ビジネス分析
用語集:用語
クイック定義
ビジネス分析とは、データサイエンスを利用して、意思決定に役立つモデルを構築し、様々な方法で組織のプロセスを改善することです。
重要ポイント
● ビジネス分析には、記述的分析や予測分析など、いくつかの種類があり、ビジネスの成果を向上させるための目的と方法が異なっています。
● ビジネス分析は、組織がパフォーマンスを改善するために、ビジネスプロセスの何が機能していて、何が機能していないのかを判断するためのインサイトを獲得する、最も優れた効果的な方法です。
● 将来的には、AI(人工知能)とマシンラーニング(機械学習)がビジネス分析に大きな影響を与えるでしょう。ビジネス分析でAIが利用されることで、より誰もが活用できるようになります。
ビジネス分析に関する様々な疑問に、Nate Smithが回答します。Nateは、Adobe Analytics Cloudのプロダクトマーケティング担当グループマネージャーです。複数のアドビ製品において、戦略開発、製品ローンチ、ポジショニングおよびメッセージング、価格設定およびパッケージ、販売力強化、製品要件、競合分析を統括しています。アドビでのキャリアは約11年に及び、それ以前はマーケティングストラテジストとして6年の経験を有しています。
企業にとってビジネス分析は常に利用する必要があるものですか?
質問:ビジネス分析とは何ですか?
回答: ビジネス分析とは、データサイエンスを利用して、意思決定に役立つモデルを構築し、様々な方法で組織のプロセスを改善することです。企業は日々、顧客行動や売上、コンバージョンなどに関する莫大なデータセットを収集しています。データは様々な場所から取得されますが、ほとんどの場合、単一のデータリポジトリに保存されます。ビジネス分析は、様々な方法やモデルを用いて、このデータを組織のパフォーマンスの改善に役立つインサイトに変換します。
質問:ビジネス分析にはどのような種類がありますか?
回答: ビジネス分析にはいくつかの種類があります。
記述的分析 では、履歴データを利用して、企業のビジネスプロセスの傾向を把握します。記述的分析の実例としては、広告代理店による、販売データやマーケティングキャンペーン、ソーシャルメディアの利用状況、エンゲージメントデータなどに関する報告が挙げられます。
診断的分析 は、記述的分析よりもさらに詳細な分析で、特定の結果の背景にある理由を探ります。つまり、データを取得して相関性を判断します。診断的分析の実例としては、サイバーセキュリティチームが、従業員の電子メールのパスワード強度と組織内のセキュリティ侵害数との間に相関性を導き出すことが挙げられます。
予測分析 とは、履歴データを用いて、起こりうる結果やイベントを判断することです。予測分析では、マシンラーニングやAIを利用することで、より正確に予測することができます。予測分析の実例としては、eコマース企業が、データを利用して、買い物かごを放棄する可能性の高い顧客を特定することが挙げられます。
処方的分析 は、予測分析をさらに高度にしたもので、企業が目標を達成するために取るべき行動を推奨するために使用されます。処方的分析の実例としては、宝石会社が、あるブレスレットを購入した顧客の多くが、特定のネックレスも購入していることを知り、ブレスレットしか購入していない顧客にそのネックレスを宣伝することが挙げられます。
多くのビジネスアナリストは、主に記述的分析と予測分析を使用しますが、他の2種類の分析も企業にとって価値のあるものです。
質問:ビジネス分析とデータ分析の違いは何ですか?
回答: ビジネス分析では、多くの場合、データ分析と同じテクノロジーを使用します。どちらも同じ種類のツールを使用しますが、ビジネス分析では、既存のワークフローやプロセスに重点を置き、ビジネスアナリストが分析を実行します。ビジネスアナリストは、データを確認しながら、購入プロセスや売上の最適化など、ビジネスプロセスを向上させるための方法を検討します。これは、データ分析の中でもかなり焦点が絞られた分野です。
一方、データ分析はデータサイエンティストが実行するもので、より幅広く、より技術的な部分を担当します。ビジネスアナリストは、データサイエンティストほど技術的ではありません。データサイエンティストはデータを変換し、ビジネスアナリストは変換されたデータセットを使って、既存のプロセスや測定基準を最適化するための情報を他の部署に伝えます。データサイエンティストは、データを深く掘り下げ、傾向や関連性を判断します。ビジネスアナリストは、そのデータを組織のプロセスに関する有益なインサイトに変換します。
質問:ビジネス分析とビジネスインテリジェンスの違いは何ですか?
回答:ビジネスインテリジェンス(BI)とは、多くの場合、データを可視化することを指しています。データウェアハウスに大量のビッグデータを用意し、データビジュアライゼーションツールを用いてレポートを作成することです。しかし、このデータは過去のデータであり、将来の結果を決めるものではありません。
この点がビジネス分析とビジネスインテリジェンスとの違いです。ビジネスインテリジェンスはあくまでも記述的な報告をおこなうものであり、予測をおこなうものではないからです。ビジネス分析は、診断や予測のインサイトを得るのに利用できますが、ビジネスインテリジェンスは利用できません。ビジネスインテリジェンスは、実際にはビジネス分析の一側面であるとも言えます。
質問:ビジネス分析をおこなうための条件とは何ですか?
回答: 何よりもまず、インサイトを引き出すためのかなりの量のデータ**** が必要となります。データは様々な情報源から収集し、データウェアハウスに保管することができます。また、データを整理するための適切なデータ管理方法も必要です。
データセットが用意できたら、データサイエンティストがデータを調査し、データビジュアライゼーションツールを用いて可視化する準備をします。データが可視化されたら、ビジネスアナリストチームは、分析ツールを用いて記述的分析や予測分析などの方法で、ビジネス上のインサイトを獲得します。その結果を適切な関係者に提示することで、関係者はそのデータインサイトにもとづいてビジネス上の意思決定を下すことができます。
質問:企業にとってビジネス分析は常に利用する必要があるものですか?
回答: ビジネス分析は、業界での競争力を高めるために必要な能力です。ビジネスの運営方法、顧客との関わり方、売上の上げ方など、ビジネスを最適化するために極めて重要です。ビジネス分析は、ビジネス運営において何が機能しているのか(また何が機能していないのか)についてのインサイトを得るための最も効果的な方法です。
ビジネス分析を選択肢として考えるのは、ビジネスをスタートさせたばかりの時期だけです。まずは製品を開発し、売上を上げることに集中するのは構いませんが、ビジネスが成長したら、ビジネス分析を利用して、より優れた経営判断を下す必要があります。
質問:ビジネス分析の課題は何ですか?
回答: ビジネス分析の大きな課題のひとつは、組織内のあらゆる関係者がビジネス分析タスクを実行する必要がなく、またその方法を把握していないことから、分析グループが孤立してしまうことです。ビジネスプロセスに関わる人の中には、適切なデータにアクセスできればビジネスプロセスを改善できる人が数多くいます。しかし、多くの場合、分析グループだけがデータを利用し、データを意味あるものに変換できます。ビジネス分析をできるだけ多くの関係者が利用できるようにし、優れた意思決定に役立つデータを、組織全体の人々が取得できるようにすることが重要です。
質問:ビジネス分析は今後どのようになっていくのでしょうか?
回答: 将来的には、AIとマシンラーニングがビジネス分析に大きな影響を与えるでしょう。これまで述べてきたように、データアナリストやビジネスアナリストだけでなく、より多くの人がビジネス分析から導きだされるインサイトを理解する必要があります。全員が訓練を受けたアナリストになるという意味ではなく、自らの業務を正しく遂行するためには、データのインサイトを得る方法を理解する必要があります。将来的には、ビジネス分析のより高度なタスクをこなせる専用のAIテクノロジーが登場すると考えられます。こうしたテクノロジーの進化により、ビジネス分析のプロセスが最適化され、データサイエンティスト以外の人でも利用できるようになるでしょう。