プログラマティック広告とは?

Adobe For Business Team

06-25-2025

紫色の背景に笑顔の女性が描かれたマーキー画像。 Adobe AdvertisingのUI要素とキャンペーンのパフォーマンス指標が重ねられている。

ある小売店が、特定のデモグラフィックに向けて新しいタイプのスニーカーを販売していると想像してください。例えば、フィットネスに熱心で、ランニング関連のブログを閲覧し、フィットネストラッキングアプリを利用している若手ビジネスパーソンといった層です。

従来のディスプレイ広告では、サイトを手動でターゲティングし、媒体社と交渉し、固定価格モデルで作業を行う必要がありました。 しかし現在は、プログラマティック広告でAI自動化を追加し、広告スペースの売買を大幅に簡素化できます。

プログラマティック広告は効率性を高め、ターゲティングを改善し、ROIを向上させます。ここでは知っておきたい基礎知識をご説明します。

この記事の内容:

プログラマティック広告とは?

プログラマティック広告とは、ソーシャル、オーバーザトップ(OTT)メディア、動画、ディスプレイ、モバイルアプリケーション、さらにはテレビやオーディオといったデジタルチャネルにおけるメディアや広告インベントリの購入を自動化するものです。

広告プレースメントに手動で入札するのではなく、マーケターはAI(人工知能)を活用して媒体社とつながり、データを分析し、リアルタイムでの入札を自動化します。これにより、チームは反復的で効果の低いタスクから解放されます。

プログラマティック広告への移行を加速させる要因:

Statistaの調査 によると、2024年には米国のデジタル広告費全体の80%をプログラマティック広告が占め、米国の広告主の60%が投資を増やす計画を立てていました。

プログラマティック広告の仕組みはどのようなものか?

プログラマティック広告は、AIのインサイトを活用して、利用可能な広告枠(インベントリ)を持つ媒体社と、商品やサービスを宣伝したいブランドや代理店をつなぎます。

デジタル広告の売買は需要と供給にもとづいています。媒体社は、広告スペースとトラフィックを供給します。一方、そうした広告枠とトラフィックの需要は、広告主がどの程度必要としているかに応じて決定されます。従来、広告スペースは手動で売買されており、これは非常に時間のかかるプロセスでした。

これに対し、プログラマティック広告はそのプロセスを自動化します。 広告スペースの売買は、アドエクスチェンジと呼ばれる仮想フォーラムで行われます。 媒体社と企業間のすべての交渉は、リアルタイム入札(RTB)と呼ばれる技術を使用して自動化されています。

プログラマティック広告ソフトウェアの仕組みを3ステップで解説

  1. ブランドはプログラマティックソフトウェアを使用して、ターゲットオーディエンス、予算、地理的範囲など、キャンペーンのパラメータを設定します。
  2. 続いてプラットフォームは、広告スペースやトラフィックを販売している媒体社と接触します。
  3. AIによる分析が、自動オークションにリアルタイム入札の情報を提供し、ニーズに最適な広告スペースに対して入札を行います。

プログラマティック広告の主な構成要素

アドエクスチェンジ、サプライサイドプラットフォーム、デマンドサイドプラットフォーム、リアルタイム入札、データ・マネジメント・プラットフォームを表すアイコン。

アドエクスチェンジ

アドエクスチェンジは、広告の取引所です。 これは、広告スペースを販売する媒体社(供給側)と、商品を宣伝するブランドや代理店(需要側)を結びつける仮想マーケットプレイスです。

利用可能な広告スペースが表示され、複数のブランドが入札し、最高入札者がその枠を獲得します。

サプライサイドプラットフォーム(SSP)

サプライサイドプラットフォーム(SSP)は、媒体社が、広告インベントリとトラフィックをオンラインで販売するために使用します。媒体社を複数のデマンドサイドプラットフォームやアドエクスチェンジとつなぎ、Webサイトやアプリ全体の利用可能な広告枠を集約します。

媒体社が広告スペースの条件を設定すると、SSPがその枠のオンラインオークションを開催します。最高入札者がその枠を獲得します。

デマンドサイドプラットフォーム(DSP)

デマンドサイドプラットフォーム(DSP)とは、広告主が、デスクトップ、モバイル、TVなどのさまざまな広告チャネルで、数多くの媒体社からトラフィックを購入するために使用します。DSPはSSPと似ていますが、広告スペースを販売するのではなく購入するためのものです。

ブランドは、DSPを通じてSSPや広告枠を販売するアドエクスチェンジとつながり、その枠に入札します。 すべてが自動化されているため、手作業を大幅に省くことができます。

リアルタイム入札(RTB)

リアルタイム入札(RTB)は、プログラマティック広告を支える技術です。 つまり、媒体社とブランドがデジタル広告をリアルタイムで売買できる仕組みです。ユーザーがWebサイトにアクセスすると同時に、そのページの広告スペースをめぐるオークションが自動で開始されます。

オークションはアドエクスチェンジで行われ、SSPとDSPが集まり、その広告枠に広告を出し入札します。

データ・マネジメント・プラットフォーム(DMP)

データ・マネジメント・プラットフォーム(DMP)とは、DSPやSSPと連携し、バーチャル入札に関する戦略的な意思決定に必要なデータを保持するためのデータウェアハウスです。

プログラマティック広告のメリットとユースケース

プログラマティック広告は、さまざまな方法で有料広告を合理化および簡素化します。これにより、マーケティング部門は、クリエイティブな施策や戦略的な意思決定により多くの時間を費やすことができるようになり、ブランディングと売上を向上させることができます。

次のようなメリットがあります。

効率の向上

Google、Microsoft、Facebook、TikTok、Spotifyなどの複数のプラットフォームで、キャンペーンを個別に設定することは、時間と手間がかかります。そのうえ、複数のデバイスで各キャンペーンの進捗状況を追跡するとなると、プロセスはより複雑になるでしょう。

プログラマティックマーケティングを利用すれば、さまざまなチャネルで広告バイイングの合理化と自動化ができます。

手間のかかるあらゆる作業を自動化することで、マーケターは、オーディエンスの把握、効果的な広告コピーの制作、今後のキャンペーンに関する戦略の策定など、より重要な課題に集中できるようになります。

ROIの向上

プログラマティック広告を導入すれば、次のような方法でマーケティング活動の投資回収率を向上させることができます。

間接的に、プログラム化された統一キャンペーンを活用することでターゲット層と一貫して繋がれることが、より満足度の高い忠実な顧客の獲得に繋がります。

ターゲティングとパーソナライゼーションの改善

ParcelLabの調査によると、買い物客の49%が、デジタル広告のターゲティングが不適切であると回答しており、同じく42%が、不適切なマーケティングコンテンツを受け取った場合は直ちに登録解除すると回答しています。これは、ターゲティングを適切におこなうことで、マーケターは大きな機会を獲得できることを示唆しています。

プログラマティック広告は、オーディエンスのデモグラフィック情報や行動にもとづいて、広告を的確にパーソナライズし、さまざまなデバイスやメディアで配信するのに役立ちます。最新のインサイトを活用して顧客プロファイルを作成することで、カスタマージャーニー全体にわたって、ターゲットを絞った施策を展開し、その成果を計測できます。

優れた柔軟性

プログラマティック広告は数十の媒体ネットワークへのアクセスを可能にし、プログラマティックキャンペーンでは資金を投じる場所を容易に選び、必要に応じて迅速に方向転換できます。

あらゆる オムニチャネルマーケティング キャンペーンを一元管理することで、広告の全体像を把握し、その配置についてより的確な判断を下すことができます。さまざまなシナリオに応じて広告をパーソナライズし、新たな機会を逃すことなく、いつでも自動的にデプロイすることが可能になります。

また、広告支出を柔軟に管理することができます。最低限のインプレッション数で申し込み、試すことができます。また、途中で方向転換することを禁じる事前契約も存在しません。

プログラマティック広告と従来のディスプレイ広告の違い

ディスプレイ広告はオンライン広告の伝統的な形態であり、媒体社がWebサイト上の広告枠をブランドや代理店に販売します。これらの広告は、当初、媒体社と広告主の直接交渉、または広告ネットワークを通じて販売されていました。 このプロセスは、手動で行われていました。

プログラマティック広告は、2010年代後半に、需要と供給に基づいてオンライン広告枠を売買するより効率的な方法として登場し、手動ではなく自動化されたプロセスを使用しています。 プログラマティック広告は、ディスプレイ広告の一種ですが、配信方法を高度化させたものです。

ターゲティング

従来のディスプレイ広告では、ターゲティングはより大まかなものです。 ブランドや代理店は、広告を掲載するサイトを手動で選択し、多くの場合、自社製品に関連するコンテンツを掲載しているサイト(コンテキストターゲティング)を選択します。 一方、プログラマティック広告では、リアルタイムのデータを使用して、関連するライブユーザーがいる枠に、自動化されたハイパーターゲティング広告を配信します。

ターゲティングは、一般的にプログラマティック広告の方がより高精度であると考えられています。

効率

ディスプレイ広告の従来の売買は、人手による作業や判断に頼る部分が大きく、時間も手間もかかりがちです。一方、プログラマティック広告は自動化されており、広告スペースの売買は主にAIや広告テクノロジープラットフォーム(DSPやSSP)によって処理されます。

広告のワークフローは、一般的にプログラマティック広告の方が効率的です。

コスト

主な違いは、従来のディスプレイ広告は固定価格モデルを使用するのに対し、プログラマティック広告は動的価格設定を使用することです。固定価格モデルの場合、費用は事前の交渉で決まり、その後リアルタイムで変更することはできません。動的価格設定では、需要に基づいてリアルタイムのオークションで広告が購入されます。

プログラマティック広告の方が一般的にコスト効率が高いと考えられています。

プログラマティック広告を始めよう

プログラマティック広告を導入すれば、膨大な媒体社とつながり、より多くの顧客に広告を配信することができます。これにより施策の管理能力が向上し、かつてないほど的確に購入者のターゲティングが可能になります。

さらに、予算に応じて入札を調整できるため、少額の投資で始めることができます。

プラットフォームの選定

プログラマティック広告プラットフォームとは、媒体社とマーケターが広告スペースを売買するための基盤です。ソフトウェアは4つの種類があります。

これらは、このコンテンツの前の部分で詳しく説明しましたが、まとめると次のとおりです。

商品やサービスを広告に出す準備ができたら、プログラマティック広告の第一歩は信頼できるデマンドサイドプラットフォームを選ぶことです。

DSP選定時に考慮すべき3つのポイント

DSPを探しているブランドマーケターは、以下の要因に注意してください。

  1. キャンペーン管理の効率化 一部のDSPは、特定のメディアタイプに限定されているか、顧客の全体像を把握できない場合があります。 そのため、キャンペーンの設定を最大限制御できるDSPを選ぶことが重要です。また、一括編集ツールや柔軟なスケジュール設定など、時間の節約につながる機能を備えているDSPを見つけましょう。
  2. データ処理能力 技術的には、DSPでデータを処理するために、DPMを使用する必要はありません。しかし、データはDSPの中核を成す要素です。関連性の高いあらゆるデータにアクセスできる能力のあるDMPを備えたDSPを採用することが推奨されます。
  3. 追跡能力およびレポート能力 DSPは、あらゆる広告チャネルでパフォーマンス指標を分析できる、単一のダッシュボードを備えている必要があります。優れたDSPは、リアルタイムのレポート機能を提供できます。

プログラマティックキャンペーンの設定

プログラマティックキャンペーンを設定するための手順図。

商品を宣伝するための広告スペースを購入する適切なプラットフォームが見つかったところで、ここでは最初のプログラマティック広告キャンペーンを設定するためのヒントを紹介します。

  1. 目的の定義 キャンペーンを通じて何を達成したいですか?サイトへのトラフィックを増やしたい場合、ブランド認知度の向上に焦点を当て、1,000インプレッションあたりのコストを測定するCPM指標が使用されます。 特定の製品の売上を増加させたい場合、コンバージョンに焦点を当て、顧客獲得単価(CPA)という指標を使用します。
  2. ターゲットオーディエンスを特定 キャンペーンでターゲットとする顧客層は、健康維持を目指す多忙なビジネスパーソンですか、それともパフォーマンスの最大化を目指す熱心なアマチュアランナーですか? 明確なターゲットオーディエンスを念頭に置き、行動、デモグラフィック、興味に基づくターゲティングを活用して、プログラマティックキャンペーンの精度を高めます。
  3. 広告クリエイティブの設計 広告に求められる条件は2つ。まず、見た人の目を引くディスプレイ広告デザインのベストプラクティスを押さえること。そして、定められた広告フォーマットのテンプレートに沿うことです。作っているバナー広告が「ミディアムレクタングル」なのか「リーダーボード」なのかを確認し、必ず人を惹きつける見出しと強力なコールトゥアクション(CTA)を盛り込みましょう。
  4. 予算の設定 このキャンペーンにいくらなら出せるか、あるいはいくら出したいかをはっきりさせましょう。プログラマティック広告への支出は固定的ではなく、流動的です。リアルタイム入札を使用するため、コストは変動します。 最初は予算を低く設定し、パフォーマンスと全体的な予算に応じて増額することをお勧めします。
  5. パフォーマンスの監視 キャンペーンのパフォーマンスを分析しないのであれば、広告キャンペーンを実行する意味はありません。明確なKPIを設定し、クリックスルー率(CTR)、コンバージョン率(CVR)、クリック単価(CPC)、顧客獲得単価(CPA)などの指標を用いて、その達成度を追跡しましょう。

プログラマティック広告のベストプラクティス

DSPを選定したら、マーケティングキャンペーンに着手します。その際、次のベストプラクティスを考慮する必要があります。

最初に目標とKPIを設定する

広告スペースとトラフィックの購入プロセスを自動化したとしても、財務的目標とキャンペーンの優先課題を把握するという責任から逃れられるわけではありません。KPIを定義することで、広告バイイングを適切に設定し、レポートを正しく読み解くことができ、各指標と達成しようとしている目標を関連付けることができます。

自動処理を管理する

プログラマティック広告の大きな利点は、キャンペーンを自動化できることです。しかし、そのまま放置してよいというわけではありません。その進捗を確認する必要があります。DSPの機能を確認し、アトリビューションなどの主要な測定結果を追跡することが重要です。

施策全体を管理するのは、機械ではなく人間です。マーケターの洞察力とAIツールを融合させて、両者の健全な関係を築きましょう。

不正防止に努める

世界的にデジタル広告詐欺が急増しています。Statistaは、損失額が2023年の880億ドルから2028年には1,720億ドルに増加すると予測しています。

代表的な手口には、偽クリック(クリック詐欺)、非人間トラフィック(ボット)、ドメインスプーフィング(詐欺師がプレミアムWebサイトを偽装して広告主を欺く行為)があります。

とはいえ、それが理由でプログラマティック広告を避ける必要はありません。しかしこれは、強力な不正検知、ブランドセーフティツール、そして透明性のあるレポーティングを備えたデマンドサイドプラットフォーム(DSP)を選ぶべきだという明確な注意喚起となります。あなたが求めているのは正当なトラフィックです。本当に成果につながる広告枠を確保することが重要です。

プライバシーの強化

もうひとつの課題は、顧客のプライバシーです。Chapman Universityの調査 によると、消費者の26%が自身と関連性の高い広告を望んでいる一方で、多くの消費者が自身の個人情報の使用方法に懸念を抱いていることが明らかになっています。そのため、自社の広告がプライバシー規制を遵守していることを確認することが重要です。

カリフォルニア州消費者プライバシー法(CCPA)はカリフォルニア州を対象としており、CCPAに準拠することで、顧客のプライバシーを真剣に考えていることを示すことができます。

ターゲットを絞った質の高い広告を制作する

DSPのデータ処理能力とターゲティング機能を最大限活用して、特定のオーディエンスに的を絞った効果的な広告を制作しましょう。優れたDSPを利用すれば、デモグラフィック情報や行動パラメータを包括的に把握し、デバイスやプラットフォームに捉われることなく、カスタマージャーニーに沿って広告をパーソナライズできます。

Adobe Advertising DSP は、単独であらゆるメディア、デバイス、データ、クリエイティブ施策を大規模に統合および自動化できる、唯一の広告プラットフォームであり、分断されたメディアに終わりを告げるものです。

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