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日産、オンラインでの自動車販売を刷新

140カ国でハイブリッドのコマース体験を提供

日産

設立:1933年

従業員数:133,580名

日本、横浜

https://nissan-global.com

パートナー

Razorfish

www.razorfish.fr

17%

デジタルプラットフォームを通じた個人セールスの割合

導入製品:

Adobe Experience Manager

Adobe Commerce

Adobe Campaign

Adobe Analytics

Adobe Target

目標

世界5地域140カ国で共通の技術基盤を構築したい

オムニチャネルのカスタマージャーニーをパーソナライズし、ローカライズしたい

コンテンツの制作、管理、ローカライズを簡素化したい

新車発売に焦点を当てて、トラフィックをリアルタイムで分析したい

顧客満足度を最優先のKPIにしたい

成果

デジタルプラットフォームによる売上が17%に

サイトへの訪問数が44%増加

サイトで69万リードを獲得

36,000件のレビューサンプルに基づく顧客満足度の平均スコアが4.5点(5点満点)

140カ国の消費者の様々なニーズに対応する体験の創出

自動車業界は現在、3つの革命の渦中にあり、既存の経済産業モデルを根本的に見直しています。

この変革は何よりもまず、エネルギー革命です。電気自動車の開発だけでなく、エネルギー分野に関連する幅広いサービスが、同一の経済産業モデルによって可能になったからです。

商業的な側面もあります。顧客の関心は、所有から利用へとシフトし、自動車を所有することよりも、モビリティサービスから利益を得ることに興味を持つようになりました。販売モデルの焦点は、サービスと柔軟性へと移行しつつあります。

この革命はデジタルでも起こっています。Spinpartの調査によると、新車購入者の87%がオンラインで購入プロセスを開始するものの、82%の顧客にとってディーラーを訪れることは依然として不可欠です。日産はそれを十分に理解しています。消費者は、差別化されたデジタル体験と実体験、楽しくシンプルでオムニチャネルの体験を期待しています。

「複雑さの核心は、顧客がオンラインでジャーニーを始め、その後オンラインまたはディーラーで継続できる選択肢を提供することにあります。日産では、世界5地域140カ国にまたがる購入ファネルで、こうしたハイブリッドジャーニーを簡素化する取り組みを行っています」 と、日産 AMIEOのデジタル&カスタマーエクスペリエンス担当ディレクターChristophe de Beaumont氏は述べています。

同社のアプローチは、単一の技術基盤からローカライズされたショッピング体験を構築することです。15年以上にわたり、日産グループでは、アフリカ、中東、インド、ヨーロッパ、オセアニア(AMIEO)をカバーするグローバルなデジタルプラットフォームを開発してきました。つまり、デジタル成熟度が異なり、文化や消費パターンも多様な140カ国です。「柔軟性と拡張性が大きな課題でした。そのため、Adobe Experience ManagerとAdobe Campaignを導入し、技術基盤を構築し、CRMを簡単に有効化できるようにしました」 と、日産AMIEOのEコマース責任者であるJean-Philippe Sainsot氏は述べています。

「取引と関係の次元を組み合わせたのは、お客様と強固な関係を築きたいからです」

Jean-Philippe Sainsot氏、日産AMIEO、Eコマース責任者

共有された技術的枠組みとローカルの体験

アドビのCMSは「フルヘッドレスモード」で利用されており、市場ごとの特性に対応しています。市場によって取り扱う製品の種類が異なるためです。キャンペーン管理ソリューションのAdobe Campaignと組み合わせることで、日産はデジタル体験をローカライズし、マーケティングキャンペーンを調整することができます。

グローバルプラットフォームは、必要に応じて起動できる多数のモジュールで構成されています。各地域のローカルエンティティは、それぞれの市場や目的に合わせてカスタマイズしたオファーを作成でき、同時に地域のビジョンも尊重することができます。ある市場ではアクセサリー販売を有効にしたり、別の市場ではアップセルを有効にしたり、サービスの販売に重点を置いたりすることも可能です。この分散型モデルでは、150以上のすぐに利用できる機能を各国で利用できます。「自動車の新発売にあたっては、8~10ページのコンテンツが制作され、少なくとも10言語に翻訳されます」 と、15年以上にわたって日産のデジタル戦略開発を支援してきたRazorfishの欧州日産担当アソシエイトディレクターのOrianne Arnoul氏は述べています。

この第一歩により、日産は世界中でデジタル戦略を展開する準備を整えることができます。単一の技術基盤にアクセスすることで、市場規模や投資能力に関係なく、あらゆる国で同じ機能やコンテンツを利用できるようになります。日産にとって、このアプローチは、複数の国でデジタル戦略を連携しながら、開発および維持コストを最適化することと同じ意味を持ちます。

ハイブリッドeコマースのアプローチを優先

日産のプラットフォームは、Adobe Analytics、Adobe Target、Adobe Commerceによって構築されています。「日産のデジタル戦略は、オンラインでもオフラインでも、企業とのやり取りを簡単にすることです。当社のハイブリッドコマースのアプローチは、顧客の行動をサポートすることであり、そのためには取引コンポーネントをデジタルプラットフォームに統合する必要があります」 と、RazorfishのマネージングディレクターであるRémy Garnier氏は述べています。

アドビのエコシステムの導入は、次の3つの基準に基づいて決定されました。

  1. ソリューションの柔軟性:多種多様な製品やサービスを管理し、各市場の地域特性に応じてそれらを有効化または無効化できる強固な技術基盤を確保できる
  2. ソリューションの拡張性:規模を拡大し、大規模な国際展開を容易に行える
  3. エコシステムのコンセプト:完全にオープンで管理された環境におけるソリューション間の相互運用性を簡素化できる

eコマースは、日産のデジタル戦略を加速させるための足がかりとなり、プロジェクトには全従業員と全ディーラーが参加しています。日産グループは、自動車業界におけるチャレンジャーとしての地位を確立するために、組織の垣根を取り払い、機敏性を高めています。そして、「競争の激化と消費者の新たな期待に対応するために、ビジネスモデルをどのように再構築すべきか?」という問いを自らに投げかけています。

顧客は、この新しいハイブリッドの取引体験では、自分の車をカスタマイズし、在庫のあるモデルを確認し、サービスやアクセサリーを追加し、ディーラーの予約を取ってオフラインで購入ジャーニーを続けることができます。

「顧客中心主義は当然のことのように思われるかもしれませんが、企業との関係において、ひとり一人の顧客や見込み顧客を個別に最大限サポートするためには、細心の注意が必要です」

日産デジタル&カスタマーエクスペリエンス担当ディレクター、Vincent Gaubert氏

データを活用したプラットフォームとオファーの継続的な最適化

「取引と関係の次元を組み合わせたのは、お客様と強固な関係を築きたいからです。これにより、お客様を特定し、お客様を理解し、お客様がデジタルプラットフォームからディーラーへと移動する際に、その過程を追跡して支援することができます」 とJean-Philippe Sainsot氏は述べています。Adobe Analyticsは、国や地域による消費者行動の違いを理科し、改善すべき領域を特定するのに役立っています。「リアルタイムであることが重要です。なぜなら、私たちは製品に関するキャンペーンロジックに従っているからです。特に取引環境においては、適応するためにリアルタイムでトラフィックを監視する必要があります。もしあるページで顧客満足度が低下した場合は、その問題を解決する間、そのページをオフラインにすることができます」 とJean-Philippe Sainsot氏は付け加えています。また、こうしたデータ分析は、カスタマージャーニーをより豊かにし、拡大するためにも活用されています。

最後に、日産はディーラーネットワークに適格な見込み顧客を提供し、顧客のデジタルジャーニーに必要な情報をすべて提供することで、顧客との話し合いを活発にし、顧客が自動車を選択するのを支援しています。つまり、ハイブリッドeコマースのアプローチにより、デジタルプラットフォーム上のカスタマージャーニー情報によって、実際の販売サイクルが強化されるのです。「課題は、カスタマージャーニーの開発というよりも、むしろ、140カ国をまたいでハイブリッド体験を展開する能力にあります」 とJean-Philippe氏は述べています。

即効性があり有望な具体的成果

現在までに、Adobe Commerceはヨーロッパとオーストラリアの9つの主要市場で展開されています。現在、さらに7つの市場で導入が進められています。日産にとってのメリットはすぐに目に見える形で現れました。わずか1年で訪問数が44%増加したのです。69万以上のリードが生まれたことで、見積もり依頼、試乗予約、自動車注文などのデジタルジャーニーが販売に影響を与えている割合は17%に上ると推定されています。さらに、プレミアムカーのZ Nismoがオーストラリアで発売された際には、1時間足らずで50台の車両がオンラインで完売しました。「顧客の準備が整っているので、今後はデジタルジャーニーが大幅に増加するでしょう。取引ジャーニーにおける当社のコンバージョン率は、過去最高のコンバージョン率よりも3倍高くなっています」 とJean-Philippe Sainsot氏は述べています。同社の目標は、2025年までに販売の20%をデジタルプラットフォームから得ることです。

この野心的な目標は、日産が販売チェーン全体を管理する高度なデジタルモデルが導入されているスウェーデンでは既に達成されています。オンラインで顧客とやり取りする際に顧客エンゲージメントを強化するという点において、この消費者向け直接販売のパイロットモデルから多くを学ぶことができます。「私たちは、カスタマージャーニーを最初から最後まで追跡することで、コンバージョンの全体像を把握しています。つまり、企業への関与を示す顧客のあらゆる行動を『主要購入アクション』として特定することができます」 とJean-Philippe Sainsot氏は述べています。これらのアクションには、自動車の仕様設定、100%オンラインでのローン申請書の作成と提出、サービスやアクセサリーの追加、自動車の再販価値の即時見積もりなどが含まれます。

大規模なパーソナライズされた体験に向けて

日産にとっての主な指標は顧客満足度であり、これは同社のデジタル戦略の要となっています。2023年に36,000人以上のユーザーから平均4.5点(5点満点)の評価を得たことで、その成功は明らかです。

「顧客中心主義は当然のことのように思われるかもしれませんが、企業との関係において、ひとり一人の顧客や見込み顧客を個別に最大限サポートするためには、細心の注意が必要です」 とVincent Gaubertu氏は述べています。

AMIEOゾーン全体で採用されている日産のデジタル戦略は、全機能を共通の目標に動員する企業プロジェクトです。これには、成果情報をリアルタイムで提供し、誰もがアクセスできるようにすることが含まれます。また、「テストして学ぶ」アプローチにより、組織を機敏にすることも意味します。このアプローチでは、プロトタイピング、調整、実地テストを行い、テストで失敗した場合はプロジェクトを中止し、最適化された場合は変更を加えます。またこれは段階的なアプローチでもあります。最初のオファーの後、市場ごとに、機能ごとに、徐々に拡大し、継続的な改善が必要です。「この種の大型プログラムでは、常にプロトタイプを作成し、テストを繰り返しています。そして、その結果に応じて見積もりを調整します」とRazorfishのマネージングディレクターのRémy Garnier氏は述べています。

現在、日産はターゲティングとセグメンテーションの改善により、コンバージョンと顧客エンゲージメントの強化を目指しています。「今後は、コンテンツ制作と機能実装のプロセスを簡素化し、真のパーソナライゼーションを大規模に実現することが課題となります。私たちは、AIを活用して、カスタマージャーニーとコンテンツのパーソナライゼーションを加速させていく予定です」 と、Jean-Philippe Sainsotは述べています。