金融機関のCXM事例(3) オーストラリア ニュージーランド銀行:巨大組織を機敏に動かす

2020年2月21日


金融機関のCXM事例(2)」では、俊敏に動ける組織を作ることで、すばやく顧客体験の改善を図れることを述べた。顧客のスピードに企業が対応し、顧客体験管理という複雑かつ膨大な施策を、構造的かつ機動的に改善していくには、組織内のすべてのビジネスプロセスも顧客体験を中心に作り直す必要が出てくる。

シリーズ3回目は、顧客のために部門横断で機敏に動くことのできる組織作りについて見ていこう。この取り組みを進めているのが、オーストラリア ニュージーランド銀行(以下、ANZ)だ。

ANZは、1835年創業の老舗銀行。オセアニア地域だけでなく、アジアでのプレゼンス向上に積極的で、スーパーリージョナルバンクを目指している。ビジネスを拡大する中、金融機関にも押し寄せるディスラプションの波を認識し、成長と変革という2つの課題に正面から向き合っている。

「顧客体験管理の実現を目指す私たちが注目しているのは、同業で先進的な取り組みを行っている金融機関だけではありません。異業種で世界的なEC企業やサブスプリプションビジネスからも、理想的な顧客体験の提供について多くを学ぶことができます」

ANZでオムニチャネルマーケティングを主管するクリスチャン ベンター氏は、このように話す。

ワンストップで顧客の要望に対応するチーム

ワンストップで顧客の要望に対応するチーム

業界を問わず「ディスラプションを起こしている企業」の事例を学ぶことで、変革への取り組みを開始。ビジネス人材かテクノロジー人材かを問わず、組織全体を顧客中心に作り直すことにしたのだ。とはいえ、全世界に4万人の従業員を抱える巨大組織であり、一気にすべてを変更することは難しい。そこでANZは、段階的な変革を実行した。各部門から機動的に動ける人材を募り、彼らが顧客の要望ごとにチームを組んでワンストップで顧客対応を行うようにした。分隊(Squad)と呼ばれる部門横断チームだ。

ワンストップで顧客の要望に対応するチーム

4万人中9000人の行員が、部門横断型のチームを組んで働けるプロセスへ移行

こうした取り組みにより、顧客対応スピードだけでなく品質も大幅に向上。デジタル経由か対面かを問わず、適切なコミュニケーションを行うことで、顧客からフィードバックをスムーズに得られるようになった。その結果は、あらゆる施策へと迅速に反映される。たとえばANZのモバイルバンキングアプリは、以前はGoogle PlayおよびApp Storeのレビューで2.6/5という低評価だったが、わずか1年数カ月で4.5/5以上へと大きく評価を改善した。以降それを維持できている。アプリ開発チームは顧客からのフィードバックを常時モニターし、重要な指摘があれば数日で対応を完了するという。

「顧客とさまざまなやり方でコミュニケーションを取り、常にフィードバックを得ることが大切です。それを改善につなげるわけですが、実行を意思決定するにあたり、改善後の顧客提供価値について明確化しておくことを忘れてはいけません」(ベンター氏)

ANZの改革は大きく進んでいるが、すべての従業員が新たなプロセスへ移行したわけではない。今後もさまざまな改善を重ねるために、部門横断で顧客体験について議論する場を設けているという。しかも、顧客ニーズは日々変わるため、このような継続的な改善プロセスが肝要と言えるだろう。

 

UNITE編集部


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