スキーヤーはそれぞれ独自のコースを滑り降りますが、遠くから見ると、デジタルチャネルをまたぐオーディエンスのように、全員が同じように見えます。通年営業のスキーリゾートを19か所運営し、Ikon Passを通じて世界60か所以上の旅行先へのアクセスを提供しているAltera Mountain Companyは、顧客は画一的な存在ではないことを理解しています。マーケティングをパーソナライズし、予算を最適化し、顧客体験を向上させるために、Alteraはオーディエンスの全体像を把握する必要があります。特に重要なストリーミングキャンペーンでは、その必要性が高まります。
ストリーミングは全テレビ視聴のほぼ43%を占めており、コネクテッドテレビ(CTV)へのシフトと、マーケティングチャネルとしての関連性の高まりを示しています。スマートテレビ、ゲーム機、その他のストリーミングデバイスをまたいでコンテンツを消費する人が増えるにつれ、ブランドは適切なオーディエンスにリーチすることで、消費者の心に強く印象付け、エンゲージメントを促進する独自の機会を得ることができます。しかし、データの断片化やオーディエンスインサイトの制限により、ブランドにとって、エンゲージメントの追跡、パフォーマンスの測定、広告費がコンバージョンにつながることを保証するのは難しい課題です。
そこで対応に乗り出したのが、マーケティングテクノロジー担当ディレクターを務めるMiriam Schachtman氏が率いるAlterraのデジタル戦略部門です。サポートには、Alterraと提携するデジタル代理店の85SIXTYでデジタルソリューション担当アソシエイトディレクターを務めるKevin Day氏がつきました。Schachtman氏たちは、顧客エンゲージメントの向上、広告費の合理化、CTVを有料メディア戦略における測定可能で効果の高いチャネルにすることを目的に、Alterraがファーストパーティデータを活用する方法を変革しようと取り組みました。Schachtman氏とDay氏は、影響を最大限に高めるには、ファーストパーティデータを使用して、あらゆるデジタル接点をまたいでCTVオーディエンスを惹きつけるための、将来を見据えた戦略が必要だということを理解していました。
それを実現するために、Schachtman氏たちはAdobe Real-Time CDP Collaboration(アドビの新しいプライバシー重視の専用データコラボレーションアプリ)を活用して、Alterraの技術スタックを拡張しました。Alterraは、プライバシーを重視したワークフローでファーストパーティオーディエンスをアクティベートすることで、よりスマートなターゲティングと測定可能なパフォーマンスを実現できました。その結果はすぐに現れました。AlterraのNBCUniversalプレミアムストリーミングキャンペーンのコンバージョン率は、3つの主要オーディエンスセグメントをまたいで30%増加しました。これは、Alterraのメディア戦略の重要な要素として、ファーストパーティデータコラボレーションとストリーミング(CTVを含む)の価値を証明するものです。

よりスマートな支出に統合されたアプローチ。
Real-Time CDP Collaborationを使用する以前は、CTVのパフォーマンス測定は制限されていました。「それは常にミックスの一部でしたが、課題は、その影響を証明することでした。今、私たちはブラックボックスの謎を解き明かしつつあります」とDay氏は言います。
Alteraの顧客データは既にAdobe Real-Time CDPに統合されていたので、新しいユースケースのアクティベーションは瞬時に完了しました。サードパーティとの交渉や複雑なデータ転送は必要ありませんでした。現在、Alteraはサードパーティとの契約交渉やオーディエンスリストを手動転送する代わりに、Real-Time CDP CollaborationのReal-Time CDPから数回のクリックでオーディエンスにアクセスして、NBCUniversalや他のパブリッシャーとの重複レポートの実行やオーディエンスのアクティベーションを開始できます。
Day氏は次のように述べています。「A地点からB地点にデータを移動する方法を考える必要はありませんでした。当社のオーディエンスは既にAdobe Real-Time CDPにありました。スイッチを切り替えるだけで、同じプラットフォーム上でReal-Time CDP Collaborationを稼働させることができました。これは大幅な時間の節約になります」
正確なターゲティングと詳細な行動インサイトを活用することで、Alterraと85SIXTYは広告のクリエイティブと配置を最適化し、入札戦略を改善し、無駄なメディア支出を削減しています。これにより、すべての支出が、頻繁にスキーを楽しむ人やシーズン券を保有する富裕層、高級スキーヤーや企業、グループ、海外からの旅行者など、価値の高いスキーヤーや旅行者に確実に届くようにしています。

データからアクションへ:カスタマージャーニーのパーソナライゼーション
Schachtman氏にとって、パーソナライゼーションは単なる戦略ではなく、必要不可欠なものです。通年でセールスサイクルを展開するブランドとは異なり、スキーシーズンは限られた期間に集中しているため、チームはまさに最適なタイミングでキャンペーンを開始する必要があります。
Real-Time CDPを活用すると、データが蓄積される前にオーディエンス定義を作成できるため、顧客セグメントをリアルタイムでアクティベートできます。これは、潜在的な旅行者が冬の計画を確定する前にアプローチする上で重要な利点となります
「私たちは、シーズンごとに再利用や洗練が可能な定番のオーディエンスを持っています。たとえば、コロラド州のスキーリゾートのオーディエンスとカリフォルニア州のオーディエンスを動的に統合し、両方の地域を頻繁に訪れるスキーヤーに対してカスタマイズされたメッセージを配信できます」とSchachtman氏は語ります。
リアルタイムのインサイトにもとづいて行動するこの能力により、Alterraは、マーケティングキャンペーンが人々にリーチするだけでなく、タイミングよく適切なメッセージでリーチできます。

勝つためのコラボレーションと実験
Schachtman氏とDay氏は、どちらもAlterraのことを、顧客エンゲージメントへのアプローチを洗練させる成長戦略を採り入れる、起業家精神に富んだ企業であると表現しています。
2017年よりAlterraに在籍するSchachtmanは次のように述べています。「Alterraで働き始めてからずっと、顧客体験を向上させるための消費者向けテクノロジーに投資するAlterraのコミットメントにいつも力をもらっています。当社は人材に投資しています。素晴らしい成果を生み出しています。そして、決して立ち止まりません」
アドビのテクノロジーを活用したAlterraと85SIXTYのパートナーシップは、両社のチームのコラボレーション方法を変えました。詳細なインサイトとより機敏な実行力を得たことで、両社はアプローチを継続的に洗練させ、すべてのキャンペーンを前回よりも効果的にすることができます。
ファーストパーティデータに対する安全で将来を見据えたアプローチ
データプライバシーに関する規制が強化される中、Alterraが最優先事項としたのは、安全でプライバシーに配慮したデータコラボレーションです。Real-Time CDP Collaborationを追加することで、顧客の身元を明らかにせずにファーストパーティデータの共有を可能にする、プライバシーに配慮したソリューションが実現しました。「当社はデータガバナンスを真剣に捉えています。アドビによって適切に管理されているので、プロセスが簡素化しました」とSchachtman氏は言います。
「AlterraがNBCUniversalと行ったようなデータ共有契約を締結する際には、常にリスクと煩雑な法務承認プロセスが伴います。しかし、アドビとの契約では、すべて安全な領域にあるという確認を受け取ることができました。移行は非常にスムーズに進みました」とDay氏は述べています。
「当社はデータガバナンスを真剣に捉えています。アドビによって適切に管理されているので、プロセスが簡素化しました」
- Alterra Mountain Company、マーケティングテクノロジー担当ディレクター、Miriam Schachtmaneting
完璧よりも進歩
Real-Time CDP Collaborationは、Alterraと85SIXTYが有望な見込み顧客を絞り込み、マーケティングのパーソナライズを大規模に行い、CTVを測定可能なパフォーマンスチャネルに変えることを支援しています。Real-Time CDPの一部であるCollaborationは、セカンドパーティおよびサードパーティとのコラボレーションを強化し、完全な顧客データ管理を提供します。
長期的な視点ではどうかと言うと、Schachtman氏とDay氏は、短期的な成果だけでなく、常に進化し続けることを信条としています。
「家では常々子供たちに、『練習が上達につながる』と言っています。一夜にして何かを完璧にできるわけではありません。スキーを習うにしても、マーケティング戦略を練り上げるにしても、少しずつ改善していくことが大切なのです」とDay氏は言います。
Schachtman氏も同意しますが、少しアレンジを加えています。「私はチームに、『完璧よりも進歩』と言っています。私たちがローンチするすべてのキャンペーン、そして獲得するインサイト一つひとつが、より大きなものへとつながっていくのです」
Alterraは、カスタマーエクスペリエンスの最適化にアドビのその他の製品も活用しています。Adobe Analyticsを使用して、webとアプリの行動データをReal-Time CDPにフィードし、顧客プロファイルを充実させ、Adobe Targetを使用して、web、モバイル、その他のデジタルチャネルをまたいで、パーソナライズされたリアルタイムのエクスペリエンスを提供しています。Adobe Journey OptimizerはReal-Time CDPと連携し、パーソナライズされたクロスチャネルのカスタマージャーニーを大規模に提供します。
Adobe Real-Time CDP Collaborationによって、あらゆるデータポイントがAlterraの戦略を強化し、完璧な滑走のようにシームレスでパーソナライズされた顧客体験を保証します。
Adobe Real-Time CDP Collaborationが、ブランドとパブリッシャーが協力して有望なオーディエンスを発見してアクティベートしたり、測定機能を使用して具体的な成果を上げたりするのにどのように役立つのかご確認ください。Real-Time CDP Collaborationは、Adobe Real-Time CDPの一部として、またはスタンドアローン製品としてご利用いただけます。
さらに、2025 Adobe Summitのセッション、アドビとのデータコラボレーション:AlterraがNBCUniversalでコンバージョン率を30%向上させた方法 をご覧ください。
Lory Mishraは、Adobe Real-Time Customer Data Platformのプロダクトマーケターです。プロダクトマーケティングの役割に就く前は、カスタマーサクセス担当リーダーとして、様々な業界のAdobe Experience Cloudの顧客をサポートしました。アドビや代理店で10年以上デジタルマーケティングに携わってきた経験から、優れた顧客体験と、ブランドがテクノロジーへの投資から最大限の価値を引き出せるように支援することに尽力しています。現在は夫とたくさんの観葉植物とともにシカゴに在住しています。