DAM(デジタルアセットマネジメント)とは?クラウドストレージとの違いやCMS連携のメリット

DAMとは?CMSと組み合わせるメリットも含めて解説

魅力的なデジタル体験は、もとになるデジタルコンテンツを豊富に用意し、それを巧妙に体験へと転換させることから生まれます。この大変な作業を効率化するテクノロジーが「DAM」です。

この記事では、DAMの概要やクラウドストレージとの違い、注目される背景を解説します。併せて、DAMとCMSを連携するメリットやおすすめのツールなども紹介するので、ぜひ参考にしてください。

目次

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DAM(デジタルアセットマネジメント)とは?

DAMとは、英語の「Digital Asset Management」の頭文字を取った略称で、日本語では「デジタルアセットマネジメント」「デジタルアセット管理」などと呼ばれるものです。

具体的には、「デジタルアセット(デジタル資産)」を一元管理する概念や、そのシステムを指します。

デジタルアセットとは、デジタルファイル形式で保存されているコンテンツのことで、具体的には以下のような種類があります。

これらのデータは、webサイトやSNS、ディスプレイ/屋外広告、販促物といった、あらゆるチャネルに必要不可欠なものです。

DAMは、これらのデジタルアセットを集約し、整理、加工、配信などを行う際に活用されています。

DAMの機能例

DAMには、デジタルアセットを一元管理するための、以下のような機能が搭載されています。

詳しくは後述しますが、CMS(コンテンツ管理システム)とのシステム連携もDAMの機能の一つです。

また、高度なDAMには、データの自動タグ付けやビジュアル検索といった、AI技術を活用した機能も搭載されています。

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DAMとクラウドストレージの違い

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クラウドストレージも、インターネットを介してデジタルアセットの保管ができます。この説明を聞くと、「DAMはクラウドストレージと変わらないのでは?」と思う方もいるでしょう。

ここでは、クラウドストレージと比較した、DAMならではの特徴を解説します。

データの検索性の向上

クラウドストレージでは、おもにファイル名やフォルダー配置でしかデータを検索できません。そのため、同じような名称でコンテンツを管理していると、絞り込みの精度が悪くなります。

一方で、DAMでは文字情報の付与やプレビューができるので、データの素性が明確になり、クラウドストレージよりも検索性が向上します。

使用許諾に関する制御の自動化

クラウドストレージでデジタルアセットを管理する場合、データ本体とは別に使用許諾情報を管理する必要があります。

例えば、エクセルで管理している使用許諾情報を定期的にチェックし、使用期限が到来したら手動でコンテンツを削除する、といった方法が想定されるでしょう。

しかし、この方法では削除漏れによるコンテンツの誤使用など、ミスが発生するリスクがあります。

DAMでは、使用許諾情報とデータをセットで管理することが可能です。使用できないデータには透かしを表示する、そもそもダウンロードボタンを表示させないなど、制御を自動化できる利点があります。

関係者とのやり取りの効率化

社内外の関係者とデータをやり取りする際、クラウドストレージの場合は、データの保存先URLをメールで共有するケースが多いでしょう。

メールによるURLの共有は手間がかかるうえ、特に無料ツールに関しては、データ共有時のセキュリティリスクも懸念されます。

一方で、DAMの場合は、データのアップロード/ダウンロード時の通知など、連絡作業の自動化が可能です。

ダウンロード回数や期限を設定やパスワードの付与などによって、やり取りの効率化と同時に安全性も高めることができます。

複数メディア配信の実現

DAMは、「スマートフォン向けwebサイト」「デジタルサイネージ」など、配信先のメディアの特徴に合わせ、データのフォーマットやサイズを簡単に変えられるのも特徴です。

クラウドストレージの場合は、データの仕様を変換する際に制作会社や別のツールを用いる必要があります。よって、複数メディア配信により適しているのは、DAMといえるでしょう。

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DAMが注目されるおもな背景

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ここでは、近年DAMが注目されているおもな背景を解説します。

チャネルやメディアの多様化

インターネットやスマートフォンの普及により、企業が情報発信の場として用いるチャネルやメディアが多様化しています。

また、ある調査によると、消費者の約30%は、できのよくないデザインや分りにくい表現に、不満を抱いています。そして、消費者の5人に3人が、企業はこうした課題に対応する必要がある、と回答しています。

こうした顧客のパーソナライゼーションのニーズにより、企業が扱うデジタルコンテンツの量は膨大になっているのです。

DAMを活用すれば、膨大なデータのなかから必要なものを簡単に探し出すことが可能です。また、チャネルやメディアに合わせた柔軟な使い分けや変換もできます。

コンプライアンス意識の向上

デジタルコンテンツには、著作権や肖像権など、遵守しなければならない権利があります。

使用期限が到来したデータの使用や、個人情報の流出などのコンプライアンス違反が起きると、企業は顧客や社会からの信頼を失うでしょう。

データを安全に利活用するためには、制御を自動化できるDAMが有効です。

なお、以下の記事では、デジタルコンテンツの著作権を保護する仕組みや技術である「DRM(デジタル著作権管理)」について解説しています。

【関連記事】

DRM(デジタル著作権管理)とは?重要性や仕組み、課題をわかりやすく解説

脱サイロ化の動き

クラウドストレージなどを活用していても、チームや部門ごとにデータを管理していると、情報が「サイロ化」してしまいます。ここでのサイロ化とは、情報が孤立し、共有や連携ができていない状態のことです。

サイロ化は、組織全体としてのデータの利活用を妨げ、サービス開発や利益創出を阻害する要因となります。

そこで、デジタルコンテンツを集約し、チームや部門、部署を越えて効率的にデータを利活用できるDAMを導入することで、脱サイロ化を目指す動きが広がっています。

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DAMの可能性を広げるならCMSとの連携がおすすめ

先述のとおり、DAMはCMSと連携可能で、組み合わせることの重要性も高まっています。

そもそもCMSとは、webサイトを中心とするデジタルチャネルにおいて、コンテンツを制作、編集、公開するプロセスを効率化するシステムです。CMSを利用している企業は、コンテンツの管理や公開を一元化し、ワークフローを合理化しています。

DAMとCMSを連携すれば、写真や動画などのコンテンツを効率的に発見できるだけでなく、公開後のコンテンツのパフォーマンスをリアルタイムで分析することも可能です。

これらのことにより、あらゆるチャネルで一貫した体験を提供できます。

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DAMとCMSの連携によるメリット

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DAMとCMSを組み合わせて運用したとき、企業にどのようなメリットがもたらされるのでしょうか。ここでは、大きく分けて3つのメリットを解説します。

1.生産性の向上

CMSを利用しない場合、webサイトの更新作業などには時間と労力がかかります。専門知識があるIT部門に作業を依頼するにしても、より緊急性の高い物事の対応に追われており、優先的な対応は難しいでしょう。

適切なCMSを利用すれば、専門知識の有無に関係なく、誰でもコンテンツを制作、編集、公開できるようになります。DAMの活用によって、デジタルアセットの検索と再利用もスムーズです。

その結果、新しいコンテンツや体験をいち早く提供できるようになり、生産性が向上するでしょう。

2.AIによるスマートな作業

DAMやCMSにおいても、AIの技術が導入され始めています。

例えばDAMには、マシンラーニングとAIを利用して、写真や動画に自動的にタグ付けする機能があります。この機能を活用すれば、コンテンツを整理したり最適な説明文を考えたりするために、何時間も費やす必要はありません。

また、CMSには、テーマやキーワードにもとづくコンテンツの自動生成機能や、行動データを踏まえたコンテンツパーソナライゼーション機能などもあります。

AI機能が搭載されたDAMとCMSの連携で、システムの活用の幅が広がるでしょう。

3.コストの節約

多くの企業では、様々なチームや部門が個別にコンテンツを制作、管理しています。

しかし、ビジネス全体を最適化することが時流である現在、各チャネルを個別に手動で更新するのは現実的ではありません。

適切なDAMとCMSを導入すれば、コンテンツ制作を一元化し、あらゆるチャネルで同時更新が可能になります。作業が大幅に削減され、コストの節約につながるでしょう。

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DAM×CMSを実現するアドビのツール

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DAMとCMSを連携し、両者の価値を最大限に引き出すなら、アドビの「Adobe Experience Manager」の活用がおすすめです。

Adobe Experience Managerは、おもにDAM製品の「Adobe Experience Manager Assets」と、CMS製品の「Adobe Experience Manager Sites」から構成されています。

中堅企業からグローバル企業まで幅広いビジネス規模に対応でき、膨大なデジタルアセットの一元管理が可能です。

また、スマートタグ付けやスマート切り抜きのようなデジタルアセットの自動処理、デバイスに応じた配信の最適化など、コンテンツの再利用も効率化します。

Adobe Experience Managerについてさらに詳しくは、以下の記事を参照してください。

【関連記事】

Adobe Experience Manager:概要、仕組み、導入方法を解説

https://main--bacom-blog--adobecom.hlx.live/jp/blog/fragments/offer-003293-product-experience-manager-assets-2021-jp

https://main--bacom-blog--adobecom.hlx.live/jp/blog/fragments/page-request-consultation-experience-manager

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CMSとの連携でDAMの価値を向上

デジタルアセットを一元管理するDAMには、クラウドストレージにはない魅力的な機能が豊富に搭載されています。チャネルやメディアが多様化し、顧客のパーソナライゼーションのニーズも高まるなかで、今後DAMの重要性はさらに高まるでしょう。

DAMはCMSと連携することで、さらなる生産性の向上やコストの節約などのメリットを得られます。

DAMとCMSの機能を組み合わせたAdobe Experience Managerによって、効率的でパーソナライズされたデジタル体験の提供を実現しましょう。

(公開日:2023/3/2)