MRM BrasilがAdobe Fireflyカスタムモデルを使ってクリエイティブなインパクトをもたらした方法。

Aaron Mitchell Finegold

06-11-2025

MRM Brasilが便秘薬の販売に乗り出したとき、チームは単にキャンペーンを作成したのではなく、生成AIの限界を試し、予想を上回る結果を出したのです。

消費者向けヘルスケアの急成長企業であるOpellaと、世界で2番目に売れている便秘薬ブランドであるDulcolaxの業務を請け負ったInterpublic Group(IPG)のエージェンシーは2つの目標を掲げました。それは Adobe Fireflyカスタムモデル を活用したキャンペーンを実施した最初のエージェンシーのひとつになることと、オーディエンスにこの話題をより身近に感じてもらうために、小粋でチャーミングなマーケティングキャンペーンを成功させることでした。このアーンドメディア中心のキャンペーンは、最終的にポルトガルで当初の目標の6倍近い590万人にリーチし、600万ユーロ以上のアーンドメディアを牽引し、売上を16.6%増加させました。

このキャンペーンを実現するために、エージェントは、ノイズを打ち破る大胆なコンセプトが必要でした。MRM Brasilによる消費者理解と、ポルトガル人女性を対象とした調査から得られたインサイトを踏まえ、チーフクリエイティブオフィサーのDogura Kozonoe氏とそのチームは、新たなクリエイティブコンセプトを打ち出しました。それは、人種・体型・スタイルの多様性を備えた現代版のプリンセスキャラクターたちが、堂々とトイレの王座に腰掛けているというものです。Dulcolaxの「うんちプリンセス」キャンペーンは、タブー視されている話題を、親しみやすく、ユーモラスで、驚くほど力づけられるものに変えるでしょう。

モデルを育て、ビジョンを形作る。

自分たちのビジョンを実現するために、イラストレーターたちはまず、多様な背景からインスピレーションを得た架空のキャラクターを幾つもスケッチしました。その後、商業的に安全なクリエイティブ生成AIモデル群である Adobe Firefly を組み込み、Fireflyを独自のアセットで訓練し、Fireflyカスタムモデルを作成しました。

カスタムモデルは、一連の視覚的に豊かでインクルーシブなキャラクターで生成し、一貫性がありブランドに即した画像を迅速に作成できる新たな手法を実現しました。アイデアと反復のたびに、AIは学習し改善を進めました。この微調整のプロセスによって、チームは毎回ゼロから作り直すことなく、狙い通りのキャラクターを生成できるようになり、ビジュアルアイデンティティの一貫性と柔軟性、そして独自性を維持することが可能になりました。

「これは本当に大きなメリットで、拡張性を容易に高められるのです」とKozonoe氏は説明します。「私たちは30枚か40枚のイラストを描く予定だったので、従来の方法なら3か月はかかったでしょう。Fireflyカスタムモデルで、私たちはクリエイティブな開発を加速させました。以前は何週間もかかっていたことを、今では数時間でできるようになりました。もちろん、社内の承認や法務にかかる時間を除けばですが。私たちは貴重な時間を取り戻し、重要性の高いクリエイティブな仕事に集中できるようになりました。」

高品質、スピード、そして向上心。

Fireflyカスタムモデルのおかげで、エージェンシーは高品質でブランドに即したコンテンツを迅速に作成できるようになり、ニーズと納期を満たすことができるようになりました。それだけにとどまらず、チームの評判を高めることにもつながったのです。MRM Brasilのチームは、プリンセスの鼻にあるそばかすや爪の繊細なデザインに至るまで、その正確さとディテールのレベルの高さに圧倒されたのです。

MRMのグローバルチーフクリエイティブオフィサーであるRonald Ng氏は、Opellaとのアプローチについてこのように語ります。「まさにそれが、OpellaのチーフグロースオフィサーであるAlberto Hernandez氏の言う『常識を超えた野心』なのです。大胆なクリエイティビティによってカルチャーの中で際立ち、ビジネス成長を推進するための取り組みです。ヘルスケア企業としてはとても新鮮でユニークなモデルです。」

IPGのアドビへの投資の一環として、MRM Brasilのようなエージェンシーは2つの画期的な機能を利用できるようになりました。それは、Adobe Firefly Services を活用して、クリエイティブワークフロー内でコンテンツを生成することと、ブランドアセットを学習させたカスタムAIモデルを構築することです。

成果として、ポルトガルでのリーチは590万人、アーンドメディアの価値は600万ユーロ、インプレッション数は1,000万回超、売上は16.6%増加、屋外広告の配置は200か所以上にのぼりました。

商用利用可能な倫理的AI。

当初から、チームには厳しい要求が課されていました。AIが生成するビジュアルは、商業標準を満たし、知的財産を保護し、倫理的なマーケティング慣行を遵守しなければなりませんでした。Fireflyにビルトインされている保護機能と Adobe Stock との統合により、エージェンシーは、クリエイティブがブランドに適合し、法的にも問題ないことを確認した上で安心して前進できました。

「Fireflyカスタムモデルを気に入っているのは、基礎モデルが商用利用に安全で、補償付きで、倫理的かつ高品質であり、他のモデルと比べても優れていたからです」とKozonoe氏は語ります。「著作権のリスクを回避し、コンテンツがアドビの基礎モデルのトレーニングに使用されることなく、私たちだけが利用できるようにしました。」

グローバル規模のクリエイティブパワー。

IPGは、マーケティングキャンペーンやパーソナライズされた顧客体験のためのコンテンツの計画、作成、管理、活性化、測定のプロセスを最適化するエンドツーエンドのコンテンツサプライチェーンソリューションである Adobe GenStudio に戦略的に投資しています。Dulcolaxのキャンペーンでは、MRMが世界各地のオフィスを活用し、各地域のチームが専門知識を提供してカスタムモデルの学習とデプロイに貢献しました。Adobe GenStudioのソリューションは、ナレーションやビデオを含むキャンペーンアセットの制作をサポートし、Adobe Illustrator と Photoshop でビジュアルを仕上げ、統一感を持たせました。

これらのツールを組み合わせることで、チームはプリンセスのコンセプトからキャンペーンまでをかつてないほど迅速に、しかもクライアントも驚くほどのクオリティで実現しました。キャンペーンアセットは、ポルトガル国内の200か所以上で、バス停やデジタルビルボードなどの屋外広告に掲出され、女性の77%に影響を及ぼす健康問題のスティグマ解消に貢献しました。こうした女性のうち27%は、子どもの頃の習慣に関連があるとされています。

このキャンペーンの成功は、適切なクリエイティブツールの力を使えば、タブーとされるトピックにさえ突破口を生み出せることを証明しています。Fireflyカスタムモデルを活用して、MRM Brasilは単に迅速に行動しただけでなく、議論そのものを動かしたのです。

商用利用に安全で、チーム間でスケーリング可能、さらに自社ブランドに合わせてカスタマイズできる Adobe Fireflyカスタムモデル の生成AIが、どのように業績を推進するかをご覧ください。

Adobe GenStudio が、ワークフローの合理化、クリエイティブ制作の拡張、あらゆるチャネルでのパーソナライズされたカスタマーエクスペリエンスの提供を通じて、グローバルチームのコンテンツの計画、作成、アクティベーションの迅速化を支援する方法について、詳細をご覧ください。

Aaron Mitchell Finegoldは、Firefly Services、Fireflyカスタムモデル、Firefly Creative Productionを含む生成AI製品群であるAdobe Firefly Enterpriseのプロダクトマーケティング責任者です。以前、Finegoldはプロフェッショナルサービスを展開する多国籍企業であるKinglsey Gateのチーフマーケティングオフィサーを務め、大規模および小規模言語モデルの開発に携わっていました。その前は、LinkedInでビジネスオペレーションのリーダーを務め、McKinsey & Companyではアソシエイトパートナーとして勤務、Ogilvy & Mather Worldwideでは戦略コンサルタントとして活躍しました。Harvard Business Review、McKinsey Quarterly、Thrive Globalに寄稿経験があり、INSEADにてMBAを取得しています。

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