構造化コンテンツと作業管理の統合:Adobe Experience Manager Guides(構造化コンテンツ管理)とAdobe Workfront(作業管理)を統合
08-07-2025

最新型のコンポーネントコンテンツ管理システム(CCMS)が示すのは、モジュール化された再利用可能な長文コンテンツを作成するための一元化されたハブを設け、それらのコンテンツをすべてのチャネルで活用可能にするというビジョンです。そのメリットは明らかで、オーサリングの生産性は向上し、コストは削減され、コンテンツの正確性は高まり、配信も迅速化します。しかし、長文コンテンツの作成に伴うプランニングや執筆からレビュー、翻訳、公開にいたるまでの作業は、何人ものステークホルダーが関わるさまざまな調整を必要とします。また、そういったコンテンツのライフサイクルにおいて、CCMSの扱いに慣れていないプロジェクトマネージャーがプロジェクトの開始やタスクの割り当てを行う場合もあります。しかし、こうしたプロジェクトの進行管理にあたる作業は、総じて手動で行われるか、スプレッドシート、電子メール、あるいは旧式のプロジェクト管理ツールに頼っているのが現状です。さらに、ツール間の連携の欠如、チームのサイロ化、非効率なプロセスなどの問題が加われば、状況は悪化します。結果的に、上流の計画と下流の実行との間に齟齬がうまれ、チーム間の連携が滞り、レビューと承認のサイクルには時間がかかり、プロジェクトが遅延し、追加コストが発生、パフォーマンスに関するインサイトも限定的なものになります。
そこで、コンテンツのライフサイクル全体を通じてCCMSを補佐し、コンテンツフローを効果的に管理できる、適切な作業管理ツールが必要になるのですが、ほとんどの場合、組織はコンテンツプロフェッショナルにそのようなツールを提供できていません。そのためコンテンツチームはコンテンツ制作を効率的に進めることが困難になり、プロジェクトマネージャーはコンテンツサプライチェーン全体の可視性が低下することでコンテンツのROIを適切に測定することが難しくなります。また、意思決定者は意思決定やワークフローの最適化に必要なデータを得ることができません。ではもし、コンテンツ管理ツールが強力な作業管理機能とシームレスに連携できるとしたらどうでしょうか。
アドビは、Adobe Workfront を Adobe Experience Manager Guides にネイティブ統合することを発表しました。この強力な組み合わせは、市場をリードする構造化コンテンツ管理とAI搭載のエンタープライズ作業管理を統合し、組織がコンテンツの価値を最大限に引き出すのを支援します。
コンテンツライフサイクル管理の共通の課題
コンテンツは今日の企業の生命線です。製品ドキュメントやナレッジベースからサポートポータルや規制コンテンツまで、高品質で文脈に適合するコンテンツは、顧客エンゲージメントとオペレーション効率を高め、最終的にビジネスの成功を推進します。
しかし、どの組織もコンテンツプロジェクトやコンテンツライフサイクルの管理において、常に運用上の課題に直面しています。実際、2023 S&P Globalのレポート(英語)によると、調査対象者の65%が、さらなる自動化、コラボレーションの推進、カスタムワークフローへの対応、そしてより効果的なプロジェクト管理を望んでいることが明らかになっています。
では、その実現を阻むものは何なのでしょうか?
1. 人とプロジェクトの孤立
組織構造が原因で、コンテンツチームはしばしば孤立した状態で働き、より広範なビジネスイニシアチブやプロジェクト管理から切り離されています。部門横断的なコラボレーションは限定的で透明性に欠けており、コンテンツタスクを全体的なプロジェクト目標や広範なリソース計画・管理と一致させるのが困難です。
2. プロセスの複雑さと非効率性
プロジェクト管理とコンテンツチームの間に強い統合がなければ、プロセスが複雑化します。作業は重複し、チームが独り歩きを始め、コンテンツの品質が低下し、プロジェクトが期限に遅れることになります。結果、コンテンツチームは進捗報告会議に時間を費やすことになり、コア業務である高品質なコンテンツの作成に集中できません。進捗のトラッキング、タスク調整、リソース管理は複雑化し、コスト増加と摩擦が生じます。さらに、包括的なレポートツールやプロジェクトモニタリングツールの不在は、可視性と実行のバランス、プロセス標準化、コンプライアンス確保のための最適化を困難にします。
3. ツールの断絶
エンタープライズプロジェクト管理プラットフォームはコンテンツライフサイクル特有の複雑さの理解に欠けており、いっぽうで制作業務特化型のコンテンツ管理ツールは堅牢性や企業が求めるレベルのプロジェクト管理機能を備えていません。これにより、組織は困難な選択を迫られます。継続的なメンテナンスを要する高額なカスタム統合を構築するか、人手による調整に依存しスピードや品質、ひいてはチームの生産性を犠牲にするかの選択です。
残念ながら、これは単に利便性だけの問題ではなく、コンテンツの市場投入までの時間とその品質、さらにはコンプライアンスや利益にも直接影響を及ぼします。企業には、サイロを打ち破り、プロセスを効率化し、ツール間の連携を実現するために、以下をはじめとする新しいアプローチが必要です。
- コンテンツ管理とライフサイクルワークフローに柔軟に対応できる高度なプロジェクト管理方法
- チームとプロジェクトマネージャー間の可視性と透明性を向上させる仕組みの確立
- リソースとパフォーマンスの管理、およびコンプライアンス監査を可能にするモニタリングとレポーティングの実現
Adobe Experience Manager GuidesとAdobe Workfrontの連携による効果
Adobe Experience Manager Guidesは、大規模なインテリジェントコンテンツ管理のために設計された、AI搭載のクラウドネイティブCCMSです。Adobe Experience Managerの一部であるExperience Manager Guidesは、構造化コンテンツの作成と配信のための強固な基盤を提供します。
Adobe Workfrontは、チームが企業全体で作業を効率的に計画、追跡、管理、連携するための、クラウドベースのAI搭載の作業管理ソリューションです。これは、複数のチームとアプリケーションをまたいだ作業を統合する中央集約型の記録システムとして機能します。
今回、これら2つのソリューションがネイティブに統合され、コンテンツプロジェクトの成功を妨げる核心的な課題に直接対処できるようになりました。
Adobe Experience Manager Guidesに新たに追加できるプロジェクトおよびタスク管理機能
この統合は、Adobe Experience Manager Guidesに元々あるプロジェクト管理機能をはるかに超えるもので、高度な作業管理機能をAdobe Experience Manager Guides環境に直接組み込むと同時に、Adobe Workfrontユーザーにはコンテンツワークストリームの可視性を提供します。これにより、コンテンツ運用は以下のように変革します。
- 統合されたタスク管理: コンテンツチームは、Adobe Experience Manager Guides内で直接Adobe Workfrontタスクを作成、表示、管理、更新できます。プロジェクトマネージャーは、Adobe Workfrontダッシュボード内でこれらのタスクとステータスをリアルタイムで確認できます。これにより、タスクの重複作成や手作業によるステータス更新が排除されます。Adobe Experience Manager Guidesには基本的なレビュータスクの作成機能がありますが、統合により、Adobe Workfrontプロジェクトに直接リンクされた全種類のタスクタイプの利用が可能になります。
- コラボレーションとワークフローの効率化: 統合により、執筆者とレビュアー間でよりスムーズな定期レビュープロセスが実現し、正確な進捗追跡のための明確なステータスが定義されます。長文コンテンツ作成に関連するタスクが、Adobe Workfrontで管理される広範なビジネスイニシアチブ内で可視化されるため、部門横断型のコラボレーションが強化されます。
- 実行可能な通知と可視性: ユーザーは、Adobe Experience Manager Guides内または電子メールでAdobe Workfront通知(設定可能なダイジェストとリマインダーを含む)を受け取ります。これにより、タスクの割り当てと期限に関する情報が全員に共有されます。パーソナライズされたAdobe Experience Manager Guidesのランディングページに表示される実行可能なタスクウィジェットには、割り当てが常に表示されます。タスクステータスは継続的に同期され、コンテンツチームとプロジェクトマネージャーの双方にリアルタイムの可視性を提供します。
- プロジェクト監視とレポートの強化: プロジェクトマネージャーは、Adobe Workfrontの強力なレポーティングおよび分析機能を活用して、プロジェクトの健全性を監視し、目標に対する進捗を追跡し、コストを評価し、プロジェクト全体でのリソース配分を最適化できます。これには、リソースの利用状況と負荷分散の余地の可視化が含まれます。
- 厳格なコンプライアンスと監査: 規制業界の組織にとって、コンテンツライフサイクルの明確な監査証跡を維持することは不可欠です。Adobe Workfrontは、各タスクに対して誰が、いつ、何を行ったか、および関連するコメントを詳細に記録する包括的な監査ログを提供します。この詳細な追跡は、コンプライアンス審査をサポートし、責任の明確化を担保します。
組織全体にわたって受けられる具体的なメリット
この統合は、コンテンツライフサイクルに関わるすべての関係者にとって大きなメリットを提供します。組織のサイロ化を打破し、プロセスを自動化・簡素化し、ツールを統合することで、ユーザーはコラボレーションから孤立することなく、使い慣れたツール内で作業を継続できます。

コンテンツチームが受けるメリット
- 慣れた環境で作業: Adobe Experience Manager GuidesのUI画面から離れることなく、Adobe Workfrontのタスク(作成、レビュー、翻訳、公開など)を確認し、作業できます。
- 効率の向上: 定期レビューやタスク追跡、期限設定、通知といった高度なワークフロー機能を活用することで、複数の担当者やレビュアーの生産性を同時に高められます。
- シームレスなコラボレーション: Adobe Workfrontの広範なイニシアチブに関わるプロジェクトマネージャーや他のステークホルダーと簡単に連携できます。
- 文脈の把握: 割り当てられたコンテンツタスクがより大きなプロジェクトにどのように組み込まれているかを理解でき、部門横断的な視点が得られます。
プロジェクトマネージャーが受けるメリット
- 可視性とコントロールの強化: Adobe Workfrontの高度なプロジェクトダッシュボードを活用し、長文コンテンツに関連するプロジェクトの上流・下流の可視性を獲得します。
- コミュニケーションと生産性の向上: カスタマイズ可能な通知によって全参加者が情報共有できるほか、リアルタイムで進捗を監視したり、リソースの負荷バランスを最適化したりできます。
- パフォーマンスとコンプライアンスの監視: Adobe Workfrontのレポート、分析、監査ログを活用し、包括的な監視を実現します。
- 納期の短縮: 自動化されたワークフローと手作業での調整の削減により、市場投入速度を向上させ、プロセス標準化を徹底します。
組織全体が受けるメリット
- サイロを打破: コンテンツプロセスをより広範な事業運営基盤に統合し、製品ローンチなどの部門横断的なイニシアチブに組み込むことで、より良い連携とコラボレーションを促進します。
- テクノロジーの統合: CCMSとエンタープライズ作業管理の両方を、市場をリードする単一のプラットフォームのもとに集約することで、コストと複雑なマルチベンダーの統合を排除します。
- プロジェクトの結果を改善: コンテンツ配信ならびに戦略的プロジェクト全体の品質が上がり、納期が短縮されます。
- 対投資効果の最大化: Adobe Experience Manager GuidesとAdobe Workfrontプラットフォームの両方から、より多くの価値とROIを引き出します。
「Adobe Experience Manager GuidesにAdobe Workfrontを統合することで得られる主なビジネス価値は、効率性、生産性、および可視性にあります。これにより、企業はさまざまなタイプのコンテンツにかかるコストを分析し、ROIの最も高いコンテンツに注力することができます。」
ウェイ ウー(Wei Wu)氏
Workday、ソフトウェアエンジニアリング シニアマネージャー
「Adobe Experience Manager Guidesを離れることなく執筆やレビュー作業を行えるうえ、Adobe Workfrontに移ってプロセスを再作成しなくても作業を追跡できるのは素晴らしいことです。」
ドン ツヴィクロウスキ ジュニア(Don Cwiklowski, Jr.)氏
Mayo Clinic、シニア コンテンツオペレーション アナリスト
コンテンツサプライチェーンの未来へ
Adobe Experience Manager GuidesとAdobe Workfrontのネイティブ統合は、コンテンツ戦略と実行の連携を大きく前進させます。コンテンツ作成とプロジェクト管理のギャップを埋めることで、企業はサイロ化されたチーム、複雑なプロセス、連携性のないツールによる摩擦などの長年の課題をついに克服することができます。
これは単なる統合を超えた戦略的な取り組みです。 企業は、複数の執筆者とレビュアーが関わる複雑なワークフローを合理化し、納期を短縮し、コンテンツの品質を向上させ、コンプライアンスを確保し、コンテンツオペレーションの可視性を飛躍的に高めることができます。コンテンツライフサイクルを潜在的なボトルネックから戦略的な強みへと変革します。
アドビは、強力なExperience Cloudと作業管理ソリューションの統合をさらに深めることで、より緊密なコラボレーション、より高度な自動化、そしてコンテンツサプライチェーン全体を管理するための真に統合化されたアプローチの実現を目指しています。
コンテンツ運用を変革する準備はできていますか?
Adobe Experience Manager GuidesとAdobe Workfrontの統合がいかにコンテンツ作成のスピードアップ、コラボレーションの強化、コンプライアンス遵守に貢献できるかを、こちらのプレゼンテーション(英語)で詳しくご説明しています。
ロヒト バンサル(Rohit Bansal)は、アドビのプリンシパル プロダクトマーケティング マネージャーであり、Adobe Experience Manager GuidesのグローバルGo To Market戦略を指揮しています。
15 年以上の経験を持つバンサルは、B2B分野における製品およびサービス企業のマーケティングを指揮し、製品マーケティング、デジタルマーケティング、ソートリーダーシップ、デマンドジェネレーション、パートナーリレーションなどの重要な職務を経験してきました。情熱的かつデータドリブンなマーケターであり、顧客体験の強力な推進者でもあります。
この記事は2025年5月30日(米国時間)に公開されたStructured content meets advanced work management — introducing Adobe Workfront integration for Adobe Experience Manager Guidesの抄訳です。