顧客にシームレスで関連性の高い体験を提供するという課題に取り組むマーケターを支援するために、私たちはAdobe MAX 2024でAdobe GenStudio for Performance Marketingを発表しました。GenStudio for Performance Marketingは、生成AIを活用して、企業がブランドに即したコンテンツを大規模に計画、作成、アクティベーション、最適化することを可能にする画期的なソリューションです。
そして今、この製品の次のフェーズであるGenStudio for Performance Marketingのアドオンをリリースします。
エンタープライズ製品にアドオンが必要な理由
GenStudio for Performance Marketingは、コンテンツ制作、アセット管理、レビューと承認、配信とアクティベーション、レポートとインサイトをまたぐ統合されたワークフローを提供することで、一般的なコンテンツサプライチェーンの課題を解決します。
アドオンは、GenStudio for Performance Marketingのアプリケーションをその他のコンテンツマーケティングスタックと接続することで、企業顧客のエクスペリエンスをさらに強化します。
企業顧客の現状に合わせて対応
GenStudio for Performance Marketingは、多様なマーケティングエコシステムと複雑な製品スタックを持つ企業向けに設計されています。そのような組織は、デジタルアセット管理(DAM)システム、コンテンツのレビューおよび承認プラットフォーム、コンプライアンスツール、広告配信ネットワークなど、様々なツールに依存しています。顧客にスタンドアローンの新しいソリューションを採用させるのではなく、アドオン機能により、GenStudio for Performance Marketingを既存のワークフローにシームレスに統合し、連続性を強化した効率的なマーケティング業務を実現します。
アドオンの主なユースケース
規制が厳しい業界のコンプライアンス
製薬、消費財(CPG)、金融機関、その他の規制が厳しい業界では、コンテンツのコンプライアンスが大きな課題となっています。このような業界では、産業に関する法律の順守を義務付ける厳格なマーケティングコンテンツ承認プロセスが存在します。たとえば、次のようなものが考えられます。
- 製薬会社はコンテンツを公開する前に医療、法律、規制(MLR)の審査に準拠する必要が生じる場合がある。
- 金融機関は、顧客向け資料について、SEC(証券取引委員会)およびFINRA(金融取引業規制機構)のガイドラインを遵守する必要が生じる場合がある。
- CPGブランドは、消費者保護規制や広告法を遵守する必要が生じる場合がある。
生成AIは、これらの業界におけるコンテンツ生成のペースを大幅に加速しました。コンテンツ生成のスピードが上がった一方で、レビューは承認プロセスにおける大きなボトルネックとなっています。
GenStudio for Performance Marketingは、ブランド、チャネル、ADAコンプライアンスをネイティブにサポートすることで、コンプライアンス面の問題に対処する企業を支援します。しかし、規制、法律、医療のコンプライアンスには、さらなるサポートが必要かもしれません。そのため、私たちはソリューションおよびテクノロジーパートナーと協力し、GenStudio for Performance Marketingのアドオンを使用して、パートナーのコンプライアンスツールを接続することで、コンテンツ承認プロセスの迅速化に取り組んでいます。アドオンアプリとして、これらのコンプライアンスツールでは次のことが可能です。
- コンテンツ生成プロセスに直接ルールやガイドラインを埋め込む
- AIを活用した自動コンプライアンスレビューと提案を提供することで、手動エラーを削減する

ルールとガイドラインの埋め込み
当社の制作拡張ポイントにより、顧客やパートナーは、ユーザーがコンテンツ作成時に承認済みのクレームデータ、コンプライアンスガイドライン、規制に関するステートメントをポップアップモーダルから選択できるアドオンアプリケーションを構築できます。これにより、AI生成コンテンツを業界標準に一致させることができます。
これらのガイドラインは、サードパーティシステムや顧客のリポジトリ、またはアドビ独自のレポジトリに保存できます。
AIを活用したコンプライアンスレビューと提案を提供
GenStudio for Performance Marketingのすべてのコンテンツエクスペリエンスにパートナーのアプリがアクセスできるように、新しいサイドパネル拡張ポイントを導入します。これにより、これらのアプリはGenStudio for Performance Marketingのユーザーインターフェイスで、医療、法律、規制(MLR)のコンプライアンスシステムを直接レビュー、検証、統合できるようになります。
- ユーザーは潜在的なガイドラインやクレーム違反を確認して修正できます。
- ユーザーは潜在的な違反を自動的にハイライト表示しながら、生成されたコンテンツを手動で編集できます。
- ユーザーは免責事項やソース参照を追加して、コンテンツの透明性と主張の正確性を確保できます。
新しいコンテンツの効果的な制作とリアルタイムでの検証を可能にすることで、企業はキャンペーンや広告の承認プロセスを迅速化し、リスクを低減し、あらゆるマーケティングマテリアルをまたいで一貫した規制順守を実現できます。
デジタルアセット管理とマーケティングオートメーションツールとのシームレスな統合

企業はマーケティングコンテンツの管理に様々なサードパーティシステムを使用しています。将来的には、アドビのアドオンにより、次のシステムとの統合が可能になります。
- デジタルアセット管理プラットフォーム
- ワークフロー管理ツール
- マーケティングオートメーションツール
デジタルアセット管理(DAM)システムとの統合
ユーザーは、サードパーティのデジタルアセット管理(DAM)システムから画像を選択して、コンテンツ生成に追加のコンテキストを提供できるようになります。アドビ製品では既にAdobe Experience Manager Assetsをサポートしていますが、まもなくこのアドオン機能により、顧客は独自のDAMを使用してアセットを取り込むことができるようになります。
マーケティングオートメーションツールとの統合
承認済みのエクスペリエンスをクラウドマーケティングプラットフォームに自動的に取り込むための拡張可能なマイクロフロントエンド(MFE)を近日中に提供し、マーケティングとセールスのパイプライン全体にシームレスなコンテンツ配信を実現します。
GenStudio for Performance Marketingは、承認済みのエクスペリエンスをサードパーティのプラットフォームにシームレスに組み込むためのAPIもサポートし、コンテンツワークフローの自動化、データの同期、マルチシステムの相互運用を可能にします。
サードパーティレビュープラットフォームとの統合
コンテンツ制作キャンバスからサードパーティワークフローシステムにドラフトを書き出し、コンテンツを人間が承認し、承認の進捗を追跡する機能が追加されます。これらの拡張機能により、分断化が解消され、マーケティング部門は、既存のマーケティングツールのエコシステム内でGenStudio for Performance Marketingを使用しながら、効率性と一貫性を維持することができます。
グローバルキャンペーンの翻訳とローカライゼーションを実現

グローバルに事業を展開する企業は、異なる市場向けに翻訳およびローカライズされたコンテンツを必要としています。アドオンにより、企業は次のことが可能になります。
- サードパーティの翻訳サービスとの統合。
- 異なる地域向けの言語適応の自動化。
- 言語固有のルールとスタイルガイドラインのサポート。
サードパーティの翻訳サービスとの統合。
すぐに使える翻訳機能に加え、サードパーティの翻訳サービスと統合するためのインターフェイスとAPIを提供します。Adobeは独自の翻訳サービスを使用しており、そのサービスをGenStudio for Performance Marketingを使用してアドビ内で翻訳コンテンツを生成できるようにサポートしています。
翻訳ワークフローをシームレスにすることで、ブランドは国際的なキャンペーンのローンチを加速し、コンテンツがローカルオーディエンスの共感を確実に得られるようにできます。
リーチを拡大 - メールと有料のソーシャルチャネル用のアドオン

GenStudio for Performance Marketingのアドオンにより、企業は追加のメールや有料ソーシャルメディアチャネルとシームレスに統合でき、幅広いプラットフォームをまたいでコンテンツを最小限の労力でアクティベートできるようになります。
アドオンは、Adobe Experience Platformとのコネクタを構築することで、企業独自のカスタム指標を導入する機能を近日中にサポートする予定です。
段階的なロールアウト - コンプライアンスアドオンから開始
スムーズな導入プロセスを確保するため、GenStudio for Performance Marketingではアドオンフレームワークを段階的にロールアウトします。
- フェーズ1: コンプライアンスアドオン(Adobe Summitで発表) - パートナーは、コンプライアンス統合を構築し、コンテンツの書き出しを行うことができます。
- フェーズ2: DAM統合と翻訳 - GenStudio for Performance Marketingをサードパーティツールと接続し、シームレスなアセット管理とローカライゼーションを実現します。これは近日リリース予定です。
- フェーズ3: ワークフローとAPIの強化 - グローバルキャンペーンの自動化と接続性を強化します。これは今年の後半または来年にリリース予定です。
この段階的なアプローチにより、アドオン機能の導入が漸進的にサポートされ、ビジネス上の優先事項や業務戦略に沿った形で利用できるようになります。
すべてのユーザーインターフェイスアドオンはAdobe App Builderアプリケーションであり、Adobe Exchangeアプリケーションマーケットプレイスで公開されます。
顧客およびパートナーとのアドオンアプリケーション
GenStudio for Performance Marketingのアドオン機能が拡張されるのに伴い、アドビのパートナー企業は既に、コンテンツがブランドコンプライアンスと規制対応を維持しながら、制作スケジュールを加速させるために、リアルタイムのコンプライアンスレビュー、MLRワークフローオートメーション、デジタルアセット管理を統合するアドオンアプリケーションを構築しています。
コンプライアンスとカスタマイズを強化する主要パートナー
アドビは強固なパートナーエコシステムを構築し、テクノロジーパートナーやソリューションパートナーと協力して、顧客向けのアドオンアプリケーションを構築しています。既に複数のテクノロジーパートナーが、規制が厳しい業界向けに特化したコンプライアンスソリューションの開発を開始しています。
- IntelligenceBank - IntelligenceBankによるマーケティングコンプライアンスは、AIを活用したソリューションで、コンプライアンス部門とマーケティング部門が、ほぼあらゆる種類のコンテンツをまたいで、規制やブランドに関するリスクやエラーを特定するのを支援します。従来のマニュアルレビューと比較して、最大30倍のスピードアップが可能です。IntelligenceBankは、規制が厳しい業界向けのコンプライアンス統合ソリューションを構築しており、GenStudio for Performance Marketingからアクセスできるようになります。
- Lithero - ライフサイエンスのマーケティングに重点的に取り組むAI企業のLitheroは、アドビと協力して、LitheroのLARAとGenStudio for Performance Marketingとの統合に取り組んでいます。このコラボレーションにより、ライフサイエンスのマーケティング部門は、GenStudio for Performance Marketingで作成したコンテンツがコンプライアンス基準を満たしていることをより簡単に確認できるようになります。
- Saifr - Fidelity InvestmentsのイノベーションインキュベーターであるFidelity Labsが開発したAIモデルコンプライアンスソリューションのリーディングプロバイダーであるSaifrは、ブローカーとディーラーのコミュニケーションや投資顧問の広告におけるコンプライアンスを金融機関がより適切に管理できるようにします。Saifrは、アドビのアドオンフレームワークを使用して金融コンプライアンスソリューションを構築しています。
- Stensul - メールおよびランディングページ制作プラットフォームであるStensulは、コンテンツ制作のワークフローを加速し、保護するために使用されます。Adobe GenStudio for Performance Marketingとの新たな統合により、ユーザーはAIを活用してStensulのモジュールやテンプレート内でメールのコンセプトを迅速に生成し、希望するメールコンテンツをStensulに同期して、あらゆるエンタープライズメールマーケティングプラットフォームにデプロイできる、すぐに使えるコードを作成できるようになります。
技術パートナーとの統合にとどまらず、PwC、IPG(Acxiom)、Rightpointといったアドビのソリューションパートナーとも緊密に連携しています。これらのパートナー企業は、業界特有のコンプライアンス、デジタルアセット管理、ワークフロー統合の開発に取り組んでいます。
- PwC - PwCとアドビは、製薬業界特有のニーズに応えるために共同で取り組んでいます。製薬業界に関する深い知識を持つPwCは、AIを活用したMLRレビューソリューションを開発しました。これらの機能をGenStudio for Performance Marketingと統合することで、シームレスで自動化されたコンプライアンス準拠のエンドツーエンドのコンテンツライフサイクルソリューションを提供できます。
- IPG(Acxiom) - IPGのコンプライアンスアクセラレーターアプリは、GenStudio for Performance MarketingとAdobe Workfront内でアクティベートされ、コンテンツのバリエーション、速度、ボリュームという3つの大きな制約に対処することで、規制が厳しい業界のマーケターが大規模なパーソナライゼーションに移行することを可能にします。
- Rightpoint - Rightpointは、ユニバーサルコネクタとして機能するGenStudio for Performance Marketingの拡張機能の開発を進めています。これにより、ワークフローや承認システム、作業管理プラットフォーム、デジタルアセット管理ソリューションなどのサードパーティのマーケティングアプリケーションが、ソリューションとシームレスに統合できるようになります。
アドオンでパフォーマンスマーケティングを変革
GenStudio for Performance Marketingは、コンテンツ制作だけにとどまりません。拡張性、コンプライアンス、既存の企業ワークフローへのシームレスな統合を実現します。アドビのアドオンフレームワークにより、マーケティング部門はワークフローをカスタマイズし、コンプライアンスプロセスを実装し、既に使用しているツールと連携させることができます。これにより、GenStudio for Performance Marketingは真のエンタープライズ対応ソリューションとなります。
GenStudio for Performance Marketingのユーザーインターフェイス内のアドオンアプリケーションにより、コンプライアンスとコンテンツの検証がクリエイティブプロセスにシームレスに統合され、リスクを軽減しながら承認プロセスを迅速化します。
同様に、API、インターフェイス、マイクロフロントエンドコンポーネントを使用することで、企業はGenStudio for Performance MarketingをSalesforceなどの他のコンテンツ管理システム、ワークフローツール、翻訳システム、CRMプラットフォームと接続し、完全に統合されたマーケティングエコシステムを構築できます。
Adobe Summitでコンプライアンス統合のローンチが発表されたのを皮切りに、アセット管理やローカライゼーション統合などのさらなる機能強化が近日中に提供されます。GenStudio for Performance Marketingは、パフォーマンスマーケティングへの企業の取り組み方を再定義し、スピード、コンプライアンス、効率性を大規模に提供します。
企業がGenStudio for Performance Marketingのアドオンを採用し、マーケティング戦略を強化する機会が訪れています。今こそコンテンツサプライチェーンのワークフローを変革する時です。
Adobe GenStudio for Performance Marketingでアドオンとアドオンアプリケーションを構築する方法について詳しくは、こちらを参照してください。
Hironmay Basuは、アドビのGenStudio for Performance Marketing、拡張、統合のプロダクト担当ディレクターです。プラットフォームと統合の構築に豊富な経験を持ち、ライフサイエンスとヘルスケアに関する深い専門知識も備えています。アドビに入社以前は、BrightInsightのプラットフォームプロダクト担当バイスプレジデントとして、プラットフォームとモバイル戦略を指揮していました。それ以前は、Veevaに5年間勤務し、Veeva Vaultプラットフォームをヘルスケア業界向けの主要なクラウドエンタープライズコンテンツ管理システムへと成長させる上で重要な役割を果たしました。また、Syncplicity(EMC)とOracleでは、プロダクトおよびエンジニアリングの役割を担い、プラットフォーム開発と統合に重点的に取り組みました。 Basuは、カリフォルニア大学アーバイン校でコンピューターサイエンスの修士号、インド工科大学カラグプル校で理学士号を取得しています。
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