SFA(営業支援システム)とは?機能やCRM/MAとの違い、導入メリット、選び方を紹介
SFAは「Sales Force Automation(セールスフォースオートメーション)」の略称で、日本語で「営業支援システム」を意味します。営業活動を可視化し、業務効率化に寄与するものであり、多くの企業がSFAを導入しています。
この記事では、SFAの基礎知識として、概要や機能、CRMやMAとの違いをわかりやすく解説します。さらに、SFAツールを導入するメリットやデメリット、SFAツールを活用、定着させるポイントなども紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
SFAとは「営業を支援する手法/ツール」のこと
SFAとはSales Force Automationの略称で、営業支援システムと訳されます。営業を支援する手法、およびそのためのITツールを指し、営業が商談を開始してから受注に至るまでの進捗状況を可視化し、その活動の管理を行います。
営業の仕事は、以下のように多岐にわたりますが、繰り返し業務や定型業務も少なくありません。
- 顧客リストの作成
- テレアポ
- 提案書や見積書、企画書といった書面の作成
- 見込み顧客への情報発信
- 訪問商談
- クレーム対応
- 既存顧客へのフォロー
繰り返し業務や定型業務を自動化できれば、営業担当者は有望な見込み顧客へのアプローチといったコア業務に集中できるようになり、売上アップにつながります。
SFAツールの基本機能一覧
SFAツールの代表的な機能は、以下のとおりです。
- 顧客管理
- 案件管理
- 行動管理(活動管理)
- 日報、週報管理
- 予実管理
- スケジュール管理、タスク管理
- 見積書作成
- レポート作成
ここでは、各機能の概要を解説します。
1.顧客管理
SFAは、以下のような顧客情報を一元管理する機能を備えています。
- 名前(企業名)
- 所在地
- 連絡先
- 担当者の名前や役職
- 決裁者の名前や役職
- 問い合わせ履歴
- 商談履歴
- 取引履歴
既に名刺を交換した相手の場合は、名刺管理も可能です。
こうした顧客管理機能によって、営業担当者が重複セールスをしたり、担当者変更時の引き継ぎが漏れていたりといったミスを防げます。結果として、顧客対応の質が向上するでしょう。
2.案件管理
SFAの案件管理とは、営業活動における各案件の詳細情報や進捗状況を一元管理する機能です。具体的には、以下のようなデータを記録できます。
- 営業担当者名
- 顧客側の担当者名
- 提案商材
- 商談の進捗度
- 受注確度
- 受注予定日
- 見積金額
- 売上金額
従来の営業手法では、各案件の詳細は担当者しか知らないことも多く、担当者が不在のときの対応に不備が生じたり、営業が個人の経験や勘に頼ったものになったりしがちでした。
案件管理機能があれば、各案件の詳細情報や進捗状況が可視化され、組織としての営業ノウハウを蓄積できます。過去の商談履歴や内容を分析して、最適なアプローチ法を導き出すことも可能です。
3.行動管理(活動管理)
SFAの行動管理(活動管理)とは、営業担当者の日々の営業活動とその結果を記録する機能です。具体的には、以下のようなデータを記録できます。
- コール数
- アポイント件数
- 訪問件数
- 商談回数
- 提案商材数
- 受注率(成約率)
行動や結果を数値化できるので、営業担当者へのフィードバックや、公正な人事評価にも活かせます。また、ボトルネックの発見に役立ち、戦略的な営業活動を実現できるでしょう。
4.日報、週報管理
SFAでは、行動管理とともに日報や週報も一元管理できます。日報管理や週報管理は、日本の商習慣に合わせて組み込まれている機能です。
クラウド型のSFAなら、外出先や自宅でスマートフォンなどから日報を作成することも可能です。リアルタイムでの情報共有がしやすくなるとともに、営業担当者の負荷が軽減されるでしょう。
5.予実管理
予実管理とは、予算(計画)と実績を比較、分析する機能です。SFAの予実管理機能を活用すれば、以下のようなことができます。
- 営業担当者や顧客、商材、期間などの様々な基準から売上を予測する
- 目標達成率や達成状況を把握する
- 営業方針を見直す
- リソースの配分を最適化する
これらの取り組みにより、予算と実績の乖離を防ぐことが可能です。
6.スケジュール管理、タスク管理
SFAには、スケジュール管理機能やタスク管理機能も備わっています。これらの機能は、管理者が営業担当者をマネジメントしたり、売上を予測したりするうえでも役立つものです。
営業担当者同士でスケジュールを共有すれば、効率的な連携が可能になります。また、タスク管理機能を活用すれば、営業担当者は優先度の高い仕事に集中しやすくなるでしょう。
7.見積書作成
顧客が購入、契約を判断するうえでは、見積もりの「内容」だけでなく「提出までのスピード」も重要です。
顧客が競合他社にも見積もりを依頼している状況で見積書の提出が遅れると、それだけで他社に流れてしまうリスクがあります。
SFAには、社内の仕様に合わせたテンプレートで、見積書の作成や承認をスムーズに行える機能があります。顧客の購入意欲が高まっているタイミングを逃さずに見積書を提出することで、成約の可能性を高められるでしょう。
8.レポート作成
SFAツールのなかには、AIによるデータの分析や集計レポートの作成機能まで備えているものもあります。
商材別、エリア別といった多角的な分析ができ、グラフなどでわかりやすく可視化したレポート作成も可能です。日々の営業活動の分析はもちろん、会議資料の作成などにも役立ちます。
SFAとCRM、MAとの違い
SFAとともに語られることが多いツールに「CRM」や「MA」があります。ここでは、SFAとCRM、MAとの違いを整理しましょう。
SFAとCRMの違い
CRM(Customer Relationship Management:カスタマーリレーションシップマネジメント)は、日本語で「顧客関係管理」「顧客関係性マネジメント」などと呼ばれるものです。
具体的には、顧客と接して得られた情報を一元管理し、顧客との良好な関係を維持すること、およびそのためのツールを指します。それぞれの顧客に応じたコミュニケーションでファンを増やし、売上の拡大や収益性の向上につなげるのが目的です。
CRMには、以下のような機能が搭載されています。
- 顧客管理機能
- アクセス解析機能
- メールマーケティング機能
- Webマーケティング機能
- 問い合わせ管理機能 など
SFAとCRMの違いは、SFAが受注前の営業活動を効率化するのに対し、CRMは受注後の顧客との関係性を管理するという点です。
ただし、CRMはマーケティングから営業、サポート部門まで幅広い業務で活用されており、その一要素として存在するのがSFAというのが実情です。
そのため、現在ではSFAとCRMを分離せず、両方の役割を持ったツールが多く提供されています。
SFAとMAの違い
MA(Marketing Automation:マーケティングオートメーション)は、直訳で「マーケティングの自動化」を意味します。
ITツールを使ってマーケティング活動のプロセスの一部または全部を自動化することで、マーケティング活動を効率化し、売上の拡大や収益性の向上につなげようというものです。
MAには、以下のような機能が搭載されています。
- リード(見込み顧客)管理機能
- スコアリング機能
- メール配信機能
- キャンペーン管理機能
- ランディングページ作成機能
- コンテンツ管理機能
- データ分析機能
- 社内アラート機能
MAは、顧客の行動や思考を追跡したり、予測したりする機能に長けているのが特徴です。
SFAとMAを横並びで見ると、MAはSFAの前段階に位置します。つまり、MAで獲得、育成した見込み顧客を、SFAで受注につなげるという流れです。
MAについて、詳しくは以下の資料を参照してください。
https://main--bacom-blog--adobecom.hlx.page/jp/blog/fragments/offer-marketo-dg2ma
SFAツールを導入する3つのメリット
ここでは、SFAの導入で期待できる、3つのメリットを紹介します。
1.営業活動の可視化
SFAを導入すると、各担当者が「いつ、どこで、どのようなことをしたのか」といった、営業活動がリアルタイムで可視化されます。
リアルタイムでの状況把握によって、案件ごとの対応速度が上がり、タイミングを逃さず行動できるようになるでしょう。また、業務プロセスをチェックしやすくなるので、ボトルネックの発見にも役立ちます。
機会損失の回避、およびボトルネックの解消によって、売上の増加を期待できる点がメリットです。
2.業務効率化による負担軽減
SFAには、定型業務の効率化に役立つ機能がそろっています。
外回りが多く忙しい営業担当者にとって、オフィス以外からもアクセスできるSFAは便利です。商談後、すぐに商談内容をSFAで共有したり、移動しながら訪問先の情報をチェックしたりと、時間を有効活用できます。
また、業務効率化によって担当者の負担が軽減されれば、顧客との緊密なコミュニケーションなどのコア業務に、より多くの時間と労力を割けるようになるでしょう。
3.属人的な営業活動の変革
営業という職種は、従来は属人性が高い傾向にありました。
SFAを利用すれば、属人化されていた営業のノウハウやナレッジを蓄積し、部門や会社全体で共有できます。また、蓄積されたデータを分析し、成功確率の高いアプローチ方法を抽出することも可能です。
担当者個人の経験や勘だけに頼ることがなくなり、仕事の取り組み方やスキルが標準化されることで、組織としてのパフォーマンスが底上げされるでしょう。営業力を強化したい企業にとって、SFAのメリットは大きいといえます。
SFAツールを導入する2つのデメリット
SFAの導入の際には、次のようなデメリットも発生します。
1.新たなコストの発生
SFAに限った話ではありませんが、新たなツールを導入する際にはコストが発生します。
買い切り型ではなく、サブスクリプション型のSFAであれば、「1ユーザー当たり月額◯円」といった料金体系となるでしょう。つまり、SFAの利用人数が多ければ多いほど、運用コストが増大します。
また、ツールによっては、初期費用やカスタマイズ費用が発生するケースもあるので注意が必要です。
2.入力作業の負荷
SFAは営業活動の可視化や効率化などに寄与しますが、その土台を整えるためには、営業に関するあらゆる情報をツールに入力する必要があります。
入力する項目が多ければ多いほど、営業担当者の作業負担も増えてしまうでしょう。
入力作業が追い付かず、SFAが利用されなくなってしまうことのないよう、運用を開始する前に自社に適した入力項目を精査することが大切です。
SFAを活用、定着させるためのポイント
SFAの導入メリットを得るためには、効果的な使い方を理解しておく必要があります。
ここでは、SFAを活用、定着させるためのポイントを、2つの観点から解説します。
営業担当者へのフォロー
SFAの導入が、中長期的には営業活動の効率化や売上の増加につながるものでも、使い慣れたシステムの変更には反対や反発が起きることが予想されます。
そのため、SFAの導入にあたっては、導入の目的を営業現場と共有して理解を得ておくことや、導入研修により営業担当者をバックアップしていくことが大切です。
慣れるまでは、マネージャーが率先してSFAを使う姿を見せていくとともに、日々の入力作業の声掛けなども行いましょう。
また、SFAの利用を定着させるためには、営業担当者が「これは便利だ」「よく考えられている」と思えるような、使い勝手のよいツールであることも必須です。SFAツールを選ぶ際には、次章「失敗しないSFAツールの選び方」の内容も参考にしてください。
KPIの設定と測定
SFAを効果的に活用するうえでは、KPI(Key Performance Indicator)の設定がポイントです。KPIとは、訪問件数や成約率、営業案件数、顧客単価といった、目標の達成度合いを評価するための指標のことです。
KPIを設定することで、目標達成までのプロセスと必要な行動が明確になり、組織全体のモチベーションや能力の向上が期待できます。そして、設定したKPIを達成するためには、進捗確認を正確に行うことが重要です。
SFAでは、ダッシュボードの成約金額だけでなく、予想商談数が増減していないかを確認します。また、ミーティングでは、目標に対しての達成率や達成見込みの状況などを、SFAを使って確認するとよいでしょう。
さらに、KPIによって効果を測定したあとは、SFAでどのように改善できるかを見極め、次につなげる必要があります。SFAを活用しながらPDCAサイクルを回すことで、効率よく最終目標に近づくことができるでしょう。
失敗しないSFAツールの選び方
SFAツールを選ぶ際にチェックしたい主なポイントは、以下のとおりです。
- クラウド型であるか
- 必要十分な機能が搭載されているか
- 営業担当者にとって使い勝手がよいか
- スマートデバイスに対応しているか
- 料金体系が適正であるか
- 簡単にカスタマイズできるか
- ほかのツールとスムーズに連携できるか
- セキュリティが万全であるか
- ベンダーのサポートが手厚いか
- ベンダーに豊富な導入実績があるか
先述のとおり、ツールの導入がかえって営業担当者の負担になっては意味がありません。いつでもどこでもSFAを利用でき、操作性がよいツールを選ぶことがポイントです。
また、SFAはあくまで営業を支援するツールであり、見込み顧客の獲得や育成は専門外となります。MAとの連携機能を備えているツールなら、MAのリード情報をそのままSFAで活用でき便利です。
SFAとMAの連携によって、営業部門とマーケティング部門は、お互いの業務プロセスや成果が見えやすくなるでしょう。広い意味では、営業とマーケティングの部門間の対立を解消するのにも役立ちます。
営業とマーケティングの対立理由や連携方法について詳しくは、以下の記事を参考にしてください。
【関連記事】
営業とマーケティングの違いや対立理由とは?連携のメリットと実現方法も解説
SFAとMAの具体的な連携方法
SFAツールとMAツールを連携することで、顧客の獲得から育成、アプローチ、商談、アフターフォローまでの一連の流れを自動化可能です。
ここでは、どのような機能を活用した連携方法が想定されるか、3つの例を紹介します。
ケース1.スコアリング機能の活用
MAのスコアリング機能は、見込み顧客の行動や反応によって興味や検討度合いを予測し、対応の優先順位を決める機能です。
SFAとMAを連携すると、MAによるスコアリング情報を営業担当者がSFA上で確認し、新規顧客の開拓や失注リストへの再アプローチの際に効率的な活動ができます。
ケース2.メール配信機能の活用
MAツールには、見込み顧客の購買意欲やエリア別に情報を発信する、メール配信機能も備わっています。
SFAとMAを連携することで、メール配信におけるセグメンテーションが可能になります。SFAツールに登録されているデータと、先述したスコアリング情報を同期すれば、そのままメール配信のセグメントにも利用可能です。
また、見込み顧客の行動に合わせて自動的にメールを送信する「トリガーメール」も、効果的に実施できます。
見込み顧客がwebサイトで資料をダウンロードした場合、商談の結果失注した場合など、SFA上の登録内容を参考に、行動に合ったメールを最適なタイミングで送信可能です。
ケース3.社内アラート機能の活用
MAの社内アラート機能によって、見込み顧客や既存顧客のメール開封やwebアクティビティをきっかけに、営業担当者へのアラートメールを配信することが可能です。その際、SFAにもとづく条件を設定することで、営業担当者が「受け取りたいメール」になります。
例えば、他社の年間契約のサービスを利用している見込み顧客について、SFAに利用中のサービス名と更新月を入力していたとしましょう。
このとき、営業担当者は「○月に◯◯のサービス更新を迎えるお客様がwebサイトを閲覧しています」といった、かなり的確なアラートを受け取ることができるようになります。
SFAと連携するならアドビのMA「Adobe Marketo Engage」
アドビの「Adobe Marketo Engage」は、豊富な機能とSFAツールとの連携性の高さ、優れたユーザーインターフェイス、充実したサポート体制を兼ね備えたMA製品です。
例えば、高度なリードスコアリング機能により、受注確度の高い見込み顧客を特定し、営業担当者が適切な商談に取り組めるようにします。同時に、あらかじめ指定した条件に応じたメールアラートも、担当者に送信可能です。
Adobe Marketo EngageとSFAツールの連携によって、マーケティングと営業が同期され、両部門の成功を後押しするでしょう。
SFAの定着とMAとの連携で利益の最大化を目指す
SFAとは、売上の拡大や収益性の向上を目指し、顧客管理や案件管理、行動管理などの機能を備えた「営業支援システム」を指します。
SFAツールを選ぶ際には、現場の営業担当者にとって使い勝手がよいものであることが第一です。ツールの定着を促進するためには、手厚いサポートも欠かせません。
また、SFAを効果的に活用するにあたり、マーケティングの自動化を支援するMAツールとの相性も重要です。SFAとともに活用するMAツールとして、「Adobe Marketo Engage」をぜひご検討ください。
(公開日:2022/10/3)