
+20%
オンライン売上高増加
約50%
オンライン注文の店頭受取の割合
1,080億ドル
総売上高(うち8%がオンライン)
あくなき探究心
The Home DepotにJose氏が入社した1998年、彼はグラフィックデザイナーであり、eコマースは黎明期にありました。インターネット利用者のほとんどはダイアルアップ接続を使用しており、キッチンの蛇口をオンラインで注文するという考えは、無きに等しいものでした。 しかし、その後の20年間で同社eコマースサイトは世界6位の規模にまで拡大しました。取り扱い商品は百万種類を超え、年間売上高は1,082億ドルにまで達しています。この成長を最前線で支え続けたJose氏は、今やクリエイティブディレクターを務めています。
eコマースの拡大が進む中、同社が認識したことは、オンラインと実店舗のエクスペリエンスを統合する必要性でした。顧客がwebサイトと近くの店舗のどちらを訪れる場合でも、適切な情報と目的の商品をすばやく見つけられるようにする必要がありました。

「変化を拒んだら、The Home Depotではない。私たちのDNAにはそう刻まれています」
Jose D氏
The Home Depot、オンラインクリエイティブディレクター兼CRM担当ディレクター
初めの一歩
このビジョンの実現のため、同社は新たなツールを導入しました。「止まることなく、変化とイノベーションを追い求め続ける企業。それが私たちです」とJose氏は語っています。
現在、同社のクリエイティブチームでは、PhotoshopやInDesign、XD、Sparkを始めとする様々なアドビ製品を利用しています。「XDはホームページとカテゴリーページに使用しているほか、電子メール担当チームも利用しています」と同氏は述べています。また、Adobeの編集可能なPDFが、同社の有名なHD Homeカタログなどの印刷物のフィードバックや承認プロセスの合理化に役立っていることを、プリントクリエイティブ担当シニアマネージャーを務めるSusan氏が言及しています。
さらに、「当社の顧客はスマートで経験豊かです。オンラインストアと実店舗のエクスペリエンスを結合したことで、連続性のあるメッセージや⾒本デザイン、アイデア、プロモーションを、オンラインであっても実店舗であっても提供できるようになりました」とオンラインクリエイティブ担当シニアマネージャーを務めるMatthew⽒は述べています。

「テストにはこれまで数週間かかっていました。しかし、アドビをはじめとするプラットフォームのおかげで、モックアップを短時間で作成し、定量的なデータを得て効果を確認できるようになりました」
Matthew J氏
The Home Depot、オンラインクリエイティブ担当シニアマネージャー
The Home Depotが導入したアドビ製品
オンラインで注文、店頭で受け取り
The Home Depotは、顧客インサイトの発見にはデータドリブン型モデルが役立つと考え、あらゆる顧客データを単一の顧客プロファイルに統合しました。このプロセスについて、オンライン分析およびビジネスインテリジェンス担当ディレクターのRanjeet Bhosale氏は次のように語っています。
「当社では、オンラインチャネルとオフラインチャネルで指標を分けることはしていません。webサイトでのアクティビティや店頭での売上、コールセンターへの問い合わせ件数、返品量、注文のキャンセル件数など、あらゆる情報を収集することに注力しています。これにより、あらゆる顧客接点におけるエクスペリエンスを向上するための優れた意思決定が可能になります」。つまり、同社では、あらゆる角度からの顧客プロファイルを把握できるようになったのです。
あらゆるデータの連動を実現した同社が次に求めたものは、顧客に情報を提供する手段でした。そこで、顧客の誰もが当時持っていたもの、すなわち携帯電話を利用した革新的なソリューションの試作に取り掛かりました。
こうして作成されたのが、The Home Depotアプリです。顧客が買い物リストを入力して実店舗を訪問すると、アプリに目的の商品(キッチン用水栓、金槌、ボンドなど)がある通路と区画番号への行き方が表示されます。さらに、同じ画面上でレビュー、使い方の動画、商品の詳細を確認することもできます。「顧客とのつながりを構築しながら、売上を上げるのに、アプリが役立っています」とSusan氏は述べています。


試作時の顧客からのフィードバックをもとに、アプリには便利な機能が追加されていきました。例えば、店員に尋ねるときのようにアプリに話しかけて、音声入力で検索できる機能や、壊れた部品の写真を撮ると、該当する商品を人工知能が検索してくれる機能もあります(エクスペリエンス強化用のマシンラーニングソリューションであるAdobe Senseiを使用)。アプリは仮想現実にも対応しており、リビング用のシーリングファンライトなど、一部の商品について実際の環境に配置したときの様子を確認することも可能です。
仮想現実のエクスペリエンスへの活用はこれに留まりません。
同社はさらに、屋内外でのペンキ塗りに最適な塗料の色をスマートフォンから直接探すことのできる、Project Colorアプリをリリースしました。例えば、ネイビーブルーとレーシンググリーンのどちらの日除けが良いか迷ったときに、リビングや寝室、屋外でのそれぞれの見栄えを拡張現実を利用して確認できます。また、ストリートアートなどで好きな色を見つけたときにその写真を撮ると、The Home Depotで提供されている最も近い色の塗料を検索することもできます。
キッチンの蛇口が壊れたので、すぐに交換したい。

早速、The Home Depotアプリで目的の商品を検索。良かった!近くの店に在庫がある。

店に行き、アプリの案内に従って目的の水栓がある売り場に到着。無事購入できました。

すべてはデータで決まる
The Home Depotのビジネスインテリジェンスチームでは、Adobe AnalyticsとAdobe Audience Managerを活用して様々なグループのデータを単一の顧客プロファイルに統合しています。そうすることで、キッチンの蛇口を探している個人でも、大口購入を検討している塗装業者でも、ターゲティングすることが可能になります。顧客の行動データやリアルタイムの情報など、あらゆるデータを一元化することで、データから即座にインサイトを得て、エクスペリエンスを改善できます。「当社がデータにもとづいた決断をどれだけおこなっているかを知れば、誰もが驚くでしょう。これまで数週間かけてテストをしていましたが、今ではモックアップを短時間で作成し、定量的なデータを得て効果を確認できるようになりました」と、Matthew氏は語っています。
同社はオファー、プロモーション、webデザインをすばやくテストし、オンラインエクスペリエンスの継続的な改善につなげています。こうしたあらゆる取り組みの目的は、顧客への情報提供にかかる時間を短縮することにあります。すなわち、顧客が途中で迷うことなく、すばやく目的の商品を見つけられるようにすることです。
その成果は明らかです。現在、同社の営業売上高の86億ドルはオンライン注文によるもので、ほぼ半数の商品が店頭で受け取られています。

「チームにとって大事なことは、俊敏性を高めてすばやく対応することです。アドビのツールのおかげで、実店舗とオンラインの両方をまとめて把握できるようになりました」
Susan B氏
The Home Depot、プリントクリエイティブ担当シニアマネージャー
成功のために
仕事が成功裏に終わったときほど、嬉しい瞬間はありません。Jose氏率いるクリエイティブチームにとって、成功とは、複数の部門間でコラボレーションを実現することを意味します。そして顧客にとっては、オンラインで気に入ったキッチンの蛇口を実店舗で簡単に見つけられることが、成功と言えるでしょう。
また、オンライン注文で店頭受取が選択される割合が約48%に上るようになったことを受け、購入品を顧客がすぐに受け取れるように「注文受取」ロッカーを店頭に設置しました。これにより、受け取りに来た客のおよそ20%がついでに店内で買い物をして帰るという効果が得られています。インターネットの黎明期から進化を続けてきたThe Home Depotが、オンラインと実店舗のエクスペリエンスの統合を実現したのです。
「当社が、現状に満足することはありません」と、Jose氏は言います。「変化を拒んだら、The Home Depotではない。私たちのDNAにはそう刻まれています」