インサイドセールスとは?メリットやデメリット、成功事例をわかりやすく解説
インサイドセールスは、人手不足や働き方改革への対策となるほか、営業生産性を高められる手法として注目を集めています。自社の営業活動の効率化、最適化に向けて、インサイドセールスについて詳しく知りたい方も多いのではないでしょうか。
今回は、インサイドセールスとは何かという疑問に回答した上で、注目されている理由や、運用するメリットとデメリットをわかりやすく解説します。さらに、インサイドセールスの立ち上げ手順や実行するコツ、成功事例なども紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
インサイドセールスとは
インサイドセールスとは、メールや電話、web会議ツールなどを駆使して、見込み顧客(リード)に対して行う非対面の営業活動のことです。相手先を訪問しないことから、「内勤型営業」や「リモートセールス」とも呼ばれます。
インサイドセールスの目的は、見込み顧客へのヒアリングや提案を通じて信頼関係を深め、見込み顧客の育成(リードナーチャリング)を行うことです。おもに商談獲得までのプロセスを担いますが、企業によっては商談や契約のプロセスを担うこともあります。
従来の営業手法ではアプローチできる顧客数が制限されるという課題があったことから、インサイドセールスの手法が誕生しました。顧客訪問の必要がある営業活動を除くと、すべてインサイドセールスに置き換えることが可能です。
なお、インサイドセールスは役割を分ける場合もあります。具体例を挙げると、マーケティング部門が獲得した見込み顧客へのアプローチを中心とするケースや、対面型の営業活動と連携した企業開拓を中心とするケースなどがあります。

以下では、インサイドセールスの種類や、そのほかのセールス手法との違いについて見ていきましょう。
インサイドセールスの種類
インサイドセールスの種類には「sales development representative(SDR)」と「business development representative(BDR)」があります。それぞれの特徴や目的を、以下の表にまとめました。

SDRは、自社の商品やサービスに関する問い合わせを行った顧客や、ホワイトペーパーといった資料をダウンロードした顧客との接点を活用する営業手法です。
意思決定プロセスや商談サイクルが短いので、中小企業の顧客をメインターゲットにすることで、スピーディーな契約獲得を実現できます。
一方、BDRは、自社と接点を持たない潜在顧客に対して行う営業手法です。この手法では、営業チームとともにターゲティングを行う必要があることから、商談が長期化する傾向にあります。
時間をかけて顧客との信頼関係を構築するので、大企業との大規模な契約や新規プロジェクトの提案などに活かせる手法として使用されています。
インサイドセールスとフィールドセールスの違い
フィールドセールスとは相手先を訪問して行う営業手法で、非対面で営業するインサイドセールスとはいくつかの違いがあります。
インサイドセールスとフィールドセールスの違いを、以下にまとめました。

フィールドセールスでは、対面ならではの密なやり取りが可能なので、難度の高い交渉や深いコミュニケーションが求められる営業に適しています。
また、日本の商習慣上、長く訪問営業が主流であったことから、先方が訪問営業を前提と考えている場合も、フィールドセールスが適しているでしょう。
一方、インサイドセールスは、見込み顧客への情報提供やアポイントの獲得、既存顧客へのフォローなどに適しています。オフィスにいながら、全国の顧客に効率的にアプローチできる上、従来のマーケティングでは実現が難しかった双方向のコミュニケーションが可能です。
なお、2020年以降は新型コロナウイルスの感染予防の観点から、訪問営業を控える企業が増加しました。その際、直接訪問しないフィールドセールスとして、オンラインセールスという呼び方が生まれています。
オンラインセールスがオンラインで行うセールス全般を指すのに対して、インサイドセールスは案件創出に関わる営業活動を指すことが一般的です。
インサイドセールスとテレフォンアポインター(テレアポ)との違い
テレフォンアポインター(テレアポ)とは、架電リストをもとに顧客に電話をかけて、アポイントの獲得などを行う営業手法です。
インサイドセールスの業務にもアポイントの獲得は含まれるものの、テレフォンアポインターとは目的や成果指標が異なります。

インサイドセールスでは、自社の戦略に合わせて営業の手法や目的を自由に設定できます。「とにかく質は問わずにアポイント取得の数を求める」なら、成果の指標はアポイントメント数となり、「既存顧客に対して営業をする」なら、成果の指標は売上金額や契約更新率となります。
また、見込み顧客とのその場限りのコミュニケーションではなく、「セールス」として継続性のある信頼関係を築きつつ、アポイントや案件の創出に向けたヒアリング、情報提供を行うことが欠かせません。
インサイドセールスが注目されている理由

インサイドセールスは、アメリカで1980年代頃から営業手法のひとつとして行われてきました。近年は、日本でもインサイドセールスの注目度が高まっています。その背景には、次のような理由があります。
激化する競争の中で営業生産性を高める必要がある
昨今、テクノロジーを活用した製品やサービスが数多く生まれており、ビジネスの流動性が増しています。また、ビジネスとして、投資家などからの期待に応えるだけの成果を出し続ける必要もあります。
しかし、従来の営業手法のみに取り組んでいる場合、新規開拓の営業活動が後回しになったり、受注確度が不透明な状態でアポイントを取得したりしてしまう可能性が高まります。
そこでインサイドセールスを実施し、案件の創出と受注に関する営業活動を分業化することで、それぞれの活動の生産性を高める効果が見込めます。
人手不足や働き方改革対策から、業務効率化が求められている
営業担当者が一社ずつ顧客を訪ねる従来型の方法では、十分な営業成果を挙げるのに、数多くの人材が必要です。しかし、少子高齢化の進行や働き方改革の影響などで、企業が十分な人材を確保することは難しくなっています。
限られた人数で営業成績を挙げられるように、業務効率化に向けてインサイドセールスチームを立ち上げる企業が多くなっています。
様々な顧客に対応するため、多様な営業手法が必要とされている
インターネットが普及する以前は、企業の購買担当者が商品やサービスの情報を得るために頼っていたのは、メーカーやサプライヤーの営業担当者でした。
しかし、現在では、顧客自らが商品やサービスについてインターネットで調べて、比較することが一般的になっています。
ある調査によると、「営業担当者が接触する前に、顧客は購買プロセスの6割以上を終えている」とのデータもあるほどです。このような顧客の変化を受けて、インサイドセールスへの注目度が高まっています。
サブスクリプションビジネスが増加している
サブスクリプションとは、月額や年額の定額料金で、一定期間サービスを利用できるビジネスです。近年、クラウドサービスやソフトウェアを中心に、消費者向けサービスだけでなく、法人向けサービスにも急速に普及しています。
サブスクリプションサービスは、インターネット検索や広告、口コミなどをきっかけに導入されるケースがほとんどです。サービス利用料が比較的安価な上、導入や解約が容易なので、従来の対面式営業ではコストが高くつくおそれがあります。
一方、インサイドセールスとは相性がよいので、サブスクリプションサービスを展開する多くの企業がこの営業手法を採用しています。
非対面型コミュニケーションツールが発達している
アメリカでインサイドセールスが普及し始めた頃、インサイドセールスを支える主なツールは電話でした。しかし、現在では、メールやSNS、ビデオチャットなど、様々なツールを利用でき、インサイドセールスを行いやすい環境が整っています。
新型コロナウイルス感染症対策として普及している
2020年以降、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、対面での打ち合わせを控えたり、テレワークを実施したりする企業が増加しました。非対面のインサイドセールスは、新型コロナウイルスをはじめとした感染症対策としても効果を発揮します。
自社スタッフと見込み顧客の両方の安全を確保しつつ、営業活動を効率的に進めることが可能です。
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インサイドセールスを運用する3つのメリット

インサイドセールスを運用するメリットとして、次のようなものが挙げられます。
商談化率や成約率の向上
従来の営業手法では、アポイントが取れた順に顧客のもとを訪問するので、営業担当者は成約確度の高さにかかわらず、すべての顧客に同等の時間と熱量を割くことになります。
例えば、商材の検討期間が長い場合、営業担当者は常に顧客にとって有益な情報を提供したり、顧客のもとを訪れたりしなくてはいけません。このような案件をいくつも抱えていると、新規顧客へのアプローチや既存顧客へのフォローが手薄になってしまいます。
しかし、インサイドセールスを運用して、ターゲットの選定や新規営業リストの作成、電話やメールによるアプローチを行えば、確度の高い顧客のみをフィールドセールスに引き継げます。結果として、商談化率や成約率の向上にもつながるでしょう。
また、従来のマーケティングではハードルが高かった双方向のコミュニケーションや、カスタマー部門では察知できない事象のフォローなどを行えることもポイントです。
人手不足対策
インサイドセールスでは、オフィスから移動することなく全国の顧客に対応できるので、少人数で多くの顧客をカバーできます。
営業担当者1人あたりが接触する顧客数を増やせるので、見込み顧客への継続した情報提供や、アプローチ数の追加も可能です。
なお、インサイドセールスの体制を確立すれば、営業活動を行う従業員の在宅勤務なども実現できます。多様な働き方を推進することは、人材の定着や新たな人材の確保につながるでしょう。
営業にかかるコストの削減
インサイドセールスの運用によって、営業コストを削減できるメリットが見込まれます。特に、webサイトのサーバーホスティングやクラウド会計システムなど、商材やサービスの単価が安い場合、対面営業では販売コストがかかりすぎます。
しかし、インサイドセールスに切り替えれば、少ない人員でより多くの見込み顧客にアプローチができます。
インサイドセールスを運用するデメリット
インサイドセールスを運用するメリットがある一方、デメリットにも留意が必要です。
適切な情報連携を行える仕組みが必須となる
インサイドセールスの効果を高めるには、マーケティング、インサイドセールス、営業における役割を明確に分けて、適切に情報共有できる仕組みを構築することが不可欠です。
具体例として、インサイドセールス担当者と営業担当者が情報共有できる体制や、インサイドセールスの担当者間で情報共有できる体制が挙げられます。
これらの実現に向け、顧客情報や商談進捗を共有できるツールなどを導入し、仕組みを整備することが重要といえます。
商品やサービスの魅力が伝わりづらいケースがある
インサイドセールスでは非対面でアプローチするので、対面式のフィールドセールスなどに比べると、商品やサービスの魅力が伝わりづらいケースがあります。
例えば、フィールドセールスの場合、顧客の表情の変化で理解度や興味の度合いを推測し、必要に応じて言葉の表現を変えるといった戦略が可能です。しかし、インサイドセールスではコミュニケーションが制限されてしまいます。
とはいえ、近年は、「360度ビュー」や「バーチャル試着」などの技術も普及しています。
これらの技術を活用すれば、インサイドセールスであっても、自社の商品やサービスの魅力を正しく伝えられるでしょう。
インサイドセールスの立ち上げ手順

インサイドセールスの立ち上げ手順は、以下のとおりです。
- 営業プロセスの設計と担当範囲の設定
- インサイドセールスチームの設置部署を決定
- 人員確保の方法を決定
- 顧客データの収集とリストの作成
- シナリオ作成、KPI設定
- インサイドセールスの実施、効果測定、改善
手順ごとのポイントについて、さっそく見ていきましょう。
1.営業プロセスの設計と担当範囲の設定
全営業プロセスのうち、インサイドセールスとフィールドセールスを適用したほうがよいプロセスは、扱う商材の種類や価格、顧客層によって異なります。
まずは、自社の営業マーケティング活動を、どのようなプロセスで進行しているのかを整理しましょう。その上で、インサイドセールスがどこまでの役割を担うのかを決めなければいけません。
具体的には、下記のような観点に沿った見直しが必要です。
- 展示会やwebサイトの集客施策で、営業予算の達成に十分な見込み顧客を獲得できているのか
- 営業担当者によるフォローが不十分で、放置されている見込み顧客がいないか
- 見込み顧客のアポイントメント数や商談化案件数は、営業予算を達成するために十分か
- 商談単価に対して、現在の営業活動のコストは妥当か
- 移動が伴うフィールドセールスのコストは、営業予算に対して妥当か
これらを整理し、インサイドセールスが担当する領域を設定していきましょう。
2.インサイドセールスチームの設置部署を決定
インサイドセールスチームを新たに立ち上げる場合、設置部署も決める必要があります。事例として多いのは、マーケティング部門管轄、営業部門管轄、インサイドセールス独立部門のいずれかを創設するという3パターンで、それぞれ次のようなメリットがあります。
- マーケティング部門管轄
マーケティング部門管轄とすることで、見込み顧客の獲得やイベント/セミナーの開催など、マーケティング部門主導の施策と連動した活動をスムーズに行えます。
- 営業部門管轄
フィールドセールスの担当者と密に連携をとりながら、ターゲットとする企業や業界に注力したアプローチや、効率的なアプローチが可能になります。
- インサイドセールス独立の部門
インサイドセールスを独立させることで、他部門からの干渉を受けずに独自の施策を実施するなど、大きな裁量を持って施策を実施できます。
3.人員確保の方法を決定
インサイドセールスにおける人員を確保する際は、自社人員で行う方法と、アウトソーシングする方法の2つがあります。それぞれのメリットとデメリットは、以下のとおりです。
【インサイドセールスを自社人員で行うメリット】
- 社内にノウハウを蓄積できる
- 顧客の反応に応じて柔軟な対応が可能になる
- 他部署からのフィードバックをオペレーションに活かしやすい
- トラブルにも迅速に対応できる
【インサイドセールスを自社人員で行うデメリット】
- 担当者の育成に時間とコストがかかる
- 設備投資が必要になる
- 採用など人的リソースの確保に時間がかかる
【インサイドセールスをアウトソーシングするメリット】
- 設備投資や人員の育成に時間やコストを割く必要がない
- 短期間で確実な効果が望める
- 人的リソースの調整が容易
【インサイドセールスをアウトソーシングするデメリット】
- 自社にノウハウが蓄積しない
- 顧客への見積もり送付などは外注先だけでは完結しないので、手続きが煩雑化する可能性がある
- 外注先に自社商材の研修を行ったり、最新情報をアップデートし続けたりする手間がかかる
特にソリューションビジネスの場合は、専門的な知識を持った人材を育成し、より高度な顧客体験を提供できることから、自社人員でチームを構築することがほとんどです。
また、経験を積んだインサイドセールス担当者が、フィールドセールスやマーケティング部門に異動することで、各部門の底上げにもつながります。
4.顧客データの収集とリストの作成
インサイドセールスで確度の高い見込み顧客にアポイントを取りつけて、フィールドセールスへとつなぐには、顧客データの収集とリストの作成が不可欠です。
フィールドセールスの商談成約率を高められるように、基本的な顧客情報はもちろん、自社との細かなやりとりについても引き継ぐことが大切です。
顧客の情報はリスト化し、インサイドセールスの段階でどのようなやりとりを行ったのかまで、しっかりとデータとして残しておきましょう。
なお、顧客リストの作成や、得られた顧客情報のデータ化/管理は、顧客情報管理ソフトなど、専用の管理ツールを使うのが一般的です。
5.シナリオ作成、KPI設定
インサイドセールスチーム運営の成功のカギは、Key Performance Indicator(KPI)をどう定義するかです。KPIとは、目標の達成度合いを計測する指標のこと。営業活動におけるKPIの指標は、大きく下記の3つに分けられます。
- アポイント創出件数
- 有効商談化件数/金額
- 受注件数/金額
インサイドセールスの立ち上げ段階でのKPIは、アポイント創出件数や有効商談化件数/金額がおすすめです。有効商談化件数/金額が増えれば、受注件数/金額も伸びてくるでしょう。
インサイドセールスの運用が軌道にのり、有効商談化件数/金額の増加が安定すれば、受注件数/金額をKPIに含めるのもいいでしょう。この段階からは、フィールドセールスとより密な連携をとりつつ、受注件数を伸ばしていくことが重要です。
ただし、受注件数/金額のみを、KPIに設定するのは避けましょう。というのも、受注件数/金額は、フィールドセールスの力量に大きく左右されやすいからです。
また、行動量をサブKPIとすることはあっても、メインKPIに設定するのはおすすめできません。行動を優先させた結果、コミュニケーションの質が下がり、商談の獲得件数が伸びないばかりか、担当者のモチベーションも下がる悪循環になるおそれがあるからです。
インサイドセールスのKPIの設定は、アポイント創出や有効商談化の件数に重点を置きながら、スタッフのモチベーションが保てるよう柔軟に変更しましょう。
6.インサイドセールスの実施、効果測定、改善
インサイドセールスを立ち上げ、成果を挙げていくためには、日々の活動の量と質の両方を高めていく必要があり、試行錯誤が欠かせません。
KPIを達成できた/できなかった要因、あるいは効率的な営業活動に必要な施策などについて、1か月や半期ごとにチームで定期的に振り返り、改善していきましょう。
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インサイドセールスを行うコツ
続いて、インサイドセールスを行うコツを5つ紹介します。
電話とメールの両方を活用して、アプローチ数を最大化する
顧客と直接対話ができる電話は、リード獲得における重要な営業手法であるものの、相手の都合や時間の制約などに留意が必要です。4回目以降の電話は着電率が大きく下がる傾向にあるので、場合によっては架電の時期をあらためるといった配慮も不可欠となります。
一方、メールは配信時間を設定すれば、アプローチ数を大きく増やすことが可能です。また、メールの開封状況を確認しながら架電することで、着電率の向上にもつながります。
架電前または架電後にメールを送れば、電話した際に認知してもらえる可能性も高まるでしょう。
タスク(Todo)を活用して、継続的にコミュニケーションをとる
顧客と継続的なコミュニケーションをとることで、データベースに顧客の情報を蓄積できます。データベースがあれば、見込み顧客の検討度合いをスコアリングでき、顧客の興味レベルに合わせた最適なアプローチも可能です。
見込み顧客の課題に合わせたコンテンツを配信する
見込み顧客の潜在的なニーズを掘り起こし、購買意欲を育てていくのもインサイドセールスの大事な役割です。
見込み顧客のなかには、自身が持つ潜在的なニーズに気づいていなかったり、予算などの制約を理由に購入を見送っていたりする方も多くいます。
インサイドセールスで定期的に有益な情報を発信するなどして、見込み顧客との信頼関係を維持し、適切な提案を行っていくことが、将来の成約につながります。
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インサイドセールスの最新情報や他社情報を収集する
インサイドセールスの最新情報や他社情報を収集することも重要です。近年は、インサイドセールスにAIを活用するような動きも見られます。
例えば、企業のお問い合わせフォーム/メールの記入から送信までを、AIが全自動で実行してくれる「営業支援サービス」などがあります。このような最新のサービスを導入すれば、インサイドセールスを効率化できるほか、競合他社との差別化も図れるでしょう。
なお、インサイドセールスの最新トレンドを収集する方法として、セミナーやイベントへの参加、学習サイト、SNS、書籍の確認などが挙げられます。
インサイドセールスに適したツールを導入する
インサイドセールスを効率的に進めるには、見込み顧客の情報などを一元的に管理して部署間で共有し、連携体制を確立する必要があります。一元的な管理に活用できるツールの例として、以下が挙げられます。
- MA(Marketing Automation)
マーケティング活動を可視化/自動化できるツール。見込み顧客の獲得や育成、分類などを一元的に行える。
- CRM(Customer Relationship Management:顧客管理システム)
顧客情報の管理や営業活動の進捗管理などをサポートするツール。
- SFA(Sales Force Automation:営業支援システム)
営業活動の計画/実行/評価など、営業情報を一元管理できるツール。
- CTI(Computer Telephony Integration)
電話/FAXとコンピューターシステムを統合し、顧客情報や購入履歴を参照しながら、電話応対でのサポートを最適化できるツール。
- ABM(Account Based Marketing)
成約見込みの高いターゲット企業の情報収集や選定、営業の効果検証などをサポートするツール。
インサイドセールスに欠かせない!MAツールの役割と導入メリット

インサイドセールスを効率的に進めるには、前述したツールのなかでも、特にMAツールの導入が不可欠です。
インサイドセールスでは、膨大な量の顧客情報の収集や管理、分析、顧客アプローチの優先順位付けのほか、電話やメール、SNSなどを通じた顧客とのコミュニケーション、顧客の興味レベルに合わせた継続的な情報発信などが必要になります。
MAツールを導入すれば、この多くの部分を自動化できます。効率のよい営業活動ができるようになり、成約数の増加と収益の向上につながります。
ここでは、MAツールの役割と機能、導入するメリットについて紹介します。
MAツールの役割と機能
MAツールには、下記の3つの役割があります。
- 顧客情報を収集し蓄積するデータベース
- 見込み顧客の実名化からロイヤル顧客へ至るまでの施策の自動化
- 営業マーケティング施策の分析
MAツールは、これらの役割を支える様々な機能を備えています。
ここでは、MAツールの主な機能を確認しておきましょう。
リード情報の管理機能
管理機能では、様々なコンタクトチャネルから得た顧客の情報を一元的に管理できるほか、アプローチリストの作成などもできます。管理できる情報例は、以下のとおりです。
- 企業名
- 担当者の氏名/役職
- 流入ルート
- 行動履歴
- コミュニケーション履歴
リードのスコアリング機能
スコアリング機能とは、見込み顧客の行動やコミュニケーション履歴をもとにスコア化し、成約に至る確度を数値化する機能です。スコアリングする際は、以下のような情報を参考にします。
- メールの開封率
- 自社サイトへの訪問回数
- 滞在時間
- 電話でやり取りした内容
この機能を活用して、スコアが高い見込み顧客は優先的にアプローチをして、フィールドセールスへと引き継ぎ、スコアが低い見込み顧客は、興味の度合いに応じた情報を送るなどしてコミュニケーションを継続し、将来的な成約を目指すといったアプローチが可能です。
メールマーケティング機能
メールマーケティング機能により、メールを活用したマーケティングを行うことができます。例えば、自社サイトの特定のページを閲覧した人のみに商品詳細メールを送るなど、セグメント別のメール配信に活用することが可能です。
キャンペーン管理機能
キャンペーン管理機能では、以下のようなキャンペーン施策や顧客情報を設定/管理できます。
- 資料請求をした見込み顧客に対し、特定の情報を発信する
- 見込み顧客が展示会やセミナーに出席した場合、成約の検討段階を1つ上げる
上記のようなキャンペーン施策や、関連する顧客情報を設定/管理できるので、マーケティング施策を最適なタイミングで実行するのに役立つでしょう。
ランディングページ作成機能
ランディングページ作成機能では、商品説明を行うランディングページのほか、お問い合わせフォームやアンケートフォームなどを簡単に作成できます。これらのフォームやページから得られた情報を自動的にMAツールに登録し、次のマーケティング施策に活用することも可能です。
https://main--bacom-blog--adobecom.hlx.page/jp/blog/fragments/offer-marketo-dg2ma
MAツールを導入するメリット
MAツールを導入する最大のメリットは、営業活動の効率化が進み、成約率のアップにつながることです。そのほか、以下のようなメリットもあります。
営業とマーケティングの連携が容易
MAツールによる一元的な顧客情報管理を行うことで、営業とマーケティングの連携が容易になります。見込み顧客のスコアリングや自社とのコミュニケーション履歴といった顧客の最新情報を共有することで、より効果的に営業活動を行えます。
ボトルネックの発見/改善
MAツールの導入によって営業活動の成果を数値化し、蓄積したデータを分析することで、ボトルネックを把握しやすくなります。ボトルネックの改善に向けてPDCAを回せば、売上の向上も目指せます。
データ収集から効果検証までを同じツールで実施可能
データの管理やマーケティング施策の自動化、収益プロセス全体の効果測定をすべて同じツールで行うことができるので、効率のよい営業活動が可能です。また、SFAやCRMなどのシステムとの連携も可能です。
なお、CRMとMAツールの関係性や違いについては、以下の記事をご参照ください。
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顧客コミュニケーションの自動化
マーケティングが獲得した見込み顧客の情報と、インサイドセールスのコミュニケーション履歴を連携させて、見込み顧客の課題や興味に合わせた情報を、最適なタイミングで発信できます。
また、MAツールでは最適なコミュニケーションを中長期的に自動化することも可能なので、インサイドセールスの負担軽減も図れます。
MAツール提供企業のコンサルティングやサポートサービスの利用
MAツールは、提供企業のコンサルティングやサポートサービスを利用することで、さらに効率的に運用できます。
例えば、アドビで提供しているMA製品「Adobe Marketo Engage」を導入した場合、導入支援や戦略立案/運用体制構築のサポートを受けることが可能です。
また、製品を活用するための知識が得られる無料/有料のトレーニングコースのほか、Adobe Marketo Engageの活用能力や運用知識、専用知識を証明する認定資格試験「Adobe Certified Expert」(旧Marketo Certified Expert)といった制度も利用できます。
そのほか、メール配信支援やシステム連携開発支援など、個別のご要望に応じたサービスも提供しています。
https://main--bacom-blog--adobecom.hlx.page/jp/blog/fragments/offer-003341-why-marketing-automation
MAツールを活用したインサイドセールスの成功事例
MAツールを活用してインサイドセールスに取り組み、大きな成果を挙げた事例として、社内の人材マネジメントに関するソリューションを手がける株式会社カオナビ様をご紹介します。
もともと同社では、マーケティングとフィールドセールスの連携がうまくできていないという課題の解決に向けて、MAツールを探していました。そこで、UIや設計思想がニーズに即していたMAツール「Adobe Marketo Engage」を導入。
その結果、インサイドセールスメンバーによる見込み顧客の課題やインサイトの深掘りが可能になり、3名のチーム体制で月100件以上の有効案件を創出することに成功しました。
また、MAツールによって数値化/見える化が促進されたことで、社員全員が経営視点を持ちながら業務に取り組めるようになったことも、導入効果の一つです。
【導入事例】
https://main--bacom-blog--adobecom.hlx.page/jp/blog/fragments/offer-ma-future-of-sales-organization
インサイドセールス運用に最適なアドビのMAツール「Adobe Marketo Engage」

インサイドセールス運用の最適化に向けてMAツールを導入するなら、アドビの「Adobe Marketo Engage」がおすすめです。
Adobe Marketo Engageを導入すれば、顧客の属性情報や顧客データの収集/管理/分析によって顧客理解を深められるので、より効果的なインサイドセールスを実現できます。
また、顧客にアプローチするチャネルやタイミング、メッセージ内容などに関する施策の設計にも活かせます。企業が顧客にパーソナライズしたコミュニケーションをとるための統合プラットフォームとして、便利に使えるでしょう。
さらに、生成AIを活用した対話型マーケティングツール「Adobe Dynamic Chat」などを追加し、インサイドセールスの強化を図れることもポイントです。自社のビジネスでどのように活用できるのか、詳細が気になる方はぜひ以下よりご相談ください。
インサイドセールスを運用して営業活動を効率化しましょう
インサイドセールスを運用することで、商談化率や成約率の向上、人手不足対策といったメリットが見込まれます。運用効果を高めるには、見込み顧客の課題に沿ったコンテンツの配信や最新情報の収集、インサイドセールスに適したツールの導入などを行いましょう。
顧客とのコミュニケーションの質と量の向上を図り、インサイドセールスの成功確度を高めるために、Adobe Marketo Engageの導入をぜひご検討ください。
Adobe Marketo Engageなら、マーケティングに有効な顧客プロファイルの維持/管理や、パーソナライズされたコンテンツの提供などを、的確かつ効率的に実行できます。
(公開日:2022/7/7)