シナリオ設計の手順
シナリオ設計は、上記4つの要素である「誰に(ターゲット)」「いつ(タイミング)」「何を(コンテンツの内容)」「どのように(チャネル)」を決めていきます。具体的な、シナリオ設計の手順について見ていきましょう。
1. ターゲットを決める
まずは、「誰にアプローチするか」というターゲットを決めましょう。
コミュニケーションをとる相手が明確でないと、マーケティングの方向性にずれが生じてしまいます。これまで収集・蓄積してきた顧客情報を、年齢、性別、地域などの属性や、購入行動履歴といった切り口でグループ分けし、どのグループにアプローチするかを考えましょう。
なお、顧客の行動にポイントをつけるスコアリング機能を活用すると、顧客の熱量やライフサイクルを簡単に可視化することができます。
一般的に、ターゲットを決める際には、下記の3つの軸で顧客を分類します。
・顧客ライフサイクル軸
顧客ライフサイクルを軸に分類する場合は、これまでの企業との関係性によって、顧客を「新規顧客」「見込み顧客」「既存顧客」などに分類します。すべての顧客が必ずいずれかのグループに分類され、ひとつの顧客が複数の分類にまたがることはありません。
・顧客行動軸
顧客行動軸で分類する場合は、顧客を「セミナーに申込みをした」「特定の商品ページを見た」「商品をかごに入れた」といった行動を軸に分類します。 顧客行動の可視化には、MAのトラッキング機能を使うといいでしょう。
・顧客属性軸
顧客属性軸で分類する場合は、性別や年代、居住エリア、職業、年収といった顧客の属性によって分類します。
顧客の情報は、会員登録の情報やアンケートなどから収集しますが、個人情報保護の観点から、従来に比べると顧客情報は取得しにくくなっています。そのため、トラッキングしたデータから類推することもあります。
これらの軸は、単独で使うだけでなく、組み合わせて使うこともよくあります。
2. 顧客にアプローチするタイミングを決める
次に、顧客にアプローチするタイミングを決定します。
顧客へのアプローチはタイミングと頻度が非常に重要です。タイミングを逃したり連絡を怠ったりすれば、顧客のロイヤリティ(顧客が製品やブランドに対して抱く愛着)は低下し、場合によってはメルマガやサービスの解約など、つながりを絶たれてしまうことになりかねません。
一方で、顧客に「こういう情報が欲しかった」「ちょうど連絡をとりたいと思っていた」と感じさせるようなタイミングでアプローチすることができれば、顧客の関心を高めていくことができます。
タイミングを決める際は、購入や資料請求、特定のwebページ閲覧などの起点行動と、購入、再購入などの目標行動に注目するといいでしょう。
起点行動から目標行動に移るまでの期間には、顧客が決断するタイミングが隠れています。過去のデータから、顧客の多くが決断に至る最適なタイミングを見極めて、その直前にアプローチするようにしましょう。
3. 配信するコンテンツを決める
アプローチする対象とタイミングが決まったら、顧客がその時点で何に興味を抱いているかを確認し、配信するコンテンツを決定します。
配信するコンテンツの内容について、顧客ライフサイクル軸で顧客を分類した場合を例に考えてみましょう。
・新規顧客の場合
新規顧客は、まだ製品やブランドに詳しくなく、ロイヤリティも低いと考えられます。そのため、新規顧客には自社製品の詳しい情報やブランド紹介などを配信し、信頼度や親近感を高めます。新規顧客限定のインセンティブなどで特別感を与えるのも有効です。
・優良顧客の場合
優良顧客はすでに高いロイヤリティを持っているので、関係性を維持するコンテンツとして新商品やセールの案内、更新のお知らせなどを配信します。
・休眠顧客の場合
新規顧客開拓のハードルが高いビジネスでは、過去に一度は関係性を構築している休眠顧客は取りこぼしたくない重要なターゲットです。休眠顧客には、割引クーポンなどのインセンティブ情報で明確なベネフィットを提示し、離反を防ぐとともに休眠状態からの復活を促しましょう。
ただし、インセンティブを過度に配布すると収益に悪影響を与える可能性があるため、配布する量や頻度には見極めが肝心です。過去の購入行動や売上を基に、インセンティブの内容や金額、対象をコントロールしましょう。
4. 配信チャネルを決める
最後に、ターゲットに対してどのような方法でリーチするのか、配信チャネルを決定します。
チャネルは、オンラインからオフラインまで多岐にわたるため、それぞれのメリットとデメリットを踏まえて、ターゲットにマッチしたチャネルを選びましょう。
例えば、オンラインチャネルは、少ないコストで多くのターゲットに配信することができます。また、MAでは、配信内容のパーソナライズや、URLのクリック数などの効果測定も可能です。代表的なオンラインチャネルとしては、下記のような例が挙げられます。
<代表的なオンラインチャネル>
・メール
メールはコストを抑えて幅広いターゲットにアプローチでき、即時性に優れています。ターゲットによって配信内容を変えたり、HTMLメールを使って効果測定をしたりと、細かい設定や効果測定が可能です。
・webサイト
webサイトでは、テキストや画像、動画などを使って、自由にコンテンツを制作でき、顧客の属性に応じて表示する内容を変えることも可能です。webサイトのなかでも、自社で所有しているメディアをオウンドメディアと呼びます。
webサイト運営をして顧客獲得につなげるためには、効果的なコンテンツマーケティングを行うことが重要です。コンテンツマーケティングとは、コンテンツを通じて顧客と関係を構築しながら、製品やサービスに目を向けてもらうマーケティング手法を指します。効果的なコンテンツマーケティングを行うためには、顧客が興味や関心を持つコンテンツを作成することが求められます。
・web広告
web媒体に掲載される広告全般をweb広告と呼びます。web広告には、検索エンジンの検索結果に表示されるリスティング広告や、web媒体の広告枠に掲載されるバナー広告など、さまざまな種類があります。
web広告のメリットとしては、少額から掲載できる、ターゲットを絞って配信できる、クリック率やコンバージョン率などから費用対効果を検証しやすいことが挙げられます。
・ソーシャルメディア
Facebook、Twitter、Instagramなどのソーシャルメディアも、メール同様に低コストで幅広いターゲットにアプローチできるチャネルです。ターゲットの属性や目的によって、ソーシャルメディアを使い分けると効果的です。
・アプリのプッシュ通知
アプリのインストールは、ソーシャルメディアのフォローよりもハードルが高いため、アプリをインストールしている顧客は、基本的にロイヤリティが高いことが推察できます。また、アプリのプッシュ通知はトリガーが設けやすく、即時性も高いチャネルです。
オフラインチャネルの場合は、オンラインチャネルよりも経済的・時間的コストがかかることが多くあります。しかし、購入意欲やロイヤリティが高い顧客に対しては、多少コストがかさんだとしてもオフラインチャネルのほうが有効な場合があります。
代表的なオフラインチャネルの例は、下記のとおりです。
<代表的なオフラインチャネル>
・DM
DMは視覚的にわかりやすく、サンプルなどの実物を直接ターゲットに届けることができます。ただし、メールなどに比べてコストが高く、アプローチまでの期間が長くかかることに注意が必要です。
・インサイドセールスやコールセンター
インサイドセールスやコールセンターは、購入意欲が高い顧客にすぐにアプローチできるチャネルです。インサイドセールスはクロージングしやすい反面、運営に関するコストが高く、アプローチできる時間が限られるというデメリットがあります。
・セミナー
セミナーも、インサイドセールスと同様にコストを考慮する必要はあるものの、購入意欲が高い顧客には効果的なチャネルです。顧客の反応によって柔軟に対応を変えられるのもメリットでしょう。