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用語集:用語

顧客データプラットフォーム:Customer data platform(CDP)

クイック定義

顧客データプラットフォーム(CDP)とは、様々なシステムに分散する情報源をつなぎ合わせて、マーケティングに活用する顧客データを管理する基盤のことです。

重要ポイント

 

CDPは、個々の顧客に紐づくデータを管理し、複数の異なるチャネルをまたいであらゆるデータをひとつの場所に統合するのに役立ちます。

CDPは、主にマーケターが活用します。CDPデータを利用して顧客プロファイルを作成し、個々の顧客や類似の顧客グループに対してどのようにマーケティングをおこなうべきかを把握するのに役立てています。

CDPの活用が最も効果的なのは、大規模なパーソナライゼーションを展開したい大規模な組織です。

CDPを使用する前に、主な用途と利用する情報源を定め、データガバナンスルールを策定することが重要です。


CDPに関する様々な疑問に、Matt Skinnerが回答します。Mattは現在、アドビのDMPであるAdobe Audience ManagerとCDPであるAdobe Real-time CDPのシニアプロダクトマネージャーを務めています。それ以前の約5年間は、Adobe Audience Manager製品の製品開発とマーケティングを担当していました。アドビに⼊社する以前は、Levi Straussで需要創出担当シニアマーケティングマネージャーを3年間務め、マーケティングとコミュニケーションの分野で約15年の経験を有しています。

質問:CDPとは何ですか

回答:顧客データプラットフォーム(CDP)とは、様々なシステムに分散する情報源をつなぎ合わせて、マーケティングに活用する顧客データを管理する基盤のことです。

例えば、自社に優れたマーケティング戦略があるとします。ほとんどの場合、自社のwebサイトに分析タグを設置し、消費者がどのようにサイトに関わっているかを示す行動データを収集しています。広告キャンペーンを実施している場合は、そのキャンペーンに接触した人やその反応に関するデータを収集しています。電子メールシステムを使用して顧客にニュースレターや特別なオファーを送信している場合は、そのメールに誰が興味を示すかを把握したいはずです。考慮すべきデータは大量にありますが、CDPのようなツールを利用すれば、容易に統合できます。

質問:CDPとDMPの違いは何ですか

回答:CDPとDMPはとてもよく似ていますが、大きな違いは、それぞれのツールが扱うデータの種類です。CDPでは、個々の顧客に紐づくデータを管理します。DMPが扱うデータは、個々の顧客に紐づいていませんが、顧客が企業とどのようにやり取りしているかを把握するのに役立ちます。どちらのツールも異なるチャネルのデータを統合し、そのデータからインサイトを獲得できるため、マーケターの作業が容易になります。

DMPについてもう少し説明すると、DMPは仮名化データと呼ばれるデータを扱う必要性から生じたツールです。仮名化データとは、個人情報でユーザーを直接特定することなく、特定ユーザーの企業とのやり取りに関する重要な情報を提供するデータのことです。この種のデータは、webサイトのCookieから取得します。CookieはデバイスIDからデータを収集しますが、そのデバイスの利用者に関する個人情報は特定しません。仮名化データは、企業が新規顧客を獲得するために使用されます。

一方、CDPは、既存顧客の体験を最適化するために使用されます。例えば、自社に顧客関係管理(CRM)システム、ロイヤルティプログラム、電子メールシステムがあるとします。これらのマーケティングツールにはそれぞれ、特定の顧客に対して、メールアドレス、名前、電話番号などにもとづく様々なデータチャネルがあります。CDPを利用すれば、これらのデータを一元管理して、そのデータから取得したインサイトをもとに、継続的に顧客体験をパーソナライズできます。

質問:CDPには、どのような種類があるのでしょうか?

回答:この数年、CDPの領域を広げる新たな手法が数多く登場しています。ある企業では、ID管理にCDPを使用して、顧客のIDを統一することに重点を置いています。また、別の企業では、マーケティング部門やIT部門が自社のサイトでおこなうトラッキングの合理化を進めるために、タグ管理システムとして活用しています。

どちらのアプローチもすばらしいものです。しかし、CDPを名乗るサービスの中には、実際に提供されている能力がその名にふさわしくないものも少なくありません。そのため、アドビでは、IDのアクティベーションやデータの取り込み、データガバナンスなどに、AI(人工知能)やマシンラーニング(機械学習)を活用できる、パワフルなCDPの構築を目指しました。Adobe Real-time CDPは単一のシステムであり、顧客について把握できていない初期の段階からコンバージョンに至るまで、カスタマージャーニーのあらゆるユースケースに対応できます。

質問:CDPを使用するための最初のステップは何ですか

回答:企業が最初にする必要があることのひとつは、既に保有している情報源をリストアップし、CDPに取り込むものを決めることです。「自社のマーケティングユースケースに関連するデータを生成しているシステムは何か」と自問してみてください。これらのデータチャネルには、CRMや電子メールソフトウェア、有料メディア、ソーシャルなどがあります。また、それぞれが独自のシステムを使用している可能性もあります。これらのチャネルがCDPへの入力となるため、様々な情報を収集することが重要です。

次に、非常に重要となる、自社のユースケースについて検討します。多くの企業は、顧客プロファイルの構築を開始するために、すぐに最適なベンダーの選定作業に入ります。そのためには、ユースケースと成功のイメージを明確にし、それに沿って期限を定めた現実的な目標を設定することが重要です。CDPの導入で大きな成功を収めている企業は、いつまでに何を達成しようとしているのか、明確なビジョンを持っています。

企業によっては、あらゆる情報源に適切なガバナンスルールが一貫して適用されることを望むかもしれません。ある企業は、新規顧客に提供する

オファーから既存の顧客層を除外したいと考えているかもしれません。あるいは、ロイヤルティ会員の新しいセグメントを構築して、特別なキャンペーンを提供したいと考える企業もあるかもしれません。このような具体的なユースケースを持つことは、進捗状況を把握し、投資から得られる価値を理解するうえで重要です。

最後の重要なステップは、組織構造とCDPの利用方法を検討することです。そのためには、異なるシステムを管理するメンバーでチームを作り、CDPの優先順位を決定することが最も効果的です。

質問:CDPの使用プロセスはどのようなものですか

回答:例えば、初めてネットショップのwebサイトにアクセスし、閲覧を開始した人がいるとします。このサイトのマーケターが期待していることは、訪問者の好みを理解してパーソナライズされた体験を提供し、それによって訪問者が顧客になり、長期的には常連顧客になるということです。

パーソナライゼーションの最初のステップは、訪問者がwebサイトを閲覧する際に、仮名化データを収集することです。このデータは、訪問者のエンゲージメントに関する情報をCookieやデバイスIDと紐付け、CDPに保存されます。訪問者が様々なシステムをまたいで企業とやり取りすることで、さらに多くのデータが提供され、これらのデータポイントからなるプロファイルの構築に使用されます。最終的に、訪問者が小売店で購入したり、ニュースレターに登録したりすれば、電子メールアドレスで個人を識別できるようになります。様々なチャネルをまたいだ顧客行動や企業とのやり取りは、このメールアドレスに紐付けられます。顧客プロファイルと何らかのロイヤルティプログラムが連携している場合は、実店舗における取引も紐付けることができます。

マーケターは、このプロファイルを利用して、類似の行動をとる人々のオーディエンスセグメントを構築することで、この顧客だけでなく、他の顧客にもパーソナライズされたメッセージを配信することができます。こうしたセグメントには、例えば、新規顧客、過去30日間に一定額の買い物をした人、特別なオファーを受ける資格のある人などのグループが考えられます。顧客が様々なセグメントに入ったり出たりしながらパーソナライズされたオファーを受け取ることで、顧客とブランドの関係はさらに強まります。

質問:CDPは必ず使用する必要がありますか

回答:複数のチャネルをまたいで大規模に、一貫性のある顧客体験のパーソナライゼーションをおこなおうとする場合、CDPの使用は必須です。もし企業が、自社サイトでパーソナライゼーションを提供せず、有料メディアも利用しないで、メール配信のみをおこなっているとしたら、その企業はビジネスを成長させることも、既存の顧客層に優れた体験を提供することもできないでしょう。そのため、幅広い顧客層を有する大企業は、CDPのようなシステムを優先的に導入しています。特に現在では、ショッピングやエンゲージメントの多くが実店舗ではなくオンラインでおこなわれているため、顧客はパーソナライズされた体験を期待しています。

質問:CDPにはどのような課題がありますか

回答:CDPの最大の課題は、CDPテクノロジーの運用面にあります。CDPを利用する主な目的は、異なるシステムにある大量のデータを統合することです。成果を上げるためには、データを統合するためにチームをまとめる必要があります。しかしこれが、組織内で何らかの負の力を生み出す可能性があります。

例えば、CDPを管理するチームに他のチームが脅威を感じたり、個人的な感情がデータの利用に影響を与えたりするかもしれません。その結果、CDPの管理が不十分になり、データの分断化という、根強い問題が発生し、顧客の包括的なプロファイルをマーケターが構築できなくなる可能性があります。こうした顧客プロファイルがなければ、企業はパーソナライズされた体験を提供できません。これは、運用面から発生する非効率性の連鎖です。

質問:組織ではどの部門がCDPを管理するべきでしょうか

回答:組織の複雑さ、規模、目標によって異なります。しかし、一般的には、マーケティング部門かIT部門がCDPを管理します。新しいシステムを組織に導入することから、IT部門は常に関与する必要があります。IT部門はCDPが提供する価値を理解し、他にどのようなシステムと統合する必要があるのか、またどのように管理するのが適切か検討する必要があります。しかし、CDPを実際に使用するのはマーケターです。

役割分担に関しては、CDPの管理を職務のひとつにしている企業もあれば、リアルタイムCDPの管理を専任でおこなう従業員を置いている企業もあります。ほかにも、CDPに関する作業を主におこなう専任チームを設置する企業もあります。CDPの管理プランは、企業のニーズに応じてそれぞれ異なります。

質問:CDPは今後どのようになっていくのでしょうか

回答:今後1~2年の間に、消費者プライバシーという世界的なテーマから、CDPの重要性はますます高まっていくと予想されます。消費者データを保護し、消費者が自らのデータをさらに制御できるようにするための規制が増え、強化されます。消費者のデータがどのように収集、使用されるかについて、消費者の権利を保証するために、新たなデータガバナンス規則が策定されつつあります。広告用の識別情報やその他のデータを使用する際に、利用者の同意を必要とする措置を講じている企業もあります。

また、現在、web上で多くの広告やパーソナライゼーションに用いられている3rdパーティCookieは、2022年初頭に廃止される可能性があると予想されています。これらの規制は、消費者とプライバシーにとってはプラスに働きますが、仮名化された識別情報を使用する機能を排除するものです。マーケターは、メールアドレスを取得したり、サイト訪問者から同意を得るために、ロイヤルティプログラムなどの方法に頼らざるを得なくなるでしょう。CDPはそのための最適なシステムです。このように、規制が進むにつれて、CDPの重要性はますます高まっていきます。

また、今後のCDPテクノロジーとして、CDPとDMPの機能を融合させて、顧客のライフサイクル全体にわたる一連のユースケースを単一のシステムで実現することも期待されています。