オムニチャネルが注目されるようになった背景
オムニチャネルが注目されるようになった要因として、スマートフォンとSNSの普及があります。これにより消費者の行動が大きく変わりました。
今や私たちは、商品の検討から購入まで、すべてをスマートフォンから済ませることができます。
店舗の「ショールーミング化」が叫ばれてから久しいですが、スマートフォンの普及によってそれはさらに加速しています。その場で最安値の店舗や、SNSで口コミを検索することが当たり前になり、様々な面から一つの商品に対して調べるようになりました。
つまり、ユーザーは店舗やECサイトなどを単独でみるのではなく、様々なチャネルを渡り歩くようになっているのです。こうした行動の変化を受け、企業は消費者の行動に合わせた戦略が求められるようになりました。
販売チャネルを一つに絞るのではなく、複数のチャネルを用意して、ユーザーが買いたいと思ったタイミングで購入できるような仕組みを作ること、まさにオムニチャネル化が求められているのです。
また、テクノロジーの進化により、顧客の行動を従来よりも正確に計測できるようになったのも一つの要因です。あるチャネルでの購買データをほかのチャネルでも活用することができれば、より最適な情報をユーザーに届けることができるようになります。
こうした「消費行動の変化」と「テクノロジーの進化」を背景に、オムニチャネルが注目されるようになってきているのです。
オムニチャネル化を成功させる4つの手順とポイント
オムニチャネル化には大きな効果が期待できますが、その準備は一朝一夕でできるものではありません。
ユーザーが商品やサービスに関わる経路を確認し、さらに在庫や顧客情報を一元管理して、ECサイトや実店舗につなげるなど、対応しなければならない内容は多岐にわたります。
ここでは、オムニチャネル化を実現するための4つの手順をまとめていきます。
1.ロードマップの策定
オムニチャネル化で対応する内容は、自社の状況によって大きく異なります。例えば、ECサイトがなければ用意する必要がありますし、CRM(顧客管理システム)が未導入であれば検討を進める必要があります。
また、システムの導入や統合は全社をまたいだプロジェクトとなるので、「誰が」「何を」「いつ」対応するかが複雑化しやすい傾向があります。
そのためスムーズに進めていけるよう、全体のロードマップを作成したうえで、順次進めていく必要があります。
【考えられるプロジェクト関与者】
- 上記を進行する自社プロジェクトマネージャー、メンバー
2.提供する顧客体験の検討
オムニチャネル化で最も大事なことは、顧客の情報や購買行動を理解することです。それが十分に理解できなければ、いくらチャネルを用意しても徒労に終わってしまう可能性が高くなります。
そこで有効なのが、カスタマージャーニーの策定です。カスタマージャーニーでは、対象にするペルソナを策定し、そのペルソナが商品を購入するまでの一連の流れを可視化していきます。
これにより、対象とする顧客はどのような状態で、何をきっかけとして商品の検討を始めるのかなど、仮説を立てることができます。
カスタマージャーニーが設計できたら、その内容と現状の顧客とのタッチポイントを比べてみます。意図どおりに顧客とコミュニケーションをとれているかをチェックし、できていないのであれば、どのタッチポイントでどのような体験を提供していくかを考えていきます。
【考えられるタッチポイントやチャネル】
3.各タッチポイントのデータ連携とシステム統合
ここでついに、オムニチャネル化の肝である各タッチポイントのデータを統合します。
店舗の在庫状況、ECサイトの売り上げ、ユーザーの過去の購入履歴など、すべての情報を統合することによって、各タッチポイントでの「購入のしやすさ」や「提供する情報の質」などを向上させます。
ただ、情報の統合の際には利用しているツールやシステムをつなぎ合わせる必要があり、場合によってはシステム自体を変更しなければならないので、慎重に進める必要があります。
一つの解決策として利用できるのが「マーケティングオートメーション(MA)」です。
MAツールを用いることで、web上の行動履歴から、SFA(営業支援システム)に蓄積された購買履歴や属性などの情報までを一元管理でき、顧客とのコミュニケーションの最適化が可能になります。
4.カスタマージャーニーの効果検証
1~3のすべてを対応しても、オムニチャネル化を実現したことにはなりません。ツールをつなぎ込み、データベースを整備しても、実際にそれがうまく稼働しなければなりません。
アメリカの老舗デパートメントストア「Macy's(メイシーズ)」も、当初はオムニチャネル化に成功したと言われていましたが、実際はその浸透に苦しんでいるようです。
例えば、オムニチャネル化の施策として、店舗で商品を受け取れるようにシステムを統合しましたが、商品をピッキングするスタッフがおらず、顧客側としてもどこで商品を受け取ればいいのかわかりづらくなっており、全体のシステムが機能していませんでした。
よって、システムの統合後に、当初想定していた動きで現場が動いているかを検証する必要があります。具体的には、最初に想定したカスタマージャーニーに照らし合わせ、想定外の動きをしていたら軌道修正をする必要があります。
以上の1~4を実施することにより、オムニチャネル化を成功させやすくなるはずです。
オムニチャネルの成功事例3選
ここからは、実際にオムニチャネルを導入した事例を3つ紹介していきます。
イオンモール幕張新都心店
出典:イオンモール幕張新都心
イオンモール幕張新都心店では、いくつかのアプリやデバイスを提供し、オムニチャネル化に取り組んでいます。
その一つが「イオンお買物アプリ」内に追加された「撮って!インフォ」です。アプリを起動して、売り場に設置されているPOPやチラシをかざすと、その商品を使ったレシピ情報を取り込むことができます。
これによりユーザーは献立を考える際の参考にすることができ、実際に作りたいと思った場合も、必要な食材をその場ですぐに探して購入することができます。
また、店内に「A touch Ru*Run」というタッチタブレットを設置し、店舗では取り扱いのない商品を検索できるようにしました。端末上で見つけた商品の代金はレジで支払うこともでき、さらに配達サービスを利用して自宅で受け取ることも可能です。
【参考】