カスタマーリレーションズの概要と取り組み方

A customer relations specialist

カスタマーリレーションズは、企業の生命線となるものです。しかし、顧客と緊密な関係を構築するのは、容易なことではありません。デジタル変革により、多くの顧客がオンラインに移行し、競争はさらに激しくなっています。

しかし、それを実現することは可能です。AI(人工知能)を利用したテクノロジーにより、シームレスでパーソナライズされた顧客体験を構築し、長期にわたって顧客との関係を育むことで、顧客ロイヤルティと自社の評判を向上させることができます。

本記事では、その概要からベストプラクティスに至るまで、カスタマーリレーションズを包括的に解説します。

カスタマーリレーションズとは?

カスタマーリレーションズとは、企業が顧客との関係を構築する取り組みのことです。 その目的は、顧客体験を強化し、エンゲージメントを深め、課題を解決し、顧客と企業の双方に利益をもたらす長期的な関係を構築することにあります。

カスタマーリレーションズは、カスタマーサービス部門の役割であると見なされがちですが、ほとんどすべての部門がその一端を担っています。商品の開発と販売から始まり、フルフィルメント、購入後のサポートまで続きます。そのため、全社を挙げて、顧客と優れた関係を構築し、維持することに専念する必要があります。

カスタマーリレーションズとカスタマーサービスの違い

カスタマーリレーションズの取り組みは、カスタマーサービスだけにとどまりません。

カスタマーリレーションズ には、従業員と顧客のあらゆるやり取りと、優れた顧客体験を創出するためのあらゆる取り組みが含まれます。

例えば、顧客は商品を購入する前に、その商品について営業担当者に相談します。そのやり取りをスムーズに進めることができれば、顧客の購買意欲を高めることができます。これは、カスタマーリレーションズのひとつの例です。

カスタマーサービス は、カスタマーリレーションズの一部です。課題の解決やサポートなど、顧客からの問い合わせに対応する役割を果たします。そのため、販売前後に発生する可能性があります。カスタマーサービスは、自社とのポジティブなエンゲージメントを促進するためのチャネルです。どのようなカスタマーサービスを提供するのかが、企業の評判に大きな影響を与えます。

カスタマーリレーションズの重要性

顧客と優れた関係を構築することは、ビジネスの成功と成長を支える基盤となります。自社に対する顧客の評価を高め、顧客体験を向上させるのに役立ちます。また、顧客のロイヤルティと維持率を高めることで、売上の増加につながるだけでなく、ソーシャルメディアや口コミを通じて、商品やサービスを自然にプロモーションすることができます。

こうした取り組みにより、自社を好意的に評価している顧客が再購入する可能性は、はるかに高まります。顧客との結びつきを深めることで、既存顧客のリピート購入を促し、新規顧客の獲得が容易になるのです。

カスタマーリレーションズの利点

優れた顧客関係を築くことは、ビジネスの成功に欠かせない多くの利点をもたらします。

Benefits of customer relations

顧客満足度の向上

カスタマーリレーションズでは、カスタマージャーニー全体を通じて、従業員一人ひとりと接触したあとに顧客がどのように感じるのかを検証します。優れたカスタマーリレーションズ戦略を展開すれば、何らかの問題が発生し、顧客から苦情が寄せられた場合でも、その顧客との関係を維持することができます。そうしたやり取りを通じて顧客を満足させることができれば、長期的な関係を育むことができます。

顧客維持率の向上

既存顧客のリピート購入は、新規顧客を獲得して営業するよりも、はるかに高いROIをもたらします。より優れた関係を育む中で、顧客は自分が大切にされていると感じ、企業を信頼して何度も購入するようになります。つまり、カスタマーリレーションズを強化すれば、顧客の離脱率を低減できるのです。

顧客ロイヤルティの強化

顧客を維持することは、ほんの始まりにすぎません。競合他社がターゲットを絞った施策や大幅な割引を展開すれば、顧客が自社から離れる可能性があります。カスタマーリレーションズを強化することで、これを防ぐことができます。顧客とのつながりを深めてきた企業は、他社の施策や割引オファーに動じることがなくなります。

フィードバックの促進

顧客は、企業を信頼できると感じた場合、有益なフィードバックを提供してくれます。こうしたフィードバックは、商品、サービス、カスタマーリレーションズの方法を調整するのに役立ちます。ビジネスの成長期では、顧客からのフィードバックは新たな市場の開拓に特に役立ちます。

カスタマーリレーションズの取り組み方

カスタマーリレーションズ戦略は、企業ごとに異なります。顧客と従業員は、誰一人として同じではありません。顧客との関係を強化する中で、自社独自のベストプラクティスを生み出す必要があります。ここでは、緊密な顧客関係を構築するための基本を解説します。


How to build customer relations

  1. 顧客を第一に考える。 新しい商品を設計したり、新機能を展開したりする前に、それらが顧客に与える影響を考慮しましょう。顧客のニーズを予測し、カスタマーサービスを推進するとともに、スキル向上を図るためのフィードバックを求めることで、顧客中心の文化を育む必要があります。
  2. カスタマーサービスを強化する。 商品に関する知識、顧客からの難しい要求や苦情への対応とエスカレーション、顧客とのコミュニケーション、担当者がツールやリソースを利用して課題を解決する方法など、従業員をトレーニングしましょう。例えば、電話での初回の対応を改善することを、具体的な目標にします。

    カスタマーサービスを強化することは、カスタマーサービス担当者のワークライフバランスをサポートすることでもあります。カスタマーサービス担当者の満足度が高まれば、優れた顧客体験を提供する可能性も高まります。
  3. 24時間年体制で対応する。 従業員が、24時間体制で常に対応できるとは限りません。チャットボットテクノロジーを利用すれば、顧客は昼夜を問わずいつでも問い合わせることができます。24時間年中無休で対応できる体制を整えることで、自社の評判を向上させることができます。
  4. フィードバックを収集する。 商品や従業員とのやり取りについて、顧客からフィードバックを収集しましょう。企業が自分の意見を聞いてくれていると顧客が感じられるように、必ずフォローアップしましょう。顧客が時間を割いてくれたことに感謝し、フィードバックから得たインサイトをもとに、今後の施策を策定します。顧客のフィードバックが否定的な場合は、そのフィードバックを考慮することが特に重要となります。
  5. コミュニティを構築する。 顧客のロイヤルティを高めてリピート率を向上させるには、コミュニティを構築する必要があります。その方法として、ミートアップ、オンラインまたは対面によるイベント、フォーラム、ソーシャルメディアグループなどを利用できます。商談以外でも顧客とエンゲージメントすることで、長期にわたって関係を強化できます。
  6. 顧客に感謝する。 顧客に感謝の気持ちを伝える方法を模索しましょう。その戦略のひとつとして、ロイヤルティプログラムがあります。顧客がポイントを獲得して商品と交換したり、特別割引を受けたり、新しい商品やサービスを優先的に利用したりできるようにします。

カスタマーリレーションズの種類

企業は、さまざまな方法で顧客と関わります。カスタマーリレーションズの種類を把握することで、顧客一人ひとりに最適なカスタマーリレーションズをすばやく特定し、より優れた関係を効果的に育むことができます。

取引関係

取引関係は通常、顧客との関係ではなく、1回限りの商品購入を指します。長期的なつながりはなく、フォローアップもありません。その一例として、ガソリンスタンドでサングラスを購入することが挙げられます。

長期的な関係

長期的な関係とは、顧客のロイヤルティと信頼を高め、リピート購入を促すことを目的とした、企業と顧客の継続的なつながりを指します。これには、毎週配信されるプロモーションメールやソーシャルメディア広告など、企業が顧客に対して頻繁にコミュニケーションを取り、一貫したつながりを維持することが含まれます。その例として、日用品や生活雑貨を販売する企業が、リピート顧客に新商品を宣伝するために、電子メールを毎週配信することが挙げられます。

A customer receiving personal assistance from a customer relations specialist

パーソナルアシスタント

パーソナルアシスタントサービスでは、購買前後に担当者が顧客の要求に応じてサポートを提供します。ソフトウェアの利用者が、テクニカルエラーのサポートを受けるためにカスタマーサポートに問い合わせるなど、パーソナルアシスタントと顧客の関係は、電話、ミーティング、電子メール、チャットを通じた、1対1の個人的な対話を軸に構築されます。

この関係は、カスタマーリレーションズにおいて非常に重要です。カスタマーサービス部門が顧客からの問い合わせを適切に処理すれば、長期的な関係を築くことができます。それができなければ、その顧客とのビジネス機会は永久に失われてしまうでしょう。

専任パーソナルアシスタント

専任パーソナルアシスタントサービスでは、ひとりの担当者が特定の顧客と直接やり取りするため、カスタマーリレーションズの種類の中で、顧客と最も緊密な関係を構築できます。その一例として、時間をかけて顧客との長期的な関係を構築するプライベートバンカーが挙げられます。顧客は、金融に関するサポートが必要なときはいつでも、プライベートバンカーに問い合わせることができます。その他の例には、特定の顧客に専任の営業担当者やアカウントマネージャーを割り当てることが挙げられます。

セルフサービス

セルフサービスでは、企業は顧客と直接接触しません。顧客が、従業員のサポートを受けることなく必要なものを入手できるように、テクノロジーとリソースを提供します。

例えば、自社サイトを通じて、顧客が従業員に問い合わせることなく商品をすばやく購入し、その後、実店舗で従業員とやり取りすることなく、ロッカーから商品を受け取ることができるようにします。

サービスの自動化

自動化されたサービスでは、テクノロジーやその他のリソースを使用して、セルフサービスにおけるカスタマージャーニーを強化します。企業は、AIを利用して顧客の問い合わせに対応することで、より詳細にパーソナライズされたサービスを提供できます。

サービスを自動化するには、顧客プロファイルが必要です。顧客プロファイルをもとに、AIプログラムを設定して顧客データを選別し、適切なオファーを配信したり、セルフサービスポータルを通じて顧客を適切な回答に誘導できます。

コミュニティ

顧客との関係を強化する方法のひとつは、顧客のコミュニティを構築することです。つまり、顧客が企業の代わりに他の顧客の質問に答えたり、サポートできるようにします。こうしたコミュニティは、顧客の好み、行動、購買習慣に関する優れたインサイトを獲得するのに役立ちます。

コミュニティの例には、企業のwebサイトのフォーラム、ソーシャルメディアのグループやハッシュタグ、スポンサーが主催する対面のミートアップなどが挙げられます。例えば、一部の企業は、同じ商品を利用している顧客が互いにサポートし合い、質問に答えるなど、顧客同士が交流できるデジタルスペースを提供しています。

Customer reviews on Amazon

共創(コ・クリエーション)

企業が顧客と協力して価値を創出する「共創」は、新しいタイプのカスタマーリレーションズです。この関係では、企業と顧客の双方が関与する必要があります。

Amazonはその優れた例です。同社では、顧客がレビューや商品の写真を投稿したり、質問に回答したりすることで、他の顧客の購買決定を後押しできるようにしています。こうしたレビューシステムは、優れたブランドや商品を宣伝するのに役立ちます。

一部の企業では、既存顧客で構成されるリサーチフォーラムを通じてインサイトを獲得し、新商品の設計や新機能のテストに役立てています。さらに、顧客に一般向けのコンテンツ制作を依頼することで、関係をさらに深め、従来のカスタマーリレーションズを超えた絆を築くことができます。

カスタマーリレーションズを強化しましょう

カスタマーリレーションズ施策を推進することは、顧客の維持率、ロイヤルティ、満足度の向上など、さまざまな面で企業に利点をもたらしてくれるだけでなく、最終的に、ROIの向上につながります。

ベストプラクティスを模索する前に、現在のカスタマーリレーションズ施策がどの程度の成果を上げているのか検証しましょう。自社の強みと弱みがどこにあるのかを見つけ出し、それらの課題に対応して、改善する必要があります。

次のステップに進む準備ができたら、Adobe Experience Platformの出番です。Adobe Experience Platformなら、あらゆる顧客に適切な体験を提供するために必要となる、包括的な顧客プロファイルを構築できます。また、企業と顧客の双方に価値のある、さまざまなデータを分析できます。Adobe Experience Platformを利用すれば、AIとマシンラーニング(機械学習)を活用し、顧客とやり取りするためのあらゆるテクノロジーをつなぎ合わせ、顧客を重視した優れた体験を提供できるようになります。

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