セグメンテーションとは?使い方や活用事例

セグメンテーションとは、日本語で「区分」を意味し、特にマーケティング分野では「市場にいる不特定多数の顧客をさまざまな切り口で分類し、特定の属性ごとにグループ(セグメント)を作ること」と定義されます。
マーケティングで最も重要なのは、自社製品、自社サービスのターゲットとして意味のある層を特定することです。

ターゲットの特定には、古くから「STP分析」と呼ばれる手法が使われてきました。STPとは、「Segmentation(セグメンテーション)」「Targeting(ターゲティング)」「Positioning(ポジショニング)」の頭文字です。「セグメンテーション」はSTPのひとつで、多様化する消費者の価値観に対応できるマーケティング施策を打ち出す上で欠かせません。
ここでは、セグメンテーションの意味や手法から具体的な使い方まで、網羅的に解説します。

目次

  • セグメンテーションが必要な理由
  • セグメンテーションで守るべき4R
  • セグメンテーションの分類例
  • セグメンテーションの後に行うべきターゲティングとポジショニング
  • STP分析を活用した成功事例
  • マーケティング施策にMAを活用しよう
  • MAも活用して、効果的なセグメンテーションを

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セグメンテーションが必要な理由

セグメンテーションは、「自社の製品やサービスがどの層にとって意味があるものなのか」を見極める手段です。セグメンテーションを行い、市場を細分化して分類することによって、自社の製品やサービスをどういった層に、どのようにアプローチするのが効果的かを考え、限られた経営資源の中で有効な販売戦略を練ることができます。

市場を細分化すること

セグメンテーションは、なぜ必要なのでしょうか。理由は大きく2つあります。

消費者ニーズの多様化

大量生産、大量販売の時代には、対象を絞ることなく製品やサービスを開発し、マスメディアを使って不特定多数に向けたプロモーションを行うマスマーケティングが主流でした。しかし、市場が成熟し、ニーズが多様化した現代において、不特定多数に向けたアプローチで消費者の興味を引くことは容易ではありません。
企業が優位性を保つには、市場に存在する消費者をセグメンテーションし、自社にフィットするセグメントを見つけ出して、個別に戦略を立てる必要があるのです。

急速なIT化

IT化が進み、ターゲットとして定めた層の興味・関心や購買行動について、ブログやTwitter、Facebook、Instagramなどを通じて簡単に入手できるようになりました。
そうした個人情報で分類した消費者グループごとに最適化した広告を配信するなど、高度なマーケティングを行う企業が増えたことも、セグメンテーションが必要とされるようになった理由のひとつです。

https://main--bacom-blog--adobecom.hlx.page/jp/blog/fragments/offer-003377-foresight-marketing-2023-jp

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セグメンテーションで守るべき4R

セグメンテーションを行う際、思いつくままに延々と市場を細分化するだけでは意味がありません。
自社のターゲットとして最適な層を選ぶために、基準となる「4R」に基づいてセグメントの有効性を判断することが大切になります。

Rank(優先順位)

1つ目のRは「Rank(優先順位)」です。各セグメントの特徴を自社の経営戦略と照らし合わせ、重要度によって優先順位をつけます。

Realistic(規模の有効性)

2つ目のRは「Realistic(規模の有効性)」です。対象となるセグメントに、十分な売上や利益を確保できる規模があるかを調べます。

Reach(到達可能性)

3つ目のRは「Reach(到達可能性)」です。対象となるセグメントに対して、プロモーションや商品、サービスを実際に届けることができるかを調べます。

Response(測定可能性)

4つ目のRは「Response(測定可能性)」です。セグメントの規模や購買力、特性などを明確に測定できるか、マーケティング後の反応を測定できるかを確認しておきます。

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セグメンテーションの分類例

セグメンテーションを行うにあたっては、何を基準として市場や顧客を分類するかが重要です。セグメンテーション分析では、この基準を「変数」と呼びます。
続いては、セグメンテーション分析を行う際の代表的な変数と、その分類方法を見ていきましょう。

地理的変数(ジオグラフィック変数)

地理的変数(ジオグラフィック変数)とは、地理的な要素でセグメンテーションする場合の変数を指します。
食料品、衣料品、家電製品など、気候や生活習慣によって売れ行きに差が出やすい物を扱うときに有効です。


具体的には、下記のような切り口がよく使われます。

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<地理的変数(ジオグラフィック変数)の主な切り口>

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ジオグラフィック変数の例

人口動態変数(デモグラフィック変数)

人口動態変数(デモグラフィック変数)とは、消費者を客観的な属性で分類する場合に使われる変数を指します。顧客ニーズとの結びつきが強く測定が容易であるため、最もよく使われる変数です。 具体的には、下記のような切り口があります。

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<人口動態変数(デモグラフィック変数)の主な切り口>

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デモグラフィック変数の例

例えば、女性向けのワンピースを作る場合、10代の若い女の子向けなのか、30代の働く女性向けなのかでは、商品のコンセプトや宣伝方法が大きく違ってきます。こうした年齢と性別を掛け合わせた人口動態変数は、従来のマスマーケティングでよく使われていた手法です。

心理的変数(サイコグラフィック変数)

心理的変数(サイコグラフィック変数)とは、パーソナリティや価値観、ライフスタイルなどに基づいてセグメンテーションする場合に使われる変数です。定性的でターゲットを絞り込みにくいとされてきましたが、インターネットの普及によってかなり精度が高まりました。


具体的には、下記のような切り口があります。

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<心理的変数(サイコグラフィック変数)の主な切り口>

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サイコグラフィック変数の例

前出の人口動態変数で分類した場合には同じセグメントに属していても、サイコグラフィック変数ではまったく別のセグメントに分類されることが少なくありません。セグメンテーション分析の際に、デモグラフィック変数で「未婚の20代」に分類された場合でも、人口動態変数では「最新の流行に敏感」に分類されたり、「ベーシックなものを好む」に分類されたりします。


そのため、サイコグラフィック変数は、ほかの変数と併用して多角的に検証したいときにも役立つ変数です。

行動変数

行動変数とは、行動パターンや知識、反応などでセグメンテーションする場合に使われる変数です。心理的変数と同様、SNSやネットショップの普及でかなり測定しやすくなりました。 具体的には、下記のような切り口があります。

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<行動変数の主な切り口>

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行動変数の例

行動変数を利用すると、新規顧客でほとんど商品知識がない人と、リピーターで製品に詳しい人をセグメンテーションして、プロモーションの仕方や販売の場所を変えるといった施策を実行することができます。

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セグメンテーションの後に行うべきターゲティングとポジショニング

セグメンテーションで市場を細分化したら、その中からターゲットを定め(ターゲティング)、ターゲットに対して自社商品を差別化(ポジショニング)してアピールしていきます。
このセグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングのステップをまとめた「STP」は、マーケティングの基本ともいえる手法です。

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ポジショニングで役立つ「ポジショニングマップ」

ポジショニングをする際に役立つのが、業界を2軸に分けて分析する「ポジショニングマップ」です。


分析軸には、ターゲットが重要視している項目を選びましょう。「低価格と高価格」「低品質と高品質」など、相関が高い軸を選ぶのは適切ではありません。
アパレルブランドを「低価格と高価格」「ベーシックとトレンド」の2軸で分析すると、下記の図のようになります。

■アパレルブランドのポジショニングマップの例

アパレルブランドのポジショニングマップの例

ポジショニングマップを使って分析することによって、競合に対する自社の優位性がどこにどれくらいあるのかを検証したり、まだ競合が進出していない空白のポジションを確保したりすることができます。

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STP分析を活用した成功事例

続いては、STP分析を活用した成功事例として、ハーゲンダッツとJINSの例をご紹介しましょう。

大人をターゲットにして成功した「ハーゲンダッツ」

ハーゲンダッツは、誰もが知るプレミアムアイスクリームブランドです。コンビニエンスストアやスーパーなどに並ぶアイスクリームの中でも価格帯はワンランク上ですが、季節感や特別感のある商品を定期的に投入し、時に爆発的な売上を記録しています。

ハーゲンダッツの登場以前、日本のアイスクリーム市場は「子供」をメインターゲットにしていました。子供がお小遣いで気軽に買えて、大衆受けする味が基本だったのです。
そこで、ハーゲンダッツはセグメンテーションを行い、高品質で高級な自社のアイスクリームに適したターゲットを「大人」に定めて、他社との明確な差別化を図りました。

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同時に、それまで商業施設や繁華街などに出店していた実店舗からすべて撤退。流通市場におけるパッケージ商品のみを展開することで、これまでにない「どこでも手に入る、高品質で高級な大人のためのアイスクリーム」というセグメントを生み出すことに成功しました。
結果として、ハーゲンダッツは「大人の贅沢品」として広く周知され、このカテゴリーでは唯一無二の存在感を放っています。

視力が良い人をセグメントに追加した「JINS」

従来、メガネは「視力が悪い人」「視力矯正の必要がある人」の物であり、スポーツ用のサングラスや、ファッションのためのメガネは非常にニッチな存在でした。そこで、メガネブランドのJINSはセグメンテーションを行い、メガネ市場を再定義して、「JINS PC」を世の中に送り出します。

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JINS PCは、パソコンやスマートフォンによる目の疲れを軽減する、ブルーライトカット機能を備えたメガネです。ある種の事務用品と位置づけることで、「視力矯正をする必要がなくても、目の健康のためにメガネを買う」という新たな潮流を生み出しました。低価格で軽く、バラエティ豊かなブルーライトカットメガネは、今やおしゃれの一部として日常に定着しています。

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マーケティング施策にMAを活用しよう

ここまで、セグメンテーションをはじめとするSTP分析の重要性や、STP分析から導き出されたターゲットに絞ってマーケティング施策を実施する意義についてご説明してきました。ターゲットを絞って効率良くマーケティング施策を実施するには、MAの導入がおすすめです。

MAとは、Marketing Automation(マーケティングオートメーション)の略で、マーケティング業務を簡素化・自動化し、展開したマーケティング施策の効果測定まで行うことができるツールです。 MAを活用すれば、手間のかかるセグメンテーションをスピーディーかつ確実に行い、狙ったターゲットだけに最適なタイミングでアプローチすることができます。 MAの主な機能は、下記の3つがあります。

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マーケティングの重要性が認識されるようになった近年では、大企業だけでなく中小企業やスタートアップ企業でもMAの活用が進んでいます。また、先進的なビジネスを行うB2B企業のほか、医療や金融、メデイア、小売業といったB2C企業でも、顧客との関係を維持・強化する目的でMAを導入するケースが増えました。

MAについては、下記の記事でも詳しくご説明しています。

効果的にMAを使うなら、コンサルティングやサポートサービスの活用がおすすめ

MAを提供している企業では、コンサルティングサービスやサポートサービスを実施し、各企業のニーズに合ったMAの活用をサポートしています。導入フェーズから、基本的なオペレーションが社内で完結できるようになるまでは、こうしたサービスを活用するといいでしょう。


アドビが提供するMA製品「Adobe Marketo Engage」でも、コンサルタントがさまざまなケースに対してスムーズな立ち上げを支援するほか、オプション機能の提供などを行っています。

https://main--bacom-blog--adobecom.hlx.page/jp/blog/fragments/offer-marketo-dg2ma

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MAも活用して、効果的なセグメンテーションを

企業にとって、消費者ニーズを見極めて販売戦略を立てるマーケティングは、限られた経営資源を有効活用する上で非常に重要です。特に、ターゲットを特定して自社商品の立ち位置を決めるSTP分析の活用は、マーケティングの基本ともいえる手法でしょう。
自社にとって意味のある層はどれか、自社商品はどんなニーズにマッチしているのかを見極めるために市場を細分化するセグメンテーションはその最初のステップであり、時間とコストをかけてでも確実に行っておきたいところです。良いセグメントを見つけるには時間がかかりますが、MAも上手に活用しながら、自社にとってベストなセグメントを定義しましょう。

Adobe Marketo Engageは、事業規模を問わず、あらゆる規模、業種の企業で幅広く採用されているマーケティングプラットフォームです。マーケティングプロセスの見直しについてもさまざまな知見を提供しています。


マーケティングプロセスの見直しについて興味をお持ちの方は、下記資料から、デジタルマーケティングの成熟度を高めるための戦略や施策をご確認ください。

https://main--bacom-blog--adobecom.hlx.page/jp/blog/fragments/offer-ma-digital-marketing-evolution-pt1

次のステップ

MA分野のリーダーであるAdobe Marketo Engageについてより詳しく知りたい場合は、アドビにお問い合わせください。

https://main--bacom-blog--adobecom.hlx.page/jp/blog/fragments/page-request-consultation-marketo-engage