経営戦略を成功に導くマーケティングとは?
企業が収益を上げるには、自社の製品やサービスを多くの人に認知してもらい、1件でも多く購入に結びつける必要があります。しかし、インターネットが広く普及し、社会環境の変化によってリアルな営業活動がオンラインにシフトしつつある今、かつてのように人力に頼った営業活動では収益の最大化は期待できません。
企業が成長を続けるための経営戦略において、重要性が高まっているのがマーケティングです。ここでは、経営戦略の概要や、経営戦略を成功に導くマーケティングの在り方について解説します。
目次
- 経営戦略とは、企業が利益を得るための方針や計画
- 経営戦略とマーケティングの関係
- マーケティング戦略の立て方
- マーケティングが企業経営に与えるメリット
- ROIの測定とマーケティングの最適化に役立つMA
- マーケティングで経営戦略を成功させるならAdobe Marketo Engage
- Adobe Marketo Engageで、経営戦略を成功させよう
経営戦略とは、企業が利益を得るための方針や計画
経営戦略とは、企業が持続的に利益を獲得していく上で、欠かせない経営資源である「ヒト」「モノ」「カネ」を最適な比率で配分する方針や計画のことです。
競合との関係性や立ち位置を含めて、自社が置かれている状況を客観的に分析し、「どうすれば生き残れるか」を考えて設定した目標を達成するためのシナリオと言い換えることもできるでしょう。
経営戦略には、大きく「全社戦略」「事業戦略」「機能戦略」の3つがあり、一つひとつ細かく検討することが重要です。経営戦略を構成する3つの関係性としては、最も大枠の全社戦略の中に事業戦略があり、さらに事業戦略の中に機能戦略があります。それぞれについて、具体的に見ていきましょう。
全社戦略
全社戦略とは、その名のとおり、全社が取り組むべき方針や計画のことです。企業のミッションやビジョンから取り組むべき事業領域を決め、具体的な事業として落とし込みます。
今後、全社を上げて取り組む事業と、その取り組み方、目指すゴールを示すものなので、企業の方向性に大きく関わり、将来を左右する重要な指針になるでしょう。
スタートアップや中小企業が全社戦略について考える場合は、自社の一番の強みを主たる事業領域として展開すれば問題ありません。
一方、企業が拡大フェーズに入ると、少しやり方が変わってきます。培ってきたノウハウを活かせる新たな事業領域、および競合がまだ進出していない事業領域へのチャレンジを含めた全社戦略の決定が必要です。そのため、意志決定のプロセスは複雑になる傾向があります。
なお、全社戦略は、基本的に経営陣が主導して決定し、全社にアウトプットします。
事業戦略
事業戦略とは、全社戦略を実行するために、事業が取り組むべき方針や計画のことです。事業の競合優位性を保つために、自社の競争力の源泉が何にあるのかを考え、他社との差別化ポイントから事業機会を見つけ出します。その上で、全社の成長につながる戦略構築のため、事業の目標や目標に応じた体制を決定します。
事業の数が限られているスタートアップや中小企業では、全社戦略がそのまま事業戦略として実行されることになるでしょう。事業戦略が重要性を増すのは、企業が成長フェーズにあり、事業の数を増やしたり領域を拡大したりする場合です。
機能戦略
機能戦略とは、事業戦略を実行するために、人事や財務、研究開発、営業などの各機能が取り組むべき方針や計画のことです。
全社戦略や事業戦略を踏まえて、機能の活動方法を具体的に決定します。
経営戦略とマーケティングの関係
経営戦略の概要を踏まえて、マーケティングとの関係性について考えていきましょう。
マーケティングとは、自社の製品やサービスを必要としている潜在的な顧客を探し出し、実際に製品やサービスを提供して喜んでもらうために行う一連の活動です。
マーケティングを意識すれば、顧客とのより良い関わり方を踏まえた上で、経営戦略を立てることができます。さらに、マーケティング戦略に用いられる分析手法を活用すれば、さまざまなフレームワークを使って自社の立ち位置や競合について分析し、経営戦略を考えることができます。
事業戦略を立てる段階でマーケティング戦略を立て、機能戦略を立てる段階でマーケティングの実行方法を考えると、マーケティングの効果を最大限に発揮することができるでしょう。
マーケティング戦略の立て方
マーケティング戦略は、どのように立てていくといいのでしょうか。順を追って見ていきましょう。
1. STP分析でターゲットを絞り込む
STP分析とは、マーケティング戦略を立案するためのフレームワークのひとつで、ターゲットを特定するために行います。STPは、「Segmentation」「Targeting」「Positioning」の頭文字です。
<STP>
- セグメンテーション(Segmentation):市場を年齢や性別、地域などの切り口で分類し、製品やサービスの特徴に合った市場を見つけ出す
- ターゲティング(Targeting):セグメントの結果を基に、どの層にアピールすべきか、ターゲットを定める
- ポジショニング(Positioning):製品やサービスの他社との差別化ポイントを見つけ、競合に対する立ち位置を明確にする
2. 4P分析を行ってアプローチの方法を決める
4P分析とは、4つの要素を組み合わせて、最適なアプローチの方法を決定するフレームワークです。4Pは、「Product」「Price」「Place」「Promotion」の頭文字です。
<4P>
- 製品(Product):品質やデザイン、サイズ、特徴など
- 価格(Price):標準価格や値引きなど
- 流通(Place):使用するチャネルや流通させる範囲、在庫など
- プロモーション(Promotion):広告や広報、販促など
3. 3C分析で自社の状況を確認する
3C分析とは、自社の現状を外部と内部から分析するフレームワークです。外部分析は「市場、顧客、競合」、内部分析は「自社」を軸に分析します。3Cは、「Customer」「Competitor」「Company」の頭文字です。
<3C>
- 市場、顧客(Customer):市場規模や市場の成長性、購買につながる要因などから、潜在顧客を見つける
- 競合(Competitor):数や強み、弱み、戦略など、競合について分析する
- 自社(Company):外部分析の結果を踏まえて、自社の戦略について検討する
4. カスタマージャーニーを把握する
カスタマージャーニーとは、顧客が購買に至るまでのプロセスと、各プロセスにおける顧客の行動や思考、感情を整理したものです。カスタマージャーニーを把握すると、タッチポイントごとに顧客の熱意を見極めたアプローチがとれるようになり、競争優位性を高めることができます。
カスタマージャーニーを考える際には、代表的な購買モデルを基に顧客の行動と感情の変化を予測し、購買意欲を高めるための企業側の行動を決定するカスタマージャーニーマップを作成するといいでしょう。
ここでは、カスタマージャーニーの把握に役立つ顧客の購買モデルとして、インターネット時代ならではの検索が行動プロセスに加わった、AISASを紹介します。
AISASとは、顧客の購買プロセスを「注意(Attention)」「関心(Interest)」「検索(Search)」「行動(Action)」「共有(Share)」の5つに分けて考えるモデルです。
<AISAS>
- 注意(Attention):製品やサービスを知る
- 関心(Interest):製品やサービスに価値を感じ、関心を持つ
- 検索(Search):ネットで情報を集め、理解を深める
- 行動(Action):資料請求や購入などの行動を起こす
- 共有(Share):購入した製品やサービスを使い、その感想をSNSなどで発信、共有する
カスタマージャーニーについては、下記の記事で詳しく説明しています。
5. 顧客とのリレーションシップを意識する
企業の売上の80%は、顧客の上位20%にあたる優良顧客がもたらすといわれています。ですから、マーケティング戦略を立てる際には、「一人でも多くの顧客に買ってもらう」こと以上に、「一度購入した顧客に何度も買ってもらう」ために、顧客のロイヤルティを高めてリピーターに育てるリレーションシップを意識することが重要です。
6. マーケティング戦略を実行し、分析する
「1」〜「5」の準備を基に、マーケティング戦略を実行に移します。
しかし、どんなに緻密に戦略を立てても、急な環境変化があったり、消費者ニーズとの微妙なずれがあったりすると、期待した効果が得られない場合があります。
戦略に誤りがあればすぐに軌道修正できるよう、マーケティング戦略にはKPIを設定し、モニタリングと分析を行いましょう。セグメンテーションや3C分析についても、定期的に見直すことが重要です。
マーケティングが企業経営に与えるメリット
続いては、マーケティングへの取り組みが企業経営に与えるメリットについて整理しておきましょう。
多様化するニーズに対応できる
市場が成熟しきった今、消費者が製品やサービスに求める価値は多様化しています。従来のようなマス市場に向けた製品やサービス主体の宣伝手法・販売手法では、顧客の心をつかむことができなくなりました。物と情報が行き届いた環境では、社会貢献などの付加価値を提供したり、顧客自身の自己実現に向けた欲求を解消したりといった、一歩進んだアプローチが必要です。
マーケティングを意識すれば、多様化するニーズに対して自社の製品やサービスができることは何か、客観的に見直せるというメリットがあります。
限られた経営資源で売上の最大化が期待できる
少子高齢化で採用難度が増し、活用できる社内リソースが限られる中、企業は「ヒト」「モノ」「カネ」を有効に使って事業展開していく必要があります。
マーケティング戦略を立案すると、事業活動における無駄が削減されるというメリットがあり、限られた経営資源で収益の最大化を目指すことができます。
経営戦略の軌道修正に役立つ
マーケティング戦略を実行しても期待される効果が得られなかった場合、効果を測定して失敗要因を分析することで、すみやかな軌道修正を行うことができます。マーケティング戦略は経営戦略と密接に関わっているため、マーケティング戦略を見直すことで経営戦略の軌道修正を行えるというメリットがあります。
刻々と変化する社会環境に適応したビジネス展開を行う上で、マーケティング戦略の立案は重要です。
このように、多くのメリットがあるマーケティング戦略ですが、マーケティング活動を行うにはそれなりの投資が必要になります。ROI(Return On Investment:投資した資本に対して、どれくらいの収益や効果が得られたかを測る指標)が出せなければ、マーケティング活動の意味が問われることになるでしょう。
「できるだけ予算を抑えたマーケティング戦略で、最大限の効果を上げたい」と考えるのであれば、ROIで事業成長への貢献度を示すことが重要です。
ROIの測定とマーケティングの最適化に役立つMA
ROIを測定するには、施策の洗い出しや、各施策の目標と成果の検証が必要ですが、こうしたプロセスをマーケティング担当者が人力で行うとコストがかかり、効率的ではありません。
マーケティング業務の簡素化や自動化を行うMA(マーケティングオートメーション)を導入することで、ROIの測定とマーケティングの最適化が行えます。
また、MAを活用すると、商談や売上の創出に対するマーケティング施策の貢献度をデータで確認することが可能です。成果のない施策は中止し、効果が出ている施策に注力するなど、フレキシブルな対応も可能になるでしょう。 マーケティングを活用して経営戦略を成功させるためには、MAを使って成果とROIを可視化し、マーケティングの効果を常に最大化および最適化していくことが重要です。
マーケティングで経営戦略を成功させるならAdobe Marketo Engage
Adobe Marketo Engageは、マーケティングに必要なあらゆる機能を備え、マーケティングROIの証明にも役立つMAです。事業規模や業種、B2B、B2Cを問わず、全世界で5,000社以上の企業に選ばれています。
Adobe Marketo Engageを導入することで、下記のようなデータを測定でき、事業成長への貢献度を明確化するとともに、施策ごとの経営資源の配分をすみやかに行うことができます。
- マーケティング全体の売上に対する貢献度
- 見込み顧客の獲得元ごとの売上への貢献度
- キャンペーンごとの効果
- リサイクル(離脱顧客)からの商談創出
- リードナーチャリング(見込み顧客の育成)の成果
- ツールの費用対効果
Adobe Marketo Engageで、経営戦略を成功させよう
顧客の多様化やオンラインシフト、採用難度の上昇などにより、営業の人力だけでは収益向上が難しくなっています。このような現状を乗り越えるには、マーケティングを活用し、顧客とのより良い関わり方を踏まえた上で経営戦略を立てることが有効です。
Adobe Marketo Engageには、顧客との関係強化を支援する多彩な機能が搭載されています。Adobe Marketo Engageを導入してマーケティングを活用し、経営戦略を成功に導きましょう。
https://main--bacom-blog--adobecom.hlx.live/jp/blog/fragments/offer-ma-digital-transformation
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