Adobe Commerce消費者調査:パーソナライズされた顧客体験の重要性が明らかに
本格的な夏を迎え、米国の消費者はこの季節の最大のセール日であるプライムデーなど、絶対に欲しい商品を格安に購入できる機会を逃すまいと待ち構えています。一方で、小売業者は競争が激化する中で一人でも多くの消費者を惹きつけるため、Eコマースを上手に活用する必要があります。インフレが最高潮に達した今、節約モードに入った消費者の財布をめぐる競争に加え、個々のニーズを反映したショッピング体験を求める消費者の期待にも応えなければならないからです。
グローバルで数千にのぼる企業のデジタルコマース戦略を推進し、米国の上位の小売業者の多くが採用しているEコマースプラットフォームAdobe Commerce(旧Magento)チームは今回、全米の 1,115人の消費者を対象に、経済状況の消費者心理への反映と、その消費習慣への影響を理解することを目的とした調査を実施しました。その結果、ロイヤリティを高めたいと考える小売業者には、特にこの夏にショッピングシーズンで消費者の注目を集め、パーソナライズされたショッピング体験を提供するということが重要であると浮き彫りになりました。
経済状況への懸念が消費者支出に影響を及ぼす
商品やサービスの価格が上昇し続ける中、消費者は、購入優先順位が高い商品以外は買わずに済ませたいと考えています。しかし今回の調査により、今すぐ必要ではないアイテムへの支出が落ち込む一方で、61%の消費者がプライムデーなどの夏のセールを待ち望んでいることが明らかになり、この夏のオンライン消費は増加する可能性が高いことがわかりました。
夏のセールを利用する予定だと回答した消費者の76%が、昨年と同額かそれ以上の買い物をすると回答しています。また、その動機もさまざまで、プライムデーに買い物をすることで節約したいと考える消費者が半数以上(56%)である一方、夏のホリデーで必要な商品の購入(32%)や9月に始まる新学期に向けた買い物(23%)を前倒しする意向を示した回答もありました。
米国小売大手のTargetをはじめとして、在庫過剰を理由に今後値引率を高めていくことを表明する小売業者が増えています。しかし、過半数(64%)の消費者は値引きに対するインフレの影響で値引き幅は昨年より小さくなると考えています。
注目すべきは、経済状況への懸念が今年の夏のセールやプライムデーでの買い物に影響を与える可能性です。調査対象の消費者の24%近くが、インフレと物価高によって自由に使えるお金が減ったため、プライムデーでの買い物を予定していないと回答しています。消費者が今年の夏のセールを利用しないとした理由は以下の通りです。
- 景気による自分の経済状況への影響が心配だから(21%)
- 必需品に優先的にお金を使いたいから(20%)
- お金を貯蓄に回したいから(15%)
オンラインショッピングの成長は継続
消費者が物理的な店頭での買い物に戻りはじめている現在でも、オンラインでの消費者支出は緩やかな増加を続けています。Adobe Analyticsを使った最新のDigital Price Index(DPI)調査では、2022年5月の米国の消費者のオンライン消費額は788億ドルで、その前月より10億ドル以上拡大しています。
また、調査対象の消費者の多くがオンラインで買い物をすると回答しており(93%)、なかでもZ世代の50%、ミレニアル世代の49%、X世代の35%がほとんどの買い物をオンラインですると答えていることから、オンラインショッピングは今後も成長し続けるものと思われます。
場所と時間を問わずに買い物ができる利便性が評価され、オンラインショッピングはパンデミック期間中に急速な成長を遂げました。回答者の半数(50%)は携帯電話で買い物をする傾向があると答えており、店舗での買い物を好む(26%)やデスクトップコンピューターでの買い物を好む(24%)を大きく引き離しています。
消費者はまた、主要なホリデーシーズン以外の期間でも、より安く買い物ができる可能性があることを期待してオンラインショッピングを利用しています。商品の在庫状況も重要な要素で、実店舗で在庫がない場合にオンラインに頼る消費者が増えており、半数以上(57%)が店頭で見つからなかった商品をオンラインで検索して購入すると答えています。
さらに、実店舗かオンラインかを問わず、消費者は最も安い価格を求めています。実店舗で購入をする場合でも、消費者の76%がオンラインでもっと安く購入できるかどうかをまず検索し、さらにレビューも読むと答えており、60%が商品購入前に携帯電話で他の小売店との価格比較をしています。このような消費行動が最も顕著な世代は、Z世代(86%)とミレニアル世代(77%)です。
消費者はパーソナライズされた、新たな顧客体験を求めている
デジタルファーストの世界では、消費者は自分のニーズや興味に合わせてパーソナライズされた顧客体験を期待するだけでなく、要求さえしています。つまり、単なるお買い得商品の提供だけでは不十分であり、買い物の全行程において、すべてのチャネルで、どこにいても、どのような買い方を選んでも、消費者はシームレスなショッピング体験が提供されることを望んでいます。
B2CおよびB2B企業は、顧客の行動、商品の販売状況、視覚的要素、または売れ筋商品に基づいて関連商品を提案できる、AIによる製品レコメンデーションに注目しています。半数以上(67%)が自分の消費習慣を反映してパーソナライズされたプロモーションやオファーを実店舗やオンラインで受けたいと答えていることから、これは理にかなったことだと言えます。また、多くの消費者(61%)は、こうしたプロモーションを受けることで、購入の可能性が高まると答えています。世代によっても購入の可能性に違いがあり、Z世代は72%、ミレニアル世代は78%、X世代は66%となっています。また、パーソナライズされた商品レコメンデーションを受けたことがある消費者のうち72%が「想定より多くの商品を購入することになった」と回答しています。
また消費者は、新しく、ユニークなショッピング体験を求めています。例えば、調査対象の37%は拡張現実体験のアイデアに前向きで、28%は没入型のインタラクティブなショッピング体験(メタバースでのショッピングなど)に興味があり、26%はすでにショッピングイベントのライブストリーミングに参加した経験があります。
決済方式や配送オプションの柔軟性が重要
今日、消費者は支払い方法、商品の配送オプション、そして返品方法についても柔軟性を求めています。
ほとんどの消費者(82%)は、オンラインで購入した商品の支払い方法が自分で選択できることを望んでおり、クレジットカード、銀行口座取引、PayPal、Apple Pay、Venmoから選択できることが理想的と言えます。このニーズに応えるためにAdobe CommerceはPayPalと提携し、クレジットカード、デビットカード、Venmoなど一般的な支払い方法を加盟店が簡単に利用できるようにしました。さらに、暗号通貨取引や新たな決済手段など、PayPalが提供する革新的な決済手段にアクセスすることも可能です。
これらの新たな決済の1つが、特にZ世代とミレニアル世代の間で人気を集めている後払い決済(BNPL:Buy Now Pay Later)です。回答者のほぼ半数(43%)が、BNPLを提供している小売業者から購入する可能性が高いと答えています。その理由は、支払いが簡単になるから(62%)、支払猶予期間が設けられているから(45%)、購入の際の柔軟性が高いから(49%)、支払い時の金利が低いまたは無料だから(22%)などです。
ほとんどの消費者(85%)は、100ドル以上の買い物にBNPLを利用する傾向があり、その上位は衣類・アパレルとコンピューター・電子機器です。
さらに、BNPLを利用して購入した経験があるZ世代の42%、ミレニアル世代の48%、X世代の43%、ベビーブーマーの24%が、再びこの支払い方法を利用したいと考えていることがわかりました。
ほとんどの消費者が購入してすぐに商品受け取りたいと思うのは当然のことで、72%がオンライン購入した商品を当日中に、もしくは2日以内に配送してほしいと回答しています。また、小売業者から1~2週間以内に配送がされない場合は、その小売業者から購入する可能性は低くなり、代わりに配送期間が短い小売業者を探すようになります。このため、アドビはFedExと提携し、2日以内の無料配送、簡単な返品、シームレスなチェックアウトなどの機能をストアフロントで利用できるようにしました。
小売業者は、BOPIS(オンラインで購入した商品を実店舗や駐車場で受け取る)オプションの提供によって、消費者が商品を手にするまでの時間を短縮しています。Adobe Analyticsによると、2022年においてこれまで、駐車場での受け取りがオンライン注文全体の19%を占めています(同サービスを提供している小売業者において)。このように、フルフィルメント期間を短縮する方法を模索する小売業者が増える中、Store Fulfilment for Adobe Commerce by Walmart Commerce Technologiesが実現するようなBOPIS機能を追加すれば、実店舗を商品の受け取り場所にすることで購入品を迅速に届けられるようになります。
BOPISは消費者の間でも人気を集めており、回答者の57%がBOPISを利用していると答え、そのうち80%がこのフルフィルメント方式を2回以上利用しています。消費者がBOPISを好む理由として、自宅への配送より早い(49%)、その日のうちに商品が受け取れる(29%)が挙げられています。
返品については、オンライン購入した商品が適合しなかったり不要になった場合、90%の消費者が商品を無料で返品できるオプションを望んでいます。また、半数以上(57%)が、返品に手数料がかかる場合はその小売業者から二度と購入しないと回答し、46%が別の小売業者から購入する可能性があると答えています。さらに消費者は、小売業者の店舗(60%)、郵送(56%)、または自宅に近い別の返品場所(46%)で商品を返品できるオプションがあることを望んでいます。
企業は消費者の要求の進化に適応する必要がある
小売業者は、パーソナライゼーションが収益成長、顧客満足度の向上、顧客ロイヤリティの確立につながることを認識する必要があります。米国コンサルティング大手McKinseyが実施した別の調査(英語)によれば、パーソナライゼーションに深く取り組んでいる企業は、そうでない企業より40%も収益成長を促進していることが分かっています。
Adobe Commerceは、重要なモーメントごとに意味のある、そしてパーソナライズされた顧客体験を提供できるよう、企業を全力でサポートします。パーソナライズされた体験への需要が高まり、オムニチャネル戦略を加速させる企業が増える中、絶えず変化するEコマース市場に対応し、今日のデジタルファースト経済におけるB2B企業およびB2C企業の成功を実現するのがAdobe Commerceなのです。
今回のAdobe Commerce調査は、ショッピングの嗜好や消費習慣がどのように進化しているかを理解するために、調査会社Advanisが米国の1,115人の消費者を対象に2022年6月に実施したものです。
※本記事は、2022年6月29日にアドビが投稿したブログの抄訳版です。
https://main--bacom-blog--adobecom.hlx.page/jp/blog/fragments/page-products-adobe-commerce