B2Cマーケティング
B2Cマーケティングとは、企業を顧客としてターゲティングするマーケティング(B2Bまたは企業対企業マーケティング)ではなく、個人消費者を顧客としてターゲティングするマーケティング(企業対消費者マーケティング)のことです。
ポイント
- 突きつめていくと、B2CとB2Bのマーケティングモデルは、どちらも人を対象としたマーケティングが関わるため、多くの共通点があります。B2CマーケターとB2Bマーケターのターゲットとの関わり方に若干違いがあるだけです。
- B2B企業とB2C企業では、顧客層の規模が異なるため、顧客へのマーケティングや主要な顧客情報を追跡するために使用するテクノロジーやツールの種類が一般的に異なります。
- B2Cマーケターにとって大きな課題は、顧客の行動を常に予測し、それを先取りすることです。B2Cはペースが速く、市場の変化は一夜にして起こることもあります。
B2Cマーケティングに関する様々な疑問に、Kevin Lindsayが回答します。Kevinは、アドビのデジタルエクスペリエンス(DX)ビジネスのプロダクトマーケティング担当ディレクターで、10年以上にわたってアドビのDXに関するプロダクトマーケティングをリードしてきました。Kevinは、最適化、パーソナライゼーション、デジタルアセット管理、カスタマージャーニー管理に注力しています。
目次用
もくじ
- 「B2C」と「B2B」という用語はどのような意味ですか?
- B2BとB2Cの顧客の違いは何ですか?
- B2Cの特徴でB2Bに当てはまらないものはありますか?
- B2Cマーケティングの課題は何ですか?
- B2Bでは活用しないB2Cのマーケティング戦略はありますか?
「B2C」と「B2B」という用語はどのような意味ですか?
「B2C」とは「企業と消費者の取引(business-to-consumer)」の略です。これは、個人の購入者に適応したビジネスモデルの一種です。最も一般的なビジネスモデルと言えます。それは、ビジネス関係者よりも一般消費者の方が幅広いレベルでマーケティングしやすいからだと考えられます。多くの人が認知し、日常的にやり取りするブランドはおそらくB2Cですが、人気ブランドでなくてもこのビジネスモデルに該当する場合があります。
「B2B」とは「企業と企業の取引(business-to-business)」の略で、企業やビジネス関係者をバイヤーとしてターゲットするビジネスモデルの一種です。B2Bビジネスの例としては、企業向けにソーシャルメディアでのプロモーション用コンテンツを制作する広告代理店や制作会社が挙げられます。多くの人は、B2Bブランドにあまり馴染みがありません。
B2C企業の中にも、消費者と企業関係者の両方に対してマーケティングを実施するB2Bビジネスモデルを採用している企業があります。アドビは、消費者と企業の意思決定者の両方に向けて製品を開発している企業であり、両方のビジネスモデルを採用している企業の代表的な例です。
B2BとB2Cの顧客の違いは何ですか?
B2C顧客は通常、消費者と呼ばれます。消費者とは、自らのニーズや要望を満たすために商品やサービスを購入する人のことです。自分自身や家族、友人のために、商品やサービスを購入すれば、それがクッキー1箱であってもスポーツカーであっても、その人は消費者です。
B2B企業の場合、「顧客」という用語の意味はより複雑です。バイヤーをターゲティングすることに変わりはありませんが、そのバイヤーは企業内の特定の意思決定者であり、通常、CMO、CEO、CFOなどの役割によって分類されます。つまりは、B2Bマーケターがマーケティングの対象にするのは人ではなく、企業です。
突きつめていくと、B2CとB2Bマーケティングは、どちらも人を対象としたマーケティングが関わるため、多くの共通点があります。しかし、マーケターがターゲットと関わる方法に若干の違いがあります。
B2Cの特徴でB2Bに当てはまらないものはありますか?
一般的に、B2Cでの購入はB2Bでの購入よりもはるかに小規模な投資となります。これは、B2Bでの購入は企業全体が対象になるからです。また、B2Bの購入プロセスは、B2Cの購入プロセスよりも長いのが一般的で、複数のステップと複数の意思決定者が存在します。また、B2Bマーケティングでは企業と顧客の関係が重視されますが、B2Cマーケティングでは通常必要ありません。
コンピューターや家電製品、自動車など、消費者が購入するものの中には、意思決定のプロセスが長く、B2Bのバイイングジャーニーに似ているものがあります。例えば、住宅ローンを組む場合、認知から申し込み、住宅ローンの審査を経て、最終的に住宅を契約するまでの様々なステップを通ることになります。このような長いバイヤージャーニーは、B2B企業にとっては典型的なものです。
しかし、B2CとB2Bの違いは、バイヤージャーニーの長さや取引の大きさだけではありません。もうひとつの重要な違いは、マーケターが顧客をターゲティングし、主要な顧客情報を追跡するために使用するテクノロジーやツールの種類です。B2CとB2Bのビジネスモデルでは、顧客層の規模が異なるため、採用するテクノロジーも異なります。例えば、小規模なB2Cビジネスでは分析機能をまったく使用していないかもしれませんが、大規模なビジネスでは様々な側面で高度な分析技術を使用していると考えられます。
B2Cマーケティングの課題は何ですか?
B2Cマーケターにとって大きな課題は、顧客の行動を常に予測し、それを先取りすることです。B2Cはペースが速く、市場の変化は一夜にして起こることもあります。人気の流れが変わることもあります。
B2Cマーケターにとって重要なのは、こうした市場の変化に迅速に適応できるツールを利用することです。有効な手段のひとつとして、情報のギャップを埋めるためにデータを利用することが上げられます。ただし、インサイトに優れたデータもあれば、相関性や推測を示すだけのデータもあることに留意してください。マーケターは、データに関して、関連性のあるもの、やや関連性のあるもの、関連性のないものを見分けて、どれに因果関係があり、どれが偶然なのかを理解する必要があります。
B2Bでは活用しないB2Cのマーケティング戦略はありますか?
この質問に対する明確な答えはありません。というのも、ほとんどの戦術は両方のビジネスモデルに当てはまるからです。どちらのビジネスモデルも顧客体験を重視しており、潜在顧客の獲得や既存顧客の維持のために様々な戦略を使用します。B2CマーケターもB2Bマーケターも、検索エンジン最適化(SEO)、電子メールマーケティング、デジタルマーケティングなどのマーケティング活動をおこないます。
時には、マーケティングキャンペーンに使用されているビジネスモデルの違いを見分けられないこともあります。例えば、アセットマネジメント企業が、ソーシャルメディアを利用したブランド認知度向上キャンペーンで、アドビの社員をターゲットにするとします。従業員一人ひとりを対象とするのか、それともアドビという企業を対象とするのかによって、これはB2CマーケティングにもB2Bマーケティングにもなりえます。というのも、同じメッセージがどちらのビジネスモデルでも有効かもしれないからです。
ほとんどの戦術がB2CでもB2Bでも通用する理由は、B2Bの意思決定者もまた消費者であるからです。大きな違いは、プロ向けか一般向けかの訴求トーンだけかもしれませ。B2Bブランドでは、プロ意識と親しみやすさのバランスがとれたトーンを維持したいと考えます。これはB2Cとは大きく異なります。B2Cでは、ブランドとのやり取りは、必要に応じて非常にカジュアルになることもありますが、それでも消費者から高い好感度を得て良い関係を築くことができます。