MA(マーケティングオートメーション)の費用対効果とは?
MA(マーケティングオートメーション)は、時代に合ったマーケティングを効率的かつ的確に行う上で、欠かせないツールとして普及しています。MAの種類も増え、導入や乗り換えにあたって、何を基準に選ぶべきか悩んでいる人も多いでしょう。
MAの新規導入や乗り換えを考える際の大切なチェックポイントが、費用対効果です。ここでは、MAの導入や乗り換えのタイミングのほか、MAを選ぶ際に検討するべきポイントと、MAの費用対効果の測定方法などについて解説します。
目次
- MAは顧客情報を蓄積し、マーケティング施策を高度化、効率化するツール
- MAを導入する企業が増えている理由
- MA導入のタイミング
- MAを乗り換えるタイミング
- MAの導入や乗り換えの際に検討すべきポイント
- MAの費用対効果を測定する方法
- 自社の課題を明確にし、機能面と費用対効果に注目して最適なMAを選ぼう
MAは顧客情報を蓄積し、マーケティング施策を高度化、効率化するツール
MAとは、顧客の認知から購買、推奨に至るプロセスを可視化し、得られた情報に基づいてシナリオを設計し、顧客へ最適な情報を提供するためのマーケティング施策を効率化するツールです。MAを使えば、マーケティングにおける下記のような業務を、自動で行えるようになります。
<MAで自動化できる業務の例>
- 問い合わせ、資料請求、コンテンツマーケティング、展示会出展、ウェビナーやセミナー、広告出稿、テレアポなど、多様なチャネルで得た見込み顧客(リード)の属性およびその行動履歴などの情報の一元管理
- メール配信などのリードナーチャリング(見込み顧客の育成)
- 行動履歴やサイト来訪履歴などによるリードのスコアリング
- 確度の高いリードをリスト化や抽出
- 失注顧客や休眠顧客の再検討促進
- 既存顧客の利用促進や解約防止
- マーケティング施策のレポーティング
- 営業やコンタクトセンターへの連携
また、MAを活用できれば、マーケティングや営業を中心にさまざまな効果が期待できます。具体的には、下記のような効果が挙げられます。
<MAの導入で期待できる効果>
- 収益プロセス全体の可視化による、ビジネスの見通しの明確化
- 施策やチャネルごとの売上貢献度の測定
- マーケティング投資対効果の証明
- クロスチャネルでの一貫した顧客体験の提供
- 確度の高い案件の創出
- マーケターの負担軽減、業務効率向上
- マーケティング部門と営業部門のシームレスな連携
- 受注率の向上
- 顧客満足度の向上
- 1人または1社が、ライフサイクル全体で企業にもたらす価値であるLTV(生涯顧客価値)の向上
- リードのファン化
- 再購入の促進
- 売上アップ
MAを導入する企業が増えている理由
MAを導入する企業は年々増加しており、その市場規模も拡大を続けています。矢野経済研究所の分析によれば、2020年のMA市場における売上見込みは447億3,500万円(前年比111.3%)。その後も、2025年まで右肩上がりの成長が予測されています。
では、MAを導入する企業が加速度的に増加しているのはなぜなのでしょうか。
顧客行動のオンライン化によるデジタルマーケティングへのシフト
MAを導入する企業が増えている最大の理由は、顧客行動のオンライン化に伴って、デジタルマーケティングに舵を切る企業が増えたからです。
これまで、顧客が何らかの課題を抱えていた場合、営業担当者に相談し、提示された製品やサービスの中から最適なソリューションを探すのが一般的でした。しかし、インターネットが普及すると、顧客は営業に相談するよりも先に自身で検索して情報を収集するようになり、営業がアプローチしたときには、すでに製品やサービスを導入しているケースが増えてきたのです。
その結果、企業は顧客の検討段階から接点を持つ必要に迫られました。そこで、自社の製品やサービスを比較検討の対象に選んでもらうことを目標として、自分たちもデジタルシフトしてマーケティング活動を行うようになったのです。オンラインベースで潜在的な需要をすくい上げ、求められる情報を的確に発信するために、MAの利便性に注目する企業が増えたといえます。
マーケティングプロセスの細分化
顧客のデジタルシフトによって、実店舗や広告、口コミがメインだった企業と消費者との接点に、検索やSNSが加わりました。これに伴って、消費者の購買行動は多様化・複雑化し、対応するマーケティングプロセスも細分化しています。
変化したマーケティングプロセスを、すべて人の手で行うのはほぼ不可能です。より効率的に、かつ正確にマーケティング活動を行うために、MAを導入するケースが目立つようになってきました。
MA導入のタイミング
MAの新規導入を検討する場合、どのようなタイミングが望ましいのでしょうか。MAの導入を考えるタイミングとしては、大きく下記の3つが考えられます。
新規顧客の開拓が困難な状況
MAを導入するタイミングのひとつは、前述したような顧客行動の変化によって、新規顧客開拓が困難に感じるようになったときです。
特に、BtoBビジネスでは、市場の成熟とともに新規顧客の開拓が困難になり、既存顧客との関係維持によるリピートの増大と、より効率的で成約率の高い方法での新規顧客開拓に注力する必要性が高まりました。
MAの強みである既存顧客へのアップセル・クロスセルや、リードナーチャリングなどに期待してMA導入を考えてみるといいでしょう。
顧客のデータが増えて管理が難しくなったとき
顧客のデータが増え、手作業での管理が難しくなった場合も、MAを導入するタイミングといえます。MAを使うと、個別に管理していた顧客データを一元的に管理し、顧客に対して個々のニーズを察知して、パーソナライズされた情報提供やフォローを行うことが可能です。
なお、顧客の行動に合わせたアプローチの優先順位づけも、MAで自動化できます。また、常にMAで対応を自動化するだけでなく、人的な対応にも切り替えられます。
マーケティング活動を効率化したいと考えるようになったとき
マーケティング活動を効率化したいと考えるようになったときも、MA導入のタイミングだといえるでしょう。MAを導入することで、マーケターの工数や人為的ミスを減らし、より効率的なマーケティング活動をすることができます。
例えば、顧客行動に基づいた分類やメール配信などのマーケティング活動、レポーティングなどを自動で行えるようになります。また、ランディングページの作成やウェビナー運営などの定型的な業務も、MAの複製機能で効率化が可能です。
MAの費用対効果については、下記の記事で詳しく説明しています。
マーケティングオートメーションの社内稟議を通すには
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MAを乗り換えるタイミング
では、MAの乗り換えは、どのようなタイミングで考えるべきなのでしょうか。代表的な3つのタイミングについて解説します。
MAの機能面に不満がある
「MAを導入してみたものの、必要な機能が備わっていなかった」「MAの強みと、自社が強化したい部分にずれがあった」といった機能面に対する不満は、乗り換えを検討するきっかけのひとつです。
同じMAツールでも、提供している企業によって特徴や搭載されている機能には違いがあります。自社がMAを使って何をしたいか、どのプロセスを強化したいのかをよく考え、目的にマッチするMAを選びましょう。
MAに費用対効果が感じられない
MAを導入したものの、投資金額に見合った効果が感じられない場合も、乗り換えのタイミングかもしれません。
MAに費用対効果が感じられないケースとしてよくあるのは、成功のための支援を受けられない、ベストプラクティスを共有してもらえないなど、費用に対してサービスが充実していないケースです。コンサルティングサービスやユーザーコミュニティによる情報共有など、サービスにも注目してMAの乗り換えを検討しましょう。
MAでさらに高い効果を得たい
MAを使って一定の成果は出ているものの、より高い効果を求める場合には、さらに高度な機能を持つMAへの乗り換えを考えるといいでしょう。具体的には、下記のような状況が考えられます。
<高度な機能を持つMAへの乗り換えを検討する状況>
- 既存のツールとの連携性を高めたい
- ユーザーごとに、多岐にわたるチャネルを使い分けたい
- 行動履歴から、より丁寧なコミュニケーションを実現したい
- 広告宣伝費を削減して、集客率や商談数を高めたい
MAの導入や乗り換えの際に検討すべきポイント
MAの導入や乗り換えにおける失敗を防ぐには、まずは自社製品やサービスの購買プロセスを整理し、ボトルネックの改善や課題解決のための活動を洗い出すことが欠かせません。その上で、「機能面(使いやすさ)」と「費用対効果」に注目して比較検討することが大切です。
自社の課題に合った機能があり、使いやすいか
MA導入の目的は、マーケティングにおける課題を解決することです。まずは、自社のマーケティングにおいてボトルネックになっている部分はどこか、より強化したい部分はどこか、マーケティングのプロセス全体を見直して洗い出しましょう。この際に、現時点で非効率だと感じている部分や、「あったらいいな」と感じている機能について、できるだけ細かいところまで言語化しておくと比較検討がしやすくなります。
例えば、「作業効率を高めたい」というニーズは、「もっと簡単にコンテンツやメールを作成したい」「リード管理を楽にしたい」といったように、細分化できます。
細分化されたニーズに照らし合わせる形でMAの機能をチェックしていくと、課題解決をサポートする機能があるもの、強みが自社のニーズに合致するものを絞り込みやすいでしょう。
なお、Marketo Engageには、以下のような便利な機能が搭載されており、作業の効率化が可能です。
<Marketo Engageの代表的な機能>
- 収益プロセスのサイクル全体を可視化する機能
- 長期的なシナリオを設計する機能
- リードやキャンペーンなどに紐づく情報を、メールの文面やレポート、フォームなどに設定できる、マイトークン機能
- 属性や行動履歴を基にリードを絞り込んで施策を実行できる、スマートキャンペーン機能
ご参考までに、収益プロセスを可視化する機能は以下のデモ動画でご覧いただけます。
ライフサイクルの考え方
デモ動画をみる
十分な費用対効果が得られるか
MAの導入や乗り換えの際に、機能面の次に気になるのが費用対効果でしょう。たとえ費用が高くなったとしても、得られる効果が大きくなれば、マーケティング活動にもプラスになります。
費用対効果を検証するためには、「MAの導入や運用にかかる費用に対して、どれくらいのリターンを求めるのか」という目標数値を設定します。その際には、マーケティング活動のどのプロセスを改善すれば費用対効果が高まるかを考えることが重要です。
費用対効果の測定方法については、後程詳しく説明します。
なお、MAはある程度長期的な戦略に基づいて運用するものであり、導入した年に投資を回収できるパターンは多くありません。費用対効果を考える際には、MA導入からリターンを得るまでの期間についても考慮するようにしましょう。
MAの費用対効果を測定する方法
費用対効果は、MAの導入・乗り換えの際の重要な指標です。費用対効果の測定には、施策の洗い出しや目標設定などが必要になります。最後に、MAの費用対効果の測定方法をご説明します。
1. 自社の収益プロセスを定義し、各ステージにおける施策を洗い出す
初めに、自社がどのようなプロセスを経て収益を上げているかを整理し、収益プロセスを定義します。収益プロセスが定義できたら、「認知している段階」「購入を検討している段階」など、収益を得るまでのステージの遷移や、各ステージで実施している施策を洗い出します。
収益プロセスや各ステージでの施策が食い違っていると、MAを導入しても根本的なビジネスの解決にはつながりません。必ず収益プロセスの定義と各ステージでの施策の洗い出しを行いましょう。
2. 数値で目標を立てる
定義した収益プロセスを基に、ボトルネックとなっている部分を見つけ、具体的な改善の指標を立てます。
よく使われる指標は、売上金額、見込み顧客数、受注につながる商談数などです。
3. MA導入にかかる費用を比較する
自社の課題を解決できるMAを機能面で絞り込み、費用で比較します。初期費用のほか、ランニングコストやMAを運用するメンバーの人件費も確認しましょう。
4. 指標を基に検証する
MA導入後、投資した費用に見合う成果を得られているかどうか、指標を基に検証します。
MAを導入すると、具体的な数値に変化が見られる前に、マーケティングを行うメンバーの工数削減によって効果が実感できるケースも少なくありません。メンバーに対して、導入前後の工数の変化と、それに伴う負担感の変化をヒアリングするといいでしょう。
自社の課題を明確にし、機能面と費用対効果に注目して最適なMAを選ぼう
MAの導入や乗り換えの際には、まずは自社の収益プロセスを明確にし、解決したい課題を明確にしましょう。選定にあたっては、機能面と費用対効果にも注目し、自社のマーケティングプロセスとその課題に応じて検討することが重要です。
Marketo Engageは、マーケターの工数削減につながる多くの機能を備えた、費用対効果を実感できるMAツールです。社内に導入を提案したいとお考えの方は、下記のeBookをご覧ください。
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