Adobe CommerceとAdobe Real-Time CDPでパーソナライゼーションを活性化
Audience Activationでパーソナライゼーションが進化
ここ数年で、eコマースのパーソナライゼーションは、地域、年齢、性別などの大きなデモグラフィックセグメントに基づいて体験を設計するものから、各顧客のユニークなコンテクストや行動を反映する、リアルタイムにパーソナライズされた体験へと進化しました。B2CかB2Bを問わず、顧客は、自分自身の情報だけでなく、企業とのその時々のインタラクション(購入、サイトクリック、検索、ロイヤルティステータスなど)を反映した、高度にカスタマイズされた体験を期待するようになりました。
パーソナライゼーションは、画一的で固定的な体験から、大規模かつリアルタイムの一対一のパーソナライゼーションへと進化しました。
90%の消費者がeコマースのパーソナライゼーションに影響を受けている一方で、リアルタイムのパーソナライズされたコマース体験を提供できる小売業者はわずか20%にすぎません。では、何が障害となっているのでしょうか?
- サイロ化されたデータが実行を妨げている: 企業は、複数のビジネスシステム(コマースプラットフォーム、ERPシステム、POSシステムなど)に分散したサイロ化された顧客データやセグメントに苦慮しています。このまとまりのないデータが、統合顧客プロファイルや高度にパーソナライズされた体験の構築を妨げています。実際、75%の企業が、データをリアルタイムに活用できず、また活用する際にも障害に直面しています。
- 購入者の状況を考慮することができない: 多くの企業は、貴重な購入者情報を提供する履歴データや行動データを収集していません。そうしたデータを収集している企業でも、顧客を購入ファネルに導くコンテンツやプロモーションをパーソナライズするためにデータを活用することはほとんどありません。
- 従来のテクノロジーツールが即時対応を阻んでいる: 多くの企業は、小規模な顧客のセグメントに対しては手作業でパーソナライズされた体験を構築することはできますが、パーソナライゼーションの規模を拡大するには、大量の手作業を回避するための適切なテクノロジーソリューションが必要です。現在、58%の企業が、パーソナライゼーション戦略をサポートするために必要な適切なテクノロジーを導入していません。その結果、パーソナライゼーションの規模拡大やリアルタイムのエクスペリエンス提供にオートメーションを活用することができません。
大規模なリアルタイムのパーソナライゼーションを実現するには、顧客データの信頼できる唯一の情報源、AIによるきめ細かいセグメンテーション、エクスペリエンスの大規模な自動配信システムなどが必要です。Audience Activationは、Adobe Real-Time CDPとAdobe Commerceの新しい統合ソリューションであり、販売業者がパーソナライズされた顧客体験のためのデータ基盤を構築し、それを活用するのに役立ちます。
高度なパーソナライゼーションはデータ基盤から
パーソナライズされたサイト体験を構築する第一歩は、個々の買い物客や購入者を包括的に理解することです。つまり、実店舗、web、モバイル、メール、ソーシャルなど、あらゆるチャネルにおける企業とのインタラクションをすべて記録した、クリーンでコンプライアンスに準拠し、かつアクションにつながるプロファイルを保持した信頼できる唯一の情報源を構築するということです。各プロファイルは、サイトやページへのアクセス、クリック、カートへの追加、過去の購入履歴、注文状況など、顧客の行動をリアルタイムで反映するように更新する必要があります。
Adobe Real-Time CDPは、顧客データを統合し、クリーンでコンプライアンスに準拠した、アクションにつながるプロファイルを構築します。
Adobe Real-Time CDPは顧客データを統合
Adobe Real-Time CDPは、企業が部門をまたいで顧客データを統合し、アクションにつながる信頼できる唯一の情報を構築することを可能にします。Adobe Real-Time CDPは、あらゆるビジネスシステム(コマース、ERP、CRM、POSなど)とチャネル(1stパーティのweb、アプリ、メディアなど)から、既知のユーザーデータと匿名のユーザーデータの両方を取得します。次に、Adobe Real-Time CDPは、各顧客の全体像を構築するために、それらのデータを統合し、セグメンテーションとアクティベーションの準備を整えます。
Adobe Commerceのデータは、パズルの重要なピース
Adobe Commerceの購買意欲の高い顧客の1stパーティデータなしでは、顧客プロファイルは完成しません。Adobe Commerceのデータは、各顧客の全体像を補完し、各顧客の企業とのインタラクションや体験を示します。
この貴重なAdobe Commerceデータには、カートへの追加、商品の閲覧、チェックアウト、アカウントの作成、検索結果など、クリックごとの行動イベントが含まれています。また、注文が確定したか、返品されたか、発送されたか、キャンセルされたかなど、注文状況に関するデータも含まれています。これらの入力データはすべて、各顧客のユニークな体験を理解する上での貴重な情報となります。
新しいデータ接続拡張機能により、カスタム開発を行うことなく、Adobe Commerceデータを数時間でAdobe Real-Time CDPにフィードできるようになりました。これにより、顧客プロファイルを簡単に充実させ、顧客ごとに異なる体験をトリガーする行動のヒントを提供できるようになりました。
AIによるきめ細かなセグメンテーションが活性化のきっかけに
強力なデータ基盤が整ったことで、Adobe Real-Time CDPは、Adobe Senseを活用した顧客AIにより、顧客がコンバージョンする(特定のアクションを起こす)可能性や解約する可能性に基づいて、きめ細かなセグメントを作成できます。これを傾向モデルと呼びます。Adobe Real-Time CDPは、こうした可能性を判断するだけでなく、スコアの背景理由も示すため、マーケターは主要な推進要因と、それらに基づく体験やセグメントの設計方法を理解することができます。
傾向スコアと各スコアを左右する要因を、Adobe Real-Time CDPの顧客AIを利用して作成します。
例えば、通信の小売企業は、利益率の高いプレミアム電話機を顧客が購入する傾向スコアを、製品ページの閲覧、過去の電話機購入履歴、ロイヤルティステータスなどの行動トリガーに基づいて決定することができます。そして、数回のクリックするだけで、プレミアム電話機の購入者向けの新しいセグメントを作成することができます。そのセグメントには、最新デバイスを強調した厳選コンテンツを表示できます。
あるいは、解約傾向に基づいてセグメントを作成することもできます。例えば、通常のアップグレードサイクルを過ぎてもサイトを訪問していない顧客や、配送の遅延やキャンセルがあった顧客などです。そうした顧客をリエンゲージするために、独自のプロモーションやキャンペーンを提供することができます。
また、販売業者は、顧客の行動などの利用可能なデータに基づいて、正確なセグメントを作成するためのルールを定義することもできます。何よりも、あらゆることがAdobe Real-Time CDPの特許取得済みのデータプライバシーおよびガバナンスフレームワークによってサポートされており、データ運用ポリシーを遵守することができます。
強固な基盤が整えば次は活性化
Adobe Commerceマーケットプレイスの新しい拡張機能であるAudience Activationは、Adobe Real-Time CDPとAdobe Commerceを連携して、顧客データを活性化できるよう支援します。Adobe Real-Time CDPが、顧客プロファイルとオーディエンスの信頼できる唯一の情報源として機能する一方で、Adobe Commerceは、販売業者がパーソナライズされた体験を提供し、収益化できるプラットフォームです。具体的には、リアルタイムでパーソナライズされた サイトコンテンツ や プロモーション をリアルタイムで配信できるようになりました。これらは、Adobe Real-Time CDP内でAIを活用して構築され、管理されているセグメントに合わせてカスタマイズされています。
データが循環することで、プロファイルが拡充し、顧客がセグメンテーションされ、体験がパーソナライズされます。
パーソナライズされたコンテンツ: 販売業者は、セッション中の顧客の行動に基づいて、各顧客に異なるコンテンツをリアルタイムで表示できるようになりました。2つの例を見てみましょう。
- 衣料品店で顧客が特定のブランドのジーンズを検索している場合、小売業者はそのデニムブランドをアピールする新しいバナーコンテンツをホームページに即座に展開し、そのブランドの最新製品を紹介するコンテンツブロックをジーンズカテゴリーページ全体に配置することができます。
- スポーツ用品の小売業者は、パーソナライズされた動的コンテンツを利用して、買い物かごに入れられる商品の数を増やすことができます。誰かがテニスラケットを購入しようとしている場合、テニスラケットのカテゴリーページや製品詳細ページに、テニスボール、スポーツタオル、シューズを紹介する動的コンテンツブロックを配置することができます。
パーソナライズされたプロモーション(買い物かごの価格ルール): 販売業者は、利益を確保しながら顧客を獲得するための、きわめてパーソナライズされたプロモーションを実施することもできます。さらに2つの例を見てみましょう。
- 販売業者は、Adobe Real-Time CDP顧客AIを活用して、アップセルの可能性が高い買い物客を特定することができます。アップセルのオーディエンスを作成し、利益率の高いアクセサリーを20%割引で表示することで、アップセルを促進し、注文金額を増やすことができます。
- 小売業者は、例えば、新しい季節の衣料品コレクションに対して「XX円以上お買い上げでY%割引」といったオファーを提供することで、ロイヤルカスタマーに対してターゲットを絞ったプロモーションを行うことができます。
Audience Activationは、サイトコンテンツやプロモーションをコンテクストに応じて買い物客に提供することを可能にします。これにより、それぞれの体験が有機的になり、以前の行動や将来の傾向に一致するものとなります。
Audience Activationにより、コンテンツやプロモーションをリアルタイムでパーソナライズできます。
Audience Activationは大規模なパーソナライゼーションに大きな利点をもたらす
Audience Activationは、Adobe Real-Time CDPとAdobe Commerceの双方の優れた点を組み合わせて、次のような主要な利点を提供できます。
- リアルタイムでパーソナライズされた体験: 販売業者は、顧客がサイトを利用しているその瞬間にコンテンツやプロモーションをパーソナライズし、コンバージョンを促進し、顧客体験を文脈化できます。
- セグメント管理の一元化: ソースごとに分断されたデータを扱うのではなく、顧客データ、プロファイル、セグメントなどを構築および管理するための一元化されたプラットフォームを利用できます。このプラットフォームには、Adobe Commerceからの行動購入データやバックオフィスデータなども含まれています。これにより、ロイヤルティステータス(例:「ゴールド会員」のロイヤルカスタマーへの割引の提供)、コールセンターとのやり取り、CRMデータなど、あらゆるソースに基づいてパーソナライズされたコンテンツやオファーを提供することができます。また、あらゆるチャネルをまたいで一貫した体験を提供できるように、あらゆるマーケティング活動に一貫したプロファイルとセグメントを展開できます。
- AIを活用した高度なセグメンテーション: Adobe Real-Time CDPには、顧客AIが組み込まれており、AI傾向モデルを利用して、コンバージョンや解約の可能性などに関わる高度なセグメントを作成することができます。例えば、「解約の可能性が高い」顧客には、リエンゲージメントを促す独自のプロモーションオファーを配信することができます。
- リアルタイムのセグメントの適格性: これらすべてがリアルタイムで実行され、エッジでセグメントの適格性を処理する機能を備えています。セッション中の顧客の行動に基づいて、あるセグメントから別のセグメントへの移動が自動化され、瞬時のパーソナライゼーションがミリ秒単位で実行されます。
この新しい拡張機能により、大規模なパーソナライゼーションが強化されます。Adobe Real-Time CDPの統合プロファイルとセグメントにより、データの課題に対処し、カスタムの開発作業を行うことなく、Adobe CommerceとAdobe Real-Time CDPとの間でデータを簡単に共有することができます。そして、Adobe Commerceでパーソナライズされたコンテンツとプロモーション用の詳細なセグメントを作成して活性化することができます。
オーディエンスアクティベーションを活用して、パーソナライズされた体験を大規模に構築します。
Audience Activationの詳細
Audience Activationについ詳しくは、こちらのドキュメントをご覧ください。Marketplaceにアクセスして、Adobe CommerceとAdobe Real-Time CDPのユーザー専用の拡張機能をダウンロードしてください。Adobe Commerceの最新パーソナライズ機能について詳しく知りたい方やAudience Activationのデモをご覧になりたい方は、Adobe Summitの「Personalizing the Commerce Experience」をご覧ください。
Adobe CommerceとAdobe Real-Time CDPで、強力なパーソナライズされた体験を構築しましょう。
Rohan Bhattは、アドビのプロダクトマーケティングマネージャーです。パーソナライズされたコマース体験を専門としています。アドビに入社する前は、テクノロジーおよび決済分野のコンサルティングに5年以上携わり、世界的なテクノロジー企業数社に、製品および市場開拓戦略に関するアドバイスを提供していました。Rohanは、ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院でMBAとデザインイノベーションの修士号を取得しています。