【Adobe on Adobe】「Next-Gen Composability」により、アドビのコンテンツ生成プロセスが効率的に
2023年3月に米国ラスベガスで開催された「Adobe Summit」では、Adobe Experience Managerにおける次世代の機能のひとつである「Next-Gen Composability」が発表されました。Adobe Experience Managerを使用してページを公開する際に、これまでのようにWYSIWYGエディタではなく、Microsoft OfficeやGoogle Workspaceといった多くのビジネスパーソンが慣れ親しんだツールを使用します。そうすることで、コンテンツ生成への各種ハードルが下がり、よりスピーディにコンテンツを作成することが可能になります。その結果、パーソナライズされたコンテンツをより多様な顧客に提供することに繋がります。
実際に、アドビのサービスマーケティングでは、プロフェッショナルサービスチームと協力して、この仕組みを活用して本ブログのコンテンツを生成および管理しています。コンテンツ生成のプロセスがどのように効率的に変わったのか、本記事で紹介いたします。
Microsoft Officeなどで手軽にページの作成や公開ができる
Adobe Summitで発表された「Next-Gen Composability」は、Adobe Experience Managerにおける次世代の機能の一つです。これまでは「AEM Frankln」「Franklin Project」ないしは「Project Helix」という名称で呼ばれており、Githubなどでプロジェクトが公開されていました。詳しい内容は、アドビが管理する「AEM Franklin」のサイト(英語)でご確認いただけますが、以下のように定義されています。
AEM Franklin is a feature of Adobe Experience Manager and a new kind of web content management system by Adobe that creates sites that are fast, helps authors to publish quickly, and gets new sites launched rapidly.
(日本語訳)「AEM Franklin」はAdobe Experience Managerにおけるひとつの機能であり、新しいウェブコンテンツマネジメントシステムです。表示スピードの速いウェブサイトの作成や、迅速なページ作成および公開、そして新しいウェブサイトのスピーディなローンチを可能にします。
Adobe Experience Managerを使用してページを公開する際に、WYSIWYGエディタではなく、Microsoft OfficeやGoogle Workspaceといったツールを使用します。また、オーサリングのアーキテクチャがSEOに適したカタチとなっており、より高いLighthouseのスコア(Googleが提供するSEO関連のパフォーマンススコア)が期待できます。
2023年3月に米国ラスベガスで開催された「Adobe Summit」で発表され、同時に、既に先行して実装している顧客事例もいくつか紹介されました。アメリカのプロゴルフのPGAでは、Google Lighthouseスコアが100を達成し、ピーク時のトラフィック量は50倍に。そして3ヶ月間に12個以上のウェブサイトをローンチしました。
PGAだけでなく、AIRLESSCO社やThinkingbox社のウェブサイトでも実装されています。詳しくは、こちらから。
コンテンツベロシティのために重要な要素
Adobe Summit 2023のセッションで紹介された、コンテンツベロシティのための4つの重要な要素は、以下の通りです。
- Fast Creation - 迅速なコンテンツ作成のために著者が使いやすいツールを使わせる。
- No Barrier - 著者がツールを使用する際の障壁を取り除く。
- No Bottleneck - コンテンツ作成プロセスやフローにおけるボトルネックを取り除く。
- Measure & Optimize - 測定と最適化を続ける。
たとえばFast Creationに関しては、実際のコンテンツ作成において多くのユーザーがAdobe Experience Manager以外のツールを活用して、コンテンツを作成しています。最も人気のあるツールは、Microsoft Wordでした。なぜかというと、誰もが知っているツールであり、わざわざ新しく使い方を学ぶ必要がなく(=新規の学習が不要)、さらにはレイアウトを調整できる便利な機能もあるからです。そうであれば、使い慣れたツール(ここではMicrosoft Word)を軸にコンテンツを公開および管理できるようにしたほうが、コンテンツ作成のスピードも高まるのではないか?そのような考え方があります。
コンテンツはビジネスを促進するための顧客体験において重要な要素であり、それらを素早く生成するには4つの重要なポイントがあります。(Adobe Summit 2023セッションより)
多くのビジネスパーソンが慣れ親しんでいるツールやサービスを活用してコンテンツの生成や公開を行うことで、学習コストを最小限に抑え、コンテンツ制作スピードを大幅に改善することができます。
アドビの自社マーケティング活動における本機能の活用(Adobe on Adobe)
アドビでも、自社のウェブサイト管理にはAdobe Experience Managerを活用しており、いくつかのディレクトリでは「 Next-Gen Composability 」が導入され、コンテンツ生成や管理がされています。今ご覧になっているブログもそのうちのひとつとなります。今までは、下書きの原稿をMicrosoft Wordなどで作成した後に、ブログ担当者がWYSIWYGエディタでその内容を手動で編集。その後、プレビューを経て公開していました。しかし、今では、原稿をMicrosoft Wordで作成した後に専用のフォルダにWordファイルをアップして、プレビュー。その後に公開と、非常にシンプルな流れになりました。また、ブログへ画像や図を挿入したい場合においても、Adobe Stockの画像やMicrosoft PowerPointのスライドなどをWordファイルへ直接添付するだけでよく、別途画像ファイルをアップロードする必要もありません。画像サイズは自動的にリサイズされます。
WYSIWYGエディタの使用が不要になり、使い慣れたMicrosoft Wordでコンテンツの公開および管理ができるようになったことで、たとえば以下の変化が生まれました。
- 新しいツールの習得がほぼ不要になり、執筆者の心理的ハードルが低下。(Fast Creation)
- ブログ記事の管理に必要な専門的なトレーニングが最小限に。(No Barrier)
- 専任のブログ管理担当のリソースが不要になり、アドビ社員であれば誰でも(マーケティング職に限らず)記事を作成および公開できるように。(No Barrier)
- 専任のブログ管理担当とのコミュニケーションツールでのやり取りがなくなり、コミュニケーションコストを削減。(No Bottleneck)
その結果、公開されるブログ記事が増加しただけでなく、多様なメンバー(例:プロジェクトマネージャーなど)が執筆に参加することができ、記事のテーマが多彩になりました。CXM(顧客体験管理)実現のためにPersonalization at Scale(顧客の趣味嗜好に応じたパーソナライゼーションを大規模に展開していくこと)は重要な要素であり、それぞれの興味関心や課題感に応じた多彩なコンテンツを作成することはパーソナライゼーションのためにも大変重要です。
非常にシンプルなフローでコンテンツを公開できる。
コンテンツのプランニング自体も柔軟に
前述したように、本ブログの記事作成のハードルが下がったことによって、オペレーションにおける懸念事項のひとつが解消されました。その結果、コンテンツの計画も比較的自由になりました。今まであれば、作りたいコンテンツ案がいくつかあったとしても、工数や限られたリソースを考慮して、作成の優先順位を下げざるを得ないものもありました。オペレーションにおけるボトルネックが取り除かれたことによって、プランニングにも好影響が見られたのです。
今後は、アドビのメンバーがお客様の課題に応じて適切にブログ記事をご案内できるように、さらに多様なコンテンツを計画しています。今までは、イベントレポートやセッションレポート、ソリューションのアップデートの解説、などが多い傾向でしたが、今後はお客様インタビュー記事や、グローバルのブログ記事の翻訳および解説なども検討しています。
Adobe Experience Managerの「Next-Gen Composability」に関するご質問などは、貴社を担当しているアドビ社員およびパートナー企業様にお問い合わせください。もしくは、以下の「相談できるアドビ」より、アドビのプロフェッショナルサービスまでお問い合わせください。
3月に米国ラスベガスで開催された「Adobe Summit」のアドビブースでは、5分以内にウェブサイトを作成するという課題を通して、本機能を体験できた。
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