データを収集するもう一つの優れた方法が、ブラウザートラッキングです。このデータ収集手法では、Cookieを使用して顧客のサイト上での行動を追跡します。これにより、顧客の関心や嗜好を把握するために役立つ大量の行動データを取得できます。顧客の現在の関心を把握できれば、極めて精緻な商品レコメンドを提供し、関連商品を提案するターゲティングメールによって、カート放棄の防止にもつなげることができます。
メールマーケティングを顧客関係管理(CRM)システムやECプラットフォームと統合することで、顧客に関する追加データを即座に取得できるほか、そのデータを効率的に管理し、より高度な分析を行うためのプロフェッショナルなツールにもアクセス可能になります。
顧客関係の管理において、Adobe Experience Cloud は充実した製品とサービス群を提供しています。顧客体験のすべてのフェーズを、最初から最後までスムーズに管理することが可能です。
Adobe Experience Cloudの製品群の一つである Adobe Real-Time Customer Data Platform は、通常はIT部門に限定されるような高度なデータ管理・分析機能を備えています。データの収集と標準化を支援し、リアルタイムで自動更新される顧客プロファイルの構築が可能です。
Real-Time CDPは、B2CおよびB2Bの両方のビジネスに対応しており、オーディエンスに関する実用的なインサイトを取得し、顧客イベントにタイムリーに対応することが可能です。コミュニケーションのタイミングを最適化することで、購読者一人ひとりにパーソナライズされた関連性の高い体験を提供できます。
メールのパーソナライズ戦略
必要な顧客データが揃ったら、それを活用して、パーソナライズされた印象的な顧客体験を創出する段階です。以下に、顧客データを効果的に活用してマーケティングメールをパーソナライズするための代表的な戦略を紹介します。
オーディエンスをセグメント化する
セグメント化は、マーケティング戦略を洗練させるための重要な手法であり、顧客に効果的なパーソナライズメールを送るための第一歩でもあります。
まずは、共通の特性を持つ顧客を明確なグループに分けましょう。実際に使用するグループは、ビジネスの目的やマーケティング目標に応じて異なります。ただし、ターゲットグループの設計に活用できる一般的な分類例としては、性別、年齢、地域、業種などが挙げられます。
顧客をこれらのグループに分類することで、メールコミュニケーションにおいて注力すべき具体的な要素を特定できます。また、最も関連性の高いコンテンツの選定や、メール本文で活用すべき動的フィールドの判断にも役立ちます。
動的コンテンツを活用する
動的フィールドとは、件名やメール本文内で、受信者ごとに自動的に変更される特定の項目です。代表的な例として、動的な「氏名」フィールドが挙げられます。これにより、各受信者の名前が件名に表示され、個別にパーソナライズされた印象を与えることができます。動的コンテンツを活用することで、従来の画一的な一斉配信メールではなく、顧客ごとに関連性の高いコンテンツを優先的に届けることができます。
メールに動的フィールドやコンテンツを活用するには、顧客のセグメント化と可能な限り多くのデータ収集が不可欠です。セグメントがなければ、どのフィールドが対象ユーザーに響くかを判断できません。フィールドを埋めるためのデータがなければ、パーソナライズされたメールの効果も十分に発揮されません。だからこそ、両方の要素が重要なのです。
これらの戦略を効果的に活用することで、特定のオーディエンスに合わせたパーソナライズされたメールを配信できます。
件名をパーソナライズする
現在のメールテンプレートに一つだけ変更を加えるとしたら、件名のパーソナライズが最も効果的です。小さな変更ではありますが、パーソナライズ手法の中でも特に効果が高く、受信者に強い印象を与える要素です。なぜなら、件名はメールの中で最初に目にする部分だからです。
件名のパーソナライズには、動的な氏名フィールドの挿入、対象オーディエンスに合わせた言葉遣いの工夫、さらには「送信者」フィールドを企業名ではなく個人名に変更することも含まれます。送信者が特定の人物である場合、顧客は自分が大切にされていると感じやすくなり、メールの開封や内容への反応率が高まります。企業の誰かが自分のために提案やオファーを届けてくれたという印象が、信頼と関心につながるのです。
トリガー付きメールを配信する
トリガー付きメールは、メールマーケティングに欠かせない存在です。これらの自動メールは、特定の顧客アクションに応じて送信されるよう、あらかじめ設定されたアラートによって配信されます。よくあるトリガーには、カートに商品を残したまま離脱した場合、アカウント登録時、メールリストへの新規登録などがあります。
トリガー付きメールは、サブスクリプションの有効期限が近づいた際に顧客へ通知し、再契約を促す手段としても活用できます。これにより、更新漏れを防ぎ、継続率の向上につながります。さらに、多くの企業では、閲覧履歴や購入後のタイミングに合わせて、関連商品を提案するクロスセルメールとしてもトリガー付きメールを活用しています。顧客の興味やニーズに合った商品を紹介することで、追加購入の機会を創出できます。
記念日のお祝い
パーソナライズされたメールを活用して顧客との関係を築く、もう一つの簡単な方法は、誕生日や記念日などの特別な日を祝うメールを送ることです。こうしたお祝いのメールは、顧客への思いやりを伝える手段となり、「自分の特別な日を覚えていてくれた」と感じてもらうことで、ブランドへの親近感を高めることができます。
パーソナライズされたメールコンテンツを作成する
この戦略では、件名だけでなく、メール全体を受信者にとって魅力的な内容にすることを目指します。開封を促す件名の工夫にとどまらず、メールを開いた後の本文すべてが、顧客の関心や好みに合わせて調整された、関連性の高い情報で構成されていることが重要です。
メールの内容をパーソナライズする方法について、いくつかのアイデアをご紹介します。
- 閲覧履歴に基づいて、顧客ごとに最適な商品をレコメンドする
- サイト上での行動履歴から、顧客が探している可能性のある商品や関心のあるカテゴリを特定し、メール内で強調する
- 受信者の名前や居住地を含む画像を作成し、視覚的にもパーソナライズされた体験を提供する
- 業界動向や現在の状況に応じたコンテンツを盛り込む(例:旅行会社が雨天の都市に住む顧客に向けて、晴れたビーチでの休暇を提案するメールを送信)
創造力を発揮し、利用可能なリソースを最大限に活用しましょう。
リエンゲージメントに焦点を合わせる
リエンゲージメントとは、過去の顧客や有望な見込み客の関心を再び喚起するマーケティング施策を指します。リターゲティング の対象として最適なのは、しばらく購入が途絶えている顧客です。こうした顧客は、以前の商品に満足していた可能性が高く、ブランドの存在を忘れてしまっているだけかもしれません。メールを送ることで、過去の購入体験を思い出してもらい、再購入を促すことができます。
また、最近配信停止を選択し、しばらくアクションのない過去の購読者に対してリエンゲージメントを図ることも可能です。こうした顧客には、関連性の高いブログコンテンツや最新のセール情報を届けることで、再び関心を引きつけることができます。
再エンゲージメントの中でも特に効果的なのが、商品を閲覧したりカートに追加したものの、購入に至らなかった見込み顧客へのアプローチです。こうした顧客はファーストパーティCookieを活用して追跡でき、フォローアップメールを送信することで再度関心を喚起できます。
放置されたカートを取り戻す
放置されたカートは、パーソナライズされたメールマーケティングの最も効果的な活用例の一つです。購入直前まで進んだ顧客は、商品への関心が非常に高く、メールのパーソナライズに活用できる情報も豊富に提供しています。
こうしたデータを活用して、放棄されたカートの回収を図りましょう。顧客は単に気が散ってしまっただけで、購入予定の商品を思い出すきっかけを必要としているのかもしれません。
また、送料無料の適用外やその他の価格関連の問題がカート放棄の原因となった可能性もあります。こうした場合は、見込み客が興味を持った商品に合わせて特別オファーを送信することで、販売の機会を創出できます。さらに、顧客体験や購入者のジャーニーの改善に向けた知見を得る上でも有効です。