顧客一人ひとりに最適な体験を提供する Adobe SenseiによるNVIDIAのマーケティング改革

NVIDIA Corporation

設立

1993年

所在地:Santa Clara, California(本社)/東京(日本オフィス)

従業員数:1993年4月

www.nvidia.com/ja-jp

デジタルアセットの有効活用

有料チャネルからのCVが5倍

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課題

プロモーションの成果を媒体ごとに定量的に把握する、最適なタイミングでメールを送る、などデジタルマーケティングを最適化したい。

デジタルマーケティング専門組織が、社内に対し的確なコンサルテーションを実施し、マーケティングアクティビティの実行を支えるためにエビデンスがほしい。

人、予算などマーケティングリソースをグローバルに最適配分し、効率的に各施策を実行したい

AIの活用にあたり、導入に膨大な工数や時間をかけるのは避けたい。

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成果

Adobe Experience Cloudと統合されているAI「Adobe Sensei」をスムーズに導入

「アトリビューションAI」で各タッチポイントの投資効果が明確になり、最適なリソース配分が可能になった。

「カスタマーAI」で顧客行動の高精度な予測が可能になり、適切なタイミングでリテンションをかけられるようになった。

「ジャーニーAI」でメール配信タイミングを最適化できるようになった。


「Adobe Experience Cloudに組み込まれているAdobe Senseiなら、蓄積した膨大なデータを使って学習して得たインサイトを、そのままアクションに反映することができます」

 

エンタープライズマーケティング  シニアマネージャー AIコミュニティ&デジタルマーケティング担当

藤山 裕子


迅速でデータドリブンな意思決定、各施策の最適化のために AIを活用 

デジタルマーケティングに本格的に取り組む企業が増えていますが、顧客に優れたエクスペリエンスを提供することは決して簡単ではありません。例えば、メール送信ひとつをとっても、より多くの人に開封してもらうために最適なタイミングを見つけ出すのは非常に困難です。また、有料チャネルを使って顧客にアプローチする場合には、どのチャネルがどの程度の投資効果をもたらしているのか、それを踏まえてどのようなチャネルミックス戦略を展開すべきか、状況を正確に把握し的確な意思決定を行わなければ成果を高めていくことはできません。 

 

このような課題を解決するため、 AI(人工知能)を活用したデジタルマーケティングにいち早く取り組んでいるのが、NVIDIAです。 

 

同社は1993年に設立され、高性能なGPUを提供し続けているハードウェアベンダーです。PCゲーミング市場の爆発的な拡大と共に急速な勢いで成長し、コンピューターグラフィックスの定義を大きく変革してきました。その一方で、GPUの最大の技術的特徴である並列コンピューティングの能力を活かし、近年ではディープラーニングなどのAI分野でも目覚ましい革新を実現。同社のGPUはグラフィックスだけではなく、認知能力を持つロボットや自動運転車の中枢にも数多く採用されています。

 

同社の顧客は、ゲーマーとしてGPUを活用する個人ユーザー、そして企業や研究機関内でGPUを活用するAI開発者、研究者などの大きく2つに大別されます。そのためキャンペーンも、BtoC向けとBtoB向けの複数のものを、常に同時進行で実施することになります。

 

「対象の異なる複数のデジタルマーケティング施策を効果的に行うには、キャンペーンの推移分析や、新規/既存ユーザーの構成の変化などを可視化しながら、常に改善を繰り返していかなければなりません。しかし、以前利用していた分析ツールは、顧客分析などを深く行えるものではなく、サイトの健康状態を把握する程度にしか利用されていませんでした」と同社の山中美和氏は述べます。 

 

そこで、同社はデジタルマーケティング専業組織(通称:DMO)を設置し、本格的にデジタルマーケティングを推進する体制を整備。

 

「例えば各国法人のマーケターがキャンペーンのために有料メディアを購入したいと考えた場合、まず社内のDMOにコンタクトを取り、DMOのコンサルテーションを受けながらマーケティング施策を進めることになります。DMOは、いわば社内マーケターに対する社内エージェンシーのような役割を果たしています」と同社の藤山裕子氏は紹介します。 さらにDMOが行うコンサルテーションを高度化するための分析、全社規模でのリソース配分や投資の最適化、および迅速でデータに基づいた意思決定のためにアドビのAIとマシンラーニングのテクノロジー「Adobe Sensei」が提供する機能を活用しています。

Adobe Experience Cloudと統合されている点を高く評価

NVIDIAがAdobeSenseiサービスの活用を開始したのは2018年の終わり頃。まず本社でβ版を導入し、実証実験を進めました。 

 

Adobe Sensei サービスを選択した最も大きな理由は、同社がすでに導入していたマーケティングソリューション「Adobe Experience Cloud」と統合されていることです。

 

「通常、マーケティングにAIを活用するには、新たに分析システムを立ち上げ、学習データを用意してトレーニングを行い、さらに、そこから得られたインサイトをマーケティングプラットフォームに組み込むといった作業が必要です」と藤山氏。しかし、Adobe Experience Cloudに組み込まれているAdobe Senseiなら、新たにシステムを立ち上げずとも、これまでAdobe Experience Cloudで蓄積していた膨大なデータをそのまま使って学習し、そこから得られた知見を、そのままメール配信などのアクションに反映することができます。 

 

「実際、Adobe Senseiは、大きな追加作業やリソースを必要とせずに導入され、わずか数週間で稼働を開始しました。私の感覚としては、なんだか身構えるまでもなく、ふわっとAIが入ってきたという印象です」(藤山氏)

3つの取り組みを推進して、それぞれで目を見張る成果

NVIDIAではAdobeSenseiが提供する3つの機能について実証実験を行い、それぞれのケースで大きな成果を得ています。利用している機能は「アトリビューションAI」「カスタマーAI」、そして「ジャーニーAI」です。

 

BtoC/BtoBそれぞれで新たなインサイトを獲得

 

まず、アトリビューションAIがもたらした成果について紹介します。この機能は、カスタマージャーニーの各段階におけるそれぞれの顧客とのやり取りを把握することで、クロスチャネルのマーケティング活動の成果を測定/最適化するというものです。 

 

以前、同社は、ラストタッチ アトリビューション モデルをもとに効果を測定していました。つまり、顧客体験の最後のタッチポイントのみが、顧客のアクションに影響を与えた、という想定に基づいて、各マーケティング施策の効果を計測していたのです。しかし実際のマーケティング活動には複数のタッチポイントがあり、ラストタッチ アトリビューション モデルの限界も感じていたといいます。

 

一方、アトリビューションAIの導入後は、個々のタッチポイントが結果にどう影響しているのかが、包括的に把握できるようになっています。 「例えば『ニュースレター』『オーガニックのSNS投稿』『有料メディア』という3種類のチャネルを利用した場合、一人のお客様のカスタマージャーニーの中でどのチャネルが多くの接点となっているかなどをすぐに把握でき、各チャネルの貢献度を定量化できます」と藤山氏は言います。 

 

地域ごとに、どのチャネルやキャンペーンが効果的なのかを突き止めることも可能になり、このインサイトを活用することで、グローバル規模でパフォーマンスに基づいた最適な予算配分が実現。マーケティング活動の成果を最大限に引き出せるようになっています。 NVIDIAのマーケティングの目的は、BtoCとBtoBでは異なる部分もありますが、もちろんAdobe Senseiは、いずれにも対応できます。 

 

マーケティング チームの役割として、マーケティングが収益にどう貢献したかを示すことは、BtoC、BtoBともにどの会社でも求められることでしょう。そのため、カスタマージャーニーの各ステップが、収益にどの程度貢献しているのかを把握することが重要です。アトリビューションAIを利用することで、このようなことも簡単に定量化できるようになりました。「例えば、検索連動型広告がどの程度の効果をもたらすのかについて。アトリビューションAIを使うことでどの程度重要なタッチポイントであるかが明確になりました。また広告クリエイティブの効果や、サブチャネルごとの効果もはっきりわかるようになっています」(藤山氏)。 

 

BtoBのマーケティングは、検討期間が長くなる傾向があるため、最終的な購入に至るまでいかにしてリテンションを維持するかが重要になります。そのためにNVIDIAが取り組んでいるのが、開発者、研究者のための世界的イベントである「GPU Technology Conference」への登録者の獲得です。 

 

「ラストタッチアトリビューションモデルを使っていたときは、有料広告はそれほど役に立っていないのではないか、と感じていました。しかし、アトリビューションAIは、客観的なインサイトを提供してくれました。実際には有料広告の有効性は高く、どのチャネルが特に有効なのかまでわかったのです。このインサイトをもとにキャンペーン内容を調整したところ、有料広告からの登録は5倍になりました。これは驚くべき結果です」と藤山氏は言います。

図:NVIDIAが活用しているAdobe Senseiサービスの3つの機能

ゲームユーザーの将来動向を高精度で予測

 

次は、カスタマーAIの効果です。これは、各顧客が特定の行動を取る理由を理解することで、それぞれの顧客の行動に関する高度な予測を活用し、高度にパーソナライズされたエクスペリエンスを提供するというものです。 同社において、特に重要課題となっていたのがBtoCの領域における「利用頻度の高いユーザーを識別する」「利用頻度の低下を予測してフォローアップする」の2つですが、カスタマーAIは、この課題を解決しました。 

 

現在NVIDIAは、極めて深いレベルでのパーソナライゼーションを実現するためにどのようにAdobeSenseiのカスタマーAIを活用するかに注力しています。また、将来的な利用傾向を予測するのに活用できる指標もわかり、その指標に応じてメッセージをカスタマイズする、といった対応も可能になりました。目標は、「すべての顧客の体験を個別に把握し、最適なタイミングで最適なオファーを届ける」こと。今後はこのようなメッセージ送信を自動化することも検討しています。

 

顧客の行動変化をAIが学習することで、将来熱心にプレイしてくれるか、もしくはあまりプレイしてくれなくなってしまうかを予測する精度は96%に達しました。

 

メルマガ配信のタイミングを最適化 

 

最後のジャーニーAIは、適切な顧客に適切なタイミングでリーチし、顧客のメール疲れを避けエンゲージメントの有望度などを把握することで、マーケティング活動の効果を最大化するというものです。 

 

「以前は事前定義された、固定の時間にメールを配信していました。全体的なエンゲージメントは良好だったものの、さらなる改善の余地がありました。しかし、個々の顧客や見込み客に対し、最適なタイミングでメッセージを送ることは、たいへん複雑な作業になります」と 山中氏は言います。 

 

そこでジャーニーAIを使ってメール送信のタイミングを最適化。具体的には、ユーザーの50%には従来どおり事前定義された固定のタイミングでのメールを送信する一方、残りの50%にはジャーニーAIが割り出した最適なタイミングでメールを送信するA/Bテストを実施しました。ジャーニーAIの学習データには、Adobe Campaignで過去蓄積した履歴データを利用しました。 

 

結果、ジャーニーAIのタイミングで送信したメールについては開封率が14%高くなるこます」と山中氏は強調します。

 

「パーソナライズされた顧客体験によってマーケティング効果を高めていきたい、という要望は日増しに高くなっています」と藤山氏は言います。 

 

しかし、多くの人が経験しているように、それを人手でセグメンテーションし、それに合わせてシナリオを作成するのは非常に大きな負担です。 

 

NVIDIAはAdobe Sensei β版を利用した実証実験で、デジタルマーケティングの高度化と効率化の両立につながる高い成果を上げ、すでに本番稼働を開始。人手でセグメンテーションやシナリオ作成を行うことなく、顧客行動をリアルタイムに反映したパーソナライズが可能になっています。

 

「また、Adobe Senseiのテクノロジーには、マーケターが気づかなかったインサイトをもたらしてくれるというメリットもあります」と山中氏は続けます。 

 

NVIDIAの取り組みは、グローバルにも注目度の高い事例となっており、「Adobe Symposium 2019」では「Adobe Experience Maker Award」も受賞しました。 

 

今後もNVIDIAでは、顧客体験のパーソナライズをさらに推し進め、メール配信やWebコンテンツの表示切り替えなども自動化していく計画です。もちろん、Adobe Senseiはそのための基盤として、重要な役割を担っていきます。

藤山 裕子 氏

エンタープライズマーケティングシニアマネージャー

AIコミュニティ&デジタルマーケティング担当

藤山 裕子氏

山中 美和 氏

エンタープライズマーケティング

ウェブプロダクションスペシャリスト

山中 美和氏

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