Adobe Summit Sneaksで、生成AIで顧客体験管理(CXM)を強化する方法を紹介
年次のデジタルエクスペリエンスカンファレンスである「Adobe Summit 2024」の「Sneaks」セッションにおいて、企業がオンラインで顧客体験を創造、提供、パーソナライズする方法の未来を垣間見ることができます。生成AIはすでに顧客体験管理(CXM)を再構築しており、今年の「Sneaks」セッションでは、新しい心を躍らせるようなデジタルエクスペリエンスを提供しながら、チームの効率性と生産性を高めるためにAIがどのように役立つかを紹介しました。「Sneaks」は、優れたアイデアはどこからでも生まれるという信念のもと、アドビ社員から直接生み出されます。「Sneaks」の多くは、最終的に実際のアドビ製品や機能として搭載されます。リサーチサイエンティスト、エンジニアからUXデザイナー、プロダクトマネージャーまで、様々な立場の各個人がプロジェクトを提案し、それがSummitのメインステージで披露されます。CXMに焦点を当てた今年の最先端テクノロジーは、コンテンツ制作からデジタル資産のブランドコンプライアンスまで、あらゆる分野に及んでいます。
「Sneaks」の最終選考に残ったプロジェクトは以下の通りです。
Project Perfect Plays
https://www.youtube.com/watch?v=D5tJ5E27O0Q
企業のビジネスゴールや目標に沿ったマーケティングのプレイブック(行動計画)を作成し、特定のキャンペーンのマーケティング戦略を実行するには数週間かかる場合があります。 Project Perfect Playsは、生成AI「Adobe Firefly」を活用してマーケティングプレイブックの作成を加速し、Adobe Experience Platformアプリケーションでマーケティングキャンペーンを開始することができます。ユーザーはまず、キャンペーン目的の概要を入力するか、またはマーケティングの概要をアップロードするだけで、顧客のインサイト、マーケティング戦略、目標を含む完全なマーケティングプレイブック体験が生成され、それはボタンをクリックするだけで開始することができます。
Project Get Personal
https://www.youtube.com/watch?v=9fkVard9VMs
顧客は企業とのやり取りのすべてにおいて、パーソナライズされた体験を期待しています。顧客は、大勢の中の一人という扱いではなく、いち個人として大切にされていると感じたいのだ。だからこそ企業は、変化する顧客の期待に応えロイヤルティを高めるために、各体験を確実にパーソナライゼーションしなければなりません。Project Get Personalは、どのようなスキルレベルのマーケターでも、パーソナライズされた画像を瞬時に複数バリエーション生成し、シームレスに大規模配信を可能にします。このプロジェクトは、Adobe Firefly生成AIを活用して、個人に合わせた画像を作成できるようにし、Adobe Real-Time Customer Data PlatformおよびAdobe Journey Optimizerと直接統合することで、webサイト、モバイルアプリ、電子メールなどでの体験をパーソナライズします
Project Ready Click Go
https://www.youtube.com/watch?v=25tAprM1gww
企業が、パーソナライズされた顧客体験とカスタマージャーニーを備えた完全なデジタル体験を企業が立ち上げたいと思った時、多くの時間とリソースを要することがあります。生成AIを活用したProject Ready Click Goを使えば、企業は完全なデジタル体験をAdobe Experience Cloudを使って数分で立ち上げることができます。マーケターはAIアシスタントに作成したいエクスペリエンスを説明する短いプロンプトを入力するだけです。AIアシスタントはAdobe Experience Managerでwebサイトを作成し、Adobe Real-Time Customer Data Platform上にオーディエンスを作成、Adobe Journey Optimizerでキャンペーンを管理、さらにはAdobeCustomer Journey Analyticsがインサイトを提供します。これにより、ユーザーはパーソナライズされた体験を簡単に作成し、提供し、大規模に測定することができます。
Project Brand Slam
https://www.youtube.com/watch?v=xW0aHXEYTJU
企業が所有するデジタル資産全体のイメージを維持するためには、ブランディング統制が不可欠です。しかし、すべてのアセットを社内外の規定に合わせることは、マーケティングチームにとって時間がかかり、多くの場合コストがかかるほか、デザイナーやコピーライター、法律やブランディングのスペシャリストなど複数のステークホルダーも関わる作業になります。
Project Brand Slamは、生成AIを使用して、マーケティングキャンペーンのロゴ、画像、テキスト、フォーマットを最新のブランドガイドラインに沿ったものであることを保証します。また、AIを使用して、過去のキャンペーンからのインサイトに基づいて各アセットを最適化します。これにより、キャンペーンアセットを手作業で確認、承認、更新する必要がなくなるため、マーケターは確実に顧客エンゲージメントを獲得するようなインパクトのあるコンテンツの作成に力を注ぐことができます。
Project Promo Mojo
https://www.youtube.com/watch?v=oLyYO-RfFLA
インフルエンサーキャンペーンを成功させるには、適切なインフルエンサーの発掘、契約の締結、ブランドコンテンツのレビューと承認といった時間がかかる作業が必要で、それには数ヶ月を要することもあります。
Project Promo Mojoがあれば、インフルエンサーマーケティングキャンペーンを簡単に始められます。マーケットプレイスを使って、マーケターは、インフルエンサーが作った即時公開可能なコンテンツの中から、ターゲット顧客に合ったものを素早く探し出せます。マーケターとインフルエンサーの間で合意が成立すると、インフルエンサーが作成した既存の動画、ポッドキャスト、ブログ、SNS投稿に、彼らの声やトーンを用いた企業のメッセージを生成AIの力でシームレスに組み込めるのです。これによりマーケターは、キャンペーンの目的に適合するブランドコンテンツを大規模に展開することができます。
Project Mighty Micro
https://www.youtube.com/watch?v=Y8jCrBsNKtY
組織のために製品を購入する法人顧客は、私生活で利用するサービスと同等な高度にパーソナライズされ、魅力的な体験を期待するようになっています。しかし、B2Bブランドは、複数の人々が関与する長く複雑な販売サイクルの管理に課題を感じています。
Project Mighty Microにより、B2Bのマーケティングおよび営業チームは生成AIを使用し、個々の購買グループ向けに高度にパーソナライズされたマイクロサイトを作成し、大規模に展開することができます。各マイクロサイトは業種、購買グループでの役割、購買ジャーニーにおける段階に基づき、関連コンテンツや行動喚起を含むパーソナライズされた体験を提供します。
Project Infograph It
https://www.youtube.com/watch?v=XSMO9-7pcq8
インフォグラフィックはデータや複雑なアイデアをわかりやすく、インタラクティブに、あるいは魅力的に提示できるため、企業にとってデータインサイトを迅速に伝えられる効果的なコミュニケーション手段です。しかし、インフォグラフィックの作成にはデザイナー、マーケター、データアナリストなど複数の関係者が関わるため、グラフィックやテキスト要素の作成、配置、編集に時間がかかるのが一般的です。
Project Infograph Itは、インフォグラフィックの作成プロセスを簡素化します。このプロジェクトでは、Adobe Fireflyの生成AIテクノロジーを使い、クリエイターが伝えたいメインメッセージ、データ、全体的なアートスタイルに基づいて、推奨されるデザイン・ビジュアル要素を作成します。データセットを読み込み、キーメッセージを説明する短いテキストを入力するだけで、さまざまなカラーパレット、チャートタイプ、グラフィック、アニメーションを試すことができるのです。
*本記事は、アドビが2024年3月28日に投稿したブログの抄訳です。