アステラス製薬が医療関係者向けwebサイトの刷新により、コンテンツの閲覧回数を半年で117%向上
医療業界におけるデジタルトランスフォーメーション
これまで医療業界は、デジタル化が遅れている分野のひとつと言われてきました。製薬企業においては、これまで専門知識を持ったMR(医療情報担当者)が医師のニーズをそれぞれ理解し、対面でのコミュニケーションを通じて適切な医療情報を提供してきました。
そのような医療業界でも、2020年から続く新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、デジタルシフトが加速しています。コロナ禍で医師とMRが直接面会できる機会が制限される中、デジタルチャネルを通じた迅速で正確な情報提供は、製薬企業にとってこれまで以上に差し迫った課題となっています。
「アステラス メディカル ネット」を刷新し、医療従事者の情報収集体験を大幅に向上
日本を代表する製薬企業として知られるアステラス製薬では、医療関係者が情報収集する際の顧客体験向上を重要なイニシアチブと位置付けています。薬剤に関する「認知の向上」、「処方検討」、「試用・採用」、「利用拡大」といった各プロセスで目指す顧客体験を定義づけて検討したところ、デジタルチャネルでの顧客体験向上が不可欠と考えました。そこで、「Adobe Experience Cloud」を活用し、2021年4月に、医療関係者向けwebサイト「アステラス メディカルネット」を刷新しました。その結果、現時点(2021年10月時点)までに、医療従事者の訪問者回数は13%増加し、訪問者数は31%増加する等の成果を創出しております。さらに、医療従事者がオンライン上で情報収集を行うためにアステラスが提供する「WEBシンポジウム」においては、導入前に比べてコンテンツの閲覧回数が117%増加、資材ダウンロード数は38%増加させることが出来ました。
今回のAdobe Experience Cloud導入では、マルチチャネルで一貫した顧客体験を構築することを目指していました。「アステラス メディカルネット」の刷新にはCMSとして、Adobe Experience Managerを活用していましたが、その裏では他ソリューション高度な分析やパーソナライズ、セグメント管理などを実現しています。マーケティング オートメーションの領域では、Adobe Marketo Engageを採用してセグメントを共有することでこの取り組みに役立てています。
同社では、「アステラス メディカルネット」をプロモーションサイトにとどめず、医療関係者の情報収集に役立つwebサイトとするため、これまで運営の主管であったマーケティング部門だけでなく、プロモーション部門、デジタル部門、メディカルアフェアーズ部門と連携しながら、戦略策定やUI/UXデザイン、プロセスの設計を進めました。さらに、アドビの支援を受けつつ、コンテンツマップの作成から新コンテンツ戦略の立案、作成支援を行い、大幅なコンテンツのアップデートを実現しています。
また、顧客体験の観点から、データや分析結果をもとに提供するべき顧客体験を洗い出し、デザインのリニューアルにも取り組みました。クリエイティブ領域にも強みを持つアドビと協力しながら、コンセプトとデザインキーワードの規定、コンセプトデザインの制作、ロゴ作成を行っています。
医療業界のデジタルトランスフォーメーションを支えるアドビの取り組み
アドビはデジタル課題を抱える製薬企業を支援するため、継続的な取り組みを行っています。グローバルでもファイザーをはじめとした世界を代表する企業のデジタルの顧客体験をサポートしているほか、2022年にはHIPAA(医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律)に対応するAdobe Experience Cloudの顧客体験管理機能を拡張し、Adobe Experience Cloud for Healthcareとして提供する予定です。
https://www.youtube.com/watch?v=8wXERkLQAYs
さらに、アドビは医療業界に特化したパートナーシップも強化しており、グローバルでは、ライフサイエンス業界向けクラウドベースソリューションであるVeevaとの連携を発表しました。日本においては、博報堂メディカルとのコラボレーションを通じて、コンテンツ戦略からソリューション導入まで一貫して支援できる体制を整えています。