品質、ブランドの一貫性、正確性の低下
ブランドに合わないアセット、一貫性のないメッセージ、低解像度、または不正確なビジュアル表現
ガイド
企業全体でブランドに即したコンテンツを制作する価値
コンテンツ制作はスタジオ以外でも可能となり、AIが機会とリスクの両方を増大させています。アドビとアクセンチュアのパートナーシップにより作成された本ガイドでは、ブランド、法務、評判の健全性を守りながら、マーケティング、営業、ナレッジワーカー全体にわたり企業がコンテンツ制作を民主化できる方法を紹介しています。また、ビジネスへの影響を定量化し、年間売上高が推定300億ドルの企業が、適切なツールとガバナンスによって従業員がブランドに即したコンテンツを作成できるようにすることで、3年間で最大9倍のROIを達成できることを示しています。
企業全体のほぼすべての従業員が、自ら作成する場合でも、他の人が制作したものを利用する場合でも、高品質なコンテンツへのアクセスを必要としています。しかし、需要は供給を上回り続けており、機会損失や、スタジオチームがサポートしていない部門による逸脱したコンテンツ制作につながっています。
このギャップをより深く理解するため、コンテンツ制作に携わる1,457名の専門家を対象に調査を実施しました。その結果:
これは、コンテンツのボトルネックとなるだけでなく、ブランドやビジネス全体に大きなリスクをもたらします。アセットの管理を1つでも誤ると、知的財産権の侵害など、ブランドエクイティの損失や法的責任により数百万ドル規模の損害が発生する恐れがあります。
承認されたブランドまたはガバナンスシステム外で作成されたアセットを指します。逸脱したコンテンツ作成によって起こり得る結果の例は次のとおりです。
ブランドに合わないアセット、一貫性のないメッセージ、低解像度、または不正確なビジュアル表現
著作権で保護されたコンテンツの無断使用、開示情報の不足、権利が失効または地域制限されているアセットの不適切な使用
偏見、誤情報、配慮に欠けるコンテンツによる信頼と社会への悪影響
「すべての
社員が クリエイティブに 取り組めるように なった とき、 問われるのは 量ではなく、 ブランドの 健全性です。 チームに AIの 自由度と 明確な ガイドラインを 与える CMOや マーケティングリーダーは、 より 迅速に 顧客に リーチし、 ロイヤルティを 深め、 収益を 加速させる ことができます。」
Rachel Thornton、アドビエンタープライズビジネスCMO
企業全体がブランドに即した卓越しているコンテンツを作成できるよう積極的に環境を整えることで、顧客、従業員、その他の関係者に一貫性のある魅力的な体験を提供できます。
この機会を活かすために、マーケティングリーダーは自らの職務範囲の内外で変革を推進することで、3つの異なる従業員グループがブランドの一貫性を保ちながら独自にコンテンツを制作できるよう支援できます。以下の表に3つのグループを示しています。
すべての従業員がブランドに即したコンテンツを作成できるようになると、価値は急速に高まります。
300億ドル規模の企業(1)の場合、これらのレイヤーを積み重ねることで年間約9,000万ドルの利益向上(2)と9倍のROIを実現できます。これにより、AIを活用したコンテンツ制作のセルフサービス化は、ガバナンス戦略であると同時に成長戦略でもあることを証明しています。
影響力が企業全体に広がるにつれてその価値は指数関数的に拡大しますが、フルタイム従業員(FTE)あたりの価値は、コア制作に近いほど最も高くなります。以下で、これらの推定値がグループ別にどのように分類されているかをご確認いただけます。
このモデルでは、クリエイティブチームとブランドチームが、組織全体で使用するクリエイティブの方向性、ブランド基準、共有システムを設定する上で、引き続き重要な役割を果たします。その役割は今や、ブランドキット、テンプレート、承認済みライブラリ、カスタムトレーニング済みAIモデルなど、企業全体でクリエイティビティを拡大するための基盤となる仕組みの開発へと広がっています。
次の役割は、すべてのチームがクリエイティブに取り組めるよう、サポートし、力を引き出すことです。以下の詳細な解説では、3つのグループそれぞれについて掘り下げ、民主化されたコンテンツ制作の取り組みをサポートする上で優先すべき機能、一般的なユースケース、ベストプラクティスを紹介します。
マーケティング組織は、ブランド戦略を形成・実行し、包括的なキャンペーンを統括しながら、需要を収益へと変換する重要な道筋を創出します。ほぼすべてのプログラムが、見込み顧客や既存顧客とのエンゲージメントを高めるために、ブランドに即した視覚的に魅力的なコンテンツに依存しています。
グロースマーケティングチームやエクスペリエンスオーケストレーションチームは通常、中央集権型のクリエイティブチームからサポートを受けられますが、他のマーケターは十分なサポートを受けられないことが多く、機会を逃したり、最適とは言えないコンテンツに頼らざるを得ない状況が生まれています。
民主化されたコンテンツ制作ソリューションにより、この状況を変えられます。以下は、この機会を活用できる代表的なマーケティング機能と対応するユースケースです。
マーケターが承認済みアセットを簡単にセルフサービスで活用し、調整して公開できるようになると、企業はより迅速に動き、コストを削減し、収益を拡大できます。直感的なAI支援ツールを活用することで、週に12時間を創出し、より価値の高い業務に集中できるようになると推定しています。
総合的に見ると、当社の分析では、上記のメリットは300億ドル規模の企業にとって年間推定1,000万ドルの価値向上をもたらすことが示されています。その内訳は、生産性の向上(向上価値の60%)と段階的な収益成長(向上価値の40%)です。
現在のマーケターは1週間あたり
ビジュアルコンテンツの作成または改修に費やしている(3)
出典:
CMOの
ABBが
電化と自動化のグローバルリーダーであるABBは、Adobe Expressを活用し、100か国以上のマーケティングチームが高品質でブランドに即したコンテンツを制作できるよう支援しました。ソーシャルメディア投稿のカスタマイズや動画コンテンツへのキャプション追加から、アセットの翻訳、ローカライズ、サイズ変更まで、ABBが支援したマーケターは、ブランドに即したコンテンツをより速く、より少ない労力で制作できるようになりました。初期の成果として、ローカライゼーションと翻訳にかかる時間が 8日間から30分に 短縮され、エンゲージメント率が以前のベースラインと比較して6倍に向上しました。詳しくは、こちらをご覧ください。
営業チームとそれを支えるエコシステムは、関係構築、パイプラインの創出、そして最終的な成約に向けて、大きなプレッシャーにさらされています。マーケティング部門に次いで、ブランドの重要な対外的アンバサダーとなることが多い一方で、顧客、パートナー、営業戦略に合わせた視覚的に魅力的なコンテンツを作成するための時間、能力、リソースが不足している場合が多く見受けられます。
その結果、チームは古い素材を作り直したり、必要なものをWeb上で探したり、使えるものを寄せ集めたりせざるを得ません。これは販売に費やす貴重な時間を奪うだけでなく、ブランドイメージの低下につながることも少なくありません。
営業チームや事業開発チームがコンテンツを簡単に作成・調整できるようにする方法には、さまざまな形が考えられます。このグループ内で優先的に検討すべき役割とユースケースの例は次のとおりです。
当社の調査によると、営業組織に所属する人の33%が、週に20時間以上をコンテンツ制作に費やしていることがわかりました。AIを活用した使いやすいコンテンツ制作ツールを導入することで、毎週10〜13時間の失われた時間を取り戻すことができます。
300億ドル規模の企業では、最大1,900万ドルの生産性向上を実現できる可能性があります。これは、このグループの1人あたり年間約6,000ドルの価値に相当します。顧客対応により多くの時間を割り当て、より効果的なコンテンツを活用することによる追加収益は、当社のモデルでは数値化されておらず、段階的に増加するものとなります。
CMOの
人材獲得、社内コミュニケーション、学習・能力開発、投資家向け広報、コミュニティへの働きかけなど、組織全体の各役割において、関係者とのエンゲージメントを高めるコンテンツ制作が増えています。
営業チームと同様に、このグループもクリエイティブチームからのサポートが限定的です。ブランドポータルでアセットを探したり、標準に満たないツールで調整したりすることに、多くの時間が失われています。最終的に、これはコンテンツのパフォーマンス低下につながり、さらに悪いことに、ブランドイメージを損なう恐れがあります。
コンテンツの民主化で組織全体のチームをサポートできる可能性は無限大です。セルフサービス型のアプローチで成果を上げられる役割とユースケースの例を以下にご紹介します。
当社の調査によると、ナレッジワーカーにこの機能を提供することで、300億ドル規模の企業において年間約6,500万ドルの価値を引き出すことができると推定されています。これをさらに大きくするには、ソリューションの適用範囲を広くすることです。つまり、コミュニケーションの効率性と有効性の両方を高めることで、最も多くの従業員に影響を与えられます。
CMOの
リコー、
リコージャパンの人財開発センターは、18,000名の社員に学習コンテンツを提供しています。トレーニングプラットフォームの魅力を高めるため、このグループはAdobe Expressを活用し、20万点ものテンプレートと権利処理済みアセットのライブラリを作成。チームメンバーが目を引くコンテンツの制作を実現しました。AIを活用したツールで視覚素材のブランド一貫性保ちながら、単一のセルフサービスハブが長いデザイン待ち時間を解消します。その結果、学習者の利用率が30%から75%に急上昇し、動画のサムネイルやコースのグラフィックなどの素材の作成時間が50%短縮されました。詳しくは、こちらをご覧ください。
企業標準がなければ、品質とブランドの一貫性が部門間で分断されてしまいます。直感的で統合管理されたソリューションを率先して導入することで、CMOは機能的なニーズを満たしながら、ブランドの表現力を維持し、ブランド毀損リスクや法的リスクを未然に防ぐことができます。
そのために、組織は次のことを確立する必要があります。
以下の5つのベストプラクティスをご検討ください。
マーケティング、IT、法務、その他の主要な機能部門のリーダーで構成される部門横断的な運営委員会を設置し、方向性を統一して、戦略、優先事項、ガバナンスを監督しましょう。
責任あるAIの実践、知的財産の保護、ブランドの安全性をサポートするツールを選びましょう。既存のコンテンツサプライチェーンエコシステムに容易に統合できるソリューションを優先することで、迅速な導入とアセット再利用率の向上を実現できます。
ブランドチームやクリエイティブチームと協力して、一元管理、カスタマイズ、更新が可能なモジュール式ブランドキット、テンプレート、ガイドラインを作成します。テンプレート、ライブラリ、承認済みアセットを制作ツールから直接利用できるようにしましょう。
まずは、マーケティングともう1つの機能チームから強力な社内支援を得ることから始めましょう。優先すべきユーザーとビジネスニーズを特定し、まずはそこに注力します。初期の成功を祝うことで、他のチームにも勢いと期待感が広がります。
初期の取り組みから得られたインサイトを活用して、ベストプラクティスを洗練させ、より広範な活用支援への取り組みを強化しましょう。次に、準備状況、ニーズ、戦略的優先事項に基づいて、プログラムをさらに多くのチームに展開することで、初期段階の効率化を、企業全体の成長へとつなげることが可能です。
企業全体でクリエイティビティの民主化を始める場合でも、既存の取り組みを最適化したい場合でも、アドビは複雑な課題を乗り越え、価値を提供できるようサポートいたします。詳しくは、今すぐアドビの担当者にお問い合わせください。
推定価値における業界間の違いは、主に3つの要素に集約されます。それは、従業員がブランドに即したコンテンツ制作に費やす時間、潜在的なユーザーベースの規模、そしてAIによる効率化がもたらす効果の大きさです。
以下の表は、評価対象となった業界のグループ別の推定額とROIをまとめたものです。
調査手法:アドビとアクセンチュアが連携し、6業界における6つの価値分野にわたって、コンテンツの作成と制作の変革が財務に与える影響を試算しました。インサイトは、調査データ、専門家へのインタビュー、計量経済分析、二次調査という4つの調査コンポーネントに基づいています。
全社調査:2024年10月から11月にかけてコンテンツ制作に積極的に携わった1,457名に30問のオンライン調査を2回実施し、インサイトを収集しました。
専門家へのインタビュー:業種を超えた定性的なインサイトを得るため、37件の個別インタビューを実施しました。以下の専門家にインタビューを行いました。
計量経済学的分析:以下は、コンテンツ作成と制作のワークフローを変革する価値を定量化する価値のケースモデルを構築するために使用した仮定と情報源の概要です。