マーケティングツールとは?自社の課題に合ったツールの選び方を解説
マーケティングツールは、煩雑化・複雑化するマーケティング活動を効率的に行う上で欠かせないものです。
しかし、マーケティングツールにはさまざまな種類があり、それぞれ得意分野や強みが異なるため、何をどうやって導入すればいいのかわからないというマーケティング担当者も多いのではないでしょうか。 ここでは、自社の課題に合った最適なツールを選ぶために、代表的なマーケティングツールの特徴や、選定のポイントを解説します。
目次
- マーケティングツールは、マーケティング活動をサポートするソフトウェア
- マーケティングツールが必要な理由
- マーケティングの基本ステップ
- マーケティングのプロセスに応じてツールを使い分ける
- マーケティングツールの選び方
- 複数のマーケティングツールを連動させることで、効果の最大化が可能
マーケティングツールは、マーケティング活動をサポートするソフトウェア
マーケティングツールは、市場調査や分析、商品開発、宣伝、効果測定など、企業が製品やサービスを販売するために行うマーケティング活動をサポートするソフトウェアです。
これまで、人の手で行われてきた「売れる仕組み」「顧客に価値を提供し続ける仕組み」を自動化し、より効率的に行えるようにするものと言い換えることもできるでしょう。
時代の変化とともに、マーケティングツールは企業にとって欠かせないものになりつつあり、マーケティングのプロセスごとにツールの種類も多様化しています。
マーケティングツールが必要な理由
なぜ、今の時代のマーケティングには、ツールが必要なのでしょうか。理由は大きく2つあります。
消費者行動の変化に伴うマーケティング活動の変化
マーケティングツールが必要な理由として、消費者行動の変化に伴うマーケティング活動の変化が挙げられます。インターネットが普及する以前、消費者と企業との接点は、実店舗、折込みチラシ、テレビCM、口コミなどに限られていました。そのため、企業側のアプローチも、消費者全体に向けて画一的に、かつ一方的に製品やサービスをプッシュする、「マスマーケティング」が主流だったのです。
しかし、時代が変わってパソコンやスマートフォンを多くの人が使いこなすようになると、消費者は企業のプッシュを待つことなく、自分から情報を入手するようになりました。消費者と企業との接点にSNSや検索が加わったことで、マーケティングは「消費者全体」ではなく、「消費者一人ひとり」を見て個々に適切なアプローチをする「One to Oneマーケティング」にシフト。消費者の多様な行動、嗜好に沿って行う複雑なマーケティングに対応するため、適切な顧客層に適切な情報発信ができるツールの必要性が高まりました。
既存顧客との関係性がより重視されるようになった
営業利益の拡大には、新規顧客の開拓が重要です。新規顧客開拓には、既存顧客維持の5倍のコストがかかるともいわれることから、既存顧客とのより良好な関係性の構築に取り組む企業が増えました。
多数の既存顧客のセグメントや情報分析を自動で行ってくれるマーケティングツールは、人的コストを抑えて、休眠顧客の掘り起こしや効果的なキャンペーンを行う上で非常に重要です。
マーケティングの基本ステップ
自社に合ったマーケティングツールを選ぶには、マーケティングのステップを理解し、各ステップで何が行われているかを把握する必要があります。
まずは、BtoBのマーケティングを例に、基本的なマーケティングのステップを確認しておきましょう。それぞれのステップに顧客との接点(タッチポイント)がありますので、企業はタッチポイントごとに顧客の熱意を見極め、購買意欲を醸成していきます。
1. 調査・分析と顧客層の特定
市場環境や競合の状況を調査・分析し、ターゲットとなる顧客層を特定します。分析手法にはさまざまな種類がありますが、まずは3C分析、5フォース分析、STP分析を行うのがおすすめです。
マーケティング分析については、下記の記事で詳しく説明しています。
また、顧客層の理解には、ペルソナデザインも欠かせません。ペルソナとは、「企業が提供する製品・サービスにとって最も重要で象徴的な顧客モデル」のことです。ペルソナデザインを行うことで、顧客への理解が深まり、的確なマーケティングを実施することができます。
ペルソナデザインについては、下記の記事で詳しく説明しています。
2. 集客(リードジェネレーション)
顧客層を特定したら、自社の商品やサービスに関心を持っており、今後購入する可能性がある見込み顧客の集客を行います。この見込み顧客をリードといい、見込み顧客を集めるマーケティング活動をリードジェネレーションといいます。
リードジェネレーションでは、web広告などのオンラインのほか、オフラインの広告やDM、セミナー、展示会での名刺交換などを活用して、できるだけ多くの顧客と接点を持つようなマーケティング活動が必要です。
3. 育成(リードナーチャリング)
獲得した見込み顧客に対して、SNSやメルマガ、ホワイトペーパーなどで、継続的に有益な情報を発信します。
見込み顧客に必要な情報を発信することで、購買意欲を育成していくマーケティング活動を、リードナーチャリングと呼びます。
リードナーチャリングについては、下記のページから無料でダウンロードできるeBookで詳しく説明しています。
https://main--bacom-blog--adobecom.hlx.live/jp/blog/fragments/offer-003372-dg-lead-nurturing
4. インサイドセールス
次に、インサイドセールスを行います。インサイドセールスとは、相手先を訪問しない内勤型営業のことです。顧客の購買意欲が高まったのを見極めて、電話やメールなどでアプローチし、商談につなげます。
5. フィールドセールス
インサイドセールスから受注確度の高いリードを引き継いだら、相手先を訪問して商談を行います。相手先を訪問する外勤型営業を、フィールドセールスと呼びます。
6. アフターフォローまたはリサイクル
商談が成立したらアフターフォローを行い、顧客との長期的かつ良好な関係維持に努めましょう。
商談が不成立だった場合は、受注に至らなかった見込み顧客に対し、再度ナーチャリングを行います。これを、リサイクルといい、受注に至らなかった理由を見極め、改善策を検討します。リサイクルのステージを設けておくことで、リードに変化が起こったときに再度商談できるような体制を整えておきましょう。
7. マーケティング施策の分析
マーケティング施策の実施後は、データを収集し、施策の効果を分析します。分析結果を基にマーケティング施策を修正し、精度を上げていきましょう。
マーケティングのプロセスに応じてツールを使い分ける
マーケティングツールにはさまざまな種類があり、マーケティングのプロセスに合ったツールが登場しています。それぞれのツールによって強みが異なるため、導入目的を踏まえて選定しましょう。 ここでは、マーケティングツールの種類と、得意とするプロセスについて解説します。
■マーケティングツールの種類
顧客層の特定には企業データベース
BtoBで顧客層を特定するときには、ABM(Account Based Marketing:アカウントベースドマーケティング)を取り入れましょう。ABMとは、個人(リード)単位への施策を実施する一般的なマーケティング施策と比較して、企業を1つの単位として面でアプローチする手法です。 ABMを用いることで、売上や取引履歴を基に、自社にとって有益な顧客を特定できるため、長期的に自社に貢献してくれる企業にリソースを集中させることができ、効率的なマーケティングが可能となります。
ABMは、企業データベースツールを活用します。企業データベースとは、企業の業務内容や規模、業績などのさまざまな情報を登録したデータベースのことです。
<企業データベースでできること>
- ターゲット企業を特定する
- ターゲット企業や、ターゲット企業の担当者に合ったアプローチで購買意欲を高める
- リードを管理する
リードジェネレーションからリードナーチャリングにはMA
MA(Marketing Automation:マーケティングオートメーション)とは、リードジェネレーションからリードナーチャリング、さらにはマーケティング施策の分析を、自動化・省力化して行うことができるツールです。 人の手では対応しきれない膨大な数のリードに対して、One to Oneマーケティングに重要なパーソナライズされた情報を発信し、そのニーズに応じて的確な情報提供やフォローができることが強みです。マーケティング活動や効果が可視化されるため、優先度の高い見込み顧客を判別することができ、効率的なマーケティングを行うこともできます。
<MAでできること>
- リードの情報を収集・管理する
- リードの行動をスコアリングし、興味関心を可視化する
- 条件に合うリードに、自動的にキャンペーンを実施する
- リードに対するメールマーケティングを、自動で行う
- リードの行動に対してアラートを配信し、アプローチのチャンスを逃さない
- リードの興味や関心に合わせて、自社サイトのコンテンツや広告をパーソナライズし、リードに対して表示する
- 施策の結果をレポーティングする
MAについては、下記のページから無料でダウンロードできるeBookで詳しく説明しています。
https://main--bacom-blog--adobecom.hlx.live/jp/blog/fragments/offer-marketo-dg2ma
インサイドセールスからフィールドセールスにはSFA
インサイドセールスからフィールドセールスの営業プロセスには、SFA(Sales Force Automation:セールスフォースオートメーション)を活用します。SFAは、営業プロセスと進捗状況を管理し、営業担当者の行動を最適化して生産性を高めるためのツールです。日本語では「営業支援システム」と呼ばれています。
<SFAでできること>
- 顧客へのアプローチ方法とその結果を管理する
- 目標に対する進捗状況を管理する
- トップセールスの行動を共有し、全体の営業スキルを引き上げる
- 日報やスケジュールの入力、顧客リストの作成などを自動化する
- 見積書を作成する
- 請求書を発行する
SFAについては、下記の記事で詳しく説明しています。
アフターフォローや顧客関係の維持にはCRMやCDP
CRM(Customer Relationship Management:カスタマーリレーションシップマネジメント)は、日本語では「顧客関係管理」や「顧客関係性マネジメント」などと呼ばれています。
CRMで管理するのは、主に顧客の情報です。販売履歴はもちろん、顧客の趣味嗜好や自社イベント・展示会への出席状況、顧客からの問い合わせ内容まで記録します。BtoBビジネスの場合は、企業情報および担当者の属性情報や営業担当のアプローチ履歴、商談の進捗状況もまとめて確認することが可能です。
SFAが営業にまつわる情報に特化しているのに対して、CRMは顧客に関わるあらゆる領域の情報を管理し、顧客との良好な関係性の構築、顧客満足度の向上、顧客一人あたりの購買額の増加などにつなげられるのが特徴です。CRMの中に、SFAが組み込まれているともいえるでしょう。
また、CDP(Customer Data Platform:カスタマーデータプラットフォーム)は、顧客情報の管理を行うプラットフォームです。CRMでは対応しきれない膨大なデータを扱うことが可能で、主にBtoCビジネスで活用されます。ただし、CDPは顧客情報の管理に特化しており、メールの送信などの機能は重視されていないため、他のツールと連携する必要があります。
<CRMでできること>
- 顧客情報管理や分析をする
- セグメントされた顧客へ一斉メールを送信する
- アフターサポートを行う
<CDPでできること>
- 顧客情報の管理
CRMについては、下記の記事で詳しく説明しています。
マーケティング施策の分析には、アクセス解析ツールやBIツール
BI(Business Intelligence:ビジネスインテリジェンス)ツールとは、膨大なデータから必要なデータを自動的に抽出し、グラフなどの形式で可視化するツールです。企業に集まったビッグデータを事業成長に活用していくデータドリブンが浸透するにつれ、BIツールにも注目が集まってきています。
アクセス解析ツールとBIツールを使うと、下記のようなことができるようになります。
<アクセス解析ツールでできること>
- データを収集し、蓄積する
- データを統合する
- データを集計し、分析する
- 自社のデータベースと連携する
<BIツールでできること>
- 分析に必要なデータを自動的に抽出する
- グラフなどの形式で可視化する
マーケティングツールの選び方
ここまでご紹介したように、マーケティングツールにはさまざまな種類があり、機能やサービス内容も多岐にわたります。自社に合ったマーケティングツールを選ぶためには、どのような点に注目すればいいのでしょうか。 マーケティングツールの選び方を整理しておきましょう。
マーケティング活動の課題を洗い出し、ツール導入の目的を整理する
マーケティングツールは、ただ導入するだけでは成果につながりません。自社のマーケティング活動をステップごとに見直すと課題が明確になり、「なぜマーケティングツールを導入するのか」「マーケティングツールを使って何をしたいのか」といった目的をはっきりさせることができます。
例えば、マーケティング活動の課題には、下記のようなものが挙げられます。
<マーケティング活動の主な課題>
- マーケターの負担が大きい
- 獲得した見込み顧客のデータを適切に管理できず、活かしきれていない
- 新規顧客が思うように開拓できない
- 個別のニーズに対応するOne to Oneマーケティングに移行できない
- 過去の失注顧客へのフォローが手薄になりがち
ほかにも、企業独自の課題があるかと思いますので、課題をすべて洗い出して確認することをおすすめします。
取り組みたいことに優先順位をつける
現在のマーケティング活動における課題とツール導入の目的が明確になったら、取り組みたいことに優先順位をつけましょう。マーケティングツールにはそれぞれ強みがありますので、「必ず取り組みたいこと(絶対に必要な機能)」「できるだけ取り組みたいこと(できれば欲しい機能)」のように整理しておくと、ツールの比較・検討がしやすくなります。
現状に合わせてツールを決めるか、ツールに合わせて体制を組むかを決める
どの企業でも、今ある体制とツールを使って取り組んでいるマーケティング施策が少なからずあるはずです。 ツールに合わせて体制を変える場合と、現状に合ったツールを選定する場合でメリットとデメリットを比較し、メリットの大きいほうを選びましょう。
候補となるツールを選び、比較・検討する
いくつか候補となるツールを選び出し、比較・検討しましょう。比較・検討のポイントは、主に下記の3つがあります。
・自社のビジネス領域にマッチしているか
ビジネス領域がBtoBなのか、BtoCなのかによって、マーケティングツールに求められる機能は変わってきます。
例えば、リードの母数が多いBtoC領域で、膨大なトラフィックが必要な施策を展開する場合、マーケティングツールも膨大なデータ量に対応できるようになっている必要があります。また、リードタイムが長いBtoB領域では、顧客と長期的なコミュニケーションができる、ナーチャリングに対応できる機能の充実が欠かせません。
・使いたい機能が備わっているか
行いたい施策が決まっている場合、もしくは強化したいポイントがはっきりしている場合は、施策を行うために必要な機能がすべて備わっているかチェックしましょう。例えば、顧客体験を重視したマーケティング施策を行いたい場合は、マルチチャネルへの対応や、複数のシナリオの設定といった機能が必要です。
また、今後の成長を見据えて、マーケティングツールの拡張性も確認しておきましょう。
・サポート体制は充実しているか
マーケティングツールは、提供する会社によってサポート体制が異なります。初めてマーケティングツールを導入する際には、できるだけきめ細やかなサポートをしてくれるツールを選ぶといいでしょう。
なお、Marketo Engageでは、導入から戦略立案やシステム連携開発まで支援可能な、コンサルティングサービスをご用意しています。
複数のマーケティングツールを連動させることで、効果の最大化が可能
ここまで、マーケティング活動をサポートするさまざまなツールと、その導入の仕方についてご紹介しました。
マーケティングツールは単体でも活用できますが、ほかのツールと連動させることで、さらに効果を高めることができます。
例えば、獲得からナーチャリングまでのすべてを担えるMAツールと、顧客が生涯を通じて企業にもたらす価値を表す指標であるLTVを高められるCRMツールを連携すれば、顧客情報の一元管理が可能となり、組織内でのよりシームレスな情報共有につながります。
マーケティングツールを選ぶ際には、今回ご紹介した特徴や自社との相性だけでなく、ほかのツールとの連動性にも注目することをおすすめします。
なお、Marketo Engageは、さまざまなツールとの連動が可能で、マーケティング全体を支援できるツールです。下記のページから無料のeBookをダウンロードし、詳細をご確認ください。
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