで適切な意思決定をおこなうためには、データを定期的に更新、調達する必要があります。
このような落とし穴を避け、データ収集の正確性を維持するためには、次のことが必要です。
- 信頼できるデータソースを使用する: データを直接収集し、フィールドと入力を管理することで、一貫性を確保します。
- 収集すべきものを把握する: 収集した情報を社内の戦略的意思決定目標に照らして評価します。
- バイアスを低減する: インターフェイスを使いやすいものにし、代表的なサンプルで可能な限り客観的に情報を収集します。
- 自動化を検討する: データ収集と入力を自動化することで、効率を高め、顧客の行動に関するインサイトを増やします。
データ収集は企業にとって極めて重要であり、オーディエンスのニーズを把握し、製品やサービスを改善し、戦略的な意思決定を導くために利用できる客観的な情報を提供します。
データ収集のベストプラクティス
保管やセキュリティも含め、データ収集のベストプラクティスを見てみましょう。
透明性の確保
収集したデータがどこでどのように使用されるかについて顧客にオープンにし、顧客が希望すれば簡単にオプトアウトできるようにします。これにより、顧客や見込み客との信頼関係を築きながら、法的な問題を回避できます。
わかりやすい言葉で書く
データポリシーの説明にはわかりやすい言葉を使い、透明性を高め、自社の目標と個人の権利の両方を理解できるようにします。
データの正確性の確保
適切なツールを使用してデータ収集を合理化し、あらゆる入力方法と手法で一貫性と正確性を確保します。
データの保護
バックアップの使用、保存データの暗号化、ウイルス対策ソフトウェアの実行など、業界標準に従ってデータの安全性を確保します。
Adobe Real-Time CDPには、あらゆるレベルのユーザーがデータ収集のベストプラクティスに従うことができるように、ポリシーツールやデータ運用ツールなどのセキュリティ機能が備わっています。
データ収集に取り組む
これまで、データ収集の利点、さまざまな種類のデータの管理方法、ベストプラクティスなどについて解説しました。次は、学んだ知識を活用しましょう。データ収集を開始するための簡単なステップバイステップガイドを紹介します。
- 課題の特定: 特定の取り組みでデータを収集する際に、何を推測し、何を解決するのかを明確にします。
- 要件の把握: 収集すべき情報を確認することで、意思決定に必要なデータが得られます。
- 方法の決定: 必要なデータを実際に収集でき、正常に予測できることを確認します。
- 範囲の設定: どのような集団の規模とタイプであれば、想定している目標に対して偏りのない詳細な結果が得られるのかを確認します。
- 形式の決定: アナリストが最も効果的にデータにアクセスし、表示し、評価できるように、データの保管方法を選択します。
- 計画の最終決定: 運用上の定義、範囲、限界、方法、ツール、戦略、手順、形式などを含め、データ収集計画を作成します。
データ収集のツール
マーケターやビジネスリーダーは、収集した情報の自動化と照合をサポートする堅牢なツールセットを構築する必要があります。
アドビがお役に立ちます
データ収集にアドビがお役に立ちます。
データ収集において留意すべきことのひとつは、異なるツールで収集されたデータをどのように統合、評価するかということです。Adobe Real-Time CDPは、チャネルをまたがって収集されたデータを評価するための一元化された基盤を提供します。重複排除をはじめとするデータクレンジング用の組み込みオプションは、情報を合理的に保つのに役立ちます。また、高度なダッシュボードが提供するデータインサイトにより、IT部門の手助けなしにデータをアクションにつなげることができます。
Adobe Experience Platformは、さまざまなクライアントサイドのソースとの統合をサポートしており、データエンリッチメントや使用可能な情報へのデータの変換も支援します。データは、webベースのアプリケーションだけでなく、モバイルアプリケーションやOOT(オーバーザトップ)アプリケーションからも収集できます。