DMPを活用し一人ひとりの顧客を理解店舗とwebをつないでカスタマーエクスペリエンスを向上

株式会社イオン銀行

設立

2006年

所在地:東京
従業員数:1,282人
www.aeonbank.co.jp

サイトのCVRや店舗への送客率が向上

詳しく分析した行動履歴を基に改善を図り、「イオンカードセレクト」の申し込み数が約1.5倍に増加

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課題

各種ツールに関する知識が不足していた。使っていない機能も少なくなかった

当初は自己流で分析していたが、次第に改善余地が減少。自己流のやり方に行き詰まりを感じるようになった

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成果

コンサルタントによる支援を得てツールを使いこなすスキルが向上。組織的なデジタルマーケティングに対する意識の醸成にもつながった

サイト訪問者の属性情報の活用が可能になる「Customer Attributes」を使い、顧客の属性情報に応じて情報のパーソナライズを実施。店舗で行っている地域限定キャンペーンとwebを連動させるなどオムニチャネルを実践している

組織成熟度調査から、デジタルマーケティングにおける自分たちの実力を定期的に把握。客観的な評価のもと、次に取り組むべき施策を検討できる


「親しみやすく、便利で、分かりやすい銀行」の実現には、それぞれのお客さまに最適なサービスを提供していかなければなりません」

 

チャネル統括部 ネットバンキング推進部長 橋部 智之氏


店舗を持つ強みとwebの両輪で次の成長を目指す

2006年に設立されたイオン銀行は、「商業と金融の融合」「リテール・フルバンキング」を事業コンセプトに成長を続けてきました。強みとなっているのがイオンのショッピングセンターに設置された店舗です。これまでの銀行の常識を覆し、原則365日夜9時まで営業。平日の勤め帰りや休日でも買い物ついでに気軽に立ち寄れる銀行として多くの顧客を獲得。2016年度末実績では、顧客口座数は555万に達しました。 

 

この店舗の強みを活かしつつ、新たな付加価値をもたらすために、現在、同行が重視しているのがデジタルチャネルです。店舗とwebを両輪とした事業モデルを確立し、次の成長戦略を描こうとしています。

分析ニーズの高まりを受けてアドビのソリューションを採用

デジタルチャネルの強化に向け、2013年4月、同行は、まずホームページの再構築を行いました。次いで高まったのが、分析に対するニーズです。 

 

「ホームページの再構築が終わり、運用が安定してくると、サイトの運用スタッフに求められる役割にも変化が生じました。運用が中心だった業務は、分析をしながら主体的に改善を行っていく業務にシフトしはじめたのです」と同行の橋部智之氏は話します。 

 

そこで、高度な分析を行えるツールとして採用したのがAdobe Analyticsです。実は、それ以前も他の分析ツールを利用していましたが、広告の成果測定や全体の訪問者数、ページビュー数など、限定的な情報しか把握できていなかったといいます。 

 

「計測のカスタマイズなど拡張性が高く、お客さまがどのようにサイト内を回遊しているか、どのバナーやコンテンツが申し込みにつながっているのかなど、より多角的な分析が可能であることを評価しました」と同行の田中秀征氏は話します。 

 

例えば、Adobe Analyticsを用いて口座開設の申し込みに至るまでの行動履歴を細かく分析し、動線を意識した改善を図ることで、キャッシュカードとクレジットカード(イオンカード)、電子マネー(WAON)の機能が一体になった主力商品「イオンカードセレクト」の申し込み数は約1.5倍に増加したといいます。 

 

また、アドビのソリューションは、Adobe Analytics以外にもデジタルマーケティングに必要なツールがパッケージ化され、体系的なサービスとして供されていることも評価の対象となりました。それら多様なツールの中から、同行が次に導入したのが「Adobe Target」です。 

 

当初は、主にトップページのボタンの色は何色がよいか、ビジュアルやコピーはどの案の反応が良いかを計測するA/Bテストに利用していましたが、利用に慣れると、顧客の行動から興味/関心を察知し、顧客一人ひとりに合わせてトップページの情報を最適化していくパーソナライズ施策が中心となっていきました。施策によっては、コンバージョン率が2〜3倍になったものもありました。「アドビのソリューションは、機能面が充実しているだけでなく、使いやすいユーザーインターフェイスも高く評価しました」と橋部氏は言います。 

 

一方、着実に取り組みを進めつつも、同社は次第に手詰まり感を覚えるようになったといいます。そうした状況を打破するために、同行はツールだけでなく、さらにアドビのコンサルティングサービスの利用を決めました。 

 

「これまでは自己流でAdobe AnalyticsやAdobe Targetを使っていましたが、最新の機能情報のキャッチアップや、多様な機能を使いこなすことに限界を感じていました。分析するための着眼点や新たな発想を得るためにも、改めてアドビにサポートを依頼することにしたのです。世界中に多くの顧客を持つアドビなら、様々な成功事例に関する知見もあり、私たちの取り組みをさらに前進させてくれるのではないかという期待がありました」と田中氏は説明します。

スキルの向上と底上げに成功。様々な施策に組織的に取り組む

アドビのコンサルタントの支援を得て以来、同行はより積極的なチャレンジを続け、高い成果を上げています。こうした成果の土台となっているのが、コンサルティング開始の直前にアドビが行ったビジョンストーリーの提案です。 

 

「新たに着任した担当役員や社長などの経営層に対して、イオン銀行がデジタルマーケティング、オムニチャネルによって、どんなサービスを提供し、お客さまにどんなライフスタイルを提案できるのかを、近未来のカスタマージャーニーとして提示してもらったのです。イオン銀行が目指す姿、それを実現するためにどんな仕組みが必要であるのかまで具体化され、それをトップから現場まで共有できたことで、組織の改編や各役割の再認識なども進み、取り組みが一気に加速しました」と橋部氏は言います。 

 

具体的には、以下のような取り組みが進んでいます。

 

全社的なスキルの向上

 

アドビのコンサルティングサービスのもと、デジタルマーケティングの基礎から改めて学習。分析ワークスペースやActivityMapをはじめ、ツールの使い方に関するレクチャーを受けたことで、同行は各ツールをより高度に使いこなせるようになった上、社員のスキルの底上げができました。 

 

また、Adobe Analyticsの設定を見直して、より詳細なデータ分析、分かりやすい分析結果の表示が行える環境となりました。

 

「スキルの面でも、それまでは自己流の分析の枠内でいろいろ試していたのですが、コンサルタントとの定例ミーティングや勉強会などで実践的な事例を紹介してもらえるようになったことで、より多角的な分析、仮説検証のやり方が身に付いています」と田中氏は言います。

 

また、直接デジタルマーケティングにかかわるメンバーだけでなく、より広範囲なメンバーを巻き込んだ取り組みもあります。具体的なケースを設定し、どんな施策が有効かを検討するワークショップです。 例えば、住宅ローンのデジタルマーケティングにおけるA/Bテストをテーマに据えた際には、住宅ローンや他の商品の担当者、広告担当者などが集まり、参加者それぞれが顧客の目線に立ちA/Bテストの企画を考えました。

 

「3時間ほどのワークショップでしたが、ファシリテーターを務めたアドビのコンサルタントが消費者の行動理論のフレームワークを示しながら、様々な気づきやきっかけを与えてくれ、面白いアイデアが多く出てきました。具体的な施策のレベルが上がったのはもちろん、デジタルマーケティングに取り組む全社的な意識の醸成につながっています」(田中氏)

 

オムニチャネルへのチャレンジ

 

店舗とwebの連携、つまりオムニチャネルを実践した施策も行われました。これは、オムニチャネル戦略をリードするチャネル統括部と各地域で営業活動を行っている地域営業部が連動した、取り組みでもあります。

 

「各地域営業部は金融商品などを購入してもらうために、地域限定の様々なキャンペーンを実施しています。全社的なキャンペーン情報はwebサイトで紹介されますが、こうした限定的なキャンペーンは、webサイトでは取り上げることが困難でした」と田中氏は言います。 そこで、同社はサイト訪問者の属性情報の活用が可能になるAdobe Experience Cloudのコアサービス機能である「Customer Attributes」を使い、顧客の属性情報に応じて情報の出し分けが可能になる仕組みを実装。その上で、webサイトを訪問した顧客のうち、その地域限定キャンペーンの対象者だけに情報を提供し、来店を促すようにしたのです。 

 

「自分の住む地域限定で行われているキャンペーンの情報とあって、4〜5%程度、他のバナーよりも高いクリック率が計測された上、そこからお申し込みやご来店いただくことができました」(田中氏) 今回は、まずトライアルという位置付けでしたが、一定の成果が得られることを実感した同行は、今後、他の地域にも同様の取り組みを拡大していく考えです。

 

アドビユーザーとの交流

 

アドビの手配によって、他のアドビユーザーとの情報交換、交流の機会を得たことも大きな成果につながっているといいます。 

 

「米国にあるアドビのCustomer Experience Centerを訪問して、そこで、アドビユーザーである現地の金融機関の幹部や担当者とデジタルマーケティングの取り組みについて話をする機会を得ました。世界中の多くの企業と取引があるアドビのコネクションには、私たちのデジタルマーケティングの進化を早めてくれるのではないかという期待がありました。その意を汲み、デジタルマーケティングが進んでいる海外ユーザーとの交流を調整してもらえたことには、非常に感謝しています」(橋部氏)

 

組織成熟度調査で現在位置を知る

 

アドビはコンサルティングサービスの一環として、デジタルマーケティングに関する組織成熟度調査を定期的に実施しています。イオン銀行では、コンサルティングがスタートした時期に1回、その約1年後に再び実施し、これまでに2回の調査を行っています。 

 

「現在位置が客観的な指標で示されるので、とても参考になります。1回目より2回目の指標が良くなるのは当然ですが、非常に納得感のある内容でした。自分たちの実力を定期的にチェックすることはとても重要だと実感しています。また、他業種の企業も含め、アドビのユーザー企業の中で自社がどのあたりの位置にあるかが分かるのもありがたいと思っています」と橋部氏。経営層に報告する際にも、その結果をまとめた分かりやすいレポートが重宝されています。

自社のデジタルマーケティングは、どこまでできているのか。アドビが実施する組織成熟度調査を通じて、ユーザー企業は、それを把握することができる。アドビの持つフレームワークを基に評価項目が設定されている

DMPの活用によりカスタマーエクスペリエンスの向上を目指す

 

今後、イオン銀行が目指す方向のひとつが、属性情報のさらなる有効活用です。前述したオムニチャネル施策の際にもCustomer Attributesによって、顧客の居住地域に応じた情報提供を行った事例がありますが、その他の属性情報も有効に使いながら、web、店頭を問わず、共通のパーソナライズした提案を実践したいと考えています。 

 

その中核と位置付けているのが、新たに導入した「Adobe Audience Manager」です。多種多様なデータを統合管理しつつ、属性情報を活かしたセグメント分けと、ターゲティングをサポートするAdobe Audience ManagerによってDMP(Data Management Platform)を構築。広告、webサイトなどチャネルを横断し、同時にCRM(Customer Relation Management) データも活用しながらカスタマーエクスペリエンスを向上させていく計画です。 

 

「すでに、様々なデータの分析を始めており、今後はAdobe Audience Managerの環境で多様なデータをいろいろな切り口で分析することにより、ビジネスに役立つ知見を蓄えていきたいと思っています」と田中氏は話します。 

 

このようにイオン銀行は、カスタマーエクスペリエンスの向上に向けて様々な施策を強化。次の成長を目指しています。「キーワードは、『親しみやすく、便利で、分かりやすい銀行』です。そのためには、お客さまを理解し、それぞれのお客さまに合ったサービスを提供していくことが必要不可欠です。イオン銀行が、どこまでやれるのか──。アドビと一緒にチャレンジしていきたいですね」と橋部氏。イオン銀行のパートナーとして伴走するアドビへの期待はますます高まっています。


橋部 智之氏

チャネル統括部ネットバンキング推進部長

橋部 智之氏

田中 秀征氏

チャネル統括部ネットバンキング推進部デジタルマーケティンググループ

 田中 秀征氏

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