アドビ、博報堂メディカルとのコラボレーションを通じて、製薬業界のDX支援を強化
博報堂メディカルが持つ製薬業界での知見と、アドビの顧客体験管理ソリューションを組み合わせることで、医療従事者向けのデジタルマーケティングを加速します
博報堂メディカルが持つ製薬業界での知見と、アドビの顧客体験管理ソリューションを組み合わせることで、医療従事者向けのデジタルマーケティングを加速
MR(医療情報担当者)が中心となって医療従事者とのコミュニケーションを担ってきた製薬業界は、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が難しいとされることが多い業界の一つです。その背景には、医薬品に関する専門的な知識が求められることや、業界特有のビジネス慣習や法規制を理解しつつ適切なタイミングで適切な情報を提供することの難しさがあります。アドビはこのたび、メディカル分野で多くのノウハウを蓄積する博報堂メディカル社と協業し、製薬企業のDXを推進する取り組みを開始しました。
製薬業界におけるデジタルコミュニケーション活用で生じた新たな課題
これまで製薬業界では、医師が求める情報を把握したうえで、専門知識を持ったMRがリアルチャネルで的確に情報提供することが慣習となっていました。一方で、医療従事者へのより迅速で正確な情報提供や業務効率化という観点から、DXが避けて通ることができない課題であることも確かです。コロナ禍で医療従事者との面会制限という課題もあり、製薬各社は現在、デジタルコミュニケーションの活用を積極的に取り組んでいます。しかし、その実現は容易ではありません。
こうした中、DX戦略において製薬企業の多くが選んだのは、メディカル分野に特化した広告企業によるコンテンツ戦略とデジタルコミュニケーションプラットフォームを提供するテクノロジーベンダーによる分業制でした。しかし、その結果生じているのは、コンテンツ戦略と配信ソリューションのミスマッチという新たな課題です。また、社内にDX担当部署を新たに立ち上げたケースも目立ちますが、その結果DXに関して部門ごとに温度差が生じ、全社を挙げてのデジタル化が難しくなるという新たな課題も発生しています。
製薬業界に特化したコンテンツ戦略と、アドビの顧客体験プラットフォームが融合
これらの課題に対してアドビは、製薬業界に特化し、多くのノウハウを蓄積してきた博報堂メディカル社と協力し、シームレスなサービスを提供する取り組みを開始しています。その一環として博報堂メディカルは、製薬企業のDXを支援する専門チームを新たに設立しました。医師をはじめとする医療従事者をターゲットに、優れたコンテンツ戦略と、これまでグローバルで7,000社以上の顧客に顧客体験管理プラットフォームとコンサルティングを提供してきたアドビの「プロフェッショナルサービス」が融合し、製薬企業のDXを支援します。
サービスの特長としてまず挙げられるのが、DX専門部署と事業部門のニーズにワンストップでシームレスに応えていくことで、よりスピーディなDX支援が可能になる点です。これは、課題であった全社的なDX推進に大きな役割を果たすことが期待されます。
また博報堂メディカルの製薬業界にフォーカスしたコンテンツ戦略に基づき、デジタルコミュニケーションのPDCAが回せることも重要なポイントです。アドビの専門チームが行うデータ分析はコンテンツ戦略に即座にフィードバックされ、そのブラッシュアップとクリエイティビティの進化に貢献することになります。
動き出したDX支援、アドビの目指す製薬企業の顧客体験管理
このコラボレーションは2021年2月にスタートし、すでに導入が進んでいます。ある事例では、効果的な顧客体験管理を実現する「Adobe Experience Cloud」をプラットフォームとした医師向けの動画コンテンツやインタビュー記事の配信が今年6月からスタートしています。今後、コンテンツに対する医療従事者の反応を一つ一つ分析し、両社スタッフ間で議論を重ねながらPDCAの循環を進めていくことになります。
また同事例では、配信するコンテンツが法令や社内ルールに抵触していないかを審査する製薬業界特有のワークフローを、Adobe Experience Managerとシステム連携して自動化する仕組みも構築しています。これは、業界に先駆けた取り組みとして大きな注目を集めました。
アドビはグローバルでも製薬業界向けの取り組みを強化しています。Adobe Experience Cloudの顧客体験管理機能をAdobe Experience Cloud for Healthcareとして拡張し、2022年にはAdobe Experience Platform、Adobe Real-Time CDP(顧客データプラットフォーム)、Adobe Journey Optimizerを含めて包括的にHIPAA(医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律)へ対応する予定です。さらに、アドビは先日、ライフサイエンス業界向けクラウドベースソリューションのリーダーであるVeevaとグローバルでのパートナーシップを発表しました。VeevaとAdobe Experience Cloudアプリケーションを統合することで、コンテンツのライフサイクルをエンドツーエンドで効率化することで、顧客のデジタル戦略を加速し、エンド顧客とのエンゲージメントの最大化を図ります。
ECやB to C、さらにはB to Bマーケティングの分野でアドビが培ってきた顧客体験管理。その仕組みを活用した情報発信最適化の取り組みは、MRに頼ってきた従来の製薬企業のマーケティングコミュニケーションを変える大きな一歩となります。
アドビは、これからも専門性の高い広告企業とのコラボレーションを通し、あらゆる業界のDXを支援するため、歩みを止めません。