データレイクとは - 定義、利点、課題を解説

Adobe Experience Cloud Team

03-31-2025

明るいオフィスでデスクについている男性。画像にはラベルなどが重ねて表示されています。

データレイクとは、構造化データ、半構造化データ、非構造化データなどの大量のデータを、スキーマを定義することなく、そのままの形式で一元的に保存できるリポジトリのことです。様々なソースからの柔軟なデータ取り込みを可能にし、分析、ビジュアライゼーション、マシンラーニングをサポートして、貴重なインサイトを提供します。

データレイクとは

データレイクとは、構造化データと非構造化データの両方を保存できるレポジトリです。データレイクとは、構造化データ、半構造化データ、非構造化データなどの大量のデータを、規模を問わず、ネイティブ形式で保存できるデータリポジトリのことです。

データレイクの目的は、スキーマや構造をあらかじめ定義することなく、生のデータをそのままの形で保存することです。つまり、様々なソースからデータを取り込み、より柔軟で費用対効果の高い方法で保存できます。

データレイクの仕組み

データレイクは、生のデータを元の形式のまま取り込み、格納します。このプロセスは通常、IoTデバイス、ソーシャルメディアのフィード、エンタープライズシステム、データベースなど、複数のソースからのデータ取り込みから始まりますこのデータは、拡張性のあるストレージソリューション(通常はクラウドベースのプラットフォーム上)に格納されます

データウェアハウスとは異なり、データレイク内のデータは、必要になるまで生のままの構造化されていない形式で保持されます。ユーザーは、その時点でデータを処理、クエリ、構造化された形式に変換して、様々なタイプの分析、レポート、ビジュアライゼーションに使用できます。データレイクは、これらのアプリケーションを動かすための膨大な生データのプールを提供することで、マシンラーニングや人工知能などの高度な機能もサポートしています。

データレイクが必要な理由

あらゆる業界で、多くの企業は、データを活用して意思決定プロセスを促進し、ビジネス成長の機会を獲得しています。データレイクを活用することで、企業は膨大なデータを安全に保存、管理、分析できるようになります。

2024年に発表された調査によると、2030年までにデータレイクのグローバル市場は458億米ドルに達すると予測されています。2021年にIT専門家を対象に行った調査では、69%が自社でデータレイクを既に導入していると回答しており、その数はさらに増加している可能性があります。

データレイクの活用例

データレイクかデータウェアハウスか

データレイクは、データを収集し、後で使用するために準備を整えることを目的としています。一方、データウェアハウスは、物理的な倉庫や流通センターと同様に、組織と構造に焦点を当てます。

データレイクの機能とプロセスを、湖に降る雨に例えて説明しましょう。湖面に落ちた雨滴は、水中に蓄積されます。データレイクも同様に、データが長期にわたって蓄積されます。

一方、実際の倉庫では、未梱包の製品や予定外の出荷を受け付けません。データウェアハウスも同様に、準備が整っていないデータや、構造化されていないデータを受け取ることはできません。

機能
データレイク
データウェアハウス
スキーマ
読み取り時スキーマ(柔軟)
書き込み時スキーマ(事前定義)
データタイプ
構造化、半構造化、非構造化
構造化のみ
使用例
ビッグデータ、AI、リアルタイムのインサイト
レポート、構造化分析
コスト
初期費用が低い
前処理のためコスト高

データレイクまたはデータウェアハウスをどのような場合に利用するべきか

一般的に、様々なソースから膨大なデータを収集する必要があるものの、それらのデータをすぐに構造化する必要がない場合は、データレイクを使用することをお勧めします。

たとえば、一般的な消費者データを収集する企業は、データレイクを使用して次のようなことを把握します。

一方、在庫を管理するための信頼できる唯一の情報源が必要なディストリビューターは、データウェアハウスを導入する必要があるでしょう。データウェアハウスに格納された構造化データは、在庫やストレージ容量などの指標に関するリアルタイムのインサイトを提供します。

それぞれ固有のユースケースを考慮すると、データレイクとデータウェアハウスの両方を導入する必要があることに気付くでしょう。

データレイクハウス:両方の長所を融合した理想のソリューション

データレイクハウスモデルは、データレイクとデータウェアハウスの両方の長所を組み合わせたモデルです。データレイクのコスト効率と柔軟性を備え、事前定義されたスキーマなしで大量の未構造化データ(ログ、ビデオ、ソーシャルメディアコンテンツなど)を格納できるため、大量のデータを持つ組織に最適です。

同時に、データレイクハウスはデータウェアハウスの構造化データ機能も組み込んでいるため、分析やビジネスインテリジェンス(BI)タスクも実行できます。これにより、企業は構造化データと非構造化データの両方を処理しながら、SQLのようなクエリやマシンラーニングモデルを実行して、貴重なインサイトを得ることができます。

データレイクハウスは、統合されたデータ管理を提供し、分断化を解消してデータのアクセス性を向上させます。また、AIとの互換性も高く、データサイエンスやマシンラーニングアプリケーションをサポートしています。データレイクハウスは、Apache SparkやDelta Lakeなどのオープンソーステクノロジーを使用して、スケーラブルで最新のソリューションを提供します。  この統合アプローチにより、効率が向上し、インサイトの獲得を促進し、組織の全体的なコストが削減されます。

2022年の調査によると、企業の66%がデータレイクハウスを導入しており、半数がデータ品質の向上を主な導入理由として挙げています。

データレイクのアーキテクチャ

データレイクを構築する方法はいくつかありますが、自社独自のニーズに合わせて、データレイクのアーキテクチャフレームワークと構造を設計する必要があります。

3つの主要なアーキテクチャ

1. Hadoop

Apache Hadoopは、複数のサーバーをまたぐ大規模データの管理と処理を支援するオープンソースのツールです。

2. Amazon WorkSpaces

Amazon WorkSpacesは、規模を問わず、あらゆる企業にエンドツーエンドのクラウドコンピューティングサービスを提供します。

3. Microsoft Azure

Microsoft Azureは、分析プロセスとコンピューティング機能をサポートする統合インフラとして機能します。

データレイクアーキテクチャの3つの主要な原則

1. データを拒否しない

データレイクを形成する際の最初のルールであり、最も重要なルールです。現在使用する予定があるかどうかに関わらず、データを拒否しないこと。可能な限り多くのデータを収集し、後で処理する方法を決定しましょう。

2. データを現状のまま保持

データレイクでは、効率性と拡張性を重視するため、収集段階ではデータを現状のまま保持することが重要です。そうしなければ、データレイクの効率性が失われてしまいます。

3. 分析ニーズに応じてデータを変換

ビジネスインテリジェンス、マシンラーニング、AIテクノロジーを活用するには、膨大なデータが必要です。ただし、データセットの収集時にその特定の要件を明確に定義する必要はありません。当初から特定の目的やスキーマ定義を定めずに、データを収集、保存できます。後で分析ニーズに応じてデータを変換できます。

データレイクの構造層

データレイクの構造階層とは、データレイクアーキテクチャにおける、データ取り込みから始まるデータ整理および管理の様々な段階のことです。

インフォグラフィックでデータレイク構造の階層が表示されています。階層は、取り込み、インサイト、ストレージ、セキュリティ、蒸留、処理、統合運用です。各階層にはアイコンが付いています。

これらの層はすべて、データレイクの機能とパフォーマンスに大きな影響を与えます。単一の接点における効率性やパフォーマンスの低下は、データ分析プロセスを妨げ、データの価値を最大化できなくなる恐れがあります。

データウェアハウスの利点

インフォグラフィックでデータレイクを使用する利点が表示されています。表示されているリストは、データの一元化、スケーラブルで費用効果の高いストレージ、迅速な分析、コラボレーションの向上です。

さらに、データレイクは、企業全体のデータ情報を詳細に可視化するのに役立ちます。データを構造化する必要がないため、データ収集プロセスを迅速化し、顧客や市場に関するより多くの情報を効率的に収集できます。

データレイクの課題

データレイクアーキテクチャに投資する前に、これらの課題を把握しておくことで、適切な措置を講じ、データ管理ツールを最大限に活用できます。

データレイクを構築するための適切なプラットフォームの選択

データレイクは、膨大な量のデータを統合、分析するためのスケーラブルで柔軟なソリューションを提供し、高度な分析やAIアプリケーションの実現を可能にします。

組織向けにデータレイクソリューションを選択する際には、以下の要因を考慮するようにしてください。

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