1978年、Bernie Marcus氏とArthur Blank氏はチャンスを見出しました。金物店での職を失った彼らは、コーヒーショップに座って、より優れたホームセンターに関するアイデアに思いを巡らせていました。より幅広い種類の商品があり、どのような作業でも、どのような技術レベルでも手助けできる高度な技術を持った従業員が揃っている、そうした彼らの夢はすぐに実現し、The Home Depotが誕生しました。
The Home Depotは、世界第5位のコマースサイトに成長し、何百万種類もの商品を提供し、2021年には年間売上が1510億ドルに達しました。Melanie Babcock 氏は、統合メディア担当バイスプレジデントとして、The Home Depotのコアバリューを、今日のデジタル経済に適合させることに率先して取り組んできました。
「顧客は問題を解決するためにThe Home Depotを訪れます。この行動は、あらゆる顧客に共通するものです。そのため、私たちは、顧客が必要とするサポートに見合った方法で、顧客に話しかける必要があります」と、Babcock氏は述べています。
The Home Depotでは数年前まで、マーケティングを商品や部門に限定していました。たとえば、顧客は全員、夏の間、グリルに関するメッセージを受け取っていました。このやり方はある意味理にかなっていましたが、代わりに顧客体験に焦点を当てることにしました。
「顧客の購買行動が、単一の部門や季節だけに焦点を当てているわけではないことに気づきました。顧客はThe Home Depoが提供する商品全体を包括的に見ているのです。顧客が作業に集中しているとき、オンラインであろうと実店舗であろうと、初期の検索の範囲を超えて、さらなる情報やアイデアを探すことがあります」と、Babcock氏は述べています。
「私たちは、顧客が探しているバスルームの蛇口だけでなく、作業に必要なあらゆる物をThe Home Depotで購入できることを、顧客に知ってもらいたかったのです。その結果、顧客が通路をどのように移動するかに従ってメディア戦略を見直し、住宅改修プロジェクトの完了までにかかる時間に焦点を移すことが求められました」と、Babcock氏は述べています。
Adobe Real-Time CDPを利用して、こうした統合プロファイルを構築することで、The Home Depotは顧客データに関するガバナンスを強化することもできました。これにより、ITリソースが解放され、より複雑なデータ戦略に取り組むことができるようになりました。The Home Depotは現在、どの顧客にどのようなエクスペリエンスを提供すべきかを、Facebookのような広告配信先に依存して決定する代わりに、独自の顧客セグメントを作成し、様々なジャーニーをまたいでエクスペリエンスがどのように分配されるかを厳密に定めています。こうした効率化により、マーケティング部門の生産性が前年比で50%以上向上しました。
仕事が成功することほど、嬉しいことはありません。Babcock氏にとっては、The Home Depotでデータ主導型のカスタマージャーニーへの移行を率いたことにより、「2022 Adobe Experience Maker Executive of the Year」を受賞したことが何よりの喜びでした。同氏は、マーケティング部門がこの新しい戦略の中で足場を固めなければならない一方で、The Home Depotの各部門が新しい重点分野で活躍できるような環境を整えました。
「The Home Depotでは従業員に、スキルを伸ばし、学び、安全な方法で失敗する機会を提供しています。それにより、人々は安心して自己変革することができます。そのことは、私にとって非常に重要です」
Babcock氏の顧客重視の姿勢により、チェックアウトの方法も顧客のニーズに合わせて再構築されました。現在、オンライン注文の55%近くが、店舗での受け取りを選択しています。The Home Depotでは、Adobe AnalyticsとAdobe Targetを利用して、実店舗の前のロッカーからオンラインで注文した商品を受け取ることができるシームレスな体験を構築し、買い物客の約20%が受け取りの来店時に追加購入をしています。
新たにパーソナライズされた体験により、同社の純売上高は前年比で14%増加しました。コーヒーショップでのアイデアから始まったThe Home Depotは、長い道のりを経て、あらゆる住宅改修プロジェクトをサポートするシームレスなオンライン体験および実店舗体験を提供するまでになりました。
「The Home Depotの変革の核心は、データの力と築いてきた顧客との信頼関係です。Adobe Real-Time CDPとAdobe Experience Platformを利用することで、何百万人もの顧客にインスピレーションをもたらす、より適切で的を絞ったメッセージを提供できるようになりました」と、Babcock氏は述べています。