リードナーチャリングとは?成果につながる手法やプロセス、ツール、事例を徹底解説
リードナーチャリングとは、獲得した見込み顧客(リード)の購入意欲を高め、将来的な受注につなげていくマーケティング方法です。
この記事では、リードナーチャリングの概要やメリット、代表的な手法、プロセスを解説します。併せて、リードナーチャリングを成功させるためのツールや、成功事例についても紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
リードナーチャリングとは?
初めに、リードナーチャリングの意味や、一緒に用いられることの多い「リードジェネレーション」「リードクオリフィケーション」との関係性を解説します。
リードナーチャリングの意味
リードナーチャリング(Lead Nurturing)の「リード」は見込み顧客、「ナーチャリング」は育成することを意味します。つまり、リードナーチャリングとは「見込み顧客を育成すること」です。
リードナーチャリングには、見込み顧客に段階的かつ継続的なアプローチをすることで、自社の製品やサービスを深く理解してもらい、購入意欲を高める目的があります。
製品やサービスの認知から購入、契約に至るまでの期間が長いBtoBマーケティングで、特に重要とされる仕組みです。
だし、BtoCマーケティングでも、不動産や金融商品などの検討に時間をかける商材においては、リードナーチャリングは有効な方法とされています。
リードジェネレーションやリードクオリフィケーションとの関係性
リードナーチャリングには顧客の購入意欲を高める役割がありますが、その前提として、自社の製品やサービスに興味を持ってもらう必要があります。また、購入意欲を高める施策をしただけでは、効率的な受注につながりません。
そのため、マーケティングは以下の流れで進めていくのが一般的です。
- リードジェネレーション:見込み顧客の獲得
- リードナーチャリング:見込み顧客の育成
- リードクオリフィケーション:見込み顧客の選別
まずはリードジェネレーションとして、広告や資料請求、セミナーでの名刺交換など、オンラインやオフラインで自社の製品やサービスに興味を持つ顧客のデータを集めます。
その後、リードナーチャリングのマーケティング施策で見込み顧客の購入意欲を高めたら、そのなかでも特に受注につながりそうな顧客を、メール開封や資料請求などの行動から絞り込みます。
リードクオリフィケーションによって選別された受注確度の高い顧客は、「ホットリード」と呼ばれることもあります。ホットリードを明らかにしてから営業部門に引き継ぐことで、営業活動の生産性が高まるでしょう。
リードナーチャリングが注目される理由
近年、リードナーチャリングが注目されている理由は、大きく分けて3つあります。
1.インターネットの普及にともなう顧客行動の変化
これまで、顧客が製品やサービスを検討する際には、営業からの接触を待つか、自分から営業に連絡して情報を収集するのが一般的でした。
しかし、インターネットが広く普及した現在では、顧客は自らオンライン上で情報を収集し、比較検討するようになっています。
従来のように、営業が電話や訪問でアプローチしてきたときには、既に候補が絞り込まれて本格的な検討段階に入っていたり、選定を終えていたりすることも少なくありません。
急速なデジタル化にともなう顧客行動の変化を受けて、企業はできる限り早く顧客と接点を持ち、自社の製品やサービスを選択肢に加えてもらう必要があります。
2.購入までのプロセスの長期化
BtoBビジネスは、単価が高い商材が多く、意思決定に複数人が関わることから、購入までの期間が長期化する傾向があります。
さらに、インターネットの普及によって「検索」「比較」「検討」といった行動が加わり、購入プロセスはさらに長期化/複雑化しています。なかには、案件化までに数ヵ月から数年かかるケースもあるでしょう。
しかし、現時点で案件化できないからといって顧客を放置すると、大きな機会損失につながりかねません。リードナーチャリングで継続的に良質なコミュニケーションをとり、他社に顧客を奪われないようにすることが重要です。
3.休眠顧客の増加
休眠顧客とは、過去に商談や契約まで至ったものの、現在はやりとりがない顧客のことです。
休眠顧客は自社の製品やサービスを理解しているので、的確にフォローすれば優良顧客になる可能性があります。リードナーチャリングによって、休眠顧客とも接点を持ち続けることが、効率的な成果創出のポイントです。
リードナーチャリングを行うメリット
顧客の行動や購入プロセスの変化に対応できるリードナーチャリングには、以下のようなメリットがあります。
- 商談や受注の機会損失を防げる
- 営業効率や受注率が上がる
- 新規顧客開拓に追われずに済む
- 顧客との信頼関係を構築できる
これらのメリットについて、詳しく見てみましょう。
1.商談や受注の機会損失を防げる
購入までのプロセスが長期化するなか、営業がこまめにフォローしても、すぐに案件化できる顧客はごく一部に限られます。獲得した見込み顧客に一斉に売り込みをかけたところで、「まさに今購入しようと思っていた」というケースは多くないでしょう。
しかし、すぐに受注につながらないからといって顧客を放置すれば、いずれは他社に流出してしまいます。
アメリカのアドバイザリー会社であるForrester Research(旧SiriusDecisions)の調査では、「フォローを怠った見込み顧客の8割は、2年以内に競合に流出する」という結果も出ています。
こうした機会損失は、リードナーチャリングで長期的に接点を持ち続け、顧客の行動や興味の変化を見極めてアプローチしていくことで予防可能です。
2.営業効率や受注率が上がる
従来の営業では、見込み顧客のリストをもとに電話や訪問を繰り返し、何度も商談を重ねることで契約を獲得してきました。
特に、BtoBでは窓口となる担当者から決裁権のある上司までたどり着くのに時間がかかったり、たどり着く前に断られてしまったりすることも珍しくありません。
しかし、リードナーチャリングを適切に行えば、リードクオリフィケーションの精度も上がり、受注確度の高い顧客のリストを営業に引き継げます。
そのリストをもとに、営業は優先順位の高い顧客からアプローチできるので、営業効率と受注率を上げられるようになるのです。
3.新規顧客開拓に追われずに済む
成熟した業界はシェア獲得競争が激しく、新規顧客開拓には膨大な時間と労力が必要です。加えて、接点のない状態から新規顧客を獲得するコストは、既存顧客をフォローしていくコストの約5倍にもなるといわれています。
実際に、新規顧客の獲得に負担を感じているマーケティング担当者も多いのではないでしょうか。
リードナーチャリングで既存顧客との関係性を構築すれば、長期的に安定した利益を生み出すことが可能です。特に休眠顧客は、一度は自社の製品やサービスに興味を持ってくれているので、既存顧客のなかでも再度受注につながる可能性が高いと考えられます。
休眠顧客を中心に、既存顧客に継続的なアプローチを続けることで、新規顧客開拓に追われることなく売上を伸ばしやすくなるでしょう。
4.顧客との信頼関係を構築できる
リードナーチャリングにより、見込み顧客の状況を正しく把握し、適切なタイミングで必要なコミュニケーションを取り続けます。
そうすると、顧客は「いつもニーズや課題を理解してくれる」「自分にメリットがある情報を提供してくれる」と感じるため、ブランドや製品、サービスに対する信頼感が向上するでしょう。
顧客との関係性を強化できれば、複数の選択肢で迷ったときに、他社ではなく自社を選んでもらえるようになります。
リードナーチャリングを行う際の注意点
リードナーチャリングを実行する際には、メリットとともに注意点も押さえておきましょう。
成果が出るまでに時間が必要
見込み顧客のなかには、購入意欲が低い層も存在します。リードナーチャリングは、段階的かつ継続的なアプローチで少しずつ見込み度合いを高めていく活動なので、短期間で成果が出るわけではありません。
すぐに成果を出すことを目指すのではなく、機会損失を防ぐことや、着実に関係性を深めていくことなどを重視しましょう。
一定数の見込み顧客獲得が不可欠
リードジェネレーションからリードクオリフィケーションまでの流れを見てもわかるとおり、最終的に営業の対象となる顧客は絞り込まれます。
そのため、リードジェネレーションの段階である程度の顧客数を獲得できていないと、受注確度の高い顧客があまり残らず、思うような成果にはつながりません。
見込み顧客数が少ない場合は、リードナーチャリングよりも先に、リードジェネレーションの施策を見直す必要があるでしょう。
リードナーチャリングの代表的な手法
リードナーチャリングには、以下のような手法があります。
- メール
- オウンドメディアなどのwebコンテンツ
- セミナーなどのイベント
- リターゲティング広告
- SNS
ここでは、各手法の特徴などを紹介します。
メール
メール(メルマガ)の配信は、多くの企業が採用しているリードナーチャリングの手法です。見込み顧客の興味関心に応じた内容のメールを配信することで、購入意欲を高めることができます。
メール配信は、メールアドレスさえわかれば始められ、クリック率や開封率などの効果測定もしやすいという特徴があります。また、メールはコミュニケーションの手段として日常的に用いられているので、幅広い層にリーチできることもポイントです。
リードナーチャリングで配信するメールの種類は、大きく2つに分けられます。
ステップメール
ステップメールは、無料会員登録や資料請求など、決まったアクションを実行した顧客に配信するメールです。一斉メールであっても、顧客は「自分のことを理解してくれている」と感じます。
セグメントメール
セグメントメールは、年齢や性別、住所、訪問したページなどで顧客の属性を絞り込み、対象となるターゲットのみに配信するメールです。セグメントメールには、顧客の属性に応じたメッセージやキャンペーンの案内などを記載します。
なお、メールマーケティングについては、次のガイドで詳しく説明しています。
https://main--bacom-blog--adobecom.hlx.page/jp/blog/fragments/offer-003329-ma-basic-email-marketing
オウンドメディアなどのwebコンテンツ
オウンドメディアなどのwebコンテンツで有益な情報を提供し、顧客をファンとして育てていくコンテンツマーケティングも、リードナーチャリングの手法の一つです。提供する情報は、「企業ビジョン」「製品の強み」「顧客に役立つ情報」など多岐にわたります。
オウンドメディアでは、記事や動画、ホワイトペーパーといった多様な形式で情報を発信することも可能です。企業が良質な情報を提供し、顧客の感情に働きかけることで、購入意欲の向上が期待できます。
ただし、すぐに効果が出るものではないので、長期的な戦略設計が欠かせません。専任の担当者を配置する、または運用を外部に委託するといった方法で放置を防ぎ、スムーズな運用を心がけましょう。
なお、コンテンツマーケティングについては、次のガイドで詳しく説明しています。
https://main--bacom-blog--adobecom.hlx.page/jp/blog/fragments/offer-ma-dg2ecm
セミナーなどのイベント
セミナーや展示会などのイベントは、自社の製品やサービスに興味のある顧客に直接アプローチできるので、効果的にリードナーチャリングを行えます。
対面で相手の表情や反応を見ながら話すことで、購入意欲を高めやすいのがセミナーの強みです。参加する時点である程度の興味を持っている顧客が多く、効率がよい方法ともいえます。
一方で、製品の宣伝に終始するなど、セミナーの内容によっては顧客の反発や離脱を招くこともあるので注意が必要です。顧客が製品やサービスを導入するメリットを、具体的な事例を用いてイメージしやすくするとよいでしょう。
セミナーに関しては、会場を借りて行うオフラインのものだけでなく、オンラインのものも多く実施されています。
オフラインとオンラインのセミナーの特徴は、下記のとおりです。
オフラインのセミナー
オフラインのセミナーは、顧客と直接会って話ができるのが利点です。
一方で、会場の手配などに手間がかかる、セミナーの時間や場所が限定されてしまうといったデメリットもあります。
オンラインのセミナー(ウェビナー、webセミナー)
オンラインのセミナーは、会場を手配する必要がなく、時間や場所を選びません。そのため、遠方の顧客にもアプローチしやすいでしょう。
セミナーの内容を録画して同じ内容のセミナーを繰り返し開催する、チャット機能を活用して双方向でやりとりをするといったことも可能です。
オンラインのセミナー(ウェビナー、webセミナー)については、下記の記事で詳しく説明しています。
【関連記事】
ウェビナー(webセミナー)で成功するためのポイントとは?配信ツールをご紹介
リターゲティング広告
広告は、潜在顧客層にリーチする手段として、あるいは、接触の弱い顧客への認知度向上を目的として利用されます。特に後者については、リターゲティング広告がよく用いられます。
リターゲティング広告は、自社のwebサイトを訪れたものの離脱してしまった顧客を追跡し、他社のwebサイトを見ているときに広告を表示して再訪を促す方法です。
接触を繰り返すことで顧客の記憶に定着しやすくなるので、再び自社のwebサイトや製品ページを訪れた際には、コンバージョンに至る可能性が高いでしょう。
ただし、「追いかける」ことが顧客体験を妨げることもあります。さらに、リターゲティング広告の仕組みとして使われてきた3rdパーティCookieが、たとえ匿名だとしても、プライバシーの観点から見直されつつあります。
3rdパーティCookieが近い将来利用できなくなることを考慮すると、広告の役割も再検討が必要となるでしょう。
クッキーレスと呼ばれるこのトレンドについては、次のガイドで詳しく解説しています。
https://main--bacom-blog--adobecom.hlx.page/jp/blog/fragments/offer-003303-cookieless-world
SNS
スマートフォンが普及した今、SNSは一般に広く浸透し、発信される情報が顧客の行動や考え方に大きく影響を与えるようになりました。
SNSは、企業と顧客が近い距離で気軽にやりとりできるのが特徴です。多くの場合、無料でアカウントを作成できるので、SNSを始めるハードルも高くありません。
SNSによるリードナーチャリングは、特にBtoCビジネスで効果的ですが、顧客(企業担当者)の世代によってはBtoBでも有効です。顧客と直接コミュニケーションをとることで、ブランディングや好意的な情報の拡散も期待できます。
代表的なSNSであるX(旧Twitter)やInstagram、Facebookなどのなかから、自社のターゲットに適したものを選んで情報を発信しましょう。
ただし、webコンテンツと同様に、効果が出るまでには一定の期間を要するので、良質なSNSコンテンツを発信し続けることが大切です。
リードナーチャリングを実践するためのプロセス
リードナーチャリングは、以下の手順を追って進めましょう。
- 顧客情報の収集と一元化
- 顧客のセグメント
- ステージの細分化
- カスタマージャーニーマップの作成
- コンテンツの作成
- 営業部門との密な連携
ここでは、各プロセスを順に解説していきます。
1.顧客情報の収集と一元化
まずは、自社内に散在する見込み顧客の情報を集め、一つに集約します。
企業には、セミナーや訪問などで入手した名刺、オウンドメディアで入手したメールアドレスといったように、異なるアプローチで獲得した顧客情報が混在しています。場合によっては、営業が個人で管理していたり、部門ごとに管理していたりする情報もあるでしょう。
2.顧客のセグメント
続いて、一元化した顧客情報をもとに、見込み顧客をセグメントしましょう。
「顧客をセグメントする」というのは、年齢や性別、住所、職業、過去の取引履歴や直近の購入行動など、特性や傾向にもとづき、顧客を分類することを意味します。
例えば、みずから情報を求めて展示会に来た顧客なのか、通りすがりでたまたま立ち寄った顧客なのかによって、ニーズは異なります。顧客を分類してニーズを分析することで、フォローが必要な顧客を特定可能です。
顧客のセグメントについては、以下の記事を参考にしてください。
【関連記事】
顧客セグメンテーションとは?マーケティングに活かせる分類、評価、活用方法
3.ステージの細分化
顧客を分類したら、必要な対応を見極めやすくするために、顧客が製品やサービスに興味を持ってから購入に至るまでのステージを細分化します。ステージを分ける際には、「AIDMA」「AISAS」「DECAX」「TPCM」などのフレームワークが役立ちます。
ただし、BtoBでは企業によって購入プロセスが異なり、フレームワークが当てはまらない場合もあるでしょう。
また、インターネットやSNSがコミュニケーションチャネルとして一般化した現在では、典型的なフレームワークだけで顧客のステージを把握しにくいケースもあります。
フレームワークはステージを細分化する際の基本として把握しつつ、自社の状況に応じたプロセスを明確にすることが重要です。以下では、上記に挙げた代表的なフレームワークを紹介します。
AIDMA
AIDMAは、インターネットが普及する前の1920年代に、アメリカのS. Roland Hall氏が提唱したフレームワークです。
- A ttention(注意):webサイトや雑誌、CMなどで製品やサービスの存在を知る
- I nterest(興味関心):製品の強みや類似製品との違い、機能などを知り、興味を持つ
- D esire(欲求):製品やサービスを利用することで「自分の望みが叶えられそうだ」と感じ、購入意欲を高める
- M emory(記憶):欲求が記憶に結びつき、広告などで存在を思い出す
- A ction(行動):きっかけによって、行動を起こす(購入する)
AISAS
AISASは、株式会社電通が1995年に提唱したフレームワークです。AIDMAとの違いは、インターネットの普及を反映しており、顧客が主体的に情報を収集するプロセスと、購入後に情報を共有するプロセスが追加されている点です。
- A ttention(注意):webサイトや雑誌、CMなどで製品やサービスの存在を知る
- I nterest(興味関心):製品の強みや類似製品との違い、機能などを知り、興味を持つ
- S earch(検索):インターネットで検索して情報収集をする
- A ction(行動):行動を起こす(購入する)
- S hare(共有):購入してよかったと感じた製品やサービスについて、SNSなどで情報を共有する
DECAX
DECAXは、2015年に電通デジタルホールディングスの内藤 敦之氏が提唱したフレームワークです。コンテンツマーケティングが顧客の行動に与える影響を加味しています。
- D iscovery(発見):コンテンツをきっかけに製品やサービスを見つける
- E ngage(関係):コンテンツを何度も閲覧することで、企業との関係を深める
- C heck(確認):企業の信頼性や、製品やサービスの詳細情報を確認する
- A ction(行動):行動を起こす(購入する)
- e X perience(体験と共有):製品やサービスを実際に体験し、経験をSNSなどで共有する
TPCM
TPCMは、株式会社電通が開発したフレームワークです。ターゲットが抱いているパーセプション(製品や企業に対する印象)を、コンテンツと手法によって望ましいものに変化させることで、購入に導くというプロセスになっています。
- T arget(ターゲット)、P erception(印象):ターゲットにどんな印象を抱いてほしいのか考える
- C ontents(コンテンツ):ターゲットに望ましいパーセプションを抱いてもらうためのコンテンツを作成する
- M eans(手法):コンテンツを適切な手法で届ける
4.カスタマージャーニーマップの作成
ステージの細分化が完了したら、顧客のセグメントごとに「カスタマージャーニーマップ」を作成します。
カスタマージャーニーマップとは、顧客が自社の製品やサービスを認知してから購入するまでの流れにおいて、顧客の感情や思考、行動を時系列で可視化したものです。
顧客視点で「認知」「検索」「行動」といったステージごとの状況を確認できるので、顧客が抱えるニーズや課題を発見、理解しやすくなるでしょう。
5.コンテンツの作成
カスタマージャーニーを明確にしたら、購入までの各ステージにおけるタッチポイントで、顧客の背中を押すようなコンテンツを作成します。
例えば、初めて展示会を訪れた顧客に対しては、認知の段階なので自社サービスの特徴や強みなどを紹介したコンテンツを作成し、メールで配信します。
一方、ホワイトペーパーをダウンロードした顧客は、購入の前段階にいると考えられるので、製品の具体的な紹介や、無料デモキャンペーンの案内などを送ると効果的です。
ただし、顧客は想定どおりに行動してくれるとは限りません。リスティング広告やSNSなどを活用して、顧客が行動を起こすきっかけづくりも行いましょう。
6.営業部門との密な連携
営業が介在するビジネスモデルでは、リードナーチャリングを行うのはマーケティング部門ですが、最終的に商談から受注を目指すのは営業部門です。
そのため、インサイドセールスを含めた営業部門と連絡を密にとり、営業部門が求める見込み顧客の定義を明確にして、リードナーチャリングの完了のタイミングを決める必要があります。
また、マーケティング部門が提示する製品やサービスの情報と、営業が提案する内容に齟齬があると、顧客は「期待を裏切られた」「話が違う」と感じて離れてしまいます。
このような形で失注した顧客を取り戻すのは難しいので、お互いがどのような情報をどのように提供しているのか、常に共有しておきましょう。
営業とマーケティングの連携強化に関しては、次のガイドで詳しく説明しています。
https://main--bacom-blog--adobecom.hlx.page/jp/blog/fragments/offer-ma-lead-to-revenue-practice
リードナーチャリングを成功に導くポイント
ここでは、リードナーチャリングを成功させるためのポイントを解説します。
適切なKPIの設定
リードナーチャリングに取り組む際には、数値化できる「KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)」を設定しましょう。KPIとは、各プロセスの達成状況を観測するための、中間指標のことです。
適切なKPIを設定できれば、現状を正しく把握し改善につなげたり、施策の優先度や注力度を調整したりすることもできます。
スコアリングによるホットリードの定義
「リードナーチャリングとは?」の章でお伝えしたとおり、ホットリードとは「受注確度の高い顧客」のことです。しかし、見込み顧客がどのような状態になればホットリードなのかは、個人の裁量判断とするのではなく、明確に定義しておく必要があります。
その際に有効なのが、購入意欲を数値化する「リードスコアリング」です。スコアリングでは、「メルマガ開封:3点」などといった形で見込み顧客の興味関心や行動を点数化し、「スコア◯点以上になればホットリード」と定義します。
ホットリードの定義については、営業部門と共有しておきましょう。
MAの機能を理解してリードナーチャリングを効率化
リードナーチャリングでは、複雑化した顧客の購入行動に対応し、ステージに合った的確なアプローチをすることが大切です。しかし、顧客一人ひとりの行動や属性に応じたコンテンツを手作業で配信するのは、現実的ではありません。
リードナーチャリングを効率的に行うには、MA(マーケティングオートメーション)の活用がおすすめです。ここでは、MAのおもな機能を見てみましょう。
顧客情報の一元管理
MAでは、顧客に関する以下のような情報を一元管理できます。
- セミナーや展示会、直接訪問した際などに交換した名刺
- Webサイトでの資料請求などで獲得したメールアドレスや個人名、企業名
- 過去に取引していた休眠顧客の情報
- 現在もアクティブな既存顧客の情報
MAを活用すれば、ステージやステータスを含めた見込み顧客の情報が企業全体の財産となり、条件を満たす顧客を漏れなくフォローできます。
また、企業内での顧客情報の重複を解消し、トラブルを未然に防ぐことにもつながります。
シナリオに沿ったキャンペーンの展開
リードナーチャリングでは、カスタマージャーニーに沿ってシナリオを設定し、施策を展開していきます。
MAを使うことで、シナリオの設計やキャンペーンの実施を自動化でき、適切なタイミングで見込み顧客に情報を届けることができます。
シナリオについては、以下の記事を参考にしてください。
【関連記事】
顧客のオンラインのアクティビティの可視化
MAを活用すれば、以下のような顧客のオンラインでの行動を追跡し、解析できます。
- 顧客がどの経路で自社のwebサイトを訪問したのか
- どのページを見てどこで離脱したのか
- コンバージョンに至ったのはどんな顧客だったのか
また、メール配信においても、メールの開封率や本文中のURLクリック率などの行動を追跡可能です。こうした機能により、顧客の状況に応じた施策の改善や、新たな施策の展開を検討できるでしょう。
なお、本章で挙げた機能のほかに、リードスコアリングやランディングページの作成なども、MAツールで対応可能です。
https://main--bacom-blog--adobecom.hlx.page/jp/blog/fragments/offer-marketo-dg2ma
リードナーチャリングに最適なアドビの「Adobe Marketo Engage」
アドビのAdobe Marketo Engageは、全世界で5,000社以上が導入しているMA製品です。
リードナーチャリングのプロセスは、企業規模や業種によっても異なります。Adobe Marketo Engageは、体系化された豊富なノウハウをもとに、あらゆる企業のリードナーチャリングを的確にサポートします。
リードナーチャリングに関する、Adobe Marketo Engageの代表的な機能は下記のとおりです。
1.最適化されたメール配信を自動で実施
Adobe Marketo Engageでは、最適化されたメールキャンペーンを自動で実施できます。
メールの一斉配信のほか、以下のようなオンラインおよびオフラインの行動をきっかけとした、トリガーメールの自動配信も可能です。
- Webページへの訪問
- フォームの入力
- SNSでのシェア
- イベントへのチェックイン
顧客の行動や属性の変化をリアルタイムで反映し、最適なタイミングで最適な内容のメールを配信します。
2.マルチチャネルのキャンペーンを簡単に作成
製品に対する興味関心や購入意欲などにもとづき、モバイル、web、広告といった複数のチャネルにまたがるキャンペーンを、高度にパーソナライズして作成可能です。
Adobe Marketo Engageで体験の一貫性を向上させ、顧客との関係性を強化しましょう。
3.効果的なOne to Oneマーケティングを実行
Adobe Marketo Engageなら、蓄積した行動情報をもとにOne to Oneマーケティングを実行し、顧客と良好な関係性を構築できます。
一日当たり、一週間当たりのメールの送信数を制限するほか、各チャネルの閲覧状況をトラッキングすることで、重複したコンテンツの送信を防止して対話の特別感を高めます。
4.営業支援ツールとのスムーズな連携
Adobe Marketo Engageは、CRM(顧客管理システム)や、SFA(営業支援システム)といったツールとも連携できます。
購入意欲が高まった見込み顧客の情報や、失注あるいは商談化しなかった顧客の情報を、営業とスムーズに共有可能です。
https://main--bacom-blog--adobecom.hlx.page/jp/blog/fragments/page-products-adobe-marketo-engage
リードナーチャリングにおけるAdobe Marketo Engage活用事例
Adobe Marketo Engageの活用により、様々な業種の企業がリードナーチャリングに成功しています。
小学館集英社プロダクションでは、採用コストの最適化を目指す過程で採用活動にマーケティング思考を取り入れ、Adobe Marketo Engageを導入しました。
Adobe Marketo Engageで作ったライフサイクルモデルをもとに、ボトルネックを検証。属性情報や志望度合いに応じてナーチャリングメールを送信するなど、認知拡大から選考に至るプロセスを見直しました。
その結果、情報収集段階の人材への継続的なアプローチに成功し、エントリーから選考へ進む人数が前年比で50%増に改善。それにともない、入社人数も前年比45%増まで向上しました。
小学館集英社プロダクションの事例については、下記の記事で詳しく紹介されています。
【サイト外ページ】
Web担当者Forum「採用マーケティング」がアツい! 選考者数を前年比50%UP 小学館集英社プロダクションの取り組み
リードナーチャリングにMAを活用しよう
リードナーチャリングは、商談や受注の機会損失を防ぎ、営業効率の向上に貢献するなど、マーケティングに欠かせない方法です。一般的には、メールやwebコンテンツ、イベントなどを通じて、リードナーチャリングを実施します。
しかし、リードナーチャリングのすべてをマーケティング担当者の手作業で行うのは、効率的ではありません。MAを活用して、見込み顧客が求めている情報をリーチしやすい方法で発信し、製品やサービスの購入につながる良好な関係を築いていきましょう。
アドビが提供するMA製品「Adobe Marketo Engage」は、多彩な機能やオンライントレーニングなどのサポートサービスで、企業のマーケティング活動に貢献します。導入に関するご相談は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
また、リードナーチャリングのさらに実践的な内容を知りたい方は、以下の無料ガイドを参考にしてください。
https://main--bacom-blog--adobecom.hlx.page/jp/blog/fragments/offer-003372-dg-lead-nurturing
(公開日:2021/7/21)