オーバーザトップ(OTT)ストリーミングプロバイダーであるSling TVは、刺激的でダイナミックな業界で事業を展開しています。この業界は競争も激しく、新しいプロバイダーが次々と参入していることから、顧客は有料のストリーミングサービスをかなり慎重に選ぶようになっています。
私はSling TVのデジタルマーケティング担当副社長として、市場を変革し、顧客体験の創出、提供、パーソナライズの方法を革新しようとする姿勢こそが、当社のビジネスを他社と差別化する要因であると確信しています。Sling TVは、Adobe Experience Cloudソリューションの統合製品を活用して、顧客にとって重要なデジタルチャネル(当社のwebサイトや人気のストリーミングプラットフォームなど)で独自のショッピング体験を提供し、顧客基盤の拡大と強化を図っています。
Adobe Real-Time CDP、Adobe Target、Adobe Experience Manager、およびAdobe Commerceは、当社の変革の中心です。正確なターゲティングとパーソナライズされた体験やオファーを提供できる能力は、これまで十分にサービスが提供されていなかったセグメントから、優良新規加入者を獲得するのを支援してきました。また、アドビとの協力により、新しいコンテンツ、キャンペーン、webサイト体験の市場投入までの時間を1カ月から1週間に短縮することができました。
Sling TVでは、現状に挑戦することがDNAとして根付いています。私は、当社の大胆なデータ変革プロジェクトを率いることを光栄に感じています。それだけでも十分な評価ですが、当社は、顧客のショッピング体験を再構築し、組織の成長を推進したことが評価され、今年のAdobe Experience Maker Awardsの「The Disruptor」部門でも受賞という栄誉に輝きました。
https://video.tv.adobe.com/v/3457928t1/
サイロ化されたデータからリアルタイムのパーソナライゼーションへ
チームは、Sling TVのデジタルマーケティング活動のコンバージョン率を向上させ、適切なオーディエンスに的確なタイミングで適切なコンテンツを配信することで、顧客離れの傾向を逆転させることを目標に掲げて取り組みました。当社は、消費者向け直接販売(DTC)ビジネスを営んでおり、売上の大部分はweb、スマートテレビ、ストリーミングデバイスを通じて得ています。しかし、アドビと提携する前は、顧客とのやり取りに関する情報が断片化していたため、これらのチャネルで一貫した体験を提供することは困難でした。ましてや、デジタルファーストの顧客層の期待に応えることはなおさら無理でした。
しかし、Adobe Experience Cloudを導入することで、すべてが変わりました。Adobe Analytics、Adobe Commerce、Adobe Real-Time CDP、Adobe Experience Manager、Adobe Targetを統合することで、Sling TVの顧客のオンラインとオフラインのデータソースを単一のプロファイルに統合し、断片化の問題を解決しました。これにより、当社のマーケターは、200万人以上の顧客に対してあらゆる顧客接点で共感を呼ぶ体験を提供できるようになりました。
さらに最近では、Adobe Experience PlatformのAIアシスタントのベータテストに参加しました。これにより、予測顧客分析にもとづいて正確なオーディエンスセグメントを構築することができ、パーソナライゼーション戦略の効果がこれまで以上に高まることが期待されます。
注目ポイント、学び、将来の目標
データとパーソナライゼーションに対してリアルタイムのアプローチを採用することで、当社のビジネスは劇的に変化しました。シンプルなターゲティングから高度なパーソナライゼーション戦略まで、アドビのソリューションの支援により、当社にとって重要なタイミングで既存顧客とのつながりを強化でき、新規加入者を獲得することができました。私たちのジャーニーには多くの注目ポイントがありましたが、特に印象に残っているものをいくつかご紹介します。
- エクスプレスチェックアウトによるコンバージョン率の向上:チェックアウトプロセスのステップ数を減らし、事前選択済みのパッケージによりユーザーエクスペリエンスを簡素化することで、購入プロセスを33%短縮しました。この合理化されたプロセスは顧客に好評で、カートのコンバージョンが30%向上しました。
- カスタマイズされたホームページ体験によるエンゲージメントの向上:Adobe Real-Time CDPとAdobe Targetを使用して、Sling TVのwebサイトでのリピーターの過去のインタラクションにもとづいて、Sling TVのホームページをリピーター向けにパーソナライズされたバナーやオファーでカスタマイズしました。購入プロセスを中断した顧客を再エンゲージすることで、アカウントのアクティベーションが増加しました。
- パーソナライゼーションにより優良加入者を獲得: 各顧客のプロファイルと戦略的なサードパーティのデータソースにもとづいて、サイト全体のオファーを動的に調整しました。これにより、優良加入者は、Sling TVとの最初のインタラクションから関連性の高いオファーを受け取ることができ、webサイトでのコンバージョンが22%増加しました。
- カスタマイズされたブランディングによるカートの保持率の向上: スポーツファンは、Sling TVの最も熱心な顧客層です。スポーツ関連のブランディングでカート体験を魅力的にし、購入プロセスをさらにカスタマイズすることで、カート保持率が4%向上しました。
これらの成果を振り返り、Sling TVの成功は3つの要因に起因すると考えています。まず、アドビのソリューションは、データを活用してより個人に合わせた体験を創出し、売上や収益を促進する真にインパクトのある体験を実現するのを支援しました。
次に、データ変換で迅速な解決策を見出そうとはしませんでした。チャネル全体で顧客体験をパーソナライズするには、各顧客に関するグローバルな視点が必要でした。つまり、サイロ化されたシステムを、データと意思決定を一元化する統合ソリューション製品に置き換え、今日のデジタルファーストの顧客に最適なサービスを提供する必要がありました。
最後に、ビジネスに有意義な変革をもたらすためには、社内の部門間のオープンなコミュニケーションとコラボレーションを促進する必要があることを認識していました。そのため、Sling TVのマーケターは、変革の過程を通じて、テクノロジー部門、業務部門、およびアドビのパートナーと協力して、働き方を全面的に再構築し、将来の成功に向けたビジネスの位置付けを見直しました。
2025 Adobe Experience Maker Awardsのサイトで、Sling TVがストリーミングTV市場に革新をもたらした方法の詳細をご覧ください。
Sling TVのデータ変革についてさらに詳しくは、Adobe Summit 2025でのセッションをご覧ください。
EchoStarのデジタルアクイジションマーケティング担当バイスプレジデントである Jay Suh氏は、革新的なデジタルキャンペーン、高度なテクノロジープラットフォーム、データ主導のメディア戦略を活用し、Sling TVおよびDISH TVの成長を推進しています。社内メディアアトリビューション、メディアミックスモデリング、高度なオーディエンスセグメンテーションなどの分野において、パフォーマンスの高いチームを構築し、変革的な取り組みを主導してきた実績があります。Barclays、Comcast、American Expressでのこれまでの指導的役割には、顧客獲得の推進、デジタル体験の最適化、強力な部門間連携の促進に関する専門知識が生かされています。
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